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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【邦画:歴史】 火天の城

【評価】★★★☆☆

katen_casle.jpg
2009年/日本
監督:田中光敏
主演:西田敏行


DVDの予告を見て面白そうだったのでレンタル。
城作りをテーマにした歴史物とは、なかなか珍しいので、期待度大。

【ストーリー】
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尾張の宮大工・岡部は、織田信長から、空前絶後の五重の高さを持つ城-安土城の建設を命じられる。
安土城を建設するに当たっては、巨大な太い柱が必要であったが、その柱が取れる木材は、敵国・武田家の領地にしかなく、岡部は単身で杉材を譲ってくれるよう、武田家の領地に赴くのだった。
岡部の熱意に打たれた、武田家の木材管理者は、領主の意に背いて木材を岡部に譲るのだった。しかし、それが原因で、木材管理者は、武田家の領主によって処刑されてしまう。
そのような犠牲を払いながら、岡部は、安土城の建設を着実に進める。
苛烈な信長の要求などもあり、岡部の配下の大工たちの動揺や反感が生じるものの、その都度、岡部はリーダーシップを発揮して配下の大工達をまとめあげるのだった。
城の骨格もようやく出来上がりつつあったが、巨大な杉材で作り建てた大黒柱が少し長すぎることが判明し、柱を短くしなければいけなくなる。
誰も試みたことのない手法で、大黒柱を短くするか、それとも城が崩れるかというギリギリの中で、見事、大黒柱を適切な長さに切りそろえることに成功、見事、安土城を作り上げたのだった(完)。

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空前絶後の巨大な城、安土城を作り上げた宮大工・岡部の活躍を描いた作品。
テーマが、城作りとあって、多少地味さは禁じ得ませんが、テーマ自体は悪くなかったというよりは、テーマ選定は成功だったと思います。

ただ、なんでしょう、NHKの名物番組「プロジェクトX」のように、技術者の苦悩やドラマ性といったところが、いささか薄く、どことなく表層的、散漫な印象で、それが、トータルとしては、平板で地味な印象になってしまったのが残念なところ。

序盤、安土城を建設する事業者選定(現代の公共事業のようだ)に当たっては、信長が指名した大工、建築士が、それぞれ設計図を持ち寄ってコンペ(競争)をすることになります。
なんだか、先ごろ、大いに話題となった、新国立運動場建設を思い出させます。

信長の出した条件は、五層の城で、一層から四層までは吹き抜けにすべしというもの。
コンペ参加者は、信長の出した条件を踏まえながら、工夫を凝らした城の図面と模型を作り上げ、コンペに臨みます。

さて、主人公の岡部はというと、信長の出した条件の一つ、「一層から四層まで吹き抜けにすべし」というものを無視して、図面と模型を作ります。
当然、信長は自分の意向を無視され激怒するわけですが、コンペ参加者が提出した城の模型に火を付け、吹き抜けだと、あっという間の城が炎上してしまうことを証明、吹き抜けの危険性を指摘することで、立場一遍、見事、安土城建設の総監督に任じられます。

この時、吹き抜けによる炎上の危険性を認識して、岡部が作った城の模型を評価した信長の言葉がニヤッとさせられました。

「この城なら、例え落城ということになっても、落城までの間、舞を楽しむ時間はありそうだな。」

本能寺の変の信長の最期を知っている人なら、なるほどと思える台詞で、この場面は、とても印象的でした。

この辺りまではなかなか良かったのですが、この後、ズルズルと失速気味な展開。


安土城を築くのにどうしても必要な巨大な杉を手に入れるため、岡部が、敵である武田方の武将・木曽義昌を訪れるという展開になります。
木曽義昌と言えば、武田勝頼を裏切り、織田信長に味方することで、武田家滅亡の引き金を引いた人物。
てっきり、岡部の木曽義昌との接触は、そういう含み、展開を踏まえた交渉になってくるのかなと思いきや、単に最初から最後まで、敵方の武将で、岡部の杉材入手を邪魔するだけの存在という、非常にもったいない設定の仕方でした。
せっかく、歴史を背景にした映画なのですから、もうちょっと、歴史的事実を取り込んで、話を膨らませたら面白いのになぁと、残念に思うところでした。


また、本作、一応は、最初から最後までリアルな描写・表現を心がけていたように思いますが、一箇所だけ、非常にビックリ仰天なシーンが存在します。

信長が、巨石の上に立ち、その巨石を大勢の大工達に綱で引っ張って移動させるという場面が出てきます。
この時、忍者暗殺集団が、信長を襲撃するという展開になります。
この忍者、信長の立っている巨石に跳躍して飛び乗るのですが、その跳躍距離、どう見積もっても10mは超えていたような。

その上、派手な爆破シーンを交えて、忍者集団が10mを超える跳躍をし、チャンバラを演じるので、なんでしょう、急に戦隊ヒーロー作品になってしまったかのような印象が。
その違和感たるや、コース料理の途中でたわしコロッケ(ドラマ「牡丹と薔薇」で出てきたやつです)に出くわしてしまったような感じです。
なぜ、こんな忍者シーンを挿入して、映画全体のバランスを崩してしまったのでしょうか・・・。
監督の発狂を誰か止める人はいなかったのだろうか・・・。


あと、ちょっと気になったのは、なんだか古臭いステレオタイプな表現でしょうか。

岡部の娘が、岡部の悪口を言った際、母親(岡部の妻)が、娘をビンタして諌めるというシーンがありますが、ビンタすることで教育したり絆を深めたりするっていう演出、日本のドラマや映画でしか見かけない気がします。
なんか、ビンタシーンって、あまりにコテコテすぎて、見ているほうが気恥ずかしいというか、しらっとしてしまうというか・・・。
ビンタが様になるのは、「スクールウォーズ」か、アントニオ猪木かってくらいなもんじゃないでしょうか。

もう一つ、古典的だなと思ったのは、岡部の妻の死を暗示するシーン。
「ごほっ、ごほっ」、咳き込んで口を手で押さえると、手には血が・・・。
この手のシーンも、日本映画でしか見かけない気がする。


こうやって見ると、映画は、ストーリーと表現のバランスが上手に取れていると良い作品になるのだなと思います。
ストーリーは、もう少し、焦点を絞って、それこそプロジェクトXみたいな感じにしてしまうと良さそうな気がしました。
表現の方は、やけにステレオタイプな表現手法が臆面もなく使われている反面、突然、戦隊ヒーローモノのような、はっちゃけった演出が挿入されていたりと、なんだか、両極端な印象。

あと、もうちょっとという印象を残した作品でした。それから、忍者のインパクト強すぎだよなぁ(笑)。


【その他のレビューブログ】
「ストーリーは見るべきところがない。というのもいろんな要素を詰め込みすぎてひとつひとつの話がとても薄味になってしまっている。」という酷評気味の感想もありましたが、ストーリーは、確かに、もう少し取捨選択して深みを出す余地があった気がします(少なくとも忍者シーンは不要だったなぁ)。

多分花鳥風月
http://www.kacho.ne.jp/hobby/dorama/d2-207katen.htm

ノラネコの呑んで観るシネマ
http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-330.html

ドラマストリート~お父ちゃんが語るドラマブログ~
http://ameblo.jp/the-dark/entry-10341091678.html

閑話休題
http://castanophilia.hatenadiary.com/entry/2013/12/06/125421

燃えよ!映画論
http://blog.livedoor.jp/jikogisei212/archives/1857873.html

映画ベース
http://eigabase.puroya.jp/movie.php?ID=5119

アマゾン カスタマーレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/B002WJZYZ8/ref=cm_cr_dp_see_all_summary?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=helpful

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[ 2016/05/30 23:54 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)
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