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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:旅行記】 へなちょこ探検隊 -屋久島に行ってきました

【評価】★★★☆☆

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著者:銀色夏生
出版:幻冬舎文庫


銀色夏生さんは、大昔、本を借りようと妹の本棚を物色していた時に、大量に銀色さんの本が置いてあって、その存在を知ったのでした。
手にとってパラパラとめくると詩集だったので、詩に興味の無かった私は、読むことなく、大人になったのでした。

その当時、銀色夏生(なつを)という名前から、男性だと思い、今まで過ごしてきましたが、本書を読んで、銀色夏生さんが女性だったことを始めて知ってかなりの衝撃。
それも、本の中盤に差し掛かって、ようやく女性だと気づいたのですが、その間、男性だと思って本を読み続けていたのでした。

本書は、銀色さんが、編集者の方と訪れた屋久島旅行記。
なんの変哲もない、ありふれた旅行について書かれた本で、この内容を、よくぞ本にしてしまったものだと、これまたある意味、衝撃的だったのでした。

本書を手にした理由は、「なんか、旅行記を読みたいなぁ」と思って本屋を物色していたら発見。詩人が書く旅行記ってどんな感じなのだろうという関心から手にしたのでした。

さて、銀色さんのことを男性だと思って読み始めたのですが、読み始めた印象は、「なんだか、女性的な印象の文章を書く人なのだなぁ」というもの。
実は女性なのだから当たり前なのですが、最近は女性的な男性も増えているので、そういったタイプの人なのだろうと誤解し続けてしまったのでした。

そのため、本書でいくつか出て来る「銀色さんが女性である」という情報も、見落としたら誤解して解釈して、結局、中盤まで銀色さんが女性であることに気づきませんでした。
偏見というか、思い込みというのは恐ろしい・・・。

冒頭から、銀色さんが女性であると推測が付きそうな記述が出てきます。


銀色さん「『クロワッサン』が魚特集なんだって。どこにあるかな?」
編集者「えーっと、ここです」
見てみた。魚のさばき方とか知りたかったのだけど、どちらかというと料理が多かったので、そっと置く。


てっきり、屋久島に行くので自分でサバイバルして魚をさばくために本を見たかったのかと、この時は、そう解釈してしまいました。
・・・よく考えると雑誌『クロワッサン』(見たことはないのですが)が、そんなサバイバル系の情報を載せているなんて考えられないので、後で思い返すととんだ誤解をしてしまったわけです。

その後も、屋久島のホテルで風呂に入っているシーンが出てきます。


(風呂に入っていると)ガラスの向こうを、何か、動物がサッと横切った。あっと思い、思わず立ち上がってのぞいたら、ねこだった。となりにいたおばちゃんもまったく同時に同じ行動をとったので、ふたりで顔を見合わせて笑った。


普通に読めば、風呂場におばちゃんもいるわけなので、ここは女湯-つまりは、銀色さんが女性であると気づくべきだったのですが、この文章を読んでも気づきませんでした。
てっきり、男湯と女湯の仕切りが低くて、立ち上がったら、隣の女湯にいたおばさんも立ち上がって、仕切り越しに顔を見合わせることになった・・・そんな風に思ってしまったのでした。

・・・今考えると、男湯と女湯の仕切りがそんなに低い風呂なんてないよなぁ。ほとんど混浴になってしまう。
銀色さん=男という固定概念が頭に植え込まれすぎて、どんな情報も、銀色さんが男であること前提に、物事を捻じ曲げてしまうのでした。
いやはや、思い込みは本当に恐ろしい。

その後もホテルで水着を買う場面があり、「色が、きみどりに赤いぼやっとした模様がはいっている、なんか女っぽいやつ。これを着たら、女らしいかも・・・。と、夢がひろがる。」なんて文章が出てきますが、これでますます、銀色さんのことを、女性趣味の男性というとんでもない方向に飛躍していってしまったのでした・・・。
いやぁ、ほんととんでもない。

ようやく、銀色さんが女性であると気づいたのは、銀色さんが旅先から自宅に電話した時の娘との会話から。娘さんが銀色さんに対し、「ふーん。ママって、しあわせだねー。」と話します。

・・・ママ? 父親(銀色さんが男だと誤解していたので)なのにママってどういうことだ???
もしや、尾木ママみたに、男なのに娘からママとか呼ばれているのか????
などと、とんでもない解釈が浮かびましたが、さすがにこの解釈は不自然すぎて、さすがに採択することにはなりませんでした。

そして、どういうことだと頭を悩ますことしばし、ピカーン、閃きました。もしや、銀色さんって女性!?
そうすると、今まで出てきたちょっと引っかかる文章や、文章自体がやけに女性的なことの理由が判明。
目の前のモヤが一瞬にして晴れたかのような気分を味わったのでした。

しかし、固定観念という奴は、そう簡単には振り払うことができないものだということに、最後の最後で気づかされるのでした。
それは、銀色さんと同行した編集者の存在。

編集者を男性だと思っていたのですが、本書の最後で、旅先ですれ違った男性談義をする場面があり、この談義で編集者が女性であることが判明。
銀色さんが女性なのだから、旅に同行した編集者も女性の可能性の方が高いと思うのが普通なのですが、初っ端に、編集者を男性だと思い込んでしまった私は、途中で銀色さんが女性だと気づいた時点でも、編集者女性説が全く頭に浮かばなかったのでした。

本書、旅行記としては、緩すぎて、正直、あまりパッとしなかったのですが、むしろ、固定観念を打破された内容(?)に衝撃を受けたのでした。
しかし、今まで、あんまり気にしたことなかったのですが、ノンフィクション系の本ってて、意外と、著者(ルポの主人公)の性別を特定する情報があまり書かれていないんだなぁということが驚きでした。


【『へなちょこ探検隊』より】
 
「銀色さん。通が言うには、屋久島にはぜひとも船で行ってほしいそうですよ。海の向こうからだんだん近づいてくるところを見てほしいと」
「ふーん・・・。その人は、まさに・・・通だね・・・。でも、私たち、へなちょこだから、飛行機でいいよね」
 




【その他のレビューブログ】
「読んでみて、これで一冊の本になってしまうんだ!とちょっと驚きの軽いエッセイでした。」という感想がありましたが、このゆるさで旅行記を書いてしまうあたり、ある種の衝撃でした(笑)。

気楽に山歩き
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読書感想文 around30編
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[ 2016/05/22 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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