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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:歴史】 額田女王

【評価】★★★☆☆

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著者:井上 靖
出版:新潮社


タイトルから、「女王」なので、卑弥呼あたりの時代に生きた、日本のどこかの国の女王を描いた作品かなと思ったのですが、さにあらず、「額田女王」は「ぬかたのおおきみ」と読み、万葉集にもその歌がのっている飛鳥時代の女性歌人だったのでした・・・。

自分の無知ぶりに赤面(笑)。

額田女王の生きた時代は、中大兄皇子、藤原鎌足が首謀した大化の改新(645年)以降の大和朝廷の動乱期であり、額田女王は、中大兄皇子(後の天智天皇)と、中大兄皇子の弟、大海人皇子(後の天武天皇)の両者から愛されるという複雑な人生を送ります。

そして、政治の中枢を担う両者から愛されるという境遇から、大化の改新以降に起こった様々な政治情勢-遣唐使や、白村江の戦い(663年)、幾度にも亘る遷都、そして、壬申の乱(672年)も間近に感じながら、生きていくことになります。

本書は、額田女王を主人公としながらも、額田女王の目を通じた、大化の改新以降の大和朝廷の動乱期を描いており、その意味では、当時の政治の中心にあった中大兄皇子、大海人皇子を描いた作品と言えなくもありません。

大化の改新以降、朝廷の主導者となった中大兄皇子と藤原鎌足、そして、有力な協力者であった中大兄皇子の弟、大海人皇子は、政治体制の変革に着手していくことになります。

しかし、日本の隣国である朝鮮半島に大きな動乱が訪れることになります。
朝鮮半島は、新羅、高句麗、百済の3国に分かれ、日本は百済と密接な関係を持っていましたが、新羅が唐の協力を得て、朝鮮半島の統一に乗り出し、百済はその過程で滅ぼされてしまいます。

中大兄皇子が主導する大和朝廷は、百済の救援・再興を支援するため、軍を派遣するかどうか、選択を迫られ、百済の救援のために大軍を朝鮮半島に送りますが、唐・新羅の連合軍の前に、白村江の戦いで大敗北を喫する結果となります。

本書では、百済救援軍を派遣するか否か、その選択に苦慮する大和政権の姿や、白村江の戦いでの大敗北以降、唐の侵攻を防ぎ、防衛体制を強化するために奮闘する中大兄皇子や大海人皇子の姿、そして、時には政治的な抗争なども描かれていきます。

白村江の戦いは、古来の日本が、唐との海戦で大敗北して、朝鮮半島の権益を失った戦いだよなぁ・・・というくらいの知識を歴史の授業で習い覚えた程度だったので、本書を読んで、白村江の戦いの位置づけが、ようやく理解できた気がしました。

また、中大兄皇子や藤原鎌足についても、大化の改新の立役者ということしか知らなかったのですが、その後の政治で、白村江の戦いの大敗北を引き起こしたり、結構、政治的に失敗も多かったのだなぁ・・・というのも、意外な話でした。

中大兄皇子の政治刷新の方法として、「遷都」があり、結構、頻繁に遷都を行った様子も、かなりびっくり。
現在や一昔前も、地方再生とか地方創生の方法論として、遷都や首都機能移転の議論はありましたが、現実には、財政その他の問題で実行には移されてはいませんが、大昔は、案外簡単に(・・・別に簡単ではないのかもしれませんが)、遷都を実行していたのは驚きでした。

本書を読む限りだと、遷都を行うたびに、政治情勢が悪化し、庶民の負担も大きくなっていたようなので、遷都のメリット・デメリットって、実は、デメリットの方が大きいのかも・・・そんな気もしました。

描かれた時代は、全く馴染みのない時代なので、読んでも、少々ぽわんとした印象になってしまい、更に、壬申の乱(中大兄皇子死後、大海人皇子が蜂起して、中大兄皇子の息子を倒したという事件)をもって、話が終わってしまうので、この点も尻切れトンボな印象も拭えないですが、この時代の雰囲気を知るには、良い本かと思います。


【『額田女王』より】
 
金のかんざしも、碧玉の頸飾りも、みな女の武器でございます。眉間や口許にぽつんと小さい点を置くあの花鈿も、これまた女の武器でございます。女は美しく装うことによって、自分以上の力を持つものでございます。
 




【その他のレビューブログ】
「額田女王については、『万葉集』には12首の長短歌が録されているということだ。他の史料にもその名が見えるものがあるようだが、いずれにしても、知り得ることはごくわずかで、その消息はほとんどわからないというのが本当のところであろう。その額田女王を主人公として、これだけの長編を書き上げてしまうのだから、作家の想像力は凄いものだと思わざるを得ない。」というコメントがありましたが、さすがは井上靖と言ったところでしょうか。

還暦過ぎの文庫三昧
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[ 2015/07/07 21:43 ] 歴史 | TrackBack(0) | Comment(0)
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