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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:企業小説】 オレたちバブル入行組

【評価】★★★☆☆

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著者:池井戸潤
出版:文春文庫


ドラマ「半沢直樹」が大ヒットだったので、ドラマの原作となった小説を読んでみることに(とは言っても、ドラマは全然見ていなかったのですけどね)。
池井戸潤氏の小説は、「下町ロケット」を読んでみたいなぁと思いつつ、読めていなかったこともあり、今回、「下町ロケット」ではないですが、池井戸潤氏の作品ということで期待して読みました。

総評としては、とても面白い作品でした。他方、あまりに勧善懲悪的過ぎて、奥行きがないというか、水戸黄門的な面白さにとどまるという感じも受けました。

話としては、銀行の支店で融資課長を務める半沢直樹が、支店長のごり押しで、ある中小企業の融資手続きを進めることになるのだが、融資から間もなくしてその中小企業は倒産、融資をした責任を支店長になすりつけられる・・・といった展開。

ここまであからさまな事はなくとも、上司のごり押しにより物事が進められるなんてことは、よくある話だなぁと、どこの世界も似たりよったりだなぁと苦笑。
しかし、その後、融資先が倒産したことから、トラブルが発生することになります。
融資をした中小企業、実は、融資を受ける際に、決算書を改竄し粉飾決算をしていたことが判明するのですが、支店長は、半沢直樹が融資前に粉飾決算を見破れなかったことに責任があるとして、全責任を半沢直樹に押しつけようとします。

一方、半沢直樹は、支店長のごり押しにより、決算書をチェックする時間的余裕を与えられなかったことに原因があり、支店長の責任が大半と主張し、対立することになります。

小説を読んでいると、支店長が無理矢理、融資を推し進めようとして、半沢直樹に決算書をチェックする時間を全く与えていなかったので、読んでいる側として支店長に責任があると分かるわけですが、もし、現実問題として、こういったトラブルが発生したとすれば、おそらくは、半沢直樹に過失があるという結論になるだろうなぁと思います。もちろん、支店長の管理者・監督責任は免れないわけですが。

実際には、上司のごり押しに抗して、稟議書を回すのを止めて決算書をチェックする時間を作るなんてことはなかなか難しいと思うのですが、建前としては、融資課長である以上、決算書をきちんとチェックするのが役割で、どんな理由にせよ、それを怠った(行わなかった)ということについては、責任を免れるのは難しいだろうなぁと思います。

結局のところ、権限と責任のバランスが悪いと、こういう問題が往々にして起こることになるわけです。
融資課長に、稟議書を止めてまで決算書をチェックできる権限が有されていれば、こういった問題が回避できますし、また、支店長など上司の管理者・監督者責任がきちんと取らせる仕組みであれば、上司があまりに無茶なことをするのに歯止めとなる訳です。

支店長と半沢直樹の間に起こった問題は、2者の問題ではなく、組織の問題ではないかと感じます。

とは言っても、半沢直樹にとっての当面の課題は、支店長から押しつけられたミスの責任をどう打ち返すかということ。
小説では、倒産した中小企業から融資した金額を回収する方策を講じることと、支店長から押しつけられたミスの責任を社内的に押し返すために支店長と闘うことの2つの軸で話が展開していきます。

そして、実は、この融資焦げ付きには裏があり、支店長と倒産した中小企業の社長が結託し、計画倒産で融資金の取り込み詐欺を行い、支店長はその手引きをした手数料として多額の金を貰っていたという事実を半沢直樹が掴みます。

これで、責任割合は10:0で、支店長に全て責任ありとなるわけで、この辺りは、水戸黄門的な展開かなという感じです。

その後は、支店長と中小企業の社長を徐々に追い詰め、破滅に追いやっていく展開になるわけですが、絶対的に悪い奴を、じわじわといたぶっていくのを楽しむ(?)話となります。

やっつけられるのが、真っ黒-一方的に悪い奴なので、後ろめたさを感じず、半沢直樹が相手を精神的に痛めつけていく様を楽しむことができるのですが、なんか、こういう展開に爽快感を覚えるのって、人間的に歪んでないか・・・などと自省してしまいます(苦笑)。

最後は、支店長に対してはとどめの一撃を刺さず、多少の温情を残す終わり方をするわけですが、著者も同様のことを感じたのかもしれません。

話としては、絶対的に悪い奴を追い詰め、叩き潰すという話で、叩き潰す側にいる主人公は、何の非も落ち度もないという設定になっているわけであり、まさに、水戸黄門の善悪がはっきり分かれる設定と共通するものがあります。いわゆる、「溜飲が下がる」というオチ。
こういった勧善懲悪ストーリーって、時代や設定を変えても、万人受けする話なんだなぁと感じました。



【『オレたちバブル入行組』より】
 
だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして-潰す。二度とはい上がれないように。
 


【その他のレビューブログ】
「めっちゃおもしろいと思うと同時にもやもやした違和感を感じた」という感想を書いている方がいましたが、善悪がすっきり別れている設定が現実離れしていて違和感を感じるのかもしれません。

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私はドラマを毎週楽しみにしていたので結末を知ってしまうのが怖くて原作は読めませんでした。
TVが最終回を迎えた今、もう読んでも大丈夫ですね。
ぜひ読んでみます
[ 2013/10/01 21:11 ] [ 編集 ]
ドラマは、私の周りでも結構話題になってました。
おそらく、DVDで出るんじゃないかなと期待しているので、出たら、まとめてレンタルして1日かけて見てみようなんて、密かに目論んでいます。

原作も、テンポが良くいっきに読めるので、ぜひぜひ。
[ 2013/10/01 23:21 ] [ 編集 ]
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