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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【アジア映画:歴史】 墨攻

【評価】★★★☆☆

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2006年/日本・中国・韓国
監督:ジェイコブ・チャン
主演:アンディ・ラウ
原作:酒見賢一著「墨攻」


戦争物で面白そうなものはないかとTSUTAYAで物色中発見。
昔読んだ、酒見賢一氏の「墨攻」は結構短い小説でしたが、城の攻防戦に特化していて、なかなか面白かった印象がありますが、果たして映画はどんなストーリーになっているのでしょうか。

【ストーリー】
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中国、戦国時代初期の話。
小国梁は大国趙にいまや攻められんという状況。
そこで、梁王は、兼愛・非攻を説き、攻められている国を軍事的に支援する思想集団墨家に救援を求めるのだった。
しかし、墨家から派遣されたのは主人公・革離一人のみ。
革離は、梁王より城兵の指揮権を譲り受けると、城の防衛力強化に早速とりかかるのだった。
そして、攻め寄せてくる趙の大軍を見事な指揮と戦術で撃退するが、民衆の人望を得た革離を、梁王や配下の武将達は危険視し、城から追放してしまう。
しかし、梁王が油断したと見て再度奇襲をかけてきた趙軍によって梁国の城は陥落してしまう。
革離は、その状況を知って、奇策を用いて陥落した梁国の城を奪還し、趙軍を再度撃退することに成功するのだった。

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映画の出だしは、革離が梁城へ来るところから。
その後は、あまり余計な話が入らず、梁城の兵権が革離に渡され、攻め寄せてくる趙軍を迎え撃つ準備が早速始められます。

映画的には、「城の攻防戦をメインに描くぞ」という意気込みが感じられ、なかなかの好感触です。
そして、結構早い段階から、城の攻防戦が始まることとなります。

戦闘シーンは、大人数での戦闘が描かれ、迫力のある展開。
ただ、惜しむらくは、革離がほどこした城の防衛策が、いまいち効果を発揮しているのかが分かりづらい点。
逆に、隔離は城の防備のために二重の城壁を突貫で作らせるのですが、趙軍にあっさりと破られてしまっていて、隔離の作戦が功を奏していないのでは・・・と感じてしまう展開が、どうなのよ?と感じさせてしまいました。
できれば、原作のように、敵の攻撃策に対して、完璧な対応策を講じて、敵を一泡ふた泡吹かせるみたいな展開だったら良かったかなぁと・・・。

それでも、敵の第1撃はからくも払いのけることに成功する隔離。
そして、第1撃を打ち破って一息ついたところで、隔離と城の女性指揮官との間の恋愛ストーリーが始まります。
うーん、この展開は、映画的にはかなり不要だったのではないかなぁ・・・。

映画ではこの恋愛を通じて、戦をすることに悩む人間・革離を描こうとしますが、かなり中途半端に上に、とってつけたようなストーリーだったので、それなら潔く、攻防戦を面白く見せることに重点を置いて欲しかったなぁと感じました。

そして、そんなこんなのうちに、趙軍の第二撃が始まります。
超軍、今度は正面からの攻撃を避け、城の下までトンネルを堀り、そこから城内部に侵入して梁城を一気に陥落させてしまおうという作戦。
しかし、この作戦は、革離に見破られ、トンネルから出てくる場所を梁兵に囲まれ、一気に覆滅させられてしまいます。
第二撃は、隔離の読みが当たったわけですが、やはり物足りなさが残ります。

おそらく、この物足りなさは、趙軍と隔離の間で、作戦を読み合ったりする、心理戦的要素に欠けるからかなぁと思います。
本作、戦闘シーンなどはなかなか迫力があるものの、戦いの駆け引きの部分が描かれていないのが少々残念なところ。

この第二撃で壊滅的打撃をこうむった趙軍は、一旦引き上げ梁城の油断を引き出して奇襲する作戦を密かに立てます。
一方、超軍引き上げの情報を手にした梁城内では、趙軍撤退後、不要となった隔離を追放してしまいます。
まさに、「狡兎死して走狗煮らる」の展開。

こういう展開を見ると、戦いに勝つことの難しさを感じます。
正面の敵に勝っても、嫉妬した味方に銃後から撃たれるなんて話も往々にしてあるわけなので、味方にこそ注意しなければならないのかもしれません。
結局、革離は趙軍に勝つことだけに意識が向いた結果、味方の心理を読んだり考えたりすることを怠ってしまったというわけです。

その後、革離が追放された後の梁城を趙軍は奇襲して、あっさりと陥落させてしまいます。

趙軍の将軍に対し、参謀がこのように話しかけます。

「革離は城にはいなかった故に、我らが勝てたというわけではありません。味方の嫉妬心を読むことが出来ず、追放されたが故の結果で、これは、革離が味方の心理を読むことができなかったということであり、我らと革離の戦いにおいて、革離が負け、我らが勝利したということです。」

外敵の脅威に晒されている間は、一致団結しているように見えても、その脅威が薄れると、今まで気持ちを抑圧していた分、一挙に不満その他が噴出し、それを上手くコントロールできないと瓦解してしまうというわけです。

趙軍は、そこまで見越して、退却したふりをしたわけではありませんが、戦のエキスパートの革離であれば、そこまでの事態を見通すことができなかったのは失敗なんだろうなぁという気もします。

実は、本作で一番心理戦に近い展開は、革離と味方の間での確執を描いたこの場面だったような気がします。

その後、革離が、梁城を占拠していた趙軍を奇襲によって撃退するという展開を持って話は終わることになります。
最後にやっぱり革離が勝利しましたという展開は、正直、蛇足に過ぎるなぁという印象。

勝負(趙軍との戦闘)には勝ったものの、試合には負けた(梁城を趙軍に陥落された)というところで話が終わった方が、革離の人間臭さも出たように思えるし、考えさせられる終わり方になっただろうという点で、革離勝利で映画が終わってしまったのは、もったいない気がしました(小説は梁城陥落で終わるんですけどね・・)。


【その他のレビューブログ】
「梁城が、日本に見えてしょうがなかった。外敵がやってくれば、「全面降伏」か「防衛のための戦いを選ばざるをえない」というコメントを書いた方がいましたが、梁城の危機感のなさ(他人の革離に兵権を全てゆだねてしまったり、危険がなくなったと思ったら革離を追放してしまったり)は、今の日本に近い部分はあるかもしれません・・・。

琥珀色の戯言
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20070209

新人パパの物欲日記
http://ameblo.jp/sa-ishida/entry-10060679360.html

大炎上
http://beatarai.blog90.fc2.com/blog-entry-20.html

ネタバレ映画館
http://blog.goo.ne.jp/kossykossy/e/d04a005152fe00119b64a43c788588ab

女でもグーで殴る
http://blog.livedoor.jp/dermorgenstern/archives/50704986.html

アマゾン カスタマーレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/B000R17JM4/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

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[ 2013/09/22 00:03 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)
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