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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【洋画:歴史】 ローマ帝国の滅亡

【評価】★★★☆☆

romen_fall.jpg
1964年/アメリカ
監督:アンソニー・マン
主演:スティーヴン・ボイド、ソフィア・ローレン


映画「グラディエーター」の元になった作品ということなので、レンタル。
かなり昔の作品ですが、どんな感じなのでしょうか。

【ストーリー】
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ローマ帝国、最後の五賢帝、アウレリウス帝末期の時代。
アウレリウス帝は、体調が優れず、次の帝位を自分の息子コンモドゥスではなく、軍司令官リヴィウスに譲ろうと考えていた。
しかし、それを察知したコンモドゥスの側近が、リヴィウスへの後継者指名が行われる前に、アウレリウス帝を暗殺し、これによりコンモドゥス帝が帝位に就いたのだった。
コンモドゥス帝は、友人でもあるリヴィウスに対して信頼を示し、軍の総司令官の地位に任命する。
しかし、コンモドゥス帝は、皇帝になってからは、自らの享楽のために、帝国内に重税を課したり、異民族を無慈悲に虐殺したりと、暴君としての側面が目立ってくる。
コンモドゥス帝の振る舞いに心を痛め、無慈悲な命令を拒否するリヴィウスであったが、命令に従わないリヴィウスに怒り、捕らえて処刑しようとする。
処刑の直前、コンモドゥス帝は、リヴィウスにチャンスを与えるため、コンモドゥス帝が絶対の自信を持つ剣闘で、コンモドゥス帝とリヴィウスとが決闘することに決めるが、コンモドゥス帝は、この決闘に破れ、敗死してしまうのだった・・・(完)。

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本作品は、大勢のエキストラを動員した戦闘シーンなどが見所のスペクタル映画と言ってよいでしょう。
昔は、CGなんてなかったので、全てセットを組んで、エキストラを大動員して・・・という感じで、その労力が忍ばれます。
それだけに、映像も、リアリティのある迫力が出ているようでした。

さて、映画の本編を紹介しながら感想を述べてみたいと思います。
映画の出だしは、ローマ帝国の皇帝、アウレリウス帝が戦争に明け暮れる生活の中、ローマ帝国の未来を懸念しつつ、後継者問題について頭を悩ましているところからです。
アウレリウス帝は、結局、享楽にふけりがちな息子コンモドゥスではなく、軍司令官のリヴィウスに帝位を譲ることを決めます(史実では、そんなことはなく、息子コンモドゥスに、帝位を譲ることで揺るぎはなかったようです)。

アウレリウス帝は、密かに軍司令官リヴィウスを招き、次期皇帝になるよう伝えますが、任ではないとして、アウレリウス帝の要請を断ります。
しかし、次期皇帝を打診されたことに悩み、旧友でありアウレリウス帝の息子コンモドゥスに、そのことを打ち明けてしまったことから、リヴィウスとコンモドゥスの間が、ぎくしゃくすることになります。

ただ、映画的には、この二人の葛藤なり関係性において、目を見張るようなドラマが出てくるわけではなく、ドラマとして観ると、少々物足りない展開です。
代わりに、二人の関係がぎくしゃくしたことにより、戦いでの先陣争いや、二人が馬車で競争をすることになったりと、スペクタル的な見せ場が盛り込まれており、そこが、一つ映画の見所となっています。

そんな二人の間でのぎくしゃくがあったものの、アウレリウス帝が急死(映画では暗殺されたことになっています)し、後継者を決める場で、リヴィウスがコンモドゥスを皇帝として推したことで、コンモドゥスが皇帝となり、二人の間の関係は修復されます。

コンモドゥス帝は、皇位継承の際のリヴィウスの功績を認め、軍の最高司令官に任じますが、一方で、ローマで剣闘や馬車競争を盛大に盛り上げるため、帝国内に重税を課すことを決定します。

コンモドゥス帝は、史実では、実姉による暗殺未遂事件をきっかけに、享楽にふけりがちになり、一方で、側近や重臣たちなどを信用できなくなり、次々と処刑したため、後世の評価では暴君とされています。
映画では、こういった史実も踏まえ、コンモドゥス帝は、享楽志向の暴君として描かれているようです。

古今東西、ローマ帝国に限らず暴君・暗君は、たくさん出現していますが、(私見ですが)大別すると2パターンに分かれるような気がします。

1つは、政治・国政には関心が無く、政治向きのことは放棄(他人に丸投げ)し、享楽にふけるタイプ。
コンモドゥス帝は、典型的にこのタイプなのでしょうね。

もう1つは、自分の能力や理理念を信じて疑わず、その実現のために無茶苦茶をするタイプ。
ヒトラーなんかはこのタイプですし、このブログで感想を書いた小説『王家の風日』の主人公・商王朝の紂王なんかもこのタイプなのでしょう。

で、どちらのパターンでも、大抵の場合は、周囲からの信頼を失い、さらには、反旗を翻そうと考える者も現れてくるようになり、それを押さえるために粛正、その粛正が更なる反感を招き、という感じで、粛正→反感→粛正・・・ということが繰り返され、ついには非業の最期を遂げるということが多いように感じます。

現在に目を向けると、暴君の気がありそうなのは、お隣の国・北朝鮮の金正恩最高指導者ではないかと思いますが、さて、どんなタイプなのか興味深いところです(興味深いなんて、のんきなことを言っていてはいけませんね)。

少し話が逸れたので、映画の方に戻ると、コンモドゥス帝の暴君的な方針が、主人公リヴィウスとの間の溝を深めることになりますが、特に、蛮族の扱いについて、決定的に意見が対立します。

コンモドゥス帝は、反旗を翻した蛮族は徹底的に掃討し、奴隷におとしめるべしという方針、主人公リヴィウスは、帰順した蛮族にはローマ市民権と土地を与え、ローマ帝国の一員として迎えるべきという考え。

蛮族へローマ市民権を付与するかどうかの問題は、元老院で議論されるという展開になります。
そこで、主人公リヴィウスは、友人の哲学者を通じて、ローマ市民権付与が、開かれた社会につながり、ローマ帝国の繁栄の礎になると主張し、元老院を説得することに成功します。

本映画が、1964年にアメリカで作られたことを考えると、『ローマ市民権を付与することの大切さ』を説いた演説は、実は、アメリカの公民権運動(1950年代から60年代にかけて起きた黒人差別撤廃の運動)を意識したものだろうと思います。
それを思うと、リヴィウス(正確には、友人の哲学者)の演説は、感動的な響きを覚えました。

その後は、コンモドゥス帝の圧政に反旗を翻した反乱軍とローマ軍との大規模な戦闘シーン(これは、なかなかの圧巻)を経て、コンモドゥス帝と主人公リヴィウスとの剣闘での一騎打ち(コンモドゥス帝の敗北)により幕を閉じます。

映画は、コンモドゥス帝の死を描いた後、「・・・この後、ローマ帝国滅亡の歴史が始まるのであった・・・」というナレーションが流れ、締めくくられています。

ローマの歴史を詳しく覚えていないので、「へー、コンモドゥス帝が死んだ後、しばらくしてローマ帝国は滅んだんだぁ」などと思いながら、このナレーションを観ておりましたが、気になったんで調べてみました。

コンモドゥス帝の死去(暗殺)した年・・・192年
ローマ帝国(西ローマ帝国)が滅んだ年・・476年

・・・ローマ帝国が滅んだのは、コンモドゥス帝死去から、284年後でした。
さすがに、帝国滅亡の始まりをコンモドゥス帝の死去からにするには、早すぎるだろ~(笑)

そんなことを言ったら、江戸幕府なんか、徳川家康が江戸幕府を樹立した年から、幕府滅亡の歴史が始まったってなっちゃうし(笑)。

最後の最後で、突っ込みどころのある映画だったのでした。


【その他のレビューブログ】
映画「グラディエーター」は、本作を下敷きにしているようなので、「グラディエーター」と本作を見比べながら観ると面白いかもしれません。
個人的には、本作より、「グラディエーター」の方が面白かったなぁ。

TURNING☆POINT~世界史(西洋史)を舞台にした歴史映画・DVD紹介のサイト~
http://www.turning-point.info/TheFalloftheRomanEnpire.html

プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
http://okapi.at.webry.info/200709/article_33.html

詩と映画と日記
http://plaza.rakuten.co.jp/akemi7/6135/

ミスターYKの秘密基地(アジト)
http://ameblo.jp/mryk0221/entry-11230294557.html

WEB映画館
http://ethanedwards.blog51.fc2.com/blog-entry-884.html

アマゾン カスタマーレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/B000F4MPCM/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

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[ 2013/04/26 09:00 ] 西洋史 | TrackBack(1) | Comment(2)
読書と映画 管理人様

はじめまして。紀平と申します。

私は現在「映画ベース」という映画のレビューサイトを開発しており、
是非映画に関心のある方からレビューの投稿や、
サイトをご利用頂いてのご意見やご感想などを頂ければと思っております。

「映画ベース」
http://kota.lolipop.jp/eigabase/


まだまだ立ち上げたばかりの未熟なサイトですが、
一度サイトにお越し頂き、
ご利用をご検討頂けますと幸いです。

どうぞよろしくお願い致します。

//----------
// 映画ベース
// http://kota.lolipop.jp/eigabase/
//
// 紀平 光太
// kihira@kota.lolipop.jp
//----------
[ 2013/04/30 14:26 ] [ 編集 ]
サイトの紹介ありがとうございます。
データが充実すると、非常に役立つサイトになりそうですね。
私もそちらのサイト、活用させていただこうと思います。
[ 2013/04/30 21:27 ] [ 編集 ]
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ローマ帝国の滅亡/狐疑の皇帝 コンモドゥス
1964年 アメリカ 監督「アンソニー・マン」が、1961年の『エル・シド』の次に手がけた歴史超大作。ヒロインは前作と同様の、「ソフィアローレン」。制作費節減の努力が垣間見えた前作とは相異なり、今回は絢爛豪華です。作品の一番の特徴は当時、空前絶後と言われた130人という人数で構成されたオーケストラによる背景音楽。これが、話題となりゴールデングローブで音楽賞を受賞しました。エキストラ約150...
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