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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【洋画:ギャングもの】 ギャングスター・ナンバー1

【評価】★★☆☆☆

gangstar1.jpg
2000年/イギリス
監督:ポール・マグウィガン
主演:ポール・ベタニー、マルコム・マクダウェル


時々、無性にギャング映画が見たくなってしまうんですよね。
日本のやくざ映画は、義理人情やらがどろどろし過ぎていて、あまり見る気にならないのですが、ギャング映画は、本能のままにという割り切った感がある一方で、友情や組織の板挟み的な人間ドラマもあったりで、見応えがあるものが多い気がします。
さて、今回レンタルした作品は、いかがなものでしょうか。

【ストーリー】
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街のチンピラだった主人公は、ある日、街の大物ギャング、フレディ・メイズの誘いを受け、フレディの組織に入ることになる。
フレディは、全てが一流で、主人公は、そんなフレディに憧れを抱く。
しかし、その憧れは、いつしか羨望、そして、フレディに取って代わりたいという野心へと変貌していく。
ある日、主人公は、敵対組織がフレディを襲撃するという計画を偶然知ることになるが、そのことを秘密にし、敵対組織にフレディを襲わせる。
フレディは、重傷を負うものの一命を取り留める。しかし、警察は、これを好機とばかりに、フレディを逮捕し、懲役30年の刑に処す。
その結果、主人公は、フレディに代わり組織のトップの地位を射止める。
そして、主人公は、持ち前の残忍さを発揮し、裏社会でのし上がり、組織を大きくすることに成功する。
しかし、周りは、主人公を恐れることはあっても、尊敬や敬意を払うことは無く、かつてのボス・フレディのような一流の男になることができていないというコンプレックスに主人公は悩まされる。
そんなある日、フレディが出所するという話を聞いた主人公。
出所したフレディを呼び出し、自分が得た地位・金・権力を誇示してみせるが、フレディは、そんな主人公を相手にせず、あっさりと立ち去ってしまう。
主人公は、むなしさを吹っ切るように、「自分は、ギャングスター・ナンバー1だ」と叫び続けるのだった(完)。

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本作、憧れの男を追い越し、一流の男になろうとがむしゃらに(というか本能のままに)走り続けたものの、結局それが叶わなかった一人の男の悲哀を描いた作品といったところでしょうか。

こういったことを表現するため、主人公の若い頃と年老いた頃とで演じる俳優が異なったり、あえて主人公に名前を付けていなかったり(主人公を指すときは、「ギャングスター」という言葉が使われる)、主人公の視線を表現したカメラフレームが多用されたりと、随所に工夫が施されていて、なかなか面白い作りの作品となっています。

他方で、主人公が物質的なものを満たすことに成功するものの、精神的なものを満たすことには成功しなかったということが、うまく表現しきれていなかったように思います。

少し、ストーリーにそって見ていきたいと思います。

映画の出だしは、老年となった主人公が、ボクシング観戦をしながら、他のギャングメンバーと食事をしているシーンから。
そこで、主人公のかつてのボス「フレディ・メイズ」が出所するそうだ、という話が出たことから、主人公の回想が始まります。

回想は、主人公とフレディ・メイズとの出会いから。
フレディ・メイズは、全てが洗練された一流のギャングで、初めて出会った主人公は、その一流の香りに憧れをいだきます。
確かに、デヴィッド・シューリス演じるフレディ・メイズは、ギャングというよりは、飛ぶ鳥を落とす勢いの青年実業家といった風情で、粗野さがなく、洗練されハンサムでスタイリッシュで、思わず、格好いいなぁと、見ている私も思いました。

一方の主人公は、眼光鋭い野獣の臭いを漂わせる雰囲気を醸し出しています。
この後、主人公は、残忍な殺人行為などにも手を染めていくわけなのですが、その目つきは、まさにシリアルキラーと言われてもうなずけそうな、サイコパスな目つきです。

洗練された男フレディ・メイズと、本能のままに行動する野獣のような男・主人公の対比が良く出ていたと思います。

さて、フレディ・メイズの配下となった主人公は、見事な働きぶりで、頭角を現すようになります。
そして、ギャングとしての地位が高まるにつれ、主人公のフレディ・メイズへの憧れは、羨望へ、そしてついには、フレディ・メイズに取って代わろうという野心へと育っていきます。

この辺りの主人公の気持ちの変化も、フレディ・メイズをじっとりと眺める主人公の視線によって表現され、徐々に、主人公の視線が、憧れの眼差しから、フレディの着る物や一挙手一投足をじっくりと分析する、観察者への目と変わっていくというところで表わされます。

前半は、こうした主人公の行動がうまく表現され、いつ、主人公がフレディに牙を剥くことになるのかという緊迫感も生じ、なかなか見所のある展開でした。

そして、敵対組織がフレディを襲撃しようとしているという情報を入手し、これをきっかけに、フレディの追い落としを画策する主人公。
主人公のもくろみは成功し、フレディは襲撃により重傷を負った上、警察に捕まり、懲役30年の刑に処されることとなります。

この辺りまでは、なかなか良く出来ていたと思ったのですが、この先からは、かなりずさんな作りになって、正直、尻すぼみになってしまった感があります。

フレディに代わり、組織を牛耳ることになった主人公が、裏社会でのし上がり、組織を巨大にし、物質的な成功を収めるという展開なのですが、そこは、ナレーションによる説明だけで片付けられてしまうため、主人公が物質的な成功を得た反面、なぜ、精神的に満たされなかったかが説明不足で、本作の肝となる部分が抜けてしまっている印象です。

そして、ついに、フレディが出所してくることとなり、主人公は、その心情を吐露する場面がいくつか挟まれる訳ですが・・・・

その1:フレディの婚約者との会話
出所するフレディは、刑務所に入る前に婚約していた女性と結婚することとなっています。
そこで、主人公は、フレディの婚約者に会って、こんな台詞を吐きます。

主人公:「大昔、お前は、俺に『あんたも、彼女くらい作ったらいいじゃない。
     なんだったら、誰か紹介するわ。』と言ったな!余計なお世話なんだ!
     だけど、俺だって、この年まで一人でなんかいたくはなかったさ。
     どんなブスだって、俺を愛してくれる女だったら、大事にするつもり
     だったのに!」

・・・主人公の精神的に満たされないこと-コンプレックスの一つは、『女にもてないこと』だったぽいです。
・・・気持ちは、よーく分かる。しかし、裏社会の頂点に立っている男が言う台詞じゃあないだろう(苦笑)。


その2:うだつの上がらない老年チンピラとの会話

主人公:「フレディが出所するという話、聞いたか?」

チンピラ:「あぁ、聞いてるよ。」

主人公:「一つ聞く。もし、俺とフレディ、どちらかを殺せと言われたら、
     どちらを殺す?」

チンピラ:「・・・おまえさんだ。」

主人公:「・・・・・(絶句)」

チンピラ:「ごめん。傷ついたか・・・?」

裏社会の頂点に立っている男が、チンピラの言葉に傷ついちゃうってどーなの!?
なんだか、質問内容も小学生みたいだし、50代の男が聞く質問とも思えんぞ(笑)。


その3:フレディの結婚式について
フレディが出所し、結婚するという話を聞いた主人公。
しかし、結婚式には呼ばれていなかったことから、一人、部屋でぐちります。

主人公:「フレディが結婚!?あぁ、結構なことだ。心から『おめでとう』と言わせて
     もらいたいね。結婚式に呼ばれていないから、何だって言うんだ!?
     第一、結婚式に呼ばれたって、当日は、出張で出席できないんだから、
     関係ねぇーじゃないか!」

同僚の結婚式に思いがけず呼ばれず、拗ねているOLといった風情です(笑)。
主人公、斜に構えている割には、無視されたり仲間はずれになったと感じると拗ねちゃうという、なんだか、扱いずらいタイプの性格だったようです。


こうして、フレディの出所をきっかけに、小学生のように深く傷つくナイーブな主人公(笑)。
そのコンプレックスを克服するため、フレディを呼び出し、対決することとします。

主人公:「俺は、金もこんなに稼いだし、組織もこんなに大きくした。お前を超えたぞ!」

フレディ:「そうか、興味がないな。俺は、30年の刑を喰らったときに、死んだ。
      今の俺は、昔の俺とは別人だ。」

主人公:「なんだと。俺は、お前に憧れを抱いていたんだぞ。」

フレディ:「あんな薄っぺらな男にか。気の毒なことだ。」

といった感じで、フレディからは肩すかしの対応を受け、結局、コンプレックスを解消できずに終わってしまいます。

まぁ、主人公のコンプレックスって、「女にもてない」「みんなに嫌われているみたい」という、なんだかギャングスターらしからぬ内容ですが(笑)。

本作、「主人公が精神的に満たされない」という部分の作りがあまりうまくいっておらず、なんとも「おしい」作品でした。
こういった、本能のまま突っ走るギャングが、裏社会でのし上がり転落するという話(本作は、実際には転落までは至ってませんが)であれば、アル・パチーノ主演の「スカーフェイス」の方が、断然好みだなぁ。


【その他のレビューブログ】
ファッション、美術、小道具などがスタイリッシュでとても格好いいという評価が多いようです。

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