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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:ルポ】 硯の中の地球を歩く

【評価】★★★☆☆

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著者:青柳貴史
出版:左右社


【手彫りで作られる硯】

硯職人である著者の、硯作りにまつわる、職業ルポ的な作品。
硯と言うと、小中学校の頃の習字の授業くらいでしか接する機会はなかったので、どちらかというと、真四角な画一的な工業製品っぽいイメージでしたが、一つ一つ、手彫りで作る硯というものが、今もあるのだなぁと、目から鱗でした。

確かに、書家の方が使う硯は、学校の授業で使っていたような無機質な硯のわけはなく、ある種、芸術品のような硯を使っているんだろうなぁというのは、ちょっと想像すれば分かることだったかもしれません。



【全身を使っての硯つくり】

著者が作る硯は、一つ一つ手彫りの作品で、一月に作れる作品数は3つほどと言うことで、まさに芸術品に近い作品と言えるのかもしれません。
硯作りの一端も、本書に記載されていましたが、石を鑿(のみ)などの道具を使って、手で彫るんですね。

彫ると言っても、木版画のようにはいかないので、腕だけでなく、鑿の握りを肩に押し当てて、体全体を使って彫るそうで(彫っている写真も載っています)、かなりの力が必要となりそうです。
そのため、右肩の筋肉が異様に発達してしまうそうで、硯というと、どことなく、ちんまりとしたかわいらしい雰囲気がありますが、それを作るまでの作業は、そんな雰囲気からは想像しがたいものがあるのでした。



【ロッククライミングが意外にも役立つ】

本書では、硯の原料となる石を探す話もかなり割かれています。
硯職人になってから、趣味で始めるようになったロッククライミングが、意外にも、硯つくりの仕事に役に立ったというのは、驚く話でした。

硯の原料は石であるわけですが、石に触れたり、石の感触を感じ取る力が、ロッククライミングで岩肌に触れ、向き合うという体験を通じて得られたというのは、確かに、納得できる話ではあります。
ただ、意外な趣味が、仕事に通じてくることがある、というのは面白い話でした。

硯作りというと、どことなく、工房に閉じこもって、一日中、座り仕事で石を彫るようなイメージでしたが、中国の山奥に石を探しにいったり、日本国内にもよい石がないか、採石業者や地質学者から情報を聞きに回ったりと、外にでてアドベンチャーなことをすることも多いというのも、面白い話でした。


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【『硯の中の地球を歩く』より】
良いものはちょっとしか出てこない。不思議と地球はそういう風にできている。

(書き出し)
ぼくには妻が二人いる。

(結び)
そして、硯だけをつくっていれば良い世の中になれば、きっと祖父も、「良い時代にしたな」と言ってくれるだろう。
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[ 2020/02/12 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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