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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:自叙伝】 アジア新聞屋台村

【評価】★★★★☆

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著者:高野秀行
出版:集英社


【カオスなアジア新聞会社】

台湾紙を中心に、アジア各国の新聞を日本で発行する混沌とした会社に関わることとなった高野氏の自叙伝。
この会社の経営者は台湾人女性で、人に使われるのは嫌だという理由で立ち上げられた会社。関わる人たちは、ほとんどが、日本に留学その他でやってきている在日アジア人。
社長の人並み外れたパワーと、アジア的カオスが融合して、日本の会社とは全く異なる発想、組織で動いていく当たりが、ある種、ベンチャー企業的なエネルギーとパワーを感じさせて、非常に面白いものを感じます。



【高野氏も日本人だった】

この会社、新聞社なのに、編集長はいない、新聞の記事は、現地の新聞記事を拾ってきて、それを翻訳したり解説をつけたりして、学級新聞の域を出ないような代物だったりと、なかなかのいい加減さがあります。

高野氏も、ある種のいい加減さやおおらかさがある人ではないかと、他の著者を読むとそう感じるのですが、この新聞社に関わるようになって、社長やメンバーに対し、「編集長を作るべきだ」とか、「毎週、定例の編集会議を開くべきだ」等々、繰り返し、まじめな提言をしたりしています。
・・・うーん、高野氏も日本人なんだなぁと感じる一面です。日本人は、なんだかんだ言っても結構きまじめではあります。



【アジア人の強さ】

この会社のようなカオスな組織形態(?)は、日本のようなまじめな組織形態とは違って、融通さや予想だにしない面白さがあるようで、「よくも悪くもいい加減」というのが持ち味になるようで、私なんかからすると、やっぱり面白くて好きだなぁと感じます(実際、そこで働いたら、どう思うか分からないですけど)。

ただし、やっぱり、その当たりは絶妙なバランスが必要なようで、この状況のまま業務を拡大していったところ、新聞記事の手抜きが横行し、「よくも悪くもいい加減」が、単に「悪い意味でいい加減」に傾いてしまったそうだから、こういう組織は意外と運用が難しいのかも。

こういった「悪い意味でのいい加減」が加速してしまった結果、給与が半年近く払えなくなるという事態が発生するのですが、そこで面白かったのが、会社内に数名いた日本人社員はみな退職してしまうのですが、その他のアジア人は会社に残ってくれます。

給与は半年も支払われなくて大丈夫かって・・・?
アジア人社員は、みんな副業もしていて、「副業で稼げるから、新聞社の給与が半年支払われなくてもなんとかなるね」だって(笑)。

高野氏は、「会社がゆらいでも本人はゆるがない」、アジア人の力強さに感動をしていましたが、私も同感。

この本を読んでいた時期、仕事でトラブルが発生していて、「うーん、どうしよう。おそらく、懲戒処分でも受けないと持たないかも・・」と結構悩んでいたのですが、この本を読んだら、「なんとかなるかな。そんなにきまじめに考えなくてもいいかー」と吹っ切れた気分になり、かなり元気づけられました。

どうも、日本人は生真面目すぎるなぁと、我ながら思いながら、本を読了したのでした。



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【『アジア新聞屋台村』より】
日本人に最も欠けているもの、それは選択肢なのだ。会社でも家庭でも学校でもボランティア活動でも、日本の集団というのは価値観が著しく画一化されている。その価値観から外れると、はじき出される。

(書き出し)
何事も始まりというものがある。

(結び)
私はひとりクスクス笑いながら、陽だまりのなかをあてもなく歩いていった。
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[ 2019/11/17 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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