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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:ルポ】 ぼくは農家になった

【評価】★★★★☆

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著者:今関知良
出版:彩図社



【脱サラ、農家に転身】

サラリーマンを辞めて、一転、専業農家になろうとした著者の奮闘記。
農業が元々好きだったわけではなく、虫嫌いで、どちらかというと農家向きでない著者が、生業としては成り立ちにくい農業に、初心者同然で飛び込もうというのは、熱意以上の何かがないとできないのかな、なんて思いながら読みました。

ただ、奥さんが看護師をやっているため、生活費は、そちらでの収入もあるので、サラリーマンを辞めて農家になっても保険はかかっている、そんな感じなのかとも思いました。
その意味で、純粋に農家だけで暮らしていくというのは、難しいのかもしれません。



【農地の規制がすごすぎ】

本書で興味深かったのは、農家になるため、農地を手に入れようと奮闘する下り。
そもそも、農地を購入するためには、地元の農業委員会から農家としての資格認定を受ける必要があるのだそうです。
農家の認定を受けるためには、一定規模以上の面積で農業をやっていること。

・・・なんか、すごいトートロジー(堂々巡り)。
新たに農家をやろうとする人は、元々、農業をやっていなかったわけなので、とすると、農家としての認定を受けられず、結果、農業をやろうとするために農地を購入することは叶わないわけで・・・。

なんか、農業って、色々な規制があるんだなぁと思うと同時に、これでは、農家をやろうという人もなかなか現れないだろうなぁと思うわけです。

農業の衰退を何とかしないとと言う割には、非常に閉鎖的な世界で厚い壁のある世界のようです。



【共存共栄と排除の世界】

それでも、苦心して、まずは農地を借りて、農家としての認定を受けられる条件を整え、農地を手に入れ農業を始める著者ですが、なかなか簡単には行かない。
作物も思うように育たず、収入も微々たるもの。

それでも、新たに居住した周りの農家の人から、無償の善意で色々と助けてもらえるのは、田舎の良さなのだと思います。
それこそ、作物の育て方を教えてくれたり、農作業用機械を無償で貸してくれたり譲ってくれたり、種を分けてくれたり・・・共存共栄が成立している世界なのでしょう。

他方で、田舎の閉鎖性もあり、例えば、農業機械を共同で利用する組合に著者が参加しようとしても、「新規の参加は認められない」とのことで、新参で入ってくる人は、拒まれたり、田舎ならではの子供からの長い付き合いの中には入っていけない話もでてきます。

この閉鎖性が共存共栄を成り立たせているとともに、新しい人が受け入れられないことによる農村の衰退を招いているのかとも感じました。



【失ったもの以上のもの】

そういった苦労もありつつ、モノを自分で作ることの豊かさを著者は実感し、経済的に失ったもの以上の豊かさを手に入れることができたのではないかということが、著者の評価のようです。

確かに、色々な価値観の物差しがあり、著者のような生活も、一つの選択肢だろうと思う反面、こういった価値観が普遍的に理解されるのが難しいのが現代の日本であり、そこが課題なのかもしれないとも思ったのでした。




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【『ぼくは農家になった』より】
自分の暮らしに必要なものを作るために労力をかけることの大切さを理解できないのは、お金や手間の多寡ではなく、そこにイキイキとした別の物差しが存在していることが感じられないからではないだろうか。

(書き出し)
今から一五、六年前、ボクはサラリーマンだった。

(結び)
わが家は当分のあいだ食べ物の時給に満足して、楽しく暮らしていこうと思っている。
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【その他のレビューブログ】
「農業で生活を成り立たせることが、決して簡単ではないことがよく判ります。」とあるとおり、本書を読むといかに農業で生活を成り立たせるのかが難しいことが分かります。それを乗り越えていけるかどうか・・・農家は難しい。

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[ 2018/09/25 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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