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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:ルポ】 未来国家ブータン

【評価】★★★★☆

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著者:高野秀行
出版:集英社

【ブータンブームの背景】

辺境ライターの著者が、ひょんなきっかけからブータンに行くこととなり、持ち前の鋭い観察眼でブータンの実態をルポした作品。
一時、ブータンは、世界一幸せな国として、日本でも注目を浴び、一種のブータンブームがありましたが、今ではそんなものもなくなり、日本の一過性の流行りのバカバカしさを痛感する次第ですが、本書を読むと、ブータンが日本でブームになった理由や背景がなんとなく分かる気がします。

本書でも度々、指摘がありますが、産業や生活インフラは日本よりもずっと後進国でありながら、日本とは全然違った道を歩んでいるようで、おそらく、数十年後に到達するブータンの姿は、日本とは違うベクトルの場所にいそう、そんな感じを与えるところが、神秘的な印象を与え、日本でもブームが巻き起こったのかなという気がします。



【雪男を探しに】

さて、著者は、ブータンとプロジェクト提携をした生物資源探索会社(夢がありそうな会社だ・・・)の経営者から、プロジェクトを始める前に下調べにブータンに行ってきて欲しいと頼まれ、ブータンを訪れることになります。

しかし、ここで著者の面白いところが、ヒマラヤの麓にあるブータン、雪男も存在すると言われ、元々(?)未確認生物探索家であることから、この依頼を引き受けつつ、ブータンで雪男も探そうとする点。
まっ、当然、雪男が見つかるわけもないのですが、ブータンの人々の雪男にまつわる思いや考え、エピソードなどが興味深く、そんじょそこらの、紀行本とは一味も二味も違う出来栄えとなっています。



【なんでも雪男のせい】

ブータンでも雪男については、全くその存在を否定、信じない人から、結構本気で信じている人まで多種多様で、信じる人は、姿を見かけなくとも、物音がしたとか、いつの間にか物がなくなったということまでも雪男の仕業と考え、あることないこと、不思議に思ったことは全て雪男のせい、という考えが、雪男の実在は不可思議なものにいている印象です。



【ブータンの小話】

また、著者は、雪男のことを調べるには、ブータンの人々から不思議な話を収集するとヒントになるかもしれないと、いろいろな民話的な話も収集し、それが、ブータンを民俗学的に知ることができ、これまた面白い。

中でも面白かったのが、ブータンにある、食べた後、水などを飲むとその水を甘く感じさせる成分を持つ果物をめぐる民話。

この食べ物を食べていると、ブータンの人が、「この食べ物にまつわる、こんな面白い話があるよ」と言い出し、話す内容は、「ある男が、この果物を食べた後、水を飲んだら非常に甘かったので、家族にもその甘い水を飲ませてやろうと持って帰るのだが、当然、家族がその水を飲んでもただの水なので、きょとんとしてしまう」という笑い話。
みんながみんな、同じ話をするので、大笑いになったというエピソードが書かれていますが、日本で言うところの、「隣の空き地に囲いができたって。へぇ~(=塀)」という小話みたいなものなんでしょうか。

しかし、このエピソードには更なるオチがあります。
同じ話を何度も聞かされた著者の元に、別の村人がやってきて、「この食べ物にまつわる話があるよ」と言って話したのは、途中までは同じ内容なのですが、ラストはショッキングなオチ。

それは、男が水を、毒矢の入っていた筒を水筒代わりにしたため、その水を飲んだ家族が、毒矢の毒に当たって全員死んでしまったというもの。

うひゃぁ、小話じゃない、ブラックジョークだ(笑)。

笑い話がこんなブラックジョークにバリエーションを変えるというのも、ブータン、なかなか面白い国かも。

日本だとあまり考えられない展開なので、そう考えると、ブータン、日本にとって神秘的な国なのかなぁなんて覆います。


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【『未来国家ブータン』より】
ブータンの独自路線というのは、環境立国にしても伝統主義にしても理想を追い求めた結果ではなく、「独自の国なんですよ!」と常にアピールしつづけないと生き残れないブータンの必死さの現れなんだとしみじみ思う。

(書き出し)
「ブータンに行ってくれませんか」

(結び)
ブータンはまだまだ謎の王国であってほしいという願望のせいかもしれない
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【その他のレビューブログ】
「ブータンについて知ることは、「不自由という幸せ」について学ぶことなのかもしれない。」というコメントがありましたが、「不自由の幸せ」というのは、奴隷の幸福のようなもので、人間として本当に幸せなのか・・・、考えさせられるところがあります。
飼い犬として、制約があるものの、人間の庇護の元、過ごすのか、野良犬として厳しい環境でも自由に過ごすのか・・・人によって選択肢は、それぞれなのでしょう。しかし、著者の高野さんは、後者を選びそうな気がすると思うと、ブータンは、高野さんにとって理想の環境ではない気がします。

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[ 2018/02/27 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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