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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:歴史】 小説 渋沢栄一(全2巻)

【評価】★★★☆☆

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著者:津本陽
出版:幻冬舎文庫



【なんだか地味な印象】

小学校では、郷土の偉人を教える授業などがありますが、埼玉県は、これと言った偉人が輩出されておらず、塙保己一(江戸時代の盲目の学者)と渋沢栄一の二人が、埼玉県の小学校で教えられる埼玉出身の偉人です。

織田信長とか武田信玄、上杉謙信、はたまた、坂本龍馬や西郷隆盛など、事績などが分かりやすい偉人と比べると、埼玉の偉人は、はなはだしく地味で、塙保己一は、ヘレン・ケラー的なすごさを感じさせるので、まだしも偉人っぽさがありますが、渋沢栄一に至っては、授業で聞いても何をした人かさっぱり分からず、ただただ地味だよなぁという印象のみが渋沢栄一にはありました。



【波乱万丈な人生】

長い間、凝り固まり形成されてきた渋沢栄一=地味な人の印象が、果たして、この本を読むことで崩れるだろうかとおもいましたが、案ずるより産むが安しとでもいうべきでしょうか、本書を読み終わって、渋沢栄一のすごさが非常に理解できたのでした。

人生の変遷も、攘夷討幕を目指し志士を目指した栄一が、ひょんなきっかけで一橋家に仕えることになり、さらに、一橋慶喜(後の最後の15代将軍ですね)の弟のヨーロッパ留学に付き従うことになり、それによって幕末の動乱に巻き込まれずに済み、しかも欧州で学んだ知識を買われ、大蔵省に入省、その後、大蔵省を辞職し、経済界に身を投じ、様々な日本の産業発展に貢献してきた・・・という、なかなかの波乱万丈ぶり。

なかなかに、すごい人でした。地味な人扱いしてスミマセン。



【大蔵省での勤務】

栄一は、大蔵省で何年もの間働いていましたが、その様子を読んで、今の大蔵省(財務省)と当時の大蔵省はだいぶ違うのだなぁとびっくりしました。

現在の財務省は、国の予算査定権限を有して、専ら、財政がどうした、こうしたということしかやっていませんが、明治時代の財務省は、予算、財政の管理はもちろん、産業育成や教育事業、鉄道敷設なども手掛け、今の経産省や文科省、運輸省などのような業務もやっていたようで、その仕事の所掌の広さは、国を作ることが念頭にあったんだと感じさせます。

それが故に、役人時代の栄一の姿も、なかなか生き生きとしていて、楽しそうに映りました。



【常に思想をアップデート】

その後、日本の経済界は、このままではいかんという危機意識から、大蔵省を辞め、財界に身を投じ、銀行設立を目指します。
更に、化学肥料会社を皮切りに、100以上もの会社を立ち上げたりして、日本の産業発展に大きく寄与することになります。

これだけ、幅広く、様々なことに関わり、産業界を代表する人物となり得たのは、柔軟な発想があったからのように思えます。
幕末の動乱期に、ヨーロッパで過ごすという貴重な機会を得た栄一は、当時の進んだ経済学の知識や、欧米の商文化や社会の思想などを、積極的に取り入れ、自分の旧来の考え方を、どんどんとアップデートしていくわけです。

このアップデートした思想、考えが基礎となって、産業発展のための取り組みをやり抜くことができたのだろうと思います。
現代社会も、働き方や男女の社会でのありかた、子育ての考え方など、様々にアップデートすべき考え方はあるわけですが、自分では新しい時代の潮流の考え方にアップデートできていると思っても、それは見かけだけで、本質はなかなか変わっていない、ということもあるのではと思います。

しかし、栄一は、本質から自分の考え方を改め、より良い考え方にアップデートできていたように思えます。そういったことができる人というのが、社会を引っ張っていくことができるのだと感じました。

そして、本書では、そういった栄一の思想から自然と発せられる名言も話の流れの中で多く使われ、胸に刺さる言葉も多くあり、その言葉からも、色々と考えさせられることがありました。


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【『小説 渋沢栄一』より】
金銭資産は、仕事の滓である。滓をできるだけ多く貯えようとする者はいたずらに現世に糞土の牆を築いているだけである

(書き出し)
渋沢栄一(天保十一年=1840~昭和6年=1931)は、成人したのちにも、おぼめく行燈の光に映しだされるような、かたちのさだかではない遠い記憶のなかに、おさない日の自分の姿がゆらめくのを、思いだすことがあった。

(結び)
栄一は11月11日、午前1時半、赤い夕陽が西方の山の端に沈むように、悠然と現世を去っていった。
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「論語を規範として自らを律し、人に対する面倒見がよく、金儲けに突っ走ることなく、海外での評価も高く……といいところばっかりなので「本当かい?」と不安になるくらいの聖人君子です。」という感想があったように、すごく出来た人間といった印象でした。うーん、こんな人はお目にかかったことがない!

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[ 2018/02/13 00:00 ] 歴史 | TrackBack(0) | Comment(0)
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