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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:お仕事小説】 借金取りの王子 ー君たちに明日はない2

【評価】★★★☆☆

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著者:垣根涼介
出版:新潮社



【安定した2作目】

リストラ代行会社で、リストラ面接官を務める男性を主人公とした作品の第2弾。
前作は、官能小説張りの生々しい情事の描写があったりして、作品としては、不安定な印象がありましたが、第2作目では、官能小説描写はなくなり、描写やストーリー展開に安定感が出てきている印象でした。

今作も、前作同様、様々な会社のリストラに携わるという短編が連なっていく形式ですが、前作と違うのは、前作が、主人公とヒロイン(主人公の彼女)の人間関係や関りなどに重きを置いた作りだったのに対し、今作は、リストラされる側、いわば、本来はわき役である側に焦点を当てた展開となっています。



【リストラ対象者に焦点を当てたストーリー】

様々な事情でリストラにあう人々と主人公が関りを持つという展開は、前作と同じですが、今作は、さほど主人公とリストラ対象者の絡みは少なく、むしろ、リストラ対象者の過去や現在の人間関係を中心に話が進んでいき、逆に、主人公がストーリーテーラーか、わき役に位置するような感じになっています。

本書の後書きの中でも触れられていますが、本書のタイトル「借金取りの王子」は、5編で構成されているうちの3編目のタイトルがそのまま、本書のタイトルとなっています。
まさに、主人公よりは、リストラ対象者に重きを置いたストーリーということを象徴しているようです。



【今回は優秀な人たちが対象】

また、今回はリストラ対象者は、仕事ができずにリストラの憂き目にあうのではなく、会社の都合でリストラ候補になったり、また、社員の手前、リストラ面接を受けさせられるものの、優秀であるがゆえに、辞めないよう裏から手をまわして慰留されるほど、優秀な社員が対象だったりします。

中には、優秀であったものの、思わぬ挫折などでリストラを余儀なくされる人物も出てきますが、ほとんど、会社に残ってもおかしくないし、また会社を辞めても、次の就職先を見つけることが難しくはなさそうな人たちばかりです。
その点、前作に比べると、シビアな感じが薄れたかなぁと言う印象もあります。



【リストラだけでなく・・・】

特に最後の5編目の話は、リストラではなく、主人公の会社が、自身がリストラした人々を再度、人材派遣するための仕事を立ち上げるという話。
人を切る仕事と、人に職を斡旋する仕事という、相反することをやるという展開ですが、確かにリストラ会社が本当にあるとすれば、職業斡旋の仕事を同時に行うというのは、合理的に思えます。

そういった仕事を立ち上げた趣旨は、人の首を切るばかりでなく、首を切られて困った人を救い上げることもできないかという、非常にヒューマニズム溢れる理由で、こういう誠意があれば、リストラ稼業もうまくいくかもしれません。

正直、優等生過ぎる発想で、現実から乖離している気もしますが、会社の在り方、仕事をするということが、社会にどのような影響を与えるかということを常に考えるべきという、著者の優しさを感じられる話でした。
日常、雑事に追われていると、こういう理想論や優しさを忘れがちなので、そういったことに気づかされる一篇でした。


===============
【『借金取りの王子』より】
たぶんもう一つは、仕事の出来る人って、自分の将来に対しては基本的に楽観的な人が多いからじゃないかな。
『お気楽』という意味じゃなくてね。じゃないと、長期的な努力なんて虚しくてやってられないじゃない

(書き出し)
今日は、あと一人で最後だ。

(結び)
だから今、この瞬間があれば、あたしは満足だ。
===============


【その他のレビューブログ】
5編の中で、本作のタイトルにもなっている「借金取りの王子」が一番良かったという声が多いようです。
私は、選ぶとすれば「女難の相」かなぁ。

生命保険会社勤務、ある中高年サラリーマンの書斎(陽だまり)

福岡県弁護士会

ベテランママは小説、エッセイ、ビジネス本大好き。

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