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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:お仕事小説】 君たちに明日はない

【評価】★★★☆☆

no_tomorrow.jpg 
著者:垣根涼介
出版:新潮社



【ありそうでない会社】

リストラを行いたい会社のために、社員の面接を行い自主退職に追い込むことを仕事とするリストラ専門会社を舞台にした小説。
なんだか、ありそうな会社だなと思って読みましたが、冷静に考えてみれば、数あまたの人材・人事関係の会社があるにしても、さすがにリストラを請け負う会社ってのは、さすがにないか。
それでも、本書を読んでいると、こういう会社がありそうに思えるから、そこは、本書のすごさなのかもしれません。



【恋愛パートが蛇足】

リストラ専門会社で、首切り面接官を生業とする主人公が、その首切り面接で出会う、それぞれ事情を抱えて人を首切りというシビアな現実を介して、それらの人々の人生の一端を覗く、そんな構成になっています。

リストラという切り口で人を見るというのは、なかなか変わった視点で面白いところでしたが、そこに、主人公の恋愛話も織り込まれ、話の広がりを持たせるような設定にしようと、著者の努力が感じられます。

その意図は何となくわかるものの、正直、恋愛パートは蛇足で、リストラという興味深い設定の話に冷や水を浴びせてしまっている感がありました。
時々、主人公の情事を描写するシーンも出てくるのですが、そこだけ、やけに生々しい描写で、この点も、リストラの話とのつり合いが妙に悪く、読んでいて、非常に違和感を感じる点でした。



【リストラは恋愛に通ずる】

リストラ対象となる人も様々で、端から仕事ができないのでという人もいれば、そこそこ優秀なのに、全体的な事情で対象にならざる得なかったりと、この辺りの事情の千差万別さが、読んでいて、世の中の理不尽さを感じる点かもしれません。

こういう話を読んでいると、自分がこの立場になったら・・・立場というのは首を切る側ではなく、切られる側ですが・・・どうするだろうと、場面場面で考えさせられました。

一つあるのは、自分が会社から何にも期待されていないと分かったら、結構、凹むかもということ。
本書で出てくる首を切られる人たちも、多かれ少なかれ、そういった思いにとらわれるようで、そこで、会社になんとかしがみつこうとする人、新天地を目指して行動する人、視野が大きく変わってしまう人、人それぞれです。

私だったら・・・うーん、どういう行動を取るだろうか。できれば、会社をすっぱり辞めて、次に思い切って進みたい、そうありたいですが、直面してみるとそう簡単ではないのだろうなぁ・・・。
ただ、こういった場面に直面した時、どのような決断を下すかは、恋愛が破局を迎えた時、どういった態度を示すかというのに近いのかもしれません。

ストーカーとか、粘着質なことにだけはならないようにしたい、少なくとも、それくらいは心がけておきたいなぁと思うのでした。



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【『君たちに明日はない』より】
好きな仕事をつづけるために、なりふり構わなかった緒方。オモチャの男。今の自分にないものを、あの男はもちつづけようとしている。

(書き出し)
おれは、いったい何をやっているんだろう―。

(結び)
そうでもしなければ、本当に泣き出してしまいそうだった。
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【その他のレビューブログ】
「作中、かなりドギツイ性描写が何度か登場し、少々、違和感を感じました」という感想がありましたが、ほんと、こういうところがもったいないなと思いました。
「君たちに明日はない」・・・このタイトルは、内容にピタッとはまっていて、上手いタイトルですね。

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