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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:企業小説】 華麗なる一族(全3巻)

【評価】★★★★☆

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著者:山崎豊子
出版:新潮社



【この、ケダモノッ!!】

地方銀行を中核とする地方財閥を統べる万俵大介とその家族をめぐる物語です。
万俵財閥の拡大を狙って、財閥の地方銀行を大手都市銀行にすべく、銀行合併によるのしあがりを狙って、自分の子供すらもコマのように扱い、時には冷酷に切り捨てながら、権謀術数を張り巡らせるという、なんともえげつない一族が主人公。

設定もすさまじく、主人公の万俵大介、広大な屋敷の中で、妻と妾と一緒に暮らし、時には、夜を3人で同衾するという、なんじゃい、そりゃぁ、このケダモノぉ!という驚愕な展開の上に、万俵大介の長男は、実は、大介の父が、大介の妻を犯して生まれた子ではないかと言う、なんだか、出来の悪いアダルトビデオ並みの設定が盛り込まれてて、そのドロドロ感は、いやがうえにも盛り上がってしまう内容です。



【斎藤道三のような主人公】

自行より規模の大きい銀行を吸収合併しようと目論む銀行間の熾烈なつばぜり合い、万俵大輔の妻と妾の確執、出生の疑惑から親子の間に溝が走る大介と長男、長男が経営する鉄鋼メーカーの大志と挫折などなど、様々なストーリーが折り重なっていて、しかも、どれもこれも面白いものなので、本を持つ手が離せなくなりました。

しかし、主人公の万俵大介、なかなかの悪よのぉ~・・・というか、今でいうサイコパスな性格です。
自分の欲望のためには、家族を犠牲にしようとも、心は痛まないし、むしろ、自分の思い通りに人を動かさないと気が済まないという性格。
しかも、策謀家ときたもんだ。

戦国時代で言えば、北条早雲とか斎藤道三のようなキャラクター。
周りを不幸にするタイプですな。



【最大の犠牲者は長男】

この斎藤道三こと、万俵大介が、自身の欲望を満たすべく策謀の限りを尽くしますが、その最大の犠牲者は長男。
長男が経営する鉄鋼メーカーは、万俵大介が銀行合併を成功させるための陰謀に利用され、企業倒産に追い込まれてしまいます。

本作では、長男は、熱血漢ですごく良い奴ですが、経営者としてはいまいち力量不足の印象。
さらに、けんか上手でもなく、結局、父・万俵大介にいいようにやられ、最後は自殺する結果に・・・。
そこは詰めが甘いだろう、とか、なぜ、そこでもっと踏み込んで徹底抗戦しない、とか、万俵大介vs長男の戦いは、長男のそういった面が目立ち、少々、歯がゆさもありました。

裏を返せば、それだけ主人公・万俵大介の悪党ぶりが板についているということでしょうか。



【悪は栄える・・・けれど】

本作は、万俵大介の野望が達成したところで話は終わるものの、長男が自殺したことにより、万俵家が崩壊しつつある状況となり、さらに数年後、万俵大介が謀略に謀略を重ね成功に導いたはずの銀行吸収が、今度は、自行が吸収される運命にあることを示唆して話は終わります。

これだけ悪辣な万俵大介も、政治や経済の流れには勝てず負けていくのかという、少々、残念な気持ちもないわけではありませんが、どちらかというと、万俵大介が敗れ去ってみじめな姿をさらすところを見てみたいなぁと言う気持ちの方が強くあります。

それだけに、万俵大介の敗北が示唆されるだけの終わり方は、ちと物足りなかった。
できれば、長男が万俵大介を打ち破る展開か、もしくは、数年後に敗れ去るであろう万俵大介の姿を克明に描いて欲しかったなぁと思うところでした。

後書きの解説にもありましたが、悪が栄えて善は滅びるのが世の常なのかもしれません。


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【『華麗なる人々』より】
銀行は、信用を売り、信用を買う仕事であります、つまり命の次に大切と云われるお金を預かり、有利に運用して信用を得る仕事であるから、銀行経営は何よりもまず堅実であらねばなりません、しかし堅実であると同時に、積極的であれというのが私の持論であります、堅実性と積極性は必ずしも両立しない場合があります、堅実のあまり委縮してしまっては前進がなく、また前進し過ぎて破綻を来すのでは堅実性に欠けますが、この両者を兼ね備えることが銀行経営の要諦であると思います。

(書き出し)
陽が傾き、潮が満ちはじめると、志摩半島の英虞湾に華麗な黄昏が訪れる。

(結び)
人気のないがらんとしたダイニング・ルームには、曾て万俵家の華麗な一族が団欒したさざめきはなく、三人の使うナイフとフォークの音だけが、天井に音高く響いた。
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【その他のレビューブログ】
「戦後の高度成長期あたりが舞台だろうか、今から50年は昔の話だが、まったく古さは感じさせなかった。」という感想がありましたが、時代的な古さとかそういったものを感じさせないのはさすが。
とは言っても、現在も、こんな権謀術数、ドロドロの展開が繰り広げられていないことを祈りたい。
古さを感じさせないとは言ったものの、山崎豊子さんの男性の描き方どーなんでしょう。ちと、偏りすぎな感もあるか・・・。

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