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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【邦画:犯罪映画】 日本で一番悪い奴ら

【評価】★★★★☆

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2016年/日本
監督:白石和彌
主演:綾野剛
原作:稲葉圭昭『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』

北海道県警で起きた実際の不祥事を題材とした映画。前々から見たいなぁと思っていたのですが、地元のGEOでは、なぜか、ずーっと準新作扱いにされていて、高値プレミアムが付いていた状態で、旧作に落ちるまで待っていたのでした。ようやく、旧作になっていたので、早速レンタル。

【ストーリー】
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高校卒業後、北海道県警に就職した主人公。
真面目一筋で、要領もよくない主人公だったが、先輩警官の「やくざの中に協力者を確保して、その情報を使って検挙実績を上げよ」というアドバイスに従い、やくざとのつながりを深め、拳銃の検挙実績で好成績を上げるようになる。
しかし、検挙実績を上げるため、ロシアから拳銃を購入して検挙実績にするなど、違法捜査や検挙実績を上げることだけを目的とした行動を取るようになり、更に、拳銃を購入する費用を稼ぐため、覚醒剤の密売を仲間のやくざに行わせ、その金で、拳銃を購入し検挙実績とするなど、犯罪行為にどっぷりとはまり込んでいるのだった。
更に、県警内で、200丁の拳銃密輸を摘発するおとり捜査として、40億円相当の覚醒剤の密輸を見逃すという違法捜査に荷担するものの、おとり捜査は失敗し、主人公は左遷されてしまう。
左遷による失意から、自身が取り扱っていた覚醒剤に手を出し、ついには逮捕され、また、違法捜査に荷担していた警官仲間も自殺するが、県警の上層部は、主人公にだけ罪を負わせ、一切の責任を取ることはなかったのだった(完)。
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【いやはや、本末転倒】

警察による不祥事は、かなり報道されていて、今やまたか、という感じすらありますが、本作は、警察の不祥事が発生する構造的原因をえぐり出したかのような内容です。

北海道県警の警官である主人公は、拳銃の摘発実績を上げるため、暴力団と通じることで、暴力団から情報を得て拳銃摘発の実績を上げるようになります。
しかし、いつしか、摘発実績を上げるために、拳銃をロシアから購入しだし、更には、その購入資金を手に入れるため、覚醒剤の密売を行うようになり・・・と、何のための拳銃摘発なんだと突っ込みをいれたくなる状況に陥ります。

哲学者ニーチェの著書「善悪の彼岸」の中で、「怪物と戦う者は、自分自身も怪物にならないよう気をつけねばならない。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」という言葉がありますが、まさにその言葉どおりの展開に・・・。

わざわざニーチェを持ち出さなくても、日本の四文字熟語やことわざにも、「本末転倒」や「ミイラ取りがミイラになる」と言った言葉がありますが、古今東西、こんな境遇に陥る人はめずらしくないのかもしれません。



【ノルマ至上主義】

主人公が、こんな不正に手を染めるようになった理由は、北海道警のノルマと成績至上主義が原因なようです。
なんとしても、拳銃摘発の実績を上げようと、実績さえ上げられれば手段は問わずという風潮となってきます。

県警内ですら、拳銃200丁の密輸を摘発するために、まずは密輸組織が行う麻薬100kgの密輸を目をつぶって通してしまうなんてことをするのですから。
麻薬100kgって、末端価格だと、グラム3万円なら30億円。
それに対し、拳銃200丁は、1丁10万円としても、2000万円ですから、拳銃200丁のために、それよりも明らかにインパクトの大きい麻薬100kgを国内に流通させてしまうのですから、もはや狂っているとしかいいようがない・・・。

ノルマ至上主義のすさまじさと言うしかありません。
そういえば、日本郵政でも、ノルマ至上主義が原因で、保険勧誘・加入で組織的に大規模な不正が発生したなんていう事件が、最近、ニュースを賑わせましたが、過剰なノルマは倫理をぶちこわしてしまうのでしょう。



【公共の安全と市民の平和を・・・】

冒頭、主人公が、なぜ警官になったのかを先輩警官に尋ねられ、警察官の宣誓書か何かに書かれている言葉、「公共の安全を守り、市民の平和と・・・」を思い出しながら答えるシーンは、映画「アンタッチャブル」でも似たような場面があり、東西問わず、警官は、まず、その言葉を暗唱させられるんだなと、印象深く感じました。

本作の主人公は、その後、成績を上げるために、この言葉の意義は忘れてしまい、むしろ、小さな不正は巨悪を摘発するために必要という理屈で、自身の行動を正当化させるための言葉にすらなってしまいます。

結局、主人公が追求したことは、巨悪の摘発でもなんでもなく、善悪関係なく成績を上げることとという、非常に矮小化した自己目的の追求だったわけで、目的や本来の意味を見失ってしまうと、こうも堕落してしまうのだなぁと、恐ろしさを感じる作品でした。



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kappa1973

Author:kappa1973
 
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