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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:ルポ】 鈴木亜久里の挫折 -F1チームの破綻の真実

【評価】★★★☆☆

suzuki_aguri_f1.jpg
著者:赤井邦彦
出版:文藝春秋



【F1チームの立ち上げから解散まで】

鈴木亜久里さんと言うと、日本人F1ドライバーとして、中島悟の次の世代として活躍した人だったかなぁくらいのことしか、印象、知識がないのですが、本作は、その鈴木亜久里さんが、F1チームを立ち上げ、2年半で潰えてしまった、その経緯を描いたノンフィクションです。



【零細企業の挑戦】

F1の話は、海老沢泰久さんの書いた本を何冊か読んで、F1の世界や雰囲気は何となく知っている点はありましたが、海老沢さんの話は、ホンダを中心とした、ある種、大企業が関わった話であるのに対し、本作の鈴木亜久里さんの話は、いわば、零細企業がF1に挑戦するような話です。

そのため、一番の苦労は資金調達で、鈴木亜久里さんがF1チームを立ち上げた時は、レースに参加するのに、供託金を70億円預けなければならず、もし、シーズン途中で、レースに参加できなくなれば、供託金は没収されてしまうという仕組みでした。

・・・無茶苦茶、お金かかるなぁとびっくり。



【金は出すけど口は出さない】

鈴木亜久里さんのF1チーム経営は、資金調達の苦労というのが一番だったため、レースにまつわる話よりも、資金調達の苦労話が非常に興味深いところでした。

1年目は、電通がスポンサー探しを引き受け、スポンサーが見つからない時は、電通が活動資金(年間最低30億円はかかるそう)を出すという契約で、結局、1年目はスポンサーが見つからず、電通の支援でなんとかF1チームを活動することができました。

70億円の供託金(供託金は、年間通じて、レースに参加できれば戻ってくるお金)を出してくれる先を探すのも一苦労で、一時は、ソフトバンクの孫正義氏が協力してくれる話も出ますが、お金を出すんだから、チームのことも自分の思う通りにさせろといった話になり、御破談。

金は出すけど、口は出さないなんていう人は、なかなかいないのかもしれません。そういった協力者を得られるかは貴重ですね。

そういえば、百田尚樹氏の「海賊とよばれた男」では、出光興産の創業者が会社を立ち上げる時に、私財を投げうってお金を出してくれ、仕事には一切口を挟まない篤志家が出てきますが、こういう人物って、そうはいないんだろうなぁとつくづく思うわけです。



【やった意義はあった】

それでも、供託金を出してくれる先が見つかり、1年目は、電通の運営資金でF1チームを運営しましたが、2年目は、F1チームの運営を続けるためには、なんとしてもスポンサーを見つけねばならない状況となります。
スポンサーとなって、お金を出してくれるという会社が見つかり、実際、運営資金を出してくれるのですが、結局、その話は詐欺まがいの話で、鈴木亜久里さんは、お金の返還を求められて、訴訟に巻き込まれることにもなります。

ビッグマネーが動くところには、有象無象の怪しげな人も多く蠢いている感じがあります。
結局、そういった怪しげな人に付け入られてしまった結果ですが、F1の世界は、巨額な金が動くだけに、純粋にモータースポーツを目指したいという情熱だけでは如何ともしがたい世界のようです。

結局、スポンサー探しが上手く行かず、チームは2年半で解散となり、鈴木亜久里さんも膨大な負債が残りましたが、「それにしても、やった意義はあったと思っている。少なくとも俺の人生の中ではね。」なんて、さらっと言えてしまうところに、強さとかっこよさを感じますね。




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【『鈴木亜久里の挫折』より】
しかし、現実的にはF1で投資家に儲けさせようというのは無理な注文だった。

(書き出し)
鈴木亜久里の夢は叶い、そして潰えた。

(結び)
それにしても、やった意義はあったと思っている。少なくとも俺の人生の中ではね
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[ 2019/07/13 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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