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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:コメディ小説】 王妃の館(全2巻)

【評価】★★★☆☆

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著者:浅田次郎
出版:集英社文庫

【ダブルブッキングのツアー】

フランスの超豪華ホテル宿泊を目玉とした10日間の旅行ツアーをめぐる騒動を描いた作品。
資金繰りに窮した旅行会社が、資金調達の起死回生の策として、10日間で200万円のツアーと同時に、10日間で20万円の格安ツアーを募集。
しかも、双方のツアーは、同じ超豪華ホテル宿泊が目玉ですが、なんと200万円のツアーと20万円のツアーそれぞれ8組は実は、部屋がダブルブッキングしてあり、ダブルブッキングしながら、どうやって両方のツアーをうまく回していくか・・・そんな設定の話となっています。



【ダブルブッキングをかわす奇策とは】

現実では、当然あり得ないし、成り立たないツアーです。
ダブルブッキングなので、当然ながら、どちらかは部屋を使えない訳ですが、そこは奇策が展開されます。
ダブルブッキングされている双方は、お互いが部屋を使っていない時間に部屋が使えるようにスケジュールを組み、双方は、ダブルブッキングされているとは、気づかれずに、ツアーが進んでいくという計画。

なるほどなぁ・・・、って、全然、なるほどじゃありません(笑)。
さすがに、寝る時間帯はお互い重なっちゃうだろうと。そこは一体どうすんだ??

その答えは、格安ツアー側には、こんな説明がなされます。

「この部屋は、午後1時から夜9時まで使用可能です。このホテルの建物は、元々、フランス国王が建てた別荘であり、現在、国の文化財に指定されています。現在は、ホテルとして活用されているものの、文化財保護のため、寝泊りはできないこととなっています。そのため、夜9時以降は使用禁止となっており、代わりに、地下に用意してある部屋(ワイン蔵を改造した簡易の宿泊部屋)で睡眠をとっていただくことになります」



【結局のところは・・・】

なるほどなぁ。この説明なら納得いくか、とついつい思ってしまいましたが、やはり、ホテルなのに部屋で泊まれないというのは無理がある。本書の中で、「この理由はさすがに無理がある」などと、自己突っ込みがされていましたが(笑)、本でまことしやかにかかれると、意外と真実味が出てきたりします。

結局、ツアー開始早々に、格安ツアー側にはダブルブッキングのからくりがばれてしまい、格安ツアー側の協力で、このダブルブッキングツアーをうまく回していく展開となります。
相双に、ツアー会社の悪戦苦闘がかなり軽減されてしまう展開で、この辺りは面白みが少し失せてしまったかなぁという気もします。



【得意の人情話となる展開】

ただ、本書は、単にダブルブッキングツアーをどうやってうまく回していくかという話ではなく、舞台となったホテルの歴史-太陽王と呼ばれたルイ14世の親子にまつわるエピソード、ツアーに参加した面々のそれぞれの事情や苦悩などが織りなされながら、ツアー参加者のそれぞれの苦悩を解決する道が少し開けていくという展開となります。

この辺りは、人情小説を得意とする著者の手腕が発揮され、読んでいてほろっとさせられる点です。
冷静に考えると、ツアー参加者の苦悩のたいていが、つまるところお金に関わる話で、その解決策は、ツアーに参加した成金中年が、その豊富な資金力に依存するという、金があれば多くの悩みは解決してしまうという、ちょっと、冷めた見方もできますが(笑)、まぁ、何はともあれ、ハッピーエンドな展開で、よかった、よかったという感じがします。


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【『王妃の館』より】
「それはあなた、バカなことですよ。あんまりバカバカしすぎて、何をしているのかもわからないぐらい」

(書き出し)
「よろしいですか、マダム。パリ十日間百四十九万八千円というこのツアーのお値段が、はたして高いか、安いか。一晩だけ、ゆっくりお考えになって下さいませ。お返事は明日の夕方五時までお待ちいたします」

(結び)
ヴェルサイユのエチケットに適わぬその一言を、ルイ王はあえて咎めようとはせず、むしろわが意を得たりというふうに、たったいちどだけ、しかし確かに肯いた。
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