FC2ブログ

読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
2019 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312019 09

【講演】 グローバル経済と日本(浜矩子)

【評価】★★★★☆

演題:グローバル経済と日本
講演者:浜 矩子(同支社大学大学院ビジネス研究科教授)


浜矩子さん、名前くらいは聞いたことがあったのですが、どのような主張をされている経済学者なのかということについては、無知に近い状態でしたが、講演を聞く機会があったので、何の気なしに聞きに行ってみました。

立場は、安倍政権(の経済政策、いわゆるアベノミクス)に対する急先鋒の批判をしている方だったんですね。
そのため、講演当初は、「アベノミクスならぬ、アホノミクス」なんていう言葉を連呼していましたが(笑)、単なる批判連呼の講演というわけではなく、浜矩子さんが考えている経済の在り方を、論理的に展開していったので、非常に理解しやすく、面白い講演でした。

安倍政権の経済政策が、「富国強兵」であるという指摘は、安倍首相の最近の政策への比重の置き方や、発する思想・考え方からすると、結構、的を得た指摘ではないかと考えさせられました。

なお、講演の帰結が、倫理問題に収束していったのは、経済を論ずる講演としては意外に感じるところでした。


----------------------------------------------------------
【講演内容】

現在のグローバル経済を考える上で、4つのキーワードがある。
「綱引き」、「病」、「誤解」、「神話」の4つ。

「綱引き」
経済は国境を越えた動きとなっており、また、難民問題など、国境を越えた人の移動についても大きな課題となっている。
人・物・金が国境を越えて世界中を動くようになっており、一番、国境を越えにくいと考えられていた人も、難民問題に代表されるよう、国境を超えるようになっている。
世界は、国境無き時代に入っている一方、国々は国境ある存在である。
グローバル時代においては、国境無き時代を国境に囚われている国々が、時代をどのように泳いでいくべきかという視点で考えていく必要がある。
すなわち、グローバル時代においては、国境内に閉じこもったままでは生きてはいけず、言わば、一人では生きてはいけない時代であり、誰かの力を借りなければ経済活動が行えない。
「国境無き時代をどのように生きるのか」、これが、グローバル経済を考える上での基本認識であり、「国境無き時代」と「国境ある国々」がどのようにバランスをとっていくべきか-すなわち両者が綱引きをしており、そのバランスをどう考えるかが重要となっている。


「病」
国境無き時代を迎え、その時代の圧力を受けている国々が病に侵されている。
その病とは、すなわち「取戻したがり病」。
何を取り戻したがっているかというと、国境無き時代の到来によって、薄らいできつつある存在感、国としての求心力を取り戻したがっている。
例えば、日本、今の安倍政権は大日本帝国時代の栄光を取り戻したがっているようであり、ロシアは帝政ロシア時代を取り戻したがっているように見受けられる。
中国は中華帝国時代を、ヨーロッパやイスラム国なども、それぞれ栄光を取り戻そうという病にかかっている。


「誤解」
「取り戻したがり病」に侵されている国々は、誤解を抱いている。
それは、すなわち、「経済政策は何のためにあるのか?」という点についてである。
以前、安倍首相は、「外交安全保障政策と経済政策は表裏一体。経済がアップすれば、それにより国防費を上げることができ、それが即ち、表裏一体の意味するところである」とスピーチしている。
安倍首相は、富国強兵路線を目指しているようである。

経済政策の目的は2つであり、1つ目は均衡回復、2つ目は弱者救済である。
経済は均衡-バランスが崩れると、インフレやデフレ、恐慌などを引き起こすことになり、均衡をきちんと回復させることが経済政策の目的である。
また、均衡が崩れて一番被害を受けるのが弱者であり、経済を安定させることが弱者の救済にもつながっていくものである。

EUはユーロという共通通貨をつかっているが、元々、統一通貨を導入しようとした背景は、強くなるドイツ、ドイツの通貨マルクを抑え込もうという政治的意図があった。
EUにおける通貨統一は、ドイツの抑え込み政策という、政治的目的で経済政策を行った。
現在、EUでは様々な問題が噴出しているが、政治が経済を振り回すと悪影響を及ぼすという事例の一つである。


「神話」
誤解を抱いている国々が経済政策に持っている「神話」が、「成長神話」である。
何でもかんでも成長が必要な訳ではなく、成長が必要な場面は2つである。
1.これから全てが始まる時
2.全てを失ってしまった時

1.これから全てが始まる時というのは、これから発展していこうとする発展途上国や極貧国の経済などが該当する。
2.全てを失ってしまった時について分かりやすい例は、敗戦後の日本のような状況。
それ以外では、成長追求をしなくても良い。
それを無理して成長追求を続けていくと、経済規模が地球をはみ出してしまい、地球環境などにも影響が出ることになる。

そして、取り戻したがり病に侵された国々は、成長神話に囚われ、地球へ悪影響を及ぼすことになる。
また、取戻すということは、誰かから奪い取るということであり、取戻したがり病は、奪い取りたがり病に通ずることが、非常に危険である。


「これからの経済の在り方」
これからの在り方としては、次の3つの考えが重要。
1.ひとつの原点回帰
2.ひとつのバランス感覚
3.3つの道具

原点回帰については、経済活動は何のためにあるのかという正しい認識に回帰するということである。
経済活動とは人間固有の営みであり、すなわち、人間を幸せにするための活動であるということである。
この原点を認識し回帰すべきであり、富国強兵策からは、人間を幸せにすることは生まれてこない。


バランス感覚については、一番端的に表していることが、孔子の言葉である。
「己が欲するところに従へども矩(のり)を超えず」
欲と矩の黄金バランスこそが、経済活動の勘所である。
矩を超えずとは、すなわち、社会規範、節度のことであり、経済活動においても、社会規範、節度を大事にしなければならないということである。

スポンサーサイト



[ 2015/10/03 23:01 ] 講演 | TrackBack(0) | Comment(0)
ページ最上部へ

プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

アクセス数
アクセスランキング
[ジャンル]: 映画
168位
[サブジャンル]: レビュー
82位
カレンダー