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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【洋画:歴史】 バトル・オブ・ブリテン -史上最大の航空作戦

【評価】★★★★☆

battle_briten_new.jpg
2018年/イギリス、ポーランド
監督:デヴィッド・ブレア
主演:イヴァン・リオン

先日、第二次大戦の「バトル・オブ・ブリテン」をテーマにした作品「空軍大戦略」を見たので、同じ題材で作成された別の作品として、本作をチョイス。

【ストーリー】
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第二次大戦下のイギリス。
ドイツ軍による空爆に苦戦を強いられたイギリスは、イギリス兵だけでなく、各国の義勇兵を募り、ドイツ空軍へ対抗を始める。
義勇兵の中にドイツ・ソ連の侵略により国を失ったポーランド義勇兵も参加しており、ポーランド義勇兵による航空部隊が303航空隊と結成される。
303航空隊の指揮と技量は、イギリスの航空部隊の中でも抜きんでて高く、目覚ましい戦果を挙げるのだった。
イギリス国中にも303航空隊の活躍を賞賛する声が高まり、303航空隊はイギリス各地の式典に招かれるなど、多くの栄誉を受けるのだった。
戦争はナチス・ドイツの崩壊と共に終わりを迎える。イギリスのために戦ったポーランド人は、終戦後は難民扱いとされ、ポーランドへ強制送還されてしまう。しかし、共産圏となったポーランドでは、戦時中、連合国に協力したポーランド人は投獄や処刑され、強制送還されたポーランド義勇兵の多くも受難を味わうのだった(完)。
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【ポーランド義勇兵の活躍】

前回見た映画「空軍大戦略」でも、イギリス兵以外に多くの国の兵士が航空部隊として参加していたことが描かれていましたが、本作は、言ってみれば外人部隊であるポーランド義勇兵の活躍に焦点を当てた内容となっています。

イギリス空軍に、ポーランド、スイス、カナダ等々、各国の兵士が参加し、ドイツ空軍に立ち向かうという、日本ではなかなか想像し得ない状況が成立していたのには驚きです。
ヨーロッパだと、外人部隊といった文化があるので、このような自国の多国籍の兵士を受け入れるというのも、自然な感じなんでしょうか。



【一騎当千のポーランド航空隊】

映画「空軍大戦略」では、ドイツ空軍の優勢、イギリス空軍の劣勢がかなりはっきりと描かれていましたが、本作はポーランド義勇兵の活躍に焦点を当てており、ポーランド航空隊が、ドイツ空軍を一騎当千でバンバン撃ち落としていくので、イギリス軍劣勢の雰囲気は感じられませんでした。
どちらかというと、イギリス軍優勢?くらいの勢いで、どういった視点・切り口で見るから、戦いの優劣の見え方って違うんだなぁと感じられたのが印象的でした。



【狡兎死して走狗煮られる】

そして、映画は、ポーランド航空隊の活躍から一転、第二次大戦終戦の場面。
イギリスで行われる戦勝パレードを眺める、ポーランド航空隊のエースだった主人公。

主人公は、このパレードに参加することはなく、3日後には、イギリスから追放されることが明かされます。
ポーランド人は、難民扱いとなり、復活した祖国ポーランドへ強制送還。
そして、ポーランドに戻った者は、ソ連の影響が色濃い共産主義国として、戦時中、イギリスやアメリカなどの連合国に協力した者は投獄や処刑の対象になるという過酷な運命が待ち受けています。

今も、イギリスのEU離脱問題が、移民問題を引き金に火を噴いたことを考えると、イギリスの風潮は昔も今も結構排他的(日本のことを棚に上げた物言いにはなりますが・・・)と感じました。
苦境時には、大いに当てにしたのに、いざ危機が去ると、余計者扱い・・・うーん、「狡兎死して走狗煮られる」そのまんまな話。

すっきり、良い話にならないところが、人間の難しさなのかもしれません。



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[ 2020/03/01 00:00 ] 第二次大戦 | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:歴史】 空軍大戦略

【評価】★★★★☆

battle_briten_old.jpg
1969年/イギリス
監督:ガイ・ハミルトン
主演:ローレンス・オリビエ

かなり昔の作品ですが、第二次大戦のドイツ軍によるイギリス侵攻のために引き起こされたイギリス空軍とドイツ空軍の死闘を描いた作戦。世に言う「バトル・オブ・ブリテン」と呼ばれる戦いです。

【ストーリー】
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ヨーロッパに戦火を引き起こしたヒトラーは、ヨーロッパ大陸を席巻し、イギリスも屈服させようと考えていた。イギリスへの侵攻には制空権を得ることが必要と考えたヒトラーは、ドイツが持つ大規模な航空戦力で、イギリス空軍を壊滅する作戦に打って出る。
ドイツの4分の1以下の空軍力しかないイギリスは、イギリス上空でドイツ空軍を迎え撃つものの、沿岸部の航空基地を軒並み破壊され、劣勢に立たされる。
しかし、ドイツが、航空基地破壊から、ロンドン市街への爆撃に作戦を変更したことから、イギリスは空軍力を立て直し、ロンドンを爆撃し帰還するドイツ空軍を追い討つ作戦により、ドイツ空軍を壊滅させ、「バトル・オブ・ブリテン」に勝利するのだった(完)。
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【逸を以て労を待つ】

以前、「専守防衛」という本を読んだ際、専守防衛の好事例として、バトル・オブ・ブリテンが取り上げられていました。
映画を見ると、非常に劣勢な状況に立たされ、あと一歩まで追い込まれたイギリスが、ナチス・ドイツの戦術転換のミスもあり、イギリスが劣勢を逆転し、バトル・オブ・ブリテンに勝利する流れとなります。

攻め込む側が不利になる場合として、孫子で言うところの「逸を以て労を待つ」(敵の疲弊を待って戦いを挑む)という状況があると思いますが、イギリスの勝利は、この状況によるところが大きかったのかなぁと本作をみながら感じました。



【爆撃機vs航空機】

当初、ドイツ軍は、イギリス沿岸部に点在するイギリス空軍基地を攻撃対象にし、イギリスの空軍力の撃滅を企図し、これがかなり成功したようです。
当初より、イギリス空軍はドイツ空軍の4分の1という劣勢の上、空軍の拠点が攻撃の的となり、出撃すら覚束ない状況から、イギリスとドイツの間の海峡の制空権は、ドイツに半ば握られる状況となります。

ただし、一つだけイギリス側に有利な点は、ドイツ空軍は、イギリスの航空基地攻撃を目標とするため、爆撃機主体で編成にならざる得ないのに対し、イギリスは、爆撃機撃退が目的のため、戦闘機主体で編成が行えた点。

爆撃機と戦闘機の戦いでは、戦闘機の方が運動能力に勝り、圧倒的に有利となるため、ドイツ空軍は、イギリス攻撃のたびに、少なからずの損害を被る状況となった点。
当然、ドイツ空軍も戦闘機を護衛に付けるものの、イギリスまで距離があるため、目的地に付いて戦闘が行える時間が10分程度と短時間となり、まさに、イギリス軍にとっては、「逸を以て労を待つ」の作戦が機能する状況でした。



【ロンドン爆撃のミス】

そして、バトル・オブ・ブリテンの大きな転換となったのは、ドイツ軍の作戦変更。
イギリス空軍基地の壊滅に成功したとして、次に、作戦目標をロンドン空爆に変更したこと。
ロンドンは、イギリス空軍基地よりも更に遠い場所にあるため、ますます、「逸を以て労を待つ」というイギリス軍の作戦にはまり込んでしまうことになり、さらには、空軍基地への攻撃が行われなくなったことで、イギリス空軍を立て直すことができるようになりました。

こうやって見ると、遠方の地を攻めるということの難しさが感じられます。

太平洋戦争では、日本軍は、アメリカ軍に、次々と航空拠点となる島を攻め落とされ、本土にまで肉薄され降伏する結果となりましたが、攻撃目標に近い場所に補給の策源地をきちんと設けるというのが、作戦のセオリーと言えるのでしょう。

第二次世界大戦では、日本が当事者だったため、日本で流通する情報は、日米間の戦いにまつわるものが主流で、ヨーロッパの戦いの様子はなかなか目にする機会が少ない気がしますが、ヨーロッパではこのような戦いが行われていたことを知る、良い機会でした。

しかし、日本と欧米の戦争映画の作り方って、だいぶ違いますね。日本はじめっとした雰囲気ですが、欧米の戦争映画はどことなく明るい雰囲気ですね。


[ 2020/02/29 00:00 ] 第二次大戦 | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:歴史】 永遠のゼロ(映画版)

【評価】★★★★☆

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2013年/日本
監督:山崎貴
主演:岡田准一
原作:百田尚樹著「永遠のゼロ」

レンタルショップに、本作が置いてあるのを見て、以前、原作を読んだなぁと思い起こし、手に取ったのでした。
原作の感想を書いた自身の記事を読んでみたのですが、結構感動したといった趣旨のことが書いてあるにもかかわらず、すっかり、内容を忘れていたのでした。映画を見ることで、その感動を思い起こすことができるのか!


【ストーリー】
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自身の祖父が特攻で戦死したことを知り、戦争当時の祖父の様子が知りたくなり、取材を開始する。祖父を知る人々を取材すると、祖父・宮部久蔵は、手練れの飛行機乗りでありながら、命を惜しむ臆病者とそしられるような人物であったことを知るのであった。
しかし、更に、取材を続けると、命を惜しんだのは家族のため生きて返るためであり、戦争中で厳しい思想統制にある中、自身の信念を貫いて生き抜いた勇気を感じるのだった。
命を惜しんでいたにもかかわらず、特攻で戦死した理由を不審に思いながら取材を続けると、宮部久蔵は、最後は、他の人の犠牲となって死に赴いたが、他方で家族を思い、身代わりとなった人に自分の家族のことを託して死んでいったことが分かるのだった。主人公が今を生きていることには、祖父にまつわる命をかけたストーリーがあったことを知り、自分の人生に対する責任を強く感じるのだった(完)。
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【戦争・ヒューマニズム・恋愛】

原作は、以前読んだことがあり(→感想はこちら)、結構感動した気がするのですが、すっぱり、内容を忘れていました。
映画を見終わった後も、「確か、こんな話だったかなぁ」というくらいの思い出し加減で、いやはや、私の記憶は心許ない。

本作は、零戦パイロットで特攻で戦死した宮部久蔵の孫が、戦後70年経った現在、久蔵の足跡を追うべく、関係者に取材して回るという話。
当時を知る関係者から、「宮部久蔵は臆病者だった」などと謗られるなど、色々と複雑な面がありそうな久蔵の素顔に迫りつつ、ラストはびっくり純愛物語に帰結するという、戦争・ヒューマニズム・恋愛の1粒で3度おいしい物語となっています。



【誰かのために身を挺すること】

主人公の宮部久蔵、戦場で命を惜しむため臆病者呼ばわりされますが、パイロットとしての腕は超一流という設定。
臆病者で、腕もボンクラでは、話にならないでしょうから、こういう設定は致し方なしというところでしょう。

命を惜しむ理由が、家族のためという背景があるため、現代人からすると、理解しやすい背景であり、戦場を共にする人々にとっては、命を惜しむという姿勢は反感を持たれるものの、パイロットの腕は超一流のため、尊敬を受けやすい素地があったりもします。

そう考えると、能力って大事だな・・・と思ったりもします。

他方、自分の部下や教え子の名誉を守るため、上官に対して意見をとなえ、上官からしこたま殴られるなんていう硬骨漢な一面もあり、そういった点も部下や教え子から評価される一面につながっています。

戦場で命を惜しむという行為は、仲間を見捨てているという風に見られ軽蔑の対象となりますが、仲間のために上官に刃向かうという行為は、自身が犠牲になって仲間を助ける行為であり、人は、誰かのために身を挺して頑張ってくれるということに感動を覚えるのだと思います。



【仕事と家庭の両立】

この話、突き詰めると、戦場の仲間のために命を掛けるか、自分の家族のために命を掛けるか、どちらを取りますか、というお話でもあります。

宮部久蔵は、家族のために、という選択肢をとったが故に、戦場の同僚からは臆病者扱いをされたわけで、現代に例えれば、会社のためより、家族を優先する人が、社内でなんとなく白眼視されるという状況に似通っているわけです。

こういった問題を解決するために、「働き方改革」なるものが提唱されているわけで、働き方を効率よくすることで、自分の能力を会社や職場同僚のために最大限発揮しつつ、家族のためにも最大限時間を割くことができるようする、まさに一石二鳥を狙っているわけです。

宮部久蔵の生きた時代は、戦況悪化で、どうやっても職場環境の改善や業績向上が望めない中で、仕事と家庭の両立は困難だったため、宮部久蔵のような生き方は難しかったと言えそうです。

しかし、ラストは、特攻で自ら死に赴くも、家族のためにも貢献できるという、両立策を実現してしまいます。
あまりに奇をてらった結末ではありましたが、これくらいじゃないと、仕事と家庭の両立は困難という、非常に苦しい時代であったということでしょう。



[ 2019/12/30 01:07 ] 第二次大戦 | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:戦争】 ロシアン・スナイパー

【評価】★★★★☆

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2015年/ロシア
監督:セルゲイ・モクリツキー
主演:ユリア・ペレシルド

映画「アメリカン・スナイパー」がヒットしたのと同時期に、このタイトルで映画出しますか、と非常に鼻白んだ作品でしたが、結局、レンタルしてしまったのでした。

【ストーリー】
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第二次大戦下のソビエト。
リュドミラ・パヴリチェンコは女性ながら、射撃の才能を買われスナイパーとして養成、戦場に立つことになる。
時は、ナチスドイツがソビエトへの侵攻を開始し、空前の危機に陥るソビエト。
リュドミラは、スナイパーとして活躍し、倒した敵の数は309名。ソビエト、ドイツ双方から、最も有名なスナイパーとして注目を浴びるようになる。
しかし、その一方で、戦場を共にした恋人や友人を次々と失い、戦争の悲劇も味わうことになる。
戦争で多大な功績を果たし、抜群の知名度を得たリュドミラは、今度は、アメリカに外交官として派遣され、アメリカが戦争に参加するように働きかけを行い、アメリカ国民に強い感銘を与えることに成功する。
戦争が終結し、冷戦下の時代となるが、フランクリン元米国大統領夫人のソビエト訪問が実現する。戦争中、リュドミラと交流のあったフランクリン元大統領夫人は、リュドミラと再会し、往時を懐かしむのだった(完)。
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【女性が戦場に立つ】

映画「アメリカン・スナイパー」はイラク戦争の話でしたが、こちらは、第二次大戦の話。
第二次大戦のソビエトのスナイパーを描いた作品としては、映画「スターリングラード」がありますが、本作は、スナイパーの部分よりも、女性兵士や戦争そのものに焦点を当てた印象があります。

しかし、当時のソビエトというのは先進的というか、女性も積極的に戦場に立っていたとは、日本では考えられない話で、アングロサクソンの強さと言うべきか、なんともはや・・。



【タフネスさがさすが】

主人公のリュドミラ、その決意のほどが輝かしくさえあります。
スナイパーとしての名声を得た後、アメリカに使節団として派遣され、そこで、「あなたは、戦場で何人の人間を殺したの?」と聞かれ、「殺したのは人間じゃありません。ファシストを309人、殺しました」なんて、ちゅうちょなく、言い切る精神力。

このタフネスさがあったからこその、スナイパーとして名声を得られたということでしょうか。



【スナイパー・・・忍耐のいる仕事】

309名を倒したというだけあって、スナイパーとしての活躍シーンは、ゴルゴ13並みです。
銃弾3発で戦車を撃破なんていうシーンもありますが、2発の銃弾で、戦車の小さな窓ガラスを突き破り、3発目で中の操縦士を射殺・・・って、こりゃ、ゴルゴ13もびっくりかも。

一方で、スナイパーって、忍耐もいるなぁと思うのは、映画「アメリカン・スナイパー」でも感じたところ。
待って待って、一瞬のチャンスで射殺・・・という流れのため、「今日は何に倒したの」、「2人よ。上出来よ」なんていう会話もあったりで、意外と、効率は良くなさそうだなぁと感じたりもしました。
一日二人も殺せば十分かもしれませんが、無双っぷりを見せて、一気に何十人も抹殺・・・なんてのはないのでしょうね。



【いつまで背中に隠れているのですか】

スナイパーとして有名になった後は、同盟国として戦争への参加をアメリカに促すため、使節団の一員として、アメリカに赴くことになります。
当時のソビエトって、女性を戦場や外交団として組み込むなど、結構、女性、男性に関係なく活躍の場を与えるなんていうのは、だいぶ進歩的だなぁなんて思いました。

それでも、男性同僚にやっかまれたりして、なかなか大変そうではありましたが。

そんな陰湿な妨害も物ともせず、リュドミラはこう演説します。

「私は、ファシストを309名倒しました。ヒトラーをのさばらせないためには戦わなければなりません。あなた方は、私の背中に、いつまで隠れているつもりですか?」

なかなか、端的でグサッとくるスピーチです。

女性の細腕(?)で、309名を倒したという実績が、強いインパクトを与えるのでしょうか。
それにしても、すごい女性がいたものですね。


[ 2018/04/05 00:00 ] 第二次大戦 | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:歴史】 イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密

【評価】★★★★☆

imitation_game.jpg
2014年/イギリス・アメリカ
監督:モルテン・ティルドゥム
主演:ベネディクト・カンバーバッチ


DVDの予告を見て、興味を惹かれてのレンタル。
実話物のようですが、やはり、実話ベースと言うのは興味を惹かれます。

【ストーリー】
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第二次大戦中のイギリス。
イギリスは、ナチスドイツの快進撃に苦戦を強いられていた。
そこで、ナチスドイツの通信を傍受し作戦を知ろうとするが、ナチスドイツが作ったエニグマという暗号があるため、傍受した通信の内容を解読することが出来ずにいた。
そこで、イギリスは、チェスの名人、言語学者、論理学者など、様々な分野のエキスパートを集め、エニグマ解読に力を入れる。
集められたメンバーの中に、天才数学者アラン・チューリングもいた。
チューリングは、エニグマの解読には人間の力では到底不可能なため、機械の力を使うしかないと、暗号解読の機械の開発に着手する。
開発当初、同僚や上層部からはバカにされ、無駄だと罵られるものの、暗号解読の可能性が高まり、同僚らも協力を始める。そして、ついに、エニグマ解読の機械開発に成功する。
しかし、ドイツにエニグマを解読したと知られないようにするため、ドイツから傍受した情報を使ってドイツ軍の裏をかくのには慎重を期する必要があった。
チューリングを中心とするチームは、傍受した情報を使って、イギリス軍の犠牲を回避する事案と、犠牲に目をつぶる事案を選別するという苛酷な業務も担うことになる。
チューリングらのエニグマ解読は、イギリスの勝利に貢献し、戦争終結を2年早めたとさえ、後の歴史家から評価されることになるが、戦争終結後、エニグマ解読の事実は機密情報として、チューリングらが、公に評価されることはなかった。
戦後、チューリングは、その功績を知られることもなく、逆に同性愛を罪に問われ、41歳の若さで自殺をしてしまう。
後に、チューリングの開発した機械は、現在のコンピュータの基礎となることとなり、チューリングは、コンピュータの生みの親として死後、評価されることとなった(完)。

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第2次大戦中、ドイツの暗号解読に成功したイギリスの数学者アラン・チューリングを描いた作品。
アメリカにしろイギリスにしろ、第二次大戦時の連合国側って、敵側の暗号解読に注ぐ熱意が違うなぁと思います。
結局、日本にしても、アメリカに暗号を解読されてしまい、海軍の総大将たる山本五十六が、航空機で移動中にアメリカの戦闘機の待ち伏せに遭い撃墜、戦死なんていう、信じられない事態を引き起こしましたし、どうも、インテリジェンス=諜報戦では、日本もドイツも一歩も二歩も劣っており、それが、敗戦という結末に繋がった気がしてなりません。

さて、本作は、主人公のチューリングが、イギリス軍の要請を受け、ドイツの暗号「エニグマ」の解読に奮闘することになります。
エニグマという暗号は、キーとなる番号を持っていれば初めて、暗号が読めるようになるという仕組みですが、キーとなる番号は、10の15乗とか20乗とかいう、途方もない数の組み合わせがあり、正しいキー番号を見つけるのは至難の業。
更に、ドイツ軍は、毎日、キーとなる番号の変更を行うので、チューリングが暗号を解く時間は実質1日しかなく、かなり厳しい条件で暗号を解読しなければいけないわけです。

本作の内容は、戦争に関する話であるものの、この暗号解読をどうやって行うのかという、ミステリー仕立てな展開でもあります。

チューリングが、暗号解読チームに入る前までは、暗号文解析の方法は、統計的に出現する文字数の多さなどを推計し、それを当てはめて、暗号文の内容を解読していくという手法が取られていました。
しかし、この方法では、さすがに正確性に欠け、傍受した暗号文のほんの一部しか解読はできていなかったわけです。

そこで、チューリングは、機械を開発して、キーとなる番号を総当りで当てはめ、正しいキーとなる番号を探し出し、それにより暗号文を解読しようと言う、言ってみれば力技の解決策に取り組みます。

これ、なんか聞いたことあるような手法ですが、現代で言えば、スーパーコンピューターを使って、膨大な数の計算を力技でこなすことで回答を見つけてしまおうというのとそっくりです。
実は、チューリング、暗号エニグマのキー番号を見つけ出す機械の開発に成功するのですが、何を隠そう、この機械が後のコンピューターの基礎となったそうです。
つまりは、チューリング、コンピューターを開発してしまったというわけで、いやはや凄い。
まさか、コンピューターの元祖が、暗号解読のための機械だったとは。
戦争が技術を発達させるという説はよく耳にしますが、まさにその通りというわけです。

しかし、そうは言っても、当時は現在のスーパーコンピューター並みどころか、携帯電話レベルの演算能力を持つ機械を開発することすら困難、10の20乗もの数を全数検索してキー番号を探すというのは、途方もない時間がかかり、なかなか時間内にキー番号を探すことができないという困難に直面します。

さて、どうするのか。
この問題が、本映画の最大のミステリー。

実は、ドイツの暗号文には必ず、ある文字が入っているということに、チューリングは気づきます。
その言葉は何か、「第一艦隊は、北緯23度西経38度に移動せよ。ハイル・ヒトラー」・・・こんな命令文が暗号文でドイツ軍から発信されているわけですが、文の最後に「ハイル・ヒトラー」の言葉が必ず入っていることに気づきます。

これにより、「ハイル・ヒトラー」の文字を軸にして、キー番号を探すことで、全数検索する必要がなくなり、結果、ついに、暗号エニグマの解読に成功します。

えっ、なんで、「ハイル・ヒトラー」の文字が暗号文に入っていることが分かれば、キー番号を探すのに全数検索しなくて良いのかって?
・・・すみません、詳しくは私にも分かりません(笑)。
気になる人は、自分で検証するように!

確かに、ドイツだったら、必ず、最後に「ハイル・ヒトラー」という文言を入れてそうだし(おそらくは、映画内での創作ではないかと思いはしましたが)、なかなかリアリティある設定で、その解決策が見つかった瞬間、思わず「おぉっ」と唸ってしまいました。

そして、この後は、解読した暗号を使って、イギリス軍が優位に立つように作戦を立てていくのですが、あからさまにドイツ軍の裏をかくと、暗号エニグマを解読されたことを気づかれ、暗号自体を変えられてしまうおそれがあるということで、偽装しながらイギリス軍の作戦を構築していくことになります。

それは、すなわちどういうことかと言うと、ドイツ軍の攻撃を事前に察知して、逃げたり防御網を張ったりし続けると、ドイツ軍に疑われてしまうので、時には、ドイツ軍の攻撃があるのを分かりつつ、イギリス側に損害が出るのを黙認するという行動を取るということ。

これは、なかなかシビア。
つまりは、時として味方を見殺しにするという選択肢も選ぶということで、全体最適、すなわち戦争に勝つという目的においては正しいかもしれませんが、別の観点から見れば、相当、残酷なことを行っているわけです。

後半は、暗号エニグマを解読後、味方を助けるのか、見殺しにするのか、統計的手法を使って選別する仕事をチューリングが行うこととなり、それによる、精神的、倫理的な苦悩も描かれます。

まさに、戦争の残酷さです。

そして、更なる追い討ちは、戦争終結後、暗号エニグマを解読したことは軍事機密として封印され、チューリングは、何の評価も功績も受けずに元の職場-大学に戻ることになります。
しかし、同性愛者であったチューリングは、当時、同性愛は犯罪として処罰されていたことにより、警察により逮捕され、その後、自らの命を絶つという悲劇的な最後を遂げます。

同性愛者への処罰は、今でも中東などでは行われているものの、日本や欧米諸国の基準から考えると、70年ほど前のこととはいえ、同性愛者を犯罪者として扱っていたというのは、かなり衝撃的。
しかし、考えてみれば、アメリカでは、40年前には相当ひどい黒人差別が行われていましたし、レッドパージ(共産党狩り)のような思想抑圧なども欧米で吹き荒れていたりと、ちょっと昔に遡ると、今では考えられないようなことが行われていたわけです。

そう考えると、今の常識って、30年も未来になると、全くのナンセンスなものになっている可能性もあるわけです。
そして、振り返ってみれば、チューリングが開発した暗号解読機が、現在のコンピューターの基礎をなしていることを考えれば、イギリスのチューリングに対して取った行動は、非常に愚かしく感じさえします。

歴史を振り返ると、人間と言うのは愚行を繰り返してきたのだなぁと思います。
現在、社会のありとあらゆるところでコンピューターが浸透し、コンピューターなしでは、生活も社会も維持できないことを思うと、チューリングの功績が偉大であることを証明しているとともに、チューリングに対するイギリス政府の仕打ちの愚かしさをも証明しているように思えます。

[ 2016/11/07 00:00 ] 第二次大戦 | TrackBack(0) | Comment(0)
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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
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★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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