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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【漫画:忍者物】 バジリスク-甲賀忍法帖-(全5巻)

【評価】★★★☆☆

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著者:せがわまさき
原作:山田風太郎著『甲賀忍法帖』
出版:講談社


地元の温泉の休憩スペースに漫画がたくさん置いてあり、5巻完結という手軽さに魅かれ読破したのが本作。
元は山田風太郎の小説が原作となっているようですが、山田風太郎の小説が原作となっているだけに、かなり奇想天外なストーリーとなっています。

時は、江戸時代。三代将軍の候補者として、長男竹千代、次男国千代のどちらか一人を選ぶために、伊賀忍者10名、甲賀忍者10名を戦わせ、伊賀側が勝てば竹千代を、甲賀側が勝てば国千代を将軍候補とするということになります。
これにより、伊賀、甲賀の死闘が繰り広げられるという展開。

この設定自体は良いとして、出てくる忍者が人間離れしているというか、もはや人間じゃありません。それこそ、「ワンピース」に出てくる悪魔の実でも食べたんじゃないのと言いたいくらい、化け物そのものです。

主人公は、甲賀忍者のリーダーですが、こちらは、敵が殺意を持って襲ってきた時に、相手の目を見ると、敵はその殺意が跳ね返って自分で自分を殺してしまうという、自らの手を汚さずに敵を抹殺できるという瞳術という技が必殺技。
この辺りは、まだまだ人間っぽいですが、手足がなく、蛇のようにお腹の筋力で、高速で地を這うように移動し、お腹にしまいこんだ槍を、口から出して敵を串刺しにする技を持つ忍者や、地面や壁に溶け込んで移動できる忍術を持つ者、なめくじに姿を変える者、首を切り落とされても、傷口をくっつけ生き返る能力を持つ者など、奇人怪人のオンパレードで、キャラクター達の能力だけ見れば「忍者版ワンピース」といった趣でしょうか。

この超絶至極の能力(?)を持った忍者達が死闘を繰り広げるという展開ですが、その中に、様々な人間模様-その多くは恋愛関係ですが-織り込まれていきます。
甲賀忍者のリーダー(男)と、伊賀忍者のリーダー(女)も婚約していたのですが、この戦いが起こったことにより、否応無しに、殺し合いをしなければならなくなるという、なかなか複雑な人間模様が展開します。

忍者漫画は、人間関係と使命の対立という問題がテーマになることも多く、あの「忍者ハットリ君」でさえ、ケムマキ君はその問題に苦しめられ(?)たりするわけですから、いわば、忍者漫画の永遠の課題と言っても過言ではありません。

本作でも、このテーマを抜きには語れないわけですが、主人公とヒロイン(甲賀、伊賀のそれぞれのリーダー)の関係を除くと、使命重視に比重が置かれていて、結構ドライに殺し合いが続けられていくのが本作の特徴と言えます。

まずは、甲賀・伊賀の間には400年来の宿怨が存在していて、今回の将軍候補選びのための戦いは、お互いを殺す良い口実だと嬉々としている姿がまず第一にあり、その後に、少し、人間らしい感情もにじみ出てくるといった具合。
その点で言うと、本作の見所は、化け物のような奇怪な能力を持った忍者達が、どのような方法で相手を倒し、そして倒されるのか、まさに格闘技やコロシアムでの戦いを観るような楽しみ方を味わう点ではないでしょうか。

戦いの始めは、不意を突かれた甲賀側が劣勢に立ち、多くのメンバーがあっさり倒されていってしまいます。ようやく、体勢を立て直した甲賀側が反撃に出て後半五分五分まで追いつくという、まさにデッドヒート、接戦が展開されていきます。

なめくじに変身する能力を持つ忍者が最後の方まで生き残るなど、意外と見た目しょぼい能力の者が生き延びたりして、なかなか予想外の展開も面白いところでした。
個人的には、「地虫」という名の、手足のない忍者を応援していたのですが、意外とあっさり殺られてしまったのは残念なところ。

こんな感じで、自分のお気に入りの忍者の生き様、死に様を楽しむのが醍醐味の作品でしょう。

そして、最後は、生き残った二人、主人公とヒロイン-甲賀・伊賀のそれぞれのリーダーが戦うことになります。
愛する相手を殺すことはできず、二人とも自決するという結末で物悲しい終わりになりますが、個人的には、一層のこと徳川家に叛旗を翻して二人で戦って欲しいところでした。
しかし、その展開だと、ほぼ人間を寄せ付けない能力を持つ忍者なので、徳川幕府は転覆させられてしまい話にはならないだろうから、難しいか・・・。

この作品の一番悲しいところは、普通の人間を寄せ付けない超絶した能力を持っていながら、賭け事のコマのような最低の扱いを受けていても、それに逆らわず従ってしまう忍者達の悲しい性にあるでしょうか。

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[ 2014/09/21 00:00 ] 冒険・活劇 | TrackBack(0) | Comment(0)

【漫画:冒険】 水木しげる妖怪傑作選 3 縄文少年ヨギ

【評価】★★☆☆☆

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著者:水木しげる
出版:中央公論新社


本書は、縄文時代に生きる少年ヨギの短編ストーリー16編に、「天国」「河童膏」「合格」「偶然の神秘」「化木人のなぞ」の5編の短編で構成されています。

「縄文少年ヨギ」では、ヨギの暮らすどんぐり村が、飢饉や疫病、他部族や人喰い人種との戦い、そして、人外魔境-神やら妖怪などとの関わりの中で厳しい環境にある中、ヨギが縄文時代における生活を生き抜いていくストーリーとなっています。

その中でも笑ってしまったのが「なまこ」に関する話。
「なまこ」料理が出てきたり、「なまこ」の話題があがると、日本人であれば、ほぼ確実に、「『なまこ』を最初に食べた人って勇気があるよねー。」とか、「『なまこ』を人類で初めて食べた人って、一体どんな人なんだろうね」という発言をするかと思いますが、水木先生も、やっぱり、同様のメンタリティを持っていたようです。

「縄文少年ヨギ」の一編の中に、ヨギが敵対する部族に捕まり、神への生け贄にされそうになるという話が出てきます。
神に生け贄にする場合に、食べられるかどうか判断がつかない物を、生け贄に食べさせる(要は、毒味実験みたいなもの)という儀式があり、ヨギは、その儀式で、『なまこ』を食べさせられます。
食べてみたところ、普通に食べることができ、しかも味も結構いけているということが分かり、それ以降、人類は『なまこ』を食べるようになったのだ・・・こんなトリビア(?)が「縄文少年ヨギ」に出てきます。

漫画「魁!男塾」で武術などの由来を「民明書房刊『中国武術大全』によれば、ゴルフはイギリス発祥との説が有力であるが、実は、古来の中国、五竜府において行われた××に端を発し・・・そこから五竜府(ごりゅうふ)が語源となりゴルフとなったのだ。」といった類いのインチキ豆知識を作中でやっていましたが、それを彷彿とさせ、思わず笑ってしまいました。

やはり、水木先生も、『なまこ』を人類で初めて食したのは誰か、気になって仕方なかったのでしょうか(笑)。

こんな感じで(?)、「縄文少年ヨギ」は飄々とした展開で、飢饉で村人が全滅しそうになったり、ヨギの家族や友人が、様々な出来事で続々と死んでいったり、はたまた、飢えを凌ぐため、人肉を食する話がでてきたりと、普通に考えると、かなり悲惨な縄文生活にもかかわらず、ドライというか、そういう生活全てを受入れ達観した雰囲気が全編通して漂うのが印象的な作品です。

どことなく、水木先生の戦争体験を通じて得た達観した思想などが漫画に通っている気がします。
本書の中にある一編「偶然の神秘」では、様々な著名人や事件、自分の境遇などを引き合いに出しながら、偶然の不思議さを語る内容になっているのですが、その中で、赤穂浪士(忠臣蔵)の四十七士について次のように評しています。

切れやすい殿様(浅野内匠頭のこと)を上司にもったが故に、仇討ちなどという行為をせざる得なくなり、最後は斬首の憂き目に遭い、得た物といえば多少有名になっただけという、トータルすれば割の合わない話で、四十七士は、偶然のいたずらから気の毒な運命になってしまった。そもそも、いくら死後、名前が残ったからといっても、1万年も経てば忘れ去られてしまうので、名が残るなんてほとんど意味が無いのだ。

中国の故事なんかで、「虎は死して皮を残し、人は死して名を残す」とあるように、後世に名を残すことって、すごく名誉なことという考え方もあるわけですが、水木先生にかかれば、「1万年もすれば、そんなもん忘れ去られてしまうんだから、意味ないじゃん」という、ある意味、妖怪的な時間感覚(?)なところが、さすがという気がします。

「縄文少年ヨギ」にも、人の営みの儚さ、生死の偶然性、一瞬々々を生きていくことの重要さ、そんな思潮が根底にあるのかなと、「偶然の神秘」という作品を通じて感じることができます。

本書の中で、もう一つ印象に残った作品は、「天国」でした。
こちらも縄文時代が舞台となっており、ある村に、突然神が出現し、神に土を食べさせると、土器や石器など様々な道具を排出してくれることから、村人達は、こぞって神に土を食べさせ、様々な便利な道具を手にするようになります。
村人達は、この神を「ブンメイ」と名付け、崇め奉るのですが、いつしか、「ブンメイ」は空腹になると暴れて村を壊し始めるので、村人達は、「ブンメイ」が暴れないように、土を掘る労働に長時間割かれるになってしまいます。
最初は、便利な道具を得て豊になったことから、「ブンメイ」をありがたがっていた村人達ですが、便利な道具を得るために、長時間労働をしなくてはならなくなり、昔の気ままな生活ができなくなったことに不満を感じ始め、最後は、「ブンメイ」から逃れるため、村人達は村を捨て去ってしまうという話。
この話では、ストーリーテーラー的な存在の主人公がいますが、「ブンメイ」により物質的に豊になるものの、時間やその他のことが犠牲になる生活は「天国」にはほど遠いが、以前の「ブンメイ」が無く、ネズミを丸かじりするような生活が「天国」に近いとは言い難いとして、更なる「天国」を求めて旅を続けるというところで、話は終わります。

つい先頃、経済的豊かさだけを尺度にするのではなく、ブータンで取り入れられているような幸福指数のようなものも考えるべきなんて議論が流行りましたが、物質的豊かさと精神的豊かさの関係は、難しいものがあるなぁと思いました。

ブータンでも、以前は、鎖国に近い状態で国外からの情報というのはほとんど入ってこなかったそうですが、その時代(といっても10年くらい前の話ですが)の国民の満足度・幸福度は、相当高かったそうですが、鎖国をやめ、インターネットなどが解禁され、様々な情報が手に入るようになると、現状への飽き足りなさや不満などがブータンでも(特に若い人たちの間で)高まったということがあるようです。

物質的豊かさって、一面では人の欲求を満足してくれる一方、更なる欲求を刺激することにもつながるのだと思います。
知らなければそこで満足できたものの、知ってしまうと、現状では満足できなくなる、この難しさが、人類の永遠の課題なのかもしれません。

さて、本作、漫画自体としては、すごく面白いというものでもない気がしますが、水木ワールドを味わうにはよい作品かと思います。
水木ワールドに浸ってみたい人は手に取ってみて損はないかと思います。

[ 2013/11/01 22:32 ] 冒険・活劇 | TrackBack(0) | Comment(0)
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kappa1973

Author:kappa1973
 
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★★★★☆:良い作品!
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