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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【洋画:脱獄物】 大脱走

【評価】★★★☆☆

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2013年/アメリカ
監督:ミカエル・ハフストローム
主演:シルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー


DVDの予告を見て、「スタローンが、頭脳戦系の映画をやるのかぁ。これは珍しいなぁ(失礼)」と思い、興味をひかれ、早速レンタルしてみました。

【ストーリー】
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主人公ブレスリンは、刑務所に受刑者として潜入し脱獄をすることで、刑務所のセキュリティーの欠陥を見つけ出すコンサルタントを行っている。
ある日、CIAから、CIAが管理する秘密刑務所のセキュリティーチェックの仕事を依頼され、秘密刑務所に、受刑者として潜入することにする。
しかし、この依頼は陰謀で、ブレスリンを秘密刑務所にそのまま閉じ込めてしまうことが目的だった。
ブレスリンは、刑務所の囚人の一人と協力して、この秘密刑務所からの脱走を試みる。
刑務所は、大型タンカーの中に作られ、沖合何十kmのところに浮かんでいるため、脱走不可能に思われたが、外部とのコンタクトにも成功し、タンカーの船上に脱出した後、外部から駆け付けたヘリに救助され脱出に成功するのだった(完)。

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シルヴェスター・スタローン主演映画なのだなと思って見ましたが、実は、シルヴェスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの2大スター共演という作品でした。

2大スターが共演(最近は、「エクスペンタブルズ」とか、共演作品をよく見かけるわけですが)というのも驚きながら、最大の驚きは、自分が、映画を見終るまで、シュワちゃんが出演していたことに全く気付かなかったことでしょうか・・・。
シュワちゃんも年をとって、ターミネーターの頃とは面影がだいぶ違うし、本作ではひげが生えてていつもと風貌が違ったし・・・等々、言い訳をしてみるものの、要は、私の人の顔を認知する能力が極端に低いことが主な原因でしょう。

そういえば、普段でも、毎日顔を合わせている知り合いがマスクしているだけで、その人だと気付かなかったり、写真を見て実物を見極めることが極端に苦手だったりするので、この映画を見て、改めて自分の人の顔を認知する能力の低さを再認識したのでした・・・。

さて、映画の方は、刑務所脱獄物ということで、頭脳戦バリバリの作品かなと思って見ましたが、さすがに、スタローン×シュワルツェネッガーコンビで、その展開はありえず、頭脳より、筋肉を使ってのアクション映画といった趣でした。

脱獄物ということで、頭脳戦を期待して見たところではありますが、その観点からは、物足りない内容ではありましたが、気楽なアクション娯楽作品としては楽しめるものでした。

映画冒頭では、主人公のブレスリンが、刑務所のセキュリティーチェックをするため、収監された刑務所を脱獄するシーンから始まります。
パスワードでドアを電子ロックする牢獄から脱出する展開で、パスワード入力をするボタンは、牢獄の外側にあるものの、食事を出し入れするため扉に設けられた搬出口を使って、牢獄内から外に手を伸ばすと、パスワード入力ボタンに簡単に手が届いてしまうという、「そんなバカな!」という構造になっています。

そのため、パスワード情報を密かに盗み取ったブレスリンは、牢獄内から手を伸ばしてパスワードを入力して簡単に扉を開けて脱獄成功!

さすがに、その構造は杜撰すぎるだろ(笑)、という唖然とする構造の牢獄ですが、現実の事件を振り返ってみると、案外、こういった間抜けな仕組みになっていたり、常識的にどうしてこんな設計に!?ということは、結構あるので、映画自体はご都合主義的な面は否めないものの、意外と現実に近い部分があるのかもしれません。

例えば、福島第一原発の事故でも、非常用電源の置き場所が、津波が来たら一発で使えなくなることが誰にでもわかりそうな地下に置かれていたなんていう事例もありましたし、後で振り返れば、少し考えれば分かりそうなものなのに・・・といったことは、よくあることなのかも。

その後、ブレスリンは、CIAの秘密刑務所に閉じ込められ、そこから脱出を図るという展開になります。

ブレスリンは、刑務所に収監されていた一人の囚人と仲良くなり(この役がシュワちゃんでした)、彼と協力して脱獄計画を練るわけです。
刑務所の構造をくまなく観察したブレスリンは、一つの計画を思いつきます。
それは、独房の床下に通気路が通っていることに気が付き、床の板を外して通気路を通って、刑務所を脱獄するという方法。

ブレスリン:「床下に通気路があるから、そこを通って脱出すればいい。
この刑務所は洞窟みたいな地下に造られた施設だと思う。通気路は、垂直に上につながっているので、垂直になった通気路を上っていけば、外に出られるはず。」

・・・さすが、スタローン&シュワルツェネッガーコンビ。
脱出計画が、「垂直の壁を上って逃げればいい」とさらっと述べるあたり、筋肉至上主義の面目躍如です(笑)。
普通の人だったら、垂直の壁を上って逃げるという発想は浮かんでこないだろうなぁ。

しかし、この一見荒唐無稽な作戦、実は、日本でも、戦後の脱獄王と呼ばれた白鳥由栄も、牢獄の壁をヤモリのように上って天井から逃げたなんていう実話もありますから(吉村昭氏の「破獄」に脱獄の方法は詳しく載っています)、あながち、荒唐無稽ではないかもしれません。

ちなみに、本映画では、垂直の通気路の壁に、梯子が付いていたり、手をかけたりできる突起がきちんとあったので、どうやって、垂直の通気路を上っていくんだ!?という心配は杞憂でした。

通気路を上って、上まで出てみたものの、実はこの刑務所、大型タンカーの中に作られていて、沖合数十kmのところに浮かんでおり、通気路を伝って牢獄の外に出てみてもそれ以上の脱出は不可能という状況なのでした。

この後は、外部と連絡を取って、救助のためヘリを寄越してもらい、それに乗って脱出ということになります。
そして、この脱出劇の一幕は、刑務所の看守とスタローン&シュワルツェネッガーコンビのドンパチ銃撃戦という、お決まりの展開。

数限りなくいる看守達も、ランボー&ターミネータという映画史上最強コンビには敵うはずもなく、あまつさえ船を爆破され(沈没は免れたようで、最後にきちんと航行している刑務所船の映像も出てきます)、すっきり爽快な結末。

お二方、もう70近い年齢のようですが、年を感じさせない活躍で、無心に楽しみたいという人には打ってつけの映画といえるのではないでしょうか。


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【洋画:冒険】 サンクタム

【評価】★★★☆☆

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2011年/アメリカ
監督:アリスター・グリアソン
主演:リチャード・ロクスバーグ、リース・ウェイクフィールド


TSUTAYAで、「店員お薦め、夏のDVD」というコーナーで置いてあった作品。
こういう人がお薦めする作品といった特集は、結構いいなぁと思います。
なかなか、自分で探しているだけでは目に付かない作品もあるので、お薦めに従って借りてみることに。
なお、本作品は、ジェームズ・キャメロンの仕事仲間であるアンドリュー・ワイトの実体験にインスピレーションを得て作られた作品ということです(実話というよりは、実話を元にした創作といったところのようです)。

【ストーリー】
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探検家フランク・マクガイア率いる探検隊は、パプアニューギニアの密林地帯にある、垂直降下する巨大洞窟の探検を、最新鋭機器を用いて実施していた。
しかし、ハリケーンが直撃し、洞窟は水没の危機に瀕し、更に、出入り口途中の通路が落石でふさがり、マクガイア一行は閉じ込められてしまう。
そのままでは、水没で死ぬことになるため、マクガイアたちは、洞窟の先に進み、海に通じる出口を探すことになるのだった。
しかし、途中で、経験不足の隊員の死亡、洞窟内の水路をダイビング機器を使って潜る最中、潜水病にかかって脱落して死亡する隊員が出るなど、脱出は苛酷を極める。
そして、探検隊を率いるマグガイア自身も大怪我をし動けなくなってしまう。
マクガイアは、息子ジョシュに、自分を殺し先に進むように依頼する。
ジョシュは、マクガイアを水に沈め苦しみから解き放つと、ついに生き残り一人となったジョシュは先に進むのだった。そして、海への脱出口を発見、生還を果たすのだった(完)。

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ハイテク機器を使って垂直降下型の巨大洞窟を探検するところから映画は始まります。
探検の中心となる人物は、伝説的な冒険家フランク・マクガイア。
マクガイアの息子ジョシュも探検に加わっていますが、冒険以外のことを省みない父親に反感を抱きつつも、父親に認められたいという思いを密かに抱くジョシュと、常に厳しい姿勢で臨むマクガイアとの間には確執が生じているという設定になっています。

この後、トラブルにより、洞窟の入り口がふさがれ、中に閉じ込められた探検隊の一員は出口を探して洞窟の奥に進むわけですが、数々の困難に直面し乗り越えていく中で、マクガイアとジョシュの確執が徐々に解けていくという展開。

しかし、この洞窟とてつもなく大きいです。なにせ、入り口から奥に降りるとき、パラシュートを使って飛び降りたりするくらいです。
そして、実際、ロケは、本物の洞窟内で行われたようですが、本物だけあって、なかなかの壮観さがあります。

ジョシュは、洞窟探検に対して、父親から強制されて参加させられ続けたという経緯があることから、あまり好意的にとらえておらず、「洞窟探検する人間はみんな、洞窟内のこの大岩は、自分が初めて見つけたんだ、みたいなことで自慢したりするが、そんな岩、どこにでもゴロゴロ転がっているし、世間一般から見たら、そんな岩なんてどうでもいいんだ」なんてコメントします。

一方、マクガイアはなぜ洞窟探検に魅かれ続けたかという理由を「洞窟探検をしている時だけが、素の自分自身と向き合えるんだ。洞窟は自分にとっての教会、聖堂のようなものだ」と述べています。

ジョシュの気持ちもマクガイアの言っていることも、少し分かる気がします。
ジョシュの言うことはまさにその通りで、日常で、自然の風景の壮観さに感動することはあっても、巨石をいちいち区別して特殊な感情を持つなんてことはないだろうなと思います。
観光ルート化されている鍾乳洞に入ると、鍾乳洞内の鍾乳石に「大仏石」とかその姿・形に見立ててネーミングしてあったりしますが、「へー」とか「確かに似てるかな」なんて感想はいだいても、単なる好奇心やジョークの範囲内での感想で、それほど思い入れを抱くことはないので、巨石に特殊な感情を持つのって、かなりマニアな気がします。

一方、マクガイアの言うことも分かるというのは、以前、福島県田村市にある「入水鍾乳洞」に色々な因果で一人で探索(?)することになったのですが、その時の印象が強烈に残っていて、マクガイアの言いたいことが少し理解できる気がします。

「入水鍾乳洞」は、普通の観光型の鍾乳洞とは違い、ろうそく一本もたされて、細い穴を潜り抜けたり、水に浸りながら奥に進むという、結構本格的な鍾乳洞です。
3人で行ったのですが、一人はろうそくを持ってかなり狭いところを潜り抜けるという話を入り口で聞いた途端、「閉所恐怖症だから」という理由で脱落、もう一人は、洞窟に入った直後、洞窟の底を流れる冷たい水に足を浸した瞬間、「こんな冷たい水に漬かりながら、40分以上洞窟内を歩くのは無理」といって脱落し、結局、一人で奥に向かうことに。

誰一人いない洞窟内をろうそくの明かり一本で(一応、洞窟内はところどころに明かりが設置されていますが)、冷たい水と、狭い穴を時にはいつくばって進んだりするので、恐怖心やすごく心細い思いをしたことが強く印象に残っています。
ただ、洞窟の底を流れる水の音だけしかせず、ただ奥に向かうことだけに集中していると、世俗のことは一切忘れ、無の境地とまではいきませんが、不思議な感覚にとらわれたことも覚えています。

マクガイアの言う「素の自分自身に向き合える」というのは、こういう心境に近いのだろうなぁと思います。

ちなみに、洞窟の奥には奇岩があって「カボチャ石」と名づけられていましたが、石に思い入れを持つというのは洞窟探険家の特有の性質なのかも(笑)。
なお、入水鍾乳洞は、一般観光のAコース、ろうそくを持って進むBコース(カボチャ石のところまで)、専門のガイドをつけてカボチャ石の更に奥に進むCコースがあり、私が行ったのはBコースまででしたが、Cコースはさらにハードな内容で、Cコースを探索してみると、更なる境地が開けるかもしれません。

さて、映画は、入り口をふさがれ洞窟内に閉じ込められたマクガイア一行が出口を見つけて奥に進みますが、一人また一人と落命していきます。
この展開は、なかなかシビアで、大怪我をして動けなくなったメンバーを連れて行くことができず、かと言ってそのまま放置しておくと、数時間後に、洞窟内が水没するので溺死してしまうことになるので、マクガイアが、仲間を安楽死させるというくだりが出てきます。

現実で、そのような事態に直面したら、仲間を殺すなんてことまではしないだろうなと思いますが、探検というのは命をかけているので、時としては厳しい決断に直面せざる得ないということなのでしょう。
ただ、その安楽死の方法が、死に瀕している仲間を、水に漬けて溺死させるという方法。
・・・一説では、溺死がもっとも苦しい死に方らしいと言われているので、全然、安楽死じゃないし(苦笑)。
この方法なら、仲間を放置して、数時間後に水没する洞窟内で溺死するのとなんら変わるところがないんじゃないか、と思わずツッコんでしまいました。

洞窟内を進むうちに、水没した通路をダイビングでくぐり抜けていかなければならない場面が出てくるのですが、マクガイアは、ダイビング経験のない女性に対し、「君は、最後尾を泳いでくるんだ。もし、君が最後尾でない場合、君がパニックを起こし通路で引っかかってしまえば、その後に続く者も通路を通り抜けられず死ぬことになってしまう。だから、君は最後尾でなければならない」と言い放ちます。

かなりきつい言葉ですが、これはなかなか難しい問題です。
マクガイアの言葉は、要は、「生き残る可能性の高い者を優先する」ということに等しいわけですが、マクガイアが探検隊のリーダーとしてメンバー全員を生還させる責務を負っていることを考えると、この考え方は果たして正しいのかどうなのか・・・。

一応、映画の中では、メンバーは、命を落とすリスクを覚悟の上で参加した探検家達なので、そのリスクを受け入れる責務を負っているという観点から、マクガイアの言葉は正当化されるという理由付けになっているようです。

その意味では、先日、韓国で起こった旅客船の沈没のような場面では、マクガイアの選択は非難されることになるでしょうし、場面や状況で大きく変わり得る発言と言えるでしょう。

そんなこんなで、メンバーはドンドン脱落し、ついには、マクガイアと息子ジョシュの二人のみに。
しかし、マクガイア自身も大怪我を負ってしまい、息子ジョシュに自らを安楽死(と称する溺死)させ、洞窟からの生還を息子ジョシュに託すのでした。

ジョシュは、その後、一人でピンチを切り抜け洞窟から無事生還を果たします。
この脱出劇を通じて、ジョシュは父親との確執が解消し、冒険家としての父親の偉大さを理解するに至るという結末。

脱出後のジョシュのその後は描かれていませんが、父親を自らの手で殺すなど、過酷な体験を強いられたジョシュが、果たして、岩好きマニアに変貌し、父亡き後も、洞窟探検を続けていくのか、非常に興味深いところです(自分だったら、こりごりかな・・・)。

いずれにしても、石や岩が大好きという人は、冒険家に向いているみたいです。

【洋画:冒険】 シャーロック・ホームズ シャドウゲーム

【評価】★★★☆☆

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2011年/アメリカ・イギリス
監督:ガイ・リッチー
主演:ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ


前作の「シャーロック・ホームズ」がかなり面白かったので、観たいと思いつつ、なかなか観ることができていませんでしたが、ようやくDVDをレンタル。
しかし、前作は、だいぶ昔に観たので、「面白かった」という印象は残っているものの、内容はすっかり忘れてしまっているのでした(苦笑)。

【ストーリー】
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各国の関係が悪化し、戦争のきな臭さが漂う欧州。
そんなきな臭さを受けて、欧州では爆弾テロが横行していた。
ホームズは、その爆弾テロについて調査を進めていたが、宿敵モリアーティー教授が裏で糸を引いていることを掴んだのだった。
モリアーティー教授は、軍需産業を手に入れるため、爆弾テロに見せかけて、邪魔となる人物を暗殺し、また、この爆弾テロを引き金に欧州での戦争を引き起こそうと画策していた。
そして、計画どおり軍需産業の多くを手に入れたモリアーティー教授は、世界大戦を引き起こすべく、欧州各国の首脳が集まる外交会議の場で、要人暗殺を計画する。
ホームズは、この計画を寸前で阻止するものの、モリアーティー教授と格闘になり、二人とも組み合ったまま、滝壺に落下してしまうのだった(完)。

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名探偵ホームズと、助手のワトソンが、派手な立ち回りでアクションをするという、異色のホームズ物語の第二弾です。

映画の出だしは、欧州で頻発している爆弾テロについて、ホームズが調査を開始しするところから。
そして、爆弾テロの真相を掴むために、あちこちでホームズが危険な目にあいながら、派手な立ち回りで切り抜けていくという展開。

アクションシーンでは、ホームズが事前に敵と自分の動きを脳内でシミュレートし、勝ち目がある作戦を、そのとおりホームズが実行するという、頭脳派と肉体派の両面を上手く表現する、面白いシーンとなっています。
また、アクションもテンポが良いので、小気味よく映画を観ることができます。

そして、本作のもう一つの楽しみは、ホームズと助手ワトソンの掛け合いでしょうか。
ホームズは、薬物中毒だったり、部屋を訪れる人を弓矢の的(おもちゃですが)にしたりと、奇人変人っぷりを発揮しますが、一方のワトソンは一見、常識人に見えるものの、酒と博打で失態癖がある設定で、奇人変人ホームズと、見せかけ常識人ワトソンが引き起こすハチャメチャな展開は、ユーモアたっぷりです。
また、ホームズがワトソンに寄せる同性愛にも近い友情と、ホームズの奇人ぶりにかき回されつつも、ホームズを捨ててはおけないワトソンの友情も、傍目には奇妙ですが、男同士の友情の楽しさを感じさせてくれます。

一方で、話の展開が早すぎるせいか、ホームズが何を目的で動いているのかなどが、かなり分かりづらく、少々ごちゃごちゃしたストーリーになっているのが難点。
話が進むと、ホームズの行動の意味なども理解できるものの、それは後で振り返ると分かるという仕掛であり、リアルタイムで意味を理解しながら映画を観られる訳ではないので、どうしても、謎解き部分は理解不十分なまま、アクションだけを楽しむ・・・そんな展開になってしまいました。

さて、映画では、頭脳面というよりは、旺盛な行動力のたまもので、宿敵モリアーティー教授の陰謀を掴むホームズ。
とは言いつつも、どちらかというとモリアーティー教授の方が一枚上手のような展開で、ホームズが窮地に陥り、派手なアクションでなんとか切り抜けるという、本作品ならではの肉体派ホームズの面目躍如という展開。

そしてクライマックスは、世界大戦を引き起こそうと、欧州各国首脳が集まる外交会議で、要人暗殺を実行しようとするモリアーティー教授と、それを阻止しようとするホームズの直接対決です。
モリアーティー教授は、直接、暗殺の下手人となるのではなく、配下の犯罪者を使って実行しようとするのですが、これをホームズが、ワトソンや他の協力者を使って阻止しようとします。

ここでは、モリアーティー教授とホームズが、チェスを指しながら、チェスの手と、現実の攻防(こちらは、モリアーティー教授の下手人と、ワトソン達の戦いですが、彼らをチェスの駒に見立てながら)リンクさせ表現しています。
お互いが差し手を言いながら、攻防の火花を散らすモリアーティー教授とホームズの姿は、高度な頭脳戦を演じている雰囲気たっぷりですが、残念ながら、チェスはルールが分かる程度の知識しかないので、チェス盤から、どれだけすごい攻防が繰り広げられてるかは知ることはできませんでした(笑)。

小説や漫画でも、麻雀や将棋、囲碁などを扱っている作品が結構ありますが、それらも、普通は、小説や漫画で描かれている対局そのものを楽しむというよりは、差し手の心理状況などを楽しむということが主眼に置かれているので、本作でも、チェスの手の意味合いを楽しむ必要はないのかもしれません。

とは言いつつ、意味が分かっていないで楽しんでいるような、一種の後ろめたさを感じなくもないかな・・・。

なにはともあれ、激しい攻防の結果(ワトソンの活躍のおかげですが)、要人暗殺計画の阻止に成功するホームズ。
しかし、モリアーティー教授とホームズは二人きりで対峙していたため、モリアーティー教授は最後の悪あがきとして、ホームズを殺し、事件を闇に葬ろうと考えます。

そこで、ホームズが、またも、モリアーティー教授と格闘をした場合、結果がどうなるかを脳内シミュレートしだします。
何パターンものシミュレートをしてみるものの、ホームズが怪我をしていることもあり、どうにも勝ち目がなさそう・・・。

モリアーティー教授も、ホームズに勝ち目がないことを分かっており、ホームズが頭の中でシミュレートをする姿を眺めながら、自身の勝利を確信し傲慢な笑みを浮かべています。

そこで、窮地に陥ったホームズが取ったのは、モリアーティー教授に組み付き、そのまま、二人とも窓の下の滝壺に飛び込み、相打ち(二人とも死ぬ)という戦法。
これにより、ホームズが犠牲になり、稀代の犯罪王モリアーティー教授をこの世から葬りさった・・・ということになります。

モリアーティー教授とホームズが滝壺に転落するという展開は、シャーロック・ホームズシリーズの小説「最後の事件」そのまんまの展開。
モリアーティー教授の最後が、予想外に原作に忠実だったことに驚きましたが、昔、シャーロック・ホームズシリーズを熱心に読んでいた頃を思い出し、ちょっと懐かしい気分になりました。

この最後のモリアーティー教授とホームズの格闘場面、なぜか先日の第2回電王戦(コンピュータと棋士との団体戦)を思い出してしまいました。
たぶん、その前の場面で、チェスが出てきたせいもあるのかもしれませんが。

第2回電王戦の第4局では、塚田九段と、コンピュータ「Puella α」が対局をしましたが、コンピュータ優勢の状況下で、勝ち目がなくなった塚田九段が、事実上負けの局面から寝粘りに粘って、「入玉」という方法(自分の王を敵陣にまで入れてしまうこと)で、引き分けに持ち込みました。

【日刊SPA!記事】※第4局の概要
第4局観戦記1:http://nikkan-spa.jp/424174
第4局観戦記2:http://nikkan-spa.jp/424175
第4局観戦記3:http://nikkan-spa.jp/424176

電王戦第4局の内容を知った時には、塚田九段の精神力に脱帽する思いだったのですが、本作のモリアーティー教授とホームズの最後の格闘も、ホームズが、考えに考えた末、モリアーティー教授が予想だにしなかった方法で、相打ちに持ち込んだというのは、第4局の塚田九段の粘りや決断を感じさせます。

第4局の将棋は、シナリオのないドラマとしての面白さがありましたが、本作でのモリアーティー教授とホームズの最後の戦いが、このシナリオのないドラマと酷似した(とまでは言い過ぎですが)展開になったのは面白いと感じた点でした。

【洋画:冒険】 シャーロック・ホームズvsモンスター

【評価】★★★☆☆

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2009年/アメリカ
監督:レイチェル・ゴールデンバーグ
主演:ベン・サイダー、ギャレス・デヴィッド=ロイド


私:「『シャーロック・ホームズ』、借りてきたよ!」

妻:「えっ!? ジュード・ロウの続編? 見る見る!」

と勝手に誤解させたまま、視聴開始です。どの時点で誤解に気づくことになるでしょうか・・・。
(妻が想像したのは、「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」です。)

【ストーリー】
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財宝を積んだイギリスの船が、巨大な未知の海洋生物に襲われて沈没するという事件が発生。
シャーロック・ホームズは、この事件解明のため、調査に乗り出す。
そして、調査を進めていくうちに、古代の恐竜までも出現、ホームズはその恐竜に襲われるはめになる。
しかし、未知の海洋生物や恐竜は、本物の生き物では無く、機械仕掛けのロボットであることを突き止めるが、その首謀者は、ホームズの兄であった。
ホームズの兄は、私怨からロボットを使って、ロンドンを破壊しようともくろんでいた。
ホームズの兄が、ロボットのドラゴンに乗ってロンドンの襲撃を開始するが、ホームズは、武装した気球に乗って、ドラゴンを迎撃し、見事、ロンドンが破壊されるのを阻止する(完)

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本作、シャーロック・ホームズの原作本にはない、完全な創作ストーリーです。
映画の出だしは、イギリスの船が、タコのような怪物に襲われるシーンから。
この辺りは、なかなか良さそうな雰囲気で、ちょっと話が期待できそうです。

そして、その後は、ホームズの相棒ワトソン博士とホームズが登場です。
ホームズ、ドラマ「リーガルハイ」の堺雅人みたいな外見の、ちびっ子キャラです。
ホームズといえば、痩身で背が高いイメージですが、それを覆す、なかなか斬新なホームズです(笑)。

妻:「やっぱり、おかしいと思ったんだ!
   ジュード・ロウのシャーロック・ホームズじゃないじゃん!」

・・・・あっさり、ばれてしまいました、まぁ、当然か(笑)。

ホームズとワトソンの登場シーンでは、ワトソンが遺体の検死を行っているところに、ホームズが入ってきて、その死体を一目見て、死者の職業などをずばりと言い当てます。
このシーンでのホームズの推理は、原作の少々こじつけくさい大胆な推理そっくりで、ホームズらしさが出ている感じでした。

そして、早速、イギリス船の謎の沈没事件に乗り出すホームズたち。
捜査では、船の沈没現場を見るため、崖からロープで現場に下りたり、さらに登場する謎の恐竜に森で追いかけられたりと様々な目にあう訳ですが・・・・

妻:「なんかさぁ、崖をロープで下りるシーンとか、森を逃げ回るシーンとか、
   余計な部分が長々としていて、間延びしてるよね。」

確かに、妻の指摘のとおり、たいして重要ではないシーンが長い気がしなくもありません。
こういう部分を省けば、もっとテンポ良くなりそうなのに残念。

一方で、ホームズとワトソンの関係は、原作のホームズの少々勝手気ままな性格にワトソンが振り回されるという部分も、例えば、

ホームズ:「この崖をロープを使って降りよう。」

ワトソン:「ホームズ、危険過ぎるよ。ロープを使って降りるのなんて止したまえ。」

ホームズ:「わかった、君がそういうなら止めよう。では、代わりに君が降りてくれ。」

といった感じの会話などもあり、所々で、そういった部分がうまく出ている気がしました。

そして、徐々に事件の核心に迫るホームズ達。
船を襲った海洋生物も、謎の恐竜も人工物(ロボット)であることを突き止めます。

ワトソン:「なんで、海洋生物を使って船を沈めたんだい?」

ホームズ:「船に積まれた財産が狙いさ。」

ワトソン:「じゃあ、恐竜は何の目的で作ったんだ?」

ホームズ:「恐竜を使って、水道のポンプを盗み出すためさ。」

ワトソン:「そんなもの盗んでどうするつもりなんだ??」

ホームズ:「船の財産で材料を買い集め、更に、水道のポンプの動力を使って、材料と動力で、
      もっと巨大な生物を作り上げるつもりだろう。」

海洋生物とか恐竜を作れる技術力があるなら、動力も自前で作れ!という突っ込みが入りそうな展開ですが・・・。
まぁ、原作のシャーロック・ホームズも、笛の音とミルクで訓練した蛇を使って殺人事件を起こす(「まだらの紐」)なんていう突っ込みどころ満載の話もあるので、本作のこういう突っ込みどころのある展開というのは、シャーロック・ホームズらしいと言えるかもしれません(笑)。

そして、なんだかんだで、この事件の首謀者の元にまでたどり着くホームズ。
首謀者は、な、なんと、ホームズのお兄さん!

実は、ホームズのお兄さんって、原作にも登場します。
原作では、下級官吏ではあるものの、ホームズよりも頭脳に優れているため、政府内で重要な仕事をしています。ただ、ホームズのような行動力はないため、ホームズにアドバイスはするものの、自ら事件に首をつっこむということはしないという設定。

本作では、ホームズのお兄さんは、刑事だったがある事件で下半身麻痺になってしまうものの、持ち前の頭脳で、ロボットの身体を開発し自由自在に動けるようになり、さらに事件に対する恨みから、ロンドンを破壊しようと、ロボットのドラゴン(空飛びます!)を作っているという設定。

原作とは、頭脳優秀というところだけ同じなだけで、あとは真逆な設定です。たぶん、シャーロキアン(シャーロック・ホームズマニアの人)が見たら激怒しそうな設定です(笑)。

ラストは、空飛ぶドラゴンに乗る、ロンドンを破壊しようとするお兄さんと、武装気球に乗るホームズの空中戦です。
見事、ドラゴンを撃ち落とし、ホームズは、ロンドンを守ることに成功するのでした。

私:「どうだった? シャーロック・ホームズは?」

妻:「いまいち。なんなの、この無茶苦茶な内容は!!」

やっぱり、ジュード・ローのシャーロック・ホームズではなかったので、妻はおかんむりのようです(苦笑)。

私個人的な感想を述べれば、タイトルが「シャーロック・ホームズvsモンスター」という、明らかに際物的な内容を彷彿とさせるものだったため、もっとハチャメチャかなと思っていたのですが、意外にも、それなりにまとまってたなと思いました。

ただ、ホームズの時代に、空飛ぶドラゴンとかあり得ないだろう!という点は、もう目をつぶるにしても、事件自体は、あまりミステリー要素がなく、展開も、それほどアドベンチャーな感じではないので、物足りなさを感じなくもありません。
まぁ、所々で、シャーロック・ホームズらしさがあったりしたのは、面白かったかな。

おそらく、この映画、ロンドンの街にドラゴンを飛ばしたかっただけなのではないか、そんな気もします。

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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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