FC2ブログ

読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
2019 12123456789101112131415161718192021222324252627282930312020 02

【中国映画:歴史】 戦神 -ゴッド・オブ・ウォー

【評価】★★★☆☆

god_of_war.jpg
2017年/中国
監督:ゴードン・チャン
主演:チウ・マンチェク

倭寇討伐で活躍した明の武将・戚継光を題材とした作品。倭寇など、日本を題材にした中国映画とかだと、反日映画的な内容に作品も結構あり、純粋に映画を楽しめなかったりすることもありますが、果たして本作はどんなものなのでしょう。

【ストーリー】
==============================
16世紀の明の時代。倭寇の猛威と、政治の腐敗により疲弊する明王朝。若き武将・戚継光は倭寇討伐の将に抜擢される。
弱卒の明軍を徹底的に鍛え、少数精鋭の部隊を作り上げる威継光。
精鋭を3000名をもって、倭寇討伐に乗り出すが、倭寇も威継光を徹底的に叩き潰すため、2万の大軍を結集して威継光の軍に立ちはだかる。
死闘の末、倭寇の大軍を突破し、倭寇の大将を討ち取り、大勝利をおさめるのだった(完)。
==============================



【史実を元にした作品】

てっきりフィクションかと思いきや、主人公の武将・戚継光は、実在の人物だそうです。
明の時代に倭寇討伐に功績があった武将とのことで、この映画が描かれている時代は1550年から1560年頃ということで、日本は、戦国時代まっただ中、織田信長が尾張国内で苦戦している最中(有名な桶狭間の戦いは1560年のこと)という時期です。

こんな時期にも、日本は隣国の明まで赴き、海賊行為を行っていたとはびっくりですが、日本の戦乱の余波は国内だけでなく、隣国にまで迷惑をかけていたんですね。



【ライバルは松浦党】

倭寇の裏には、日本の松浦藩がいるという設定になっており、松浦藩の切れ者軍師が、倭寇の中心人物で、切れ者軍師と戚継光の戦いが見どころとなっています。
松浦藩(この時期だと松浦藩とは言わず、松浦党と呼ばれていたんだと思います)は、長崎県平戸市を中心に、海賊衆を束ねた集団で、密貿易から海賊行為まで活発に行っていた集団で、映画の設定も、史実に近い設定なのだと思います。

この松浦党、なかなかすごくて、戦国末期には、日本にやってきたポルトガルの船団と一戦交えた(しかしながら大敗北したそう・・・)なんていう経歴も持っていて、戚継光のライバルとして位置づけるには、存在十分かと思われます。



【悪妻を得た戚継光は・・・】

本作は、昨今はやりの寡勢をもって大軍を打ち破るという設定(映画「スリーハンドレッド」とか)を踏襲しており、クライマックスは、3000の兵で2万の大軍を打ち破る展開。
ただ、内容は、どことなく勢いだけで大軍を打ち破ってしまった雰囲気があり、もうちょっと一工夫有るとよかったかなぁという印象。

後は、かなり不思議だったのは、戚継光と奥さんのエピソード。
奥さんがかなり猛々しい女性で、少し帰宅が遅れただけで、お客も一緒なのに、「ご飯が冷めましたから、外で食べてください」と言って家を追い出したり、どこかに出かけようとするときに、「私の馬が用意されていない!」といきなり不機嫌になって、立ち去ろうとしたりなんていう話が出てきます。

しまいには、見かねた戚継光の部下たちが、奥さんに刃を突きつけて、戚継光に従わせるという作戦を決行しようとする(戚継光にいなされて作戦は行わずじまいですが)なんていう展開にまで行き着きます。

このエピソード、一体どういう意味があって盛り込んでるんだ・・・?と思いながら観ていたのですが、おそらく、戚継光は実在の人物なので、実際、戚継光の奥さんのこの手のエピソードがあり、有名な話なのでしょう。

映画を見ていると、謎なエピソードですが、史実を描いているとすれば、少々笑ってしまう話です。

悪妻のエピソードで知られる有名人には、哲学者のソクラテスがいますが、ソクラテスの名言(迷言?)に、「良妻を得れば幸せになれる、悪妻を得れば哲学者になれる」というものがありますが、戚継光も悪妻のおかげで名将になれたのかも??


スポンサーサイト



[ 2019/12/23 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:歴史】 忍びの国

【評価】★★★☆☆

shinobi_iga_mov.jpg
2017年/日本
監督:中村義洋
主演:大野智

こちらも以前、本で読んだ作品の映画化。
小説は、ドラゴンボールかっ!と突っ込みを入れながら読んだ覚えがあるので、映像化するには適した作品のような気がします。

【ストーリー】
==========================
時は戦国時代。織田信長の天下統一が着々と進み、伊賀の国にも信長の魔の手が忍び寄りつつあった。
伊賀を統べる上忍達は、信長に対抗すべく戦いの策を講じる。
しかし、信長と戦っても金にならないと思った下忍達は、戦いが始まると逃散してしまう。
主人公の下忍・無門もいち早く逃げ出すが、ちょっとした心境の変化から、信長の軍と戦う決意をし、他の下忍たちにも報酬を払う約束で、戦いに引き入れる。
忍者らしい神出鬼没の作戦と、普段からの鍛錬に鍛え抜かれた身体能力によって、3倍を超す信長軍を撃破することに成功する。
この敗戦に怒り心頭に達した信長は、10倍近い兵力差で攻め込み、伊賀の国を滅ぼすが、伊賀の忍者達は、国が滅んでも、生き延びて日本全国に散っていくのだった(完)。
==========================



【天正伊賀の乱】

戦国時代の信長による伊賀の国攻め-天正伊賀の乱を題材にした作品。
金、金、金でまとまりのない伊賀の忍者達が、意外な団結力で数倍に及ぶ信長の軍勢を撃破するという内容ですが、歴史的な内容というよりは、コメディーとアクションが織り混ざったような内容になっています。



【ごり押し気味の作戦】

主人公の下人・無門が小説と同様、無茶な身体能力を発揮して、信長軍の兵士達をなぎ倒すというような展開になっていきます。
なので、作戦も何もあったもんではなく、ただただごり押しで信長軍を圧倒できるので、ゲームで言うと、ちょっとした無敵状態で、その点、面白さにかけるところがあります。
忍者集団なので、奇抜な作戦やあっと驚く罠とかがあると面白かったかも。

一応、序盤、伊賀の上忍達が信長軍をだまくらかして、城を築かせた後、爆破して壊してしまうという、少々、謎な駆け引きもありましたが、城を爆破するより、乗っ取った方が効果的な気がする・・・。
小説では、もうちょっと意味のある作戦だった気がしますが、映画だとちょっと分かりづらかったかなぁ。



【お金大好き!】

ラストは、信長軍を撃破するも、上忍達の下忍を搾取する構造にも怒りの刃が向けられ、上忍ふざけんな!的な結末にもなりますが、全体的に、みんな「お金大好き!」な性格で、お金を稼ぐことに命を燃やしていますが、目先のことだけで、結局、損してない?なんて気がします。

しかし、現実の世の中にも、目先の利益に目がくらんで、結局、損をしているよね、なんていう事件はよくあるので、本作の忍者達も、現在の日本にもよくある姿なのかも。


[ 2019/09/21 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)

【アジア映画:歴史アクション】 ドラゴン・ブレイド

【評価】★★★☆☆

grgon_braid.jpg 
2016 年/中国・香港
監督:ダニエル・リー
主演:ジャッキー・チェン

歴史を下敷きにしたジャッキー・チェンのアクション映画のようなので、歴史映画好きな私としては、まずは視聴。

【ストーリー】
=======================
前漢時代。辺境のシルクロードを守備する要塞に追いやられて守備隊長フォ・アン。日々、シルクロードの安寧を守っていたが、ある日、ローマ帝国で政変によって故郷を追われた王子と将軍が、軍を率いて、フォ・アンの守備する砦までやってきた。
彼らを受け入れたフォ・アンだが、ローマ帝国から、逃亡した王子と将軍を討伐する名目で、大軍がやってきた。
ローマ帝国は、シルクロードを支配するべく、逃亡した王子を捕らえるとの名目で軍を派遣してきたのだった。
大軍の前に、フォ・アンは一蹴され、ローマ帝国から逃げて来た王子や将軍も死んでしまう。しかし、シルクロードに住む多くの部族の力を結集し、ローマ帝国の大軍への反撃を開始する。
そして、ローマ帝国軍を率いて来た皇帝とフォ・アンが一騎打ちをすることとなり、辛くもフォ・アンが勝利し、シルクロードの平安を守り抜くのだった(完)。
=======================



【歴史架空ストーリー】

中国・前漢時代を舞台にしてはいますが、特に史実に基づいた話ではなく、あくまでも創作の話。
ローマ帝国から逃亡してきた軍団と、漢の辺境を守る守備隊が協力して、シルクロード支配を目論むローマ帝国軍を撃退する、という話。
ローマ帝国(の逃亡者)と漢の守備隊長が手を組むという、一風変わった設定です。


【敵を友となせ】

ジャッキー・チェンの映画ということもあり、いつもながらにジャッキーのコミカルなアクションも楽しめる内容ですが、今回のジャッキーの役は、戦うよりも融和を理想として掲げる人物として描かれています。

「敵を友となせ」、こんな言葉を掲げて、民族や種族が違っても友となって分かり合える、といったメッセージが、映画の中で随所に出てきます。何か、ジャッキーの思いが映画に込められているのかもしれません。

他の集団を排除するような、閉鎖的な発想や発言が、日本のみならず、世界中で目立つような状況下なので、このジャッキーのメッセージは、非常に心を打たれました。



【誰が味方で、誰が敵で・・・】

こういったメッセージが込められているため、映画にはいろいろな種族が出てきて、敵味方になって入り乱れる展開となります。
ローマ帝国も敵と味方が分かれるし、漢やシルクロードで生きる部族も、敵・味方が分かれ、同じ民族でも敵・味方に分かれたりするため、誰が敵で、誰が味方だっけ?というのが分かりにくいのが、本作品の難点。

この人達、味方だなぁと思って観ていたら、実は敵だったなんていう、観る側の読解力不足に起因するかもしれませんが、観ていて、そんなことに陥ることが結構あったので、気を抜いてみていると、よく分からなくなるかも。

その点で言うと、込められたメッセージには共感は覚えるものの、映画自体の出来としては、もうちょっとわかりやすく、整理されていると良かったのかもしれません。


[ 2018/11/06 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)

【韓国映画:歴史】 バトル・オーシャン -海上決戦

【評価】★★★★☆

battle_ocean.jpg
2014年/韓国
監督:キム・ハンミン
主演:チェ・ミンシク


ちょっと歴史物っぽいけど、歴史ファンタジーっぽい作品かなと、ジャケットの説明を読んで思ったところですが、気になったのでレンタル。
てっきり、倭寇と朝鮮軍の海賊バトルみたいな感じの話かと思ったら、そうではなく、れっきとした歴史物。
豊臣秀吉の朝鮮出兵(慶長の役)における鳴梁海戦をテーマにした作品だったのでした。

【ストーリー】
=======================

1597年、豊臣秀吉は第二次朝鮮出兵を開始。
朝鮮軍は、日本軍に圧倒され危機的状況にあった。さらに、日本軍の圧倒的な水軍を前に、わずか12隻しかいない朝鮮水軍を率いて李舜臣は、立ち向かわなければならないのだった。
李舜臣は、地形、海流様々な要因を考慮して、戦場を決定し、世に名高い鳴梁海戦が幕を切る。
日本軍は、来島通総が陣頭指揮をとり、総勢200隻の軍船で押し寄せる。
李舜臣の軍船は12隻だが、李舜臣の乗る軍船以外は、恐れをなし撤収し、李舜臣の乗る船1隻で戦う状況となる。
地の利を生かし持ちこたえるものの、多勢に無勢で絶体絶命となり李舜臣の軍だったが、待ちに待った潮流の変化と渦潮の発生で、形勢を逆転させることに成功する。
さらに、李舜臣の奮迅を見た味方軍船が戦場に引き換えし、ついには、来島通総を討ち取り、日本海軍を撤退させることに成功するのだった(完)。

=======================

さてさて、何の話かと思いきや、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、朝鮮側で水軍を率いて活躍した李舜臣のお話でした。

その中でも、鳴梁海戦という、李舜臣の水軍12隻に、日本軍200隻という圧倒的不利な状況を覆した戦いが描かれています。
一昔流行った、映画「300」のように、少数で大軍を撃破する系ですな。

調べてみると、実際、それに近い状況で戦いが行われていたらしく驚きでした。
映画も、非常に潔く、鳴梁海戦の戦闘場面が、映画全体の80%くらいを占める感じで、海戦だけをしっかり描いてやろうという意気込みが伝わり好印象。

主人公は李舜臣ですが、対する日本軍は来島通総が中心となっています。
こちらも、れっきとして史実中の人物。

海戦の初っ端、臆病風に吹かれた部下たちが、勝手に船を引き上げ、李舜臣の船1隻で、200隻の日本水軍と戦うという展開になります。
・・・さすがに、その設定やり過ぎと思ったら、実際の史実でも、味方が勝手に退却して李舜臣の船1隻で当初戦う状況になったそうで。
なんと、事実か!
色々と恐れ入る作品です。

朝鮮側の船は、大砲が強烈過ぎで、あたかも、日露戦争の東郷平八郎率いる日本海軍を彷彿とさせます。
もちろん、この当たりはあくまでも演出ですが、この思い切った演出が、戦いに華を沿え、盛り上がるのでした。

しかし、1隻での戦いでは多勢に無勢、ついに李舜臣の船は日本海軍の船に包囲され、四方から接岸され、白兵戦へと突入。
思わず、もしかして、李舜臣は戦死するんだっけ・・・?と心配になってしまいました。

トラファルガーの海戦で、ナポレオン水軍を撃破したイギリスの名将トラファルガー提督は、勝利と引き換えに戦死してしまいますが、李舜臣もそんな経歴の持ち主だったっけ・・・なんて、ハラハラしながら見てしまいました。

さすがに、そんなことはなく、映画では、李舜臣がかなり無茶な作戦で、回りを取り囲み接岸している日本水軍を仏恥義る(ぶっちぎる)こととなります。
冷静に見ると、荒唐無稽この上なしなのですが、常識の斜め上を引く派手な展開は、意外と本作にマッチしていて、いやはや面白い。

最後は、日本水軍の実質上の指揮官・来島通総が李舜臣と一騎打ちの上、討ち果たされるという結末(史実でも、来島通総はこの海戦で戦死しています)。

本映画で出て来る日本の武将は、なんだかハリウッド映画で描かれるような、ちょっと違和感のある兜武者なのですが(顔にアイラインを入れていたり、妙に変なところが誇張されているような感じ)、まぁ、それはご愛嬌といったところ。
お隣、韓国の映画だから、日本の武将の描き方は、もっとそれらしく(日本人が観ても違和感ない感じに)なるのかと思いきや、やっぱり、異国ということでしょうか、日本人の目から見ると、変な感じに移るのは仕方がないのかもしれません。

色々とやり過ぎ感いっぱいなところはあるものの、戦争シーンにだけ描くんだという軍事オタクっぽい雰囲気と、とりあえず、史実云々より、伝わること第一といった思い切りのよい演出が、なんとも爽快で、久々に面白い戦争映画を観れました。

鳴梁海戦というのは、初めて知りましたが、寡を持って衆を破るといった戦いは盛り上がります。
そういった、あまり知られていない戦いを、もっと、映画化して欲しいものです。

[ 2016/06/12 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:歴史】 火天の城

【評価】★★★☆☆

katen_casle.jpg
2009年/日本
監督:田中光敏
主演:西田敏行


DVDの予告を見て面白そうだったのでレンタル。
城作りをテーマにした歴史物とは、なかなか珍しいので、期待度大。

【ストーリー】
======================

尾張の宮大工・岡部は、織田信長から、空前絶後の五重の高さを持つ城-安土城の建設を命じられる。
安土城を建設するに当たっては、巨大な太い柱が必要であったが、その柱が取れる木材は、敵国・武田家の領地にしかなく、岡部は単身で杉材を譲ってくれるよう、武田家の領地に赴くのだった。
岡部の熱意に打たれた、武田家の木材管理者は、領主の意に背いて木材を岡部に譲るのだった。しかし、それが原因で、木材管理者は、武田家の領主によって処刑されてしまう。
そのような犠牲を払いながら、岡部は、安土城の建設を着実に進める。
苛烈な信長の要求などもあり、岡部の配下の大工たちの動揺や反感が生じるものの、その都度、岡部はリーダーシップを発揮して配下の大工達をまとめあげるのだった。
城の骨格もようやく出来上がりつつあったが、巨大な杉材で作り建てた大黒柱が少し長すぎることが判明し、柱を短くしなければいけなくなる。
誰も試みたことのない手法で、大黒柱を短くするか、それとも城が崩れるかというギリギリの中で、見事、大黒柱を適切な長さに切りそろえることに成功、見事、安土城を作り上げたのだった(完)。

======================

空前絶後の巨大な城、安土城を作り上げた宮大工・岡部の活躍を描いた作品。
テーマが、城作りとあって、多少地味さは禁じ得ませんが、テーマ自体は悪くなかったというよりは、テーマ選定は成功だったと思います。

ただ、なんでしょう、NHKの名物番組「プロジェクトX」のように、技術者の苦悩やドラマ性といったところが、いささか薄く、どことなく表層的、散漫な印象で、それが、トータルとしては、平板で地味な印象になってしまったのが残念なところ。

序盤、安土城を建設する事業者選定(現代の公共事業のようだ)に当たっては、信長が指名した大工、建築士が、それぞれ設計図を持ち寄ってコンペ(競争)をすることになります。
なんだか、先ごろ、大いに話題となった、新国立運動場建設を思い出させます。

信長の出した条件は、五層の城で、一層から四層までは吹き抜けにすべしというもの。
コンペ参加者は、信長の出した条件を踏まえながら、工夫を凝らした城の図面と模型を作り上げ、コンペに臨みます。

さて、主人公の岡部はというと、信長の出した条件の一つ、「一層から四層まで吹き抜けにすべし」というものを無視して、図面と模型を作ります。
当然、信長は自分の意向を無視され激怒するわけですが、コンペ参加者が提出した城の模型に火を付け、吹き抜けだと、あっという間の城が炎上してしまうことを証明、吹き抜けの危険性を指摘することで、立場一遍、見事、安土城建設の総監督に任じられます。

この時、吹き抜けによる炎上の危険性を認識して、岡部が作った城の模型を評価した信長の言葉がニヤッとさせられました。

「この城なら、例え落城ということになっても、落城までの間、舞を楽しむ時間はありそうだな。」

本能寺の変の信長の最期を知っている人なら、なるほどと思える台詞で、この場面は、とても印象的でした。

この辺りまではなかなか良かったのですが、この後、ズルズルと失速気味な展開。


安土城を築くのにどうしても必要な巨大な杉を手に入れるため、岡部が、敵である武田方の武将・木曽義昌を訪れるという展開になります。
木曽義昌と言えば、武田勝頼を裏切り、織田信長に味方することで、武田家滅亡の引き金を引いた人物。
てっきり、岡部の木曽義昌との接触は、そういう含み、展開を踏まえた交渉になってくるのかなと思いきや、単に最初から最後まで、敵方の武将で、岡部の杉材入手を邪魔するだけの存在という、非常にもったいない設定の仕方でした。
せっかく、歴史を背景にした映画なのですから、もうちょっと、歴史的事実を取り込んで、話を膨らませたら面白いのになぁと、残念に思うところでした。


また、本作、一応は、最初から最後までリアルな描写・表現を心がけていたように思いますが、一箇所だけ、非常にビックリ仰天なシーンが存在します。

信長が、巨石の上に立ち、その巨石を大勢の大工達に綱で引っ張って移動させるという場面が出てきます。
この時、忍者暗殺集団が、信長を襲撃するという展開になります。
この忍者、信長の立っている巨石に跳躍して飛び乗るのですが、その跳躍距離、どう見積もっても10mは超えていたような。

その上、派手な爆破シーンを交えて、忍者集団が10mを超える跳躍をし、チャンバラを演じるので、なんでしょう、急に戦隊ヒーロー作品になってしまったかのような印象が。
その違和感たるや、コース料理の途中でたわしコロッケ(ドラマ「牡丹と薔薇」で出てきたやつです)に出くわしてしまったような感じです。
なぜ、こんな忍者シーンを挿入して、映画全体のバランスを崩してしまったのでしょうか・・・。
監督の発狂を誰か止める人はいなかったのだろうか・・・。


あと、ちょっと気になったのは、なんだか古臭いステレオタイプな表現でしょうか。

岡部の娘が、岡部の悪口を言った際、母親(岡部の妻)が、娘をビンタして諌めるというシーンがありますが、ビンタすることで教育したり絆を深めたりするっていう演出、日本のドラマや映画でしか見かけない気がします。
なんか、ビンタシーンって、あまりにコテコテすぎて、見ているほうが気恥ずかしいというか、しらっとしてしまうというか・・・。
ビンタが様になるのは、「スクールウォーズ」か、アントニオ猪木かってくらいなもんじゃないでしょうか。

もう一つ、古典的だなと思ったのは、岡部の妻の死を暗示するシーン。
「ごほっ、ごほっ」、咳き込んで口を手で押さえると、手には血が・・・。
この手のシーンも、日本映画でしか見かけない気がする。


こうやって見ると、映画は、ストーリーと表現のバランスが上手に取れていると良い作品になるのだなと思います。
ストーリーは、もう少し、焦点を絞って、それこそプロジェクトXみたいな感じにしてしまうと良さそうな気がしました。
表現の方は、やけにステレオタイプな表現手法が臆面もなく使われている反面、突然、戦隊ヒーローモノのような、はっちゃけった演出が挿入されていたりと、なんだか、両極端な印象。

あと、もうちょっとという印象を残した作品でした。それから、忍者のインパクト強すぎだよなぁ(笑)。

[ 2016/05/30 23:54 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)
ページ最上部へ

プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

アクセス数
アクセスランキング
[ジャンル]: 映画
239位
[サブジャンル]: レビュー
121位
カレンダー