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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【邦画:歴史】 のぼうの城

【評価】★★★☆☆

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2012年/日本
監督:犬童一心
主演:野村萬斎


映画公開時より、なんとなく興味があったのですが、ついつい見過ごしたままになっていた作品。テレビでやっていたので、録画しての視聴。

【ストーリー】
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時は戦国時代、豊臣秀吉の天下統一事業も終盤。
秀吉は、最後の難敵、北条氏を降すため大軍を発した。
北条方の領主・成田家は、秀吉方に降るか、北条氏について戦うかで家中が割れるが、領主・成田氏長は、秀吉方に降ることを密かに決しつつ、北条氏の立て籠もる小田原城に軍を率いて参加する。
城代となった成田長親は、領主・氏長の意向を汲んで、押し寄せた秀吉の家臣・石田三成の軍勢に降伏するつもりだったが、居丈高な三成の軍使に反発、一転して戦うことを決意。
三成2万に対し、城内は500の軍勢であったが、城の周囲は水田に囲まれ湿地地帯であったことから、三成軍は思うように城を攻めることができない。
そこで、三成は、城の周りに堤を築き、水攻めとするのだった。
四方を水に囲まれ手足が出なくなった城方。
城代・長親は、自ら船を漕ぎ、敵の面前で田楽踊りを披露するという奇行を演じる。
長親の思わぬ行動に、城方・敵方も大喜び。
しかし、三成はこれを好機とばかりに銃で狙撃してしまう。
長親は肩を撃ち抜かれ怪我を負うものの、命には別条はなかった。
この仕打ちに怒りを覚えた、成田方の農民たちは、密かに堤を崩してしまう。
これにより、三成方に水が押し寄せ、三成軍は甚大な被害を受けてしまう。
そして、三成が成田長親立て籠もる忍城攻めに苦心している頃、北条氏の本城・小田原城は陥落し、戦争は終結してしまう。
長親は、三成に城を明け渡し、領地を去っていくのだった(完)。

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「清州会議」のようなカジュアルな話かなと思いましたが、結構、真面目な時代劇作品でした。

話は、少数で大軍を迎え撃つというもので、一頃流行った映画「スリーハンドレット」系の少数で大人数をどうやって迎え撃ち戦うかという流れの日本版と言ったところでしょうか。

主人公・成田長親が500の城兵と農民兵、併せて3000名で忍城に籠城、そこを石田三成2万の軍勢が包囲という構図。

こういった構図なので、成田長親側が奇策を駆使して、三成方を打ち破る(城を守備し切る)という展開になるかなと思いましたが、どちらかというと奇策うんぬんと言うよりは、長親の人間性で城内を一致団結させるという面に重きを置いた展開でした。

奇策と言えば、三成が、忍城の周囲に堤を築いて、忍城の周囲を水で囲む水攻めを行いましたから、三成方の方が奇策を弄したという感じ。

序盤は、周りが水田で囲まれ攻めにくい忍城を、地の利を生かして城方が守備するという展開ですが、取り立てて、「おっ!」と思わせる展開はなく、比較的平板な流れで話が進みます。
攻めあぐんだ石田三成が、「天下人の戦の仕方を見せてやる」と意気込んで、一気に水攻めになるという流れ。
水攻めって、城の周りが水で囲まれてしまうので、攻める側も攻めにくくなる半面、守備側も外に出づらくなるということで、見た目が派手に思えつつも、実は、兵糧攻めの一種というところなのかもしれません。

そう考えると、意外と、地味な戦いだったのかも。

水攻めにされた成田長親は、「水攻めを破る」と宣言して、船を漕が出し、敵方の面前で田楽踊りを披露します。
田楽踊りを披露するという展開は、演じる野村萬斎の真骨頂と言ったところでしょうか。

長親が田楽踊りを演じた意図は、三成側に長親狙撃を誘発させ、それで憤る味方の奮起を促すのが狙いというようでしたが、うーん、それは策なのか・・・。
一応、長親は、堤の外にいる百姓たちも、これにより味方につけることで、外側から堤を破壊することを促すのが狙いという感じでしたが、策の狙いが分かりづらい上に、ちょっと、展開が強引で、飛躍し過ぎと言う感じでした。

主人公の長親が、「のぼう様」・・・でくの坊から取られたあだ名を付けられているくらいの人物なので、智将とは程遠く、人間性-将器によって人をまとめるところに力を発揮するというキャラクター付けとなっています。
そのため、長親は、奇策を生み出すには不適任なキャラなので、こういう展開なのでしょうが、城の攻防戦を描く作品としては、頭脳戦があまり見られないのは、物足りない感じも。

そして、長親の狙いどおり、堤を決壊させることに成功しますが、堤が無くなり水が引くと、城の周りも防御壁やら堀なども一切水で洗い流されて、丸裸の状態となってしまい、逆に、城は陥落寸前となってしまいます。

・・・うーん、こういう流れだと、堤を切ること自体が失策になってしまい、長親の行動が無駄どころか害になってしまった感じもします。

結局、北条氏の本城・小田原城が落城したことにより、忍城の戦いも終結となります。

そして、この後、城の明け渡し交渉で、三成と長親の間の交渉の場で応酬があり、その場面も多少見せ場となっていますが、長親が勝ったんだか負けたんだか、あまりすっきりしない感じのところでした。

実際、史実を元にして作られた作品なので、ある程度史実に沿った展開にならざる得ないという制約があるので仕方がないのですが、すっきり爽快という結末にはならなかったところで、モヤモヤするところが残る印象でした。

野村萬斎やその他の出演陣の演技は、すごく良かったんですけど、ストーリーがもう少しすっぱりしてると良かったと思います。

[ 2016/02/25 20:50 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(2)

【中国映画:歴史】 楊家女将伝 -女ドラゴンと怒りの未亡人軍団

【評価】★★★☆☆

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2011年/中国
監督:フランキー・チェン
主演:セシリア・チャン


中国の歴史小説「楊家将」を題材にした作品。
以前、同じく「楊家将」を題材とした映画「楊家将 -烈士七兄弟の伝説」はかなり面白い出来栄えの作品でしたので、これも借りて観ずにはおられんということで、早速のレンタル。

【ストーリー】
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10世紀後半、中国は宋の時代。
宋に仕える楊家は、辺境の地で侵略軍の侵攻を防ぐべく戦うが、あえなく楊軍は全滅、楊家の当主・楊宗保も戦死との報が伝わってくる。
宋の皇帝は、楊家に対し、1万の軍を率いて、再度、10万の侵略軍に当たるよう勅命を下す。
楊宗保の息子で、楊家最後の男子となる楊文広が軍を率いて、侵略軍に立ち向かうこととなるが、楊文広の祖母や母、叔母や姉妹たちも一緒に楊文広に従軍し、それぞれの夫の仇を取り、楊家の名誉回復を誓うのだった。
しかし、多勢に無勢の上、作戦ミスも相次ぎ、楊家の軍は苦戦を強いられ、従軍した叔母や姉妹たちも次々と戦死していってしまう。
進軍途中で、戦死したと思われた楊宗保を発見、楊宗保も加わり、侵略軍との最後の決戦に臨むことになる。
様々な奇策を弄し、敵軍を翻弄して侵略軍に対して善戦する楊家の軍。
そして、敵軍の将と一騎打ちをするチャンスが巡り、楊宗保と敵将の壮絶な戦いが行われる。
見事、敵将を討ち取るも、楊宗保も重傷を負ってしまう。さらに、従軍していた楊宗保の妻もこの戦いで重傷を負い、二人は、戦場で一緒に戦死してしまう。
しかし、この戦いで見事勝利を収めた楊家は、故郷に戻り、宋の柱石として栄えるのだった(完)。

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なかなか面白い作品でした。
しかし、この映画のサブタイトル「女ドラゴンと怒りの未亡人軍団」はどうなんでしょう。
超C級映画の雰囲気を醸し出しちゃっています。
中国と言えば、ブルース・リー・・・、ブルース・リーと言えば「燃えよドラゴン」なので、中国の武侠映画のタイトルには「ドラゴン」を入れる、みたいな先入観が働いているのかもしれません。

しかも、そこに「怒りの未亡人軍団」ときたもんだ。
死んだ夫の生命保険がきちんと払われず、保険会社に直訴に向かう未亡人たちを、そこはかとなく想像してしまったのでした(笑)。

タイトルはとりあえず置いておくとして、今回の作品は、女性たちが大活躍するストーリー。
中国の古典作品は、「三国志」にしろ、「水滸伝」にしろ、活躍(しかも武術で)する女性が登場することが多いですね。
日本では、まず見られない展開で、非常に面白いところです。

ストーリーは、辺境の地で戦死してしまった(実は、後で生きていたことが判明)楊家の当主・楊宗保の仇を討つため、楊宗保の一人息子・楊文広と、楊文広の祖母や母、叔母、姉たちが軍を興し、敵軍討伐に向かうという話。

10万の敵に対して1万の軍勢という非常に不利な状況ですが、果たして、どのように戦い抜くのかという辺りが見所になるわけです。
ストーリーの予測としては、奇策を用いながら敵の大軍を翻弄し、さらに、女性陣の個々の武力で敵をなぎ倒していく、まぁ、こんな感じかなと思っていたわけです。

実際、出陣に当たっては、祖母が「楊文広の知恵と、われらの武術が加われば、10万の軍といえども恐れるに足りない」などと広言していたわけですから。

しかし、実際の展開は、作戦で敵を翻弄するのではなく、逆に敵の罠に嵌って窮地に陥り、窮地を脱するために、未亡人軍団が個々の武術で奮闘するものの、最後はバッタバッタと打ち取られていくという、予想外の流れ。

そう言えば、以前観た「楊家将 -烈士七兄弟の伝説」も味方がバッタバッタと死んでいく話だった・・・。

どちらも、中国古典小説「楊家将演義」が下敷きになっているわけですが、「楊家将演義」って、味方が山のように討死してしまう話なのだろうか・・・。

味方が次々と討死していく展開ですが、出陣した未亡人軍団は、大人数だったため、たくさん死んでもまだまだストックが尽きない感じで、戦死者の出方は、パチンコ屋の出血大サービスと言った具合。
しかし、戦死するに当たっては、結構な数の敵をなぎ倒し、派手な武侠アクションを魅せてくれるので、なかなか楽しめます。
まぁ、不自然なワイヤーアクションは、ちょっと、苦笑もののところはありましたが。

この映画を見るにつけて思うのは、女性のタフネスさと男たちのだらしなさ。

この映画での男性は、敵を除けば、楊家の当主・楊宗保と、息子・楊文広の2人。
楊宗保は、無敵将軍と謳われていた割には、自軍を全滅させてしまった後は、それを恥じて故郷に戻らず隠れていたという、情けなさですし、息子・楊文広は、敵の見え透いた挑発に簡単に乗って、作戦を無視して突撃して自軍を敗戦に導いてしまい、しかも、無謀な突撃を行った楊文広を助けるため、姉たちが大量に戦死するというおまけつき。

いやはや、男性陣の頼りなさと言ったら。

女性強し、男性頼りなしという象徴的な場面は、崖を渡るシーンでしょうか。

崖を渡るため橋を作ることとなります。
まずは、向こう岸に、弓矢を使って綱を二本張ります。
そして、この後、傑作だったのが、男たち(兵士たち)が二本の綱にまたがり、人間橋を作るのでした。
この男で作られた橋を、未亡人軍団が、ノシノシ踏みしめながら渡っていくのでした。

この場面ほど、女性陣の強さ、タフネスさを感じたものはありませんでした。
橋になった兵士たちも「橋できました!どうぞー!」なんて言って、女性たちに踏まれていくのを良しとしている姿も面白い場面でした。

この後、楊軍の作戦は、ほとんど敵に裏をかかれ、次々と戦死していく未亡人軍団。
それでも、目的の黄土城にたどり着き、敵軍と最終決戦となります。

さすがに、この最終決戦だけは、楊軍の策略がそこそこ功を奏し、途中から楊軍に参加した楊宗保と敵軍の将が一騎打ちをするという絶好の機会を得ます。
敵将には、楊宗保や楊文広が立ち向かうのですが、いまいち力量不足で討ち果たすことができず、ここでも未亡人軍団の手助けも得て、ようやく敵将を討ち取ることに成功。
うーん、最初から最後まで、男性陣は不甲斐ない感じでした(笑)。

女性が主人公で活躍する作品は、それなりにあるものの、女性が集団で大活躍し、男性は一切活躍しないという設定は、なかなか珍しいのではないでしょうか。
また、戦闘場面も、女性陣の武侠アクションが決まっていて、面白く見ることができました。

色々と突っ込みどころもある作品ですが、わりと見られる作品でした。
また、「楊家将演義」を題材にした作品を見つけたら、ぜひ、見てみたいと思います。

[ 2016/01/29 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:歴史】 天地明察

【評価】★★★☆☆

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2012年/日本
監督:滝田洋二郎
主演:岡田准一、宮崎あおい
原作:冲方丁著「天地明察」


原作を読んで非常に面白かったので、続けざまに映画をレンタルして見ることにしました。

【ストーリー】
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時は江戸時代。
幕府のお抱え囲碁棋士、安井算哲は、数学や天文学にも興味を持ち、囲碁打ちという職務の傍ら、熱心に数学や天文学を学んでいるのだった。
ある日、数学や天文学の知識を幕府の幕閣に買われ、日本の経緯度を測る北極出地の業務を命じられる。
そして、北極出地に一緒に同行した知識人と交わるうちに、日本の暦には大きな誤差が生じていることを安井算哲は知ることになる。
北極出地の任務を無事終え、江戸に戻った安井算哲は、その功績を買われ、今度は、正確な暦の導入-改暦という大きな任務を与えられるのだった。
算哲は、数々の暦を検証した上で、授時暦という、中国・元の時代に作られた暦こそが最も正確な暦であると確信し、授時暦の導入を進言する。
しかし、進言が聞き入れられなかったことから、授時暦の正確さを証明するため、当時日本で使われていた宣明暦、算哲が推す授時暦、当時中国の明で使われていた大統暦の3つの暦による勝負を行うことなる。
その勝負とは、これから3年間で起こる日食・月食を各暦を使って当てるというものだった。
算哲が推す授時暦は、次々と日食・月食の起こる日にちを正確に当てていったが、最後の最後で、日食の予測を外してしまい、授時暦の採用の機運は一気に萎んでしまう。
なぜ、授時暦が日食の予測を外してしまったのかを研究し続けた結果、中国で作られた暦は時差の関係で日本で使う場合は補正をかけなければいけないということを発見する。
そして、授時暦に補正をかけた大和暦を算哲は生み出すのだった。
しかし、改暦による新たな暦は、大統暦が採択されてしまう。
そこで、算哲は命を懸けて、大統暦と大和暦による日食当ての勝負を行う。
見事、その勝負に勝ったことによって、大和暦の優秀さが認められ、ようやく、大和暦が日本の正式な暦として採択されたのだった(完)。

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原作に忠実に作られた作品という印象でした。

幕府お抱えの安井算哲が、幕府の命で北極出地という日本各地の経緯度を測る旅に出かけ、江戸に戻った後、改暦という重大任務を負う・・・という展開と、そこで起こる数々のエピソードは、原作に沿った流れとなっていました。

また、主人公算哲の描写も、原作ののほほんとした感じが出ていて、原作を意識した作りだなぁと、原作を思い浮かべながら見ていました。

一方で、原作に忠実すぎるため、映画を見ているだけでは分からない点-算哲が囲碁用語で思わず返事をするとか、幕閣の発言内容など、おそらく、補足がないと分かりづらいだろうなぁという場面もちらほらあり、そこは脚色するなりの工夫の余地がありそうという感じでした。

原作を意識した作りになっているため、原作の良さが上手くでていたかなぁという感じがしました。
一方で、原作自体が、「暦を作る」という、おおよそ、アクション要素なしの話であったのですが、映像的には地味という判断があったのでしょうか、改暦に反対する相手方が火矢と切り込みをかけてくるという殺陣のシーンが挿入されています。

このシーンは、不要だったかな。
このシーンだけ、やけに浮いてしまっていました。

算哲が改暦という大仕事を任じられるものの、算哲が推した授時暦には誤謬があり、公の場で授時暦に過ちがあると言うことが明らかになってしまうという大失敗をしてしまうという展開になります。

原作では、失敗と挫折、そこからどう立ち直っていくかが、一つの見所となるわけですが、映画では、その辺りがぼやーっとしてしまい、もうちょっと描きこんで欲しかった点です。

更には、この大失敗の後、算哲が感情的に、激情型なキャラに変ってしまい(妻に当り散らしたり、水戸光圀に食ってかかったり)、前半と後半でキャラが変ってしまったのも、ちょっと違和感ありという感じでした。
できうれば、徹頭徹尾、ぽわんとした雰囲気で算哲を描いて欲しかったところ。

また、大失敗の後は、話が湿っぽい感じで描かれていて、このあたりも、妙に良い話にしようとか、メッセージをあからさまに込めている感じがして、どうかなぁと思ったところでした。

映画後半では、算哲が、失敗から立ち直り、自ら大和暦を作り上げるという話になり、更には、その大和暦も一回を採用を却下されると言う憂き目にあいます。
その後の展開は、原作の方もかなり端折っていて、ストーリー展開が荒っぽかった印象を受けたのですが、原作の粗さを埋めるため、後半の展開は、映画独自のストーリーとなっています。

前半から中盤は、原作と言うしっかりとした骨組みがあったので、面白く描けていたのですが、後半のオリジナルストーリー部分は、日食を当てるという二番煎じの話の上に、妙に引っ張ったり、過剰な演出・設定が目立ち、正直、後半部分のストーリーは出来があまり良くないなぁという印象。

後半は原作に頼れないので(原作に忠実に作ったら、よく分からない内容か、スカスカな展開になってしまうでしょうから)、オリジナルストーリーでいくのは、アリだと思いましたが、前半・中盤の流れとレベルにあったストーリーを作らなければいけないというハードルは高かったようです。

そのため、どうしても後半に失速してしまった印象だったのが残念なところでした。

しかし、大筋では、原作に忠実で、原作の良さが中盤までは良く出ていました。
ただ、分かりづらい点もあるので、原作を読んでから映画という流れの方が、理解しやすいかなという印象でした。

[ 2016/01/01 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)

【アジア映画:歴史】 エンプレス -運命の戦い

【評価】★★★☆☆

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2008年/中国
監督:チン・シウトン
主演:ケリー・チャン、ドニー・イェン、レオン・ライ


中国・春秋戦国時代を舞台にした作品。
亡き父王に変わって娘の王女が活躍する話のようです。
映画「ムーラン」っぽい話なのかな?
歴史物っぽい作品なので、とりあえずはレンタルしてみることに。

【ストーリー】
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中国・春秋戦国時代。
燕王は、趙との戦いにおいて矢傷を受け、それが元で死んでしまう。
死ぬ直前、部下の将軍雪虎に王位を譲ると遺言するが、雪虎は王位を譲り受けることを拒み、代わりに、燕王の一人娘、燕飛児を次の王に立てる。
そして、雪虎は、燕飛児が王にふさわしい器量・武術を身につけるよう教育係りとして厳しく指導する。
しかし、王位を狙っていた王族の一人胡覇は、燕飛児を亡き者にしようとして暗殺者を放つ。
暗殺者に狙われ負傷した燕飛児は、野に隠れ住む段蘭泉に助けられ一命を取り留める。
傷が癒えるまで、段蘭泉の家に匿われるが、その生活を通じ惹かれあう二人。
しかし、女王としての役割がある燕飛児は傷が癒えると城に戻っていかざるを得ないのだった。
城に戻ると、趙軍1万がまさに押し寄せようとする緊急事態。対する燕軍は2千人。
燕飛児は、将軍雪虎の献策により、伏兵を使って見事趙軍の撃退に成功する。
その後、燕飛児は、戦乱の中での生活に無常観を感じ、国を雪虎ら重臣に委ね、自らは退位し、段蘭泉の元に戻り、二人での生活を始める。
しかし、燕飛児が去った燕国では、王族胡覇がクーデターを起こしたため、胡覇が燕飛児に暗殺者を放ったため、その平穏な生活も長くは続かなかった。
燕飛児を助けるため、段蘭泉は暗殺者の手によって殺されてしまう。そして燕飛児は、胡覇を倒すため燕城に向かうのだった。
一方、クーデーターによって城を追放された将軍雪虎は、一人、胡覇に立ち向かい、一人で大軍相手に戦うが武運拙く戦死してしまう。その場に駆けつけた燕飛児は胡覇に対して一騎打ちを挑む。
燕飛児をあなどった胡覇は一騎打ちを受けて立つが、あえなく燕飛児に打ち取られ、燕飛児が王位に返り咲くのであった。
その後、燕飛児は他国と盟約を結ぶことで、戦いを行わない国策を進めるのだった(完)。

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中国・春秋戦国時代を舞台にした作品。
ただし、内容的には歴史的事実に基づいているわけではなく、舞台を歴史に借りているだけで、ストーリーは創作のようです。

ストーリーは、燕王が趙との戦いで戦死してしまい、その後を娘の燕飛児が後を継ぐというお話。
燕飛児が、燕王として自立するまでが描かれ、その間に、趙軍との戦い、謀反を起こした王族との闘いなど、迫力のある戦闘シーンが描かれています。

しかし、戦闘場面だけでなく、戦闘シーンの間に、燕飛児のロマンス話が入り込んで、戦争ターン→恋愛ターン→戦争ターン→恋愛ターンというように戦争と恋愛が交互に描かれます。
一昔前のパソコン版の戦略シミュレーションゲームのような構成です(例えが分かりづらいかも・・・)。

戦争シーンは白熱していて面白かったのですが、恋愛シーンは結構長めで、すごく甘い展開なので、戦争シーンとのギャップは、ナイアガラの滝以上の落差があるのでした。
私にとっては、ちと甘すぎで、虫歯になるかと思いました。

戦争シーンの最初の見せ場は、燕飛児が、燕軍2000名を率いて、趙軍1万人と戦うところです。
燕飛児が自ら囮を買って出たところを、趙王は女と思って甘く見てうかつにも燕飛児を深追いし、燕軍の伏兵のど真ん中に入り込んで生け捕りにされるという展開。
曹操もびっくりの見事な十面埋伏の計といったところでしょうか。

こういう策略が見事発動するシーンと言うのは痛快で、視聴者の心理を上手く掴んだ面白いシーンでした。

その後は、長々と続く恋愛モードが続き、私にとってはかなり退屈な場面でした。
あまりにも長く続くので、もしや、恋愛モードでそのまま映画は終わってしまうのではないかと思われたのですが、さすがに、それはなかったです。ほっと一安心でした。

戦闘シーンの次の見せ場(で最後の見せ場)は、王族胡覇の反乱を鎮圧するところ。
城を奪われてしまっている燕飛児は、兵を率いず単身で胡覇に立ち向かうことになります。
そして、燕飛児の味方である将軍雪虎も、率いる軍がないため、単身で胡覇を倒そうとします。

将軍雪虎は、胡覇の率いる大軍の前に立ち、胡覇へ一騎打ちを申し込みますが、国士無双の雪虎と一騎打ちをするという無謀なことを胡覇は拒否し、「そんな手にのるか」と捨て台詞を吐くと、配下の軍に雪虎討伐の命を下します。

雪虎1人vs1万の大軍。

映画「スリーハンドレッド」より、厳しい条件。
痺れます!

雪虎vs1万の戦い、かなり面白かったです。
雪虎の無双ぶりは半端なく、中国史上の猛将項羽や呂布にも負けず劣らずの奮闘振り。
何本もの槍で体中を刺し貫かれても元気いっぱいに動くさまは、少しゾンビちっくな気がしないでもありませんが、そういう細かいことは抜きにして、雪虎の戦いぶりは、大いに堪能する価値があるものでした。

無双ぶりを発揮した雪虎もさすがに1万の軍には勝てず力尽きてしまいますが、そこに駆けつけるのが主人公燕飛児。
燕飛児も反逆者胡覇に一騎打ちを申し込みますが、今度は、燕飛児をあなどった胡覇は、その申し出を受け、燕飛児と胡覇が一騎打ちをすることになります。

なんだかんだと、燕飛児は敵にあなどられるキャラのようです。
しかし、あなどられることを逆手に取って優位に立つという点では、なかなかしたたかな戦略家であるとも言えそうです。

クライマックスは、燕飛児と胡覇の一騎打ちですが、正直、あなどられるだけあって、燕飛児は胡覇に全然太刀打ちができず、この勝負は残念ながら見所はあまりありませんでした。
最後は、偶然の産物で、燕飛児が胡覇のクビを槍で貫いて、燕飛児が辛勝。

雪虎の無双ぶりを見た後だと、燕飛児の戦いぶりは見劣りがしてしまったのでした。

ということで、この映画は、趙軍1万を十面埋伏の計で趙王を生け捕りにする作戦と、雪虎vs反乱軍1万における雪虎の無双っぷりが見所の映画でした。

反面、恋愛シーンは、無用の長物でした。

[ 2015/11/07 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)

【アジア映画:歴史】 レッドクリフ Part1/Part2

【評価】★★★☆☆

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2008年・09年/中国
監督:ジョン・ウー
主演:トニー・レオン、金城武


三国志映画の代表作と言えば、「レッドクリフ」。
なんとなく見るのを避けていたところもあるのですが、三国志を題材にした映画を何本か(曹操暗殺を題材にした作品や関羽や趙雲を主人公にした作品)見たので、総仕上げの意味を込め、ついに「レッドクリフ」をレンタルです。

【ストーリー】
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中国、三国時代。
曹操は中国北部を制圧し、全土統一を目指して、大軍を率いて南進を開始。
曹操の大軍に撃破された劉備は、呉の孫権と同盟を結び、曹操へ対抗する策を取る。
曹操の軍80万に対し、呉は3万、劉備2万という寡兵ではあったが、曹操に屈するのを潔しとしない孫権は、劉備と同盟を結び、曹操軍に対峙する。
呉は、赤壁の地に軍を終結させ、河を挟んで曹操軍と孫権軍が一触即発の状況となる。
曹操の騎馬軍による奇襲を撃破し、曹操の水軍の将を計略により殺すことに成功する孫権軍だが、曹操軍の圧倒的優位は変わらない。
しかし、劉備の軍師・諸葛孔明が風向きの変わることを予測し、火攻めのチャンスが到来することを察知すると、孫権軍は、曹操の水軍に果敢に攻め込み、見事、火計により、曹操の水軍を覆滅させることに成功する。
更に、多大な犠牲を払いながら、曹操の本陣にまで攻め込み、見事、曹操軍を撃破、撤退させることに成功するのだった(完)。

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Part1、Part2に分かれている上、各編も140分の大作なので、トータルすると5時間近くになる作品です。
さすがに長かった。2時間以内に収めてくれると助かったのになぁ・・・。

映画は、三国志で最も有名な戦い、赤壁の戦いが描かれます。
しかし、Part1、Part2に分かれている大人の事情により、Part1は、赤壁の戦いの直前までで、赤壁の戦いが描かれるのはPart2からとなります。
Part1、Part2を通して見た結論としては、Part1は不要だったかも(笑)。
Part2だけで、十分事足りるので、頑張れば90分くらいのテンポ良い作品にまとめることが出来たのではないかなぁ。

Part1は、劉備軍が曹操軍に大敗し敗走する、長坂の戦いから描かれます。

先日見た、趙雲を主人公とした作品「三国志」も、長坂の戦いから始められていたので、三国志を描く際、長坂の戦いは分かりやすいのかもしれません。

さて、Part1では、長坂の戦いから始まり、曹操に追われた劉備が呉の孫権と同盟を結び、曹操と対抗する準備を整えるというところまでが描かれます。
曹操に対抗するため、軍を赤壁の地に終結させる劉備軍と孫権軍。

それを一蹴するため、80万の大軍を率いて赤壁の地に押し寄せる曹操。
大河を挟んで対峙することになる両軍ですが、両軍を大河が隔てているため、水軍での戦いが中心になるだろうと予測されるわけです。

しかし、曹操はその裏をかいて、騎馬部隊を編成し迂回して孫権軍の本拠を奇襲しようとします。
一方、孫権の軍師・周瑜と劉備の軍師・諸葛孔明はその動きを読んで、曹操の奇襲部隊を待ち伏せし、逆に撃退することに成功する・・・ここまでがPart1の話となるわけです。

Part1の前半が長坂の戦い、後半が曹操の奇襲部隊との戦いが見せ場となります。
本映画、戦闘シーンにかなり力を入れており、迫力がありますが、逆に金をかけ過ぎたせいもあってか、ぶっ通しで戦闘シーンを見せ続けるという展開になってしまい、メリハリがなく冗長になってしまっています。

そのため、折角の見せ場の戦闘シーンに飽きてしまい、「まだ、戦闘シーンが続くのか・・・」という気分になってしまったのでした。
ただ、戦っている場面を延々と描くのではなく、戦いのシーンも次の展開へのつながりやストーリーがないと、観ていて飽きてしまいます。
折角、迫力のある戦闘シーンを描けているだけに、非常にもったいないところでした。

Part2は、ようやく本題の赤壁の戦いへと入っていきます。
三国志のエピソードでも有名な、十万本の矢を調達する作戦や、曹操軍の水軍の将を計略を使って抹殺したりといった話が出てきて、Part1の低調な感じから盛り返した感がありました。

ただ、孫権の妹や周瑜の妻の活躍を見せるため、無理やり盛り込んだエピソードはいらなかったかなぁと。特に、周瑜の妻小喬のエピソードは、完全に蛇足。
一億総活躍社会というキャッチフレーズで、全員頑張る、全員野球みたいな掛け声が世の風潮(政府だけ?)になっているので、女性の活躍を否定するつもりは毛頭ありませんが、三国志で無理して、女性活躍エピソードを入れ込むこともなかったかと思います。
結局、そういった無駄なエピソードが長々と挿入されることで、本作の冗長さが加速されてしまったのは残念なところ。

ラストは、曹操の水軍を火計によって覆滅させ、地上に逃れた曹操軍を追撃する戦闘シーンが延々と続きます。
爆発シーンなど、派手なアクションで迫力ある戦闘シーンでしたが、やはり、ここもストーリー性や場面の取捨選択がされていなかったので、冗長で飽きがきてしまったのが欠点。

そして、ラストは、曹操、周瑜、諸葛亮、趙雲、関羽、張飛、孫権、劉備、孫尚香(孫権の妹)、小喬全員が一堂に会する揃踏みの場面が用意されています。
主要キャラを一か所に勢ぞろいさせてしまう大胆な演出は、荒唐無稽の感もありますが、こういう無茶な展開も嫌いではありません。

戦いに敗れた曹操に対して、周瑜(本作の主人公扱いなのでしょうね)が、「さっさと、自分の国に戻るが良い!」と言って、曹操を見逃し、曹操は悠然と本国に戻っていくという終わり方となります。

えー、ここまで犠牲を払って、わざわざ、敵の総大将曹操を生きて帰すんかい!
びっくりなラストでしたが(まぁ、曹操を殺していたら殺していたで、史実と違うので違和感はあるわけですが)、考えてみれば、三国志演義でも、関羽が、曹操に恩義を受けた過去を思って、わざと見逃すというシーンが名場面として描かれていますので、曹操を見逃すという演出もありなのかもしれません。
ただ、出来得れば、そういう役回りは関羽にやって欲しかったところでした。

赤壁の戦いに焦点を当てた意欲的な作品で、戦闘シーンなども迫力がありましたが、如何せん、冗長であったのが惜しまれるところ。
ダイジェスト版として編集しなおしたら、もっと面白い作品になるかもしれません。

[ 2015/11/01 00:00 ] 東洋史 | TrackBack(0) | Comment(0)
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