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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【漫画:サスペンス】 奇子 (2巻完結)

【評価】★★☆☆☆

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著者:手塚治虫
出版:角川文庫


大人向けの、結構救いのない話でした・・。
ストーリーは、大雑把ですが、以下のような感じです。

【ストーリー】
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本作は、タイトルの「奇子」ではなく、奇子の兄、天外仁朗を軸に話が展開。

天外仁朗は、太平洋戦争復員後、GHQのスパイとして活動をしています。
そして、その活動の中で、ある殺人事件の隠蔽工作に関わることになります。

また、天外仁朗の実家、天外家は、地方の旧家で莫大な財産を所有するものの、戦後の農地解放などにより、没落しつつあります。
しかし、強烈な父権主義が横行し、家族は家長である父による強烈なプレッシャーを受け、家族内は近親相姦など、非常にドロドロとした人間関係が結ばれています。

そして、財産相続を巡り、家族内で殺人が行われ、また、天外仁朗自身も、スパイとして行った殺人事件の隠蔽工作の秘密がばれるのを恐れて、家族の一人を殺害。
また、このような事件が尾を引いて、呪われた出生の秘密を持つ奇子は、大人になるまで、座敷牢に閉じこめられてしまいます。

その後、天外仁朗は、スパイ活動から足抜けして、出奔。東京に出て、紆余曲折の末、やくざの親分に収まります。

また、天外家も、代が変わり、さらに没落の一途をたどり、そのような中、座敷牢に閉じこめていた成人した奇子が脱走してしまいます。

脱走した奇子によって、天外仁朗や天外家の人々など、関わりのある人々が運命的に引き寄せられ、ついには、一つの事件をきっかけに、関係者全員が、鉱山跡に閉じこめられてしまいます。

そこで、これまでの罪の告白や、自身の罪への頑なな否定など、それぞれの人物がそれぞれの思いで行動がとられ、ほとんどの人々は崩落した鉱山跡の中で死を迎える・・・(完)。
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一応、ストーリーは上述のようにまとめてみましたが、話の風呂敷が広がりすぎていて、正直、ついていけない部分が多々ありました。
天外仁朗の隠蔽工作は、「下山事件」(戦後、国鉄総裁の下山定則が轢死し、真相不明となった事件)と関わりが出てきたり、共産党やら、GHQのスパイ組織が出てきたりと、当時の社会問題と絡まったストーリー展開が随所でなされます。

しかし、残念ながら、これらの事件の謎解きがストーリーのメインではないため、本作品では、その辺りははっきりとせず、もやもや感が残りました。

また、ストーリーを引っ張る天外仁朗も能動的に見えて、受動的なので、その場その場を生き延びることくらいの目的しかない感じ。そのため、天外仁朗を通して、本作品のテーマというのを理解することが難しいと思いました。
それこそ、「海賊王に俺はなる」的な、ジャンプ的分かりやすさはないですね(笑)。

敢えてテーマを見いだすとすると、家父長の強烈な支配下にある天外家の闇や膿が、敗戦による時代の流れによって、徐々に隠しきれなくなり、闇が暴露されることで、地方の旧家が滅び行く-そういった様を描いた大河ドラマというところかもしれません。

私としては、どうも話が拡散し過ぎた上に、最後は、強引に話に決着を付けてしまう展開に、いまいち納得感の行かない作品だったなという思いが残りました。

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[ 2012/09/11 22:01 ] サスペンス | TrackBack(0) | Comment(0)
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kappa1973

Author:kappa1973
 
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