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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:ホラー】 残穢

【評価】★★★☆☆

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著者:小野不由美
出版:新潮社


妻が、映画「残穢-住んではいけない部屋」のヒットに影響され、原作本を購入。
登場人物が入り組みすぎて、3分の1くらいのところで挫折して、後は飛ばし読みしたと妻は言っていたのですが、その本を借り受け読んで見ることにしました。

著者、小野不由美さんの十二国記シリーズは好きで、ほとんどを読みましたが、一方、「東亰異聞」とか「屍鬼」はあまり面白くなかったなぁという記憶があるので、本作はどちら側に振れるかは分かりませんが、気軽に読書開始。

内容は、ホラー小説作家である主人公(おそらく小野不由美さん自身)の元に、読者から一通の怪談情報が寄せられたことから話が始まります。
読者の自宅で起こるささやかな怪異(何もないはずの部屋で、奇妙な音が聞こえるというもの)が、何の因縁で起きているのかを調べていくという展開。

「何の因縁で」という部分は、要するに、以前、この部屋で自殺や事件があったのではないか、その事件・事故が因縁となって怪異が起きているのではないかとの仮定のもと、読者の住む住宅や周辺地の歴史をさかのぼっていくことになります。

この調査能力が半端ないすごさです。
近頃、そのスクープ力が話題となっている「センテンス・スプリング」こと「週刊文春」をしのぐ取材・調査能力なんじゃないかと思います。

過去の土地の来歴を調べるため、過去の住宅地図を見比べ、地元の古老やお寺に話を聞き出し、過去の新聞を検索して事件を洗い出し、地元住民のネットワークを使って過去の住人と連絡を取り、事情を聞いたり・・・。

こんな感じで、事実の洗い出しをするんですね・・・。
その調査手法は非常に勉強にもなり、作家という職業における、取材の苦労の一端を垣間見る思いでした。
まぁ、しかし、その執念の方こそ、怪談話よりも数段怖い気がするところではあります(笑)。

しかも、調べる内容が、怪異現象の元となる因縁なので、要すれば、科学的に根拠のないことで、調べて証明が付くというものでもないわけです。
ありもしないものを熱心に調査するという意味では、徳川埋蔵金の発掘に執念を燃やす糸井重里さんと相通ずるものが(笑)。

そして、調べていくうちに、日本の古くから「穢れ(けがれ)は感染する」という考え方があり、平安時代の文書「延喜式」にも穢れの感染の仕方が詳細に書かれているということが、本書の中で紹介され、穢れの感染という考え方で、調査が進んでいきます。

「延喜式」というと、神社の名前を羅列した文書なのかと思っていたのですが(延喜式に名前が載っている神社を「延喜式内神社」と言ったりします)、こういうオカルト(?)っぽいことも書かれていたりするんですね。

調査を進めていくうちに、ある陰惨な事件が起きた現場を訪れるた人が、そこで穢れに感染し、他の地に穢れを移してしまうとか、事件の起きた家を解体し、その一部を使って家を建てたことで穢れが感染するなど、様々な方法で、穢れが感染・拡大していってる・・・という推論の輪郭がはっきりとしてきます。

そして、穢れが感染した場所でも事件・事故が起こり、その場所が二重・三重に穢れることで、新たな穢れの震源地になるという悪循環すら起きていそうだということが分かってきます。

読者が教えてくれた怪異が起こる場所は、実は、穢れの本体ではなく、もっと大きな穢れの発信源から感染した傍流であり、他にも集めた様々な怪異・怪談も、穢れのルーツをたどると、大正時代に九州で起きた大量殺人事件と関連していそうだということが、本書の後半で明らかになります。

この九州の大量殺人事件の地にたどり着くまで、様々な場所・時代の人々が登場してきて、読んでいるとその関係性は、正直分からなくなります。
関係性も、「引っ越し先の大家さん」とか、すごいゆるいつながりだったりするものも多いので、なかなか関係性を整理し覚えていることは難しく、確かに、妻が「登場人物が多すぎて3分の1あたりで挫折」と言っていたのも分からなくもありません。

私の場合、登場人物の関係性を覚えることはあきらめ、とりあえず、「穢れが感染する」という法則性があるのだなくらいの理解で読んでいたので、「登場人物が多すぎて混乱」ということはなかったところです。

話は、大元の「九州で起きた大量殺人事件」につながっていくまでの調査過程を、主人公が怪異というものに対し一定の疑義を持ちながらつまびらかにしていくという流れで、調査をするということの面白さはありつつも、怖さと言う点は、あまり感じるところがありませんでした。

おそらく、私も怪異とかには否定的なため、「こういうゆるい共通性に着目して整理していくと、話がつながっていくんだなぁ」と、話を繋いでいく面白さに感心というか、興味が湧いたところでした。

地球上の人類の中から、無作為に2人をピックアップし、知り合いで繋いでいくと、どのような2人をピックアップしても、最大7人もいれば、2人を知り合いでつなぐことができる、なんていう話がありますが、本書は、どことなく、そんな話を思い起こさせる内容でした。


【『残穢』より】
 
問題は様々な怪異が、意味ありげに連鎖していることにあるが、その内実はどれも異常な音がする、黒い人影を見た、気味の悪い声が聞こえる、など、怪談でお馴染みの現象だとも言える。身も蓋もない言い方をするなら、ありがちな怪異について調べていたら、ありがちな怪異がさらにいくつも出てきた、という現象でもある。
 



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【書籍:都市伝説】 最新版!ヤバい「都市伝説」大全

【評価】★★☆☆☆

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著者:「噂の真相」を究明する会
出版:宝島社


妻が、待ち時間の間に読むために、コンビニで買ってきた本。
「読む本がなくて、仕方なく買った」との弁ですが、よりによって、こんな変な本を(苦笑)。

だいぶフザケた本なのかなと思ったのですが、序説で、「都市伝説とは、基本、酒場の馬鹿話的なネタなのである。・・・信じるも信じないもあなた次第と言われれば、基本的に信じないべき話である」なんて書いてあり、バカバカしさを自認しつつの本ということなのかもしれません。

最初の方は、歴史的、社会的事件に関する陰謀論の話で、実は、事件は米国の仕業だとか、フリーメーソン、イルミナティといった秘密結社の仕業だといった、巷でよく耳にする話満載で、食傷気味な感がありました。

序説で書いてあった、「酒場の馬鹿話的なネタ」としては、政治資金の不正利用疑惑で、号泣会見をして世界的に有名になった野々村県議に関する「野々村元県議はニッポンの泣き女だ」、「タモリ倶楽部のケツはタモリ本人のケツ」、「百田尚樹「反日工作員」説」あたりが、そこそこ、面白い内容だったでしょうか。

「野々村元県議はニッポンの泣き女だ」という話は、野々村元県議のTV会見の時に、幽霊が映り込んでいたというネタです。
野々村元県議の号泣は、日本古来の泣き女(中国とか韓国だけでなく、日本でも様々な場面で泣くことを仕事とする泣き女がいたそうです)の持つ能力(霊能力)と同等の能力を引き出すことになり、その結果が、幽霊の映り込みにつながったというもの。

まさに、酒場の馬鹿ネタにはぴったりのアホ話ではあります(笑)。


「タモリ倶楽部のケツはタモリ本人のケツ」は、そのまんまですが、TV番組「タモリ倶楽部」のオープニング(及びエンディング)は、女性のお尻を振る画面が出てきますが、時々、男性のお尻も登場するそう。

男性の尻が時々登場していたという事実の方が初耳でびっくり。
まぁ、事実なのか、この情報も都市伝説なのか定かではありませんが、ネタとしては、その男性の尻が、タモリ本人の尻だったというもの。

こういう設定なら、分からなくもない(とは言い難いですが)ですが、タイトルだけ見ると、タモリのケツが女性のケツと見まごうばかりの綺麗さなのかと思ってしまいました。
さすがに、それはないか(笑)。


「百田尚樹「反日工作員」説」は、百田直樹(「永遠のゼロ」等を書いた作家)は、最右翼的な発言で度々物議をかもしていますが、右傾向が強い自民党を応援しているように見えて、実は、物議を醸す発言で、自民党の信用失墜を狙っている反日工作員だというもの。

百田氏、先日も、「沖縄の新聞社2社はつぶすべき」と言った、バカバカしい発言をして自身のみならず、自民党の評判を落としていましたが、この都市伝説の内容は、ちょうど、その事件とも重なり、なかなか面白く感じました。

この本自体は、「沖縄の新聞社」発言の前に書かれたものですが、こんな都市伝説が書かれるくらいのダメ出しを受けているにも関わらず、相変わらずの発言をする百田氏は、本当に自民党の評判を失墜させるための反日工作員だったりして(笑)。

それは冗談としても、舌禍というのは揶揄されやすい事象なので、発言にはよくよく気を付けないといけないですね。


【『最新版!ヤバい「都市伝説」大全』より】
 
本来、人々がコミュニケーションのツールとして使ってきたもので、かなり盛られた話になており、すべてが事実ではない。基本、酒場の馬鹿話的なネタなのである。
 



【書籍:怪奇譚】 あやかし草子 -みやこのおはなし

【評価】★★★☆☆

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著者:千早 茜
出版:徳間書店


妖怪にまつわる6つの短編を収めた作品。
雰囲気は、昔話、民話風で悪くはないのですが、どの話も基本的に、人間として生きるには人間の心を大切にしないといけない的なメッセージを込めすぎているというか、教訓臭さがあって(まぁ、昔話って教訓臭いものが多いですが)、更に結末が、なんだか甘ったるいものが多いので、正直、しっくりこないというか、なんだか歯の浮くような気分になるというか・・・。
いずれにしても、自分にとっては腹落ちしないという感じの話でした。

私は恋愛小説や恋愛映画は性に合わないので、この本も恋愛小説的な雰囲気もあるので、そういった点での相性の悪さがあったのかも。
逆に、恋愛小説が好きという人には、本書、別に恋愛小説ではありませんが、フィットする作品かもしれません。
とりあえず、短編6作について、簡単に感想を書いてみたいと思います。

『鬼の笛』
人の心を狂わす笛の音を吹く男が、ある日、鬼から笛の音を聞かせてもらっているお礼だと言って、女をもらう。
女はとても美しいものの、100日立たなければ魂が宿らず、その前に女を抱いてしまうと女は跡形もなく溶けてしまうという注意を受ける。
男は鬼の注意を守っていたが、ある日、女が、男の吹く笛の音と同じ旋律を口ずさんでいるのを聞いて、男は我を忘れて女を抱いてしまい、女は溶けて消えてしまう。
男は錯乱し、笛を吹きながら国中をさまよいあるくのだった・・・という話。
人の心を狂わせる笛の音を、女の歌声を通じて男自身が聞いてしまったので、男は狂ってしまったのかなぁ・・・と思いましたが、あまり、よく理解できない話でした。


『ムジナ和尚』
寺の和尚に化け、人の死体を食べあさっていたムジナが、人間の少女に人間的な愛情を覚えるようになる。
しかし、少女は病気で死んでしまうのだが、ムジナは人間の心を持つようになったが故に少女の死体を食べることができず、人間が、なぜ人が死んだら食糧にせず、その死体を墓に埋めるかがそこはかとなく理解できた・・・という話。
根本的に、人間に限らず、動物って自分と同じ種族の死体を、そもそも食べたりしないんじゃなかろうか・・・と妙なところが気になったのでした・・・。


『天つ姫』
天狗と親しくなった少女が、大きくなって天皇の后となるものの、夫である天皇の冷酷さに失望し、天狗と共に逃げ出し、ついには、2人は2つの木になって、いつまでも寄り添うように生き続けました・・・という話。
この話が、一番、恋愛小説っぽい感じの話でした。


『真向きの龍』
彫り物師が龍に見初められ、一緒に異界に行こうと誘われるが、人として成したいことがあると断り、その後、全身全霊を注いで、見事な龍の彫り物を作り上げた・・・という話。
人間、精一杯生きないとダメだよという、かなり説教臭い話でした。


『青竹に庵る』
不思議な竹林に迷い込んだ少年が、この竹林の中で苦痛や悩みのない時を永遠に過ごせるという誘いを受けるものの、人の世で何かを感じ、誰かに何かを与えることをしたいと断り、竹林を後にする・・・という話。
この話も『真向きの龍』と似たようなメッセージ、教訓を持った話でした。


『機尋』
機織り機と一体となり、子供を攫う救われない霊を、少女が人の心の優しさを思い出させて、霊と、攫われた子供たちを救う・・・という話。
人の心を信じることの大切さといったことを、あからさまに訴えかける内容に、心の汚れた大人としては、大いに鼻白んでしまったのでした(苦笑)。


私としては、どの話もきれいにまとめようとするところが強すぎて、どうしても素直に話に入っていけなかったところがありました。
もうちょっと、ブラックさや皮肉を利かせたビターな大人味の作品になっていると、よかったかなぁ・・・。


【『あやかし草子』中「天つ姫」より】
 
不変の世界では思い出などつくり必要がないので、天狗たちは今以外のことを考えるのが苦手でした。
 



【書籍:怪談話】 現代百物語 殺意

【評価】★★☆☆☆

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著者:岩井志麻子
出版:角川ホラー文庫


妻が買ってきたのを拝借して読了。このシリーズ、私にはどうしても合わないのですが、妻が次々に買って来て、読んでいない本がそばにあるとどうしても落ち着かず、結局、読むはめになります。
本作、見開きで1作という形態で、99話が載っていますが、その中で、多少なりとも印象に残った作品について感想を書いてみたいと思います。

『極限状態での意外な行動』
極限状態になったとき、その状況とはそぐわない他のことを考えるよね、というお話。
片腕を切り落とされ、走って逃げている極道が、「急に片腕を失うとバランス取れなくて走りにくいな」と考えていたなんていう例や、彼氏に首を絞められ殺されそうになっている女性が、「冷蔵庫の中のケーキの残りを食べておけばよかった」なんて考えていたなんていう話が紹介されています。
確かに、考えなければいけないはずの時に、全く別のくだらないことを考えてしまうというのは、あるなぁと共感。
会議の時に、全く関係ないことを考えているなんてこともあるし・・・ それは別の問題か(笑)。
ただ、この話が怪談話として載っているのが、一番、関係ないことのような気がします。


『AVと怪談の共通点』
AVの男優はキャラが立っていなければいないほど重宝されっるという話と、怪談話も幽霊のキャラが立っていない方が身近に感じて怖いという共通点(?)について語られています。
話は取り立てて、たいしたことは書いていないのですが、最後のオチの一文、「ちなみにAVの男優達は、名前すらちゃんと持っていない場合が多い。まるで無縁仏だ」は、ヒットしました(笑)。


『夢に出てきた女神』
本書の内容は、話を盛ってしまうし、おもしろおかしく大げさに脚色していると告白。
ある程度は、盛ったり作ったりしていたとは思いますが、そこまであからさまにしてしまうと、身も蓋もないよなぁ・・・。
「ホテルの浴室に描かれていた女神像。特に気にしたこともなく、この場(TV番組)に来るまで、その存在は忘れていた」のに、「女神族が夢に出てきて、その目が黒々としていたのが忘れられない。何かを訴えたかったようだ」という話に脚色したというのは、それは、盛った以前の話で、やりすぎだよなぁ・・・。
実話系と謳っている割には、この作り話告白は、ちょっとひどすぎという印象・・・。


『どこからが呪いか』
ストーカーの女性に、「あなたとは、そもそも手すら繋いだこともないんだし、僕らの間には何の関係も成立していない」と言ったら、その女性から「前世からの仲だ」と言い返されてしまったというお話。
言った女性は、本気の言葉だったのでしょうが、こういった気の利いた(というか、ふざけた)返しというのは、私のツボにはまって面白かったです。
「お前には関係ないだろう!」なんて、言われることがあったら、「前世から関係してます!」という返しをいつかはしてみたいです(笑)。


【『現代百物語 殺意』より】
 
もしかしたら私もとんでもない状態や状況に陥ったとき、案外冷静に、意外と落ち着いて、別のことを考えたり心配したりできるかも、と思えたからだ
 



【書籍:怪談】 現代百物語 生霊

【評価】★★☆☆☆

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著者:岩井志麻子
出版:角川ホラー文庫


妻が時間つぶし用に買ってきたので、拝借して読了。

1作目の「現代百物語」、2作目の「現代百物語 悪夢」も実は読んでいて(全て、妻が暇つぶしに買ってきたものですが)、期せずして、このシリーズを結構読んでいたことにびっくりでした。

3作目ともなるとネタ切れなのか、以前に読んだような話がかなりの割合を占め、更に、奇妙な知人に関する話が大半なのですが、なんだか、怪談話にかこつけて、その人の悪口、罵詈雑言を書き殴りました・・・といった風情で、読んでいて正直あまり良い気分のしない作品に仕上がっていました。

本作の中に、「モデルにしないで」という話があり、著者の知人である作家にまつわる話が書かれています。
その話では、粘着質な読者が、その著者の作品が自分のことをモデルにしていると思い込み、その作家の作品のアマゾンの評価欄に、「読んでて気分が悪い。他人の悪口が好きな人には面白いかも?」といったことを大量に書き込みをしているといったエピソードが紹介されています。
本作こそが、「読んでて気分が悪い。他人の悪口が好きな人には面白いかも?」といった感想が当てはまる作品になってしまっているよなぁ・・・と思うと、実は、「モデルにしないで」が、この作品自身のことを書いた話のようにも読め、なかなか不思議な感じです。

さて、その他、いくつか印象に残った作品の感想を書いてみたいと思います。

「笑いと恐怖」
飼い犬の霊だと思って接していた姿の見えない霊の正体が、実は、飼い犬ではなく、おっさんの霊が犬の真似をしていたという話。
この話、以前読んだホラーエッセイ漫画、伊藤三巳華さんの書いた「視えるんです」に、同じような体験談が書かれていたので、「笑いと恐怖」の元ネタは、漫画家・伊藤三巳華さんの体験談を脚色したもののようですね(このブログでは、その体験談についての感想は割愛してしまっていますが)。

本作の著者、岩井志麻子さんと伊藤三巳華さんは知り合いのようなので(「女たちの怪談百物語」、でご一緒しているようなので)、伊藤三巳華さんから直接聞いた話を元に書いたのでしょう。
一方が漫画に、一方が小説(エッセイ?)に書いている訳ですが、漫画の元ネタと比べ、岩井志麻子さんの作品の方は、ちょっとお笑い系に脚色していて、作家の個性が出ている印象です。


「イソップ童話のような話」
イソップ童話で、カエル達が神様に「支配者をください」とお願いしたところ、最初は実害のない木材や亀などを支配者として神様から与えられるのですが、それでは物足りないカエル達は、更に支配者を神様に望んだところ、空からサギが舞い降りてきて、カエル達を食べてしまったという童話がありますが、その童話と現実を対比した話。
ダメンズにばかり引っかかる女性の中には、ダメンズに引っかかって懲りたのかと思いきや、次の男が更にタチの悪い男でと、どんどんと付き合う男がタチが悪くなってしまうという女性がいますが、その女性が、まるでイソップ童話のカエルのようである、といったことを本作では述べています。
この例えは、なかなか言い得て妙だなと思わず感心してしまいました。


「熱病の中で見たもの」
熱病にかかって、幻覚を見て以来、幽霊を見たという人も同じような体験から幽霊を見たと思ったのかもしれない、だから、「幽霊を見た」という人はウソをついているわけではない、ただし、見たものが本当に幽霊かどうかは別である、といった話。
私もそうだと思います。
「幽霊を見た」という人は、幻覚や目の錯覚であろうとも、何かを見た可能性は高いのだろうと思います。ただし、それが、本当に幽霊なのかどうかは、検証してみないと事実は分からないということなのでしょう。
大いに同感と思った話でした。


「女性性」
話をしていると、「その芸能人と付き合っていた」とか、明らかにウソだろうと思える話で、全て話題を自分に関連づける女性の話。
妻からよく、仕事の同僚で、皆で雑談をしていると、常に自分のことに結びつけて話を持って行ってしまう人がいると愚痴を聞かされますが、結構、こういう人っているのかもしれません。
本作では、女性的な部分(女性性)が強い人にそういう傾向があるといったことが書かれていますが、その辺りはどうなのでしょう。単に女性の方が話好きの人が多いから、そういう傾向の人が多いというだけの気が。


「放置自転車の持ち主」
警察から、著者の住所で登録された自転車が放置されていたと連絡があったが、まったく身に覚えのない自転車だったという話。
私も、10年くらい乗り続けていた自転車の防犯登録が全く別人の名前や住所で登録されていたということがありました。
登録時に、何かの手違いで、まったく違う情報で登録されたようですが、防犯登録も結構いい加減だなぁと思った記憶があります。
ですので、著者が体験した話も、結構、あることなのだろうと思います。
しかし、そこから、著者の妄想で怪談話に仕立て上げていく、その妄想力はお見それしました。ただし、やっぱり妄想の域はでないので、怖くもなんともないのが傷ですが・・・。


「結婚を迷う理由」
知人が恋人とその妹と会食するところを目撃した著者。
妹の方は、巨体で、食事をむさぼるように食べていたのですが、その様子を見ていて、著者は、後日、その知人に対し、「妹さんは、あなたを、姉の結婚相手としてではなく、食べ物として見ていたよ」と忠告するという話。
・・・それって、ただの誹謗中傷だよなぁ。


【『現代百物語 生霊』より】
 
今まで幽霊を見た人を嘘つき呼ばわりできなくなった。幽霊はいる、じゃなくて。見たという人達は、少なくとも嘘つきではないんだ、って
 


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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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