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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【中国映画:ギャンブル】 カイジ ー動物世界

【評価】★★★★☆

kaiji_china.jpg
2018年/中国
監督:ハン・イエン
主演:リー・イーフォン

「カイジを久々に見たい」という妻の要請で、レンタルしょうとしたら、1作目、2作目とも貸し出し中。最新作のカイジが出るので、みんな借りちゃうんですな。
しかし、穴場あり!中国版の「カイジ」があるじゃないですか。「これじゃない!」という妻の批判の声が聞こえてきそうですが、耳を塞ぎ、レンタル。


【ストーリー】
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母の入院費などで金不足に苦しむカイジは、友人の誘いにのり、母の名義の家を担保に大金稼ぎをしようとするが失敗し、逆に多大な借金を背負ってしまう。
八方塞がりに陥ったカイジの前に、大金を稼げるギャンブルの話が舞い込み、そのゲームに参加することにするのだった。
ゲーム開始早々、他の参加者にだまされ窮地に陥るカイジ。しかし、持ち前の計算力を発揮し、仲間を募り、ゲームの札の買い占めなど、ありとあらゆる手段を用いて巻き返しを図る。
しかし、カイジの動きを察知した他の参加者によって、またも窮地に陥るが、逆転の一手で、ピンチを切り抜け、仲間を助けることに成功するが、自身はゲームに負け、たこ部屋送りになる。
ゲームに勝った仲間がカイジを救出してくれるはずだったが、仲間も土壇場で裏切り、自身の力でたこ部屋を脱出。裏切った仲間に制裁を加えた後、無事、元の世界に戻ることができたのだった(完)。
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【ダメ人間じゃないですね・・】

本作、漫画や日本版のカイジとは違い、主人公たるカイジのダメ人間っぷりがかなり薄いですが・・・というよりは、親孝行で恋人もいるという、原作カイジとは真逆な人間っぷりで、日本と中国の違い(?)を感じる作品となっています。
ただし、メインのギャンブルゲームは、原作踏襲で、楽しめる内容でした。

ギャンブルゲームは、基本的にはじゃんけんなのですが、じゃんけんだけど、ここまで駆け引きが成立するのかと、本作を観てもあらためて感じました。



【ザワザワは一体・・・】

カイジ作品(原作)の特徴は、カイジの心理描写を表すのに、カイジの背後で「ザワザワ」という効果音で表現する手法。
日本版カイジは、見事に(?)この手法が表現されていましたが(少々、突っ込みどころがあると言えばあるのですが(笑))、中国版では、この描写は別の方法で表現されていました。

その方法とは、ザワザワの代わりに、主人公がピエロに関する妄想に陥るというもの。
これはこれで、ありかもしれませんが、やっぱり、カイジには「ザワザワ」でしょ、と思うと、「ザワザワ」がないカイジは、やはり物寂しさがあります。

やはり、「ザワザワ」というオノマトペ(?)は、日本でしか通用しないガラパゴス的な表現だったか(笑)。



【カイジ以外ダメ人間】

終盤は、カイジが犠牲になって仲間を助ける展開。
そして、助かった仲間がカイジを助ける計画だったはずが、金に目がくらんで、カイジを見捨てるという流れに。
どちらかというと、カイジ以外の人間のダメっぷりが目に付きます。カイジ、実は真人間なのか(笑)。

ラストは真人間カイジ(?)らしく、娑婆に戻り、恋人とも再会してハッピーエンド。
いやぁ、カイジに恋人がいるってのが、想像できませんが、更には、親孝行のカイジという設定も、これまた想定外。
孔子を輩出した国だけあって、親孝行設定というのは、これぞ、中国仕様と言えるのかもしれません。

他の国でカイジを映画化すると、どんなカイジになるのでしょうか。それぞれの国のお国柄が出そうで興味深いところです。

なお、本作で一番びっくりしたのが、入院費用が不足したか何かの理由で、植物状態で入院している母親のベッドが廊下に出されてしまうというシーン。
中国の病院って、普通にこういうことをするのでしょうか。これが一番驚いたかも。


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[ 2020/01/18 15:44 ] ギャンブル | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:スパイ映画】 ジョーカー・ゲーム

【評価】★★★☆☆

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2015年/日本
監督:入江悠
主演:亀梨和也
原作:柳広司「ジョーカー・ゲーム」


DVDの予告が面白そうだったのでレンタル。
スパイ物のような頭脳戦を描いた作品は、ついつい興味を惹かれます。

【ストーリー】
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太平洋戦争直前の時代の日本。
諜報機関「D機関」に所属することとなった主人公は、海外のある国際都市に赴任しているアメリカ大使が持つ、新型爆弾の製法を書かれた資料を盗み出すよう密命を受ける。
しかし、その資料は、日本以外にも各国のスパイ組織が手に入れようとやっきになっているのだった。
主人公は、アメリカ大使へ接近することに成功、そして、大使が隠し持つ資料を盗み出すことに成功する。
資料を盗み出すと同時に、大使から酷い扱いを受けていた日本人のメイドを助け出すが、実は、このメイドもスパイで、折角盗み出した資料を、この女スパイに奪われてしまう。
更に、この女スパイと主人公は、イギリスの諜報機関に捕まり、極秘資料を奪われてしまう。
主人公は、イギリスの諜報機関の裏をかき、脱獄に成功、更にイギリスの諜報部から極秘資料を奪い返し、捕えられた女スパイをも助け出す。
無事、極秘資料を日本に届けることに成功するが、記されていた新型爆弾の製法は、莫大な費用がかかることが判明、日本の軍部は新型爆弾の開発は却下してしまう。
一方、主人公は、D機関から新たな密命を受け、次のミッションに向けて出発するのだった(完)。

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【「ミッション・インポッシブル」日本版?】


時代は、太平洋戦争勃発直前という設定。
そこで、新型爆弾の製法を記した資料「ブラックノート」を巡って各国のスパイの争奪合戦が繰り広げられるという展開です。

「ミッション・インポッシブル」の日本版といった作品でしょうか。
ただ、作品の規模、質からいくと、「ミッション・インポッシブル」で描かれる頭脳戦、アクション性の派手さには届かず、なんとなく、「ミッション・インポッシブル」を劣化させた雰囲気もあります。

とは言いつつも、二転三転の展開となるため、そこそこ楽しめる作品でした。



【見た目と裏腹に、ハニートラップに引っ掛かりまくり】


「ミッション・インポッシブル」日本版とは言いましたが、ルパン三世に近いかもしれません。
目当ての資料の隠し場所を探し当て盗み出すものの、味方と思っていた女性の裏切りで出し抜かれるという展開は、ルパン三世のルパンと峰不二子の関係に近いかも。

本作の主人公は、女性に出し抜かれ裏切られようとも、その色香に惑わされ(?)、たびたび女性のピンチを救うあたりも、ルパン三世並の女性の弱さ(苦笑)。
なにせ、主人公は、同僚のスパイに、「まさか、ハニートラップに引っ掛かるとはびっくりだよ」と呆れられるシーンまであり、クールな顔と態度の割に、主人公は、女性に弱いのが一大欠点のようです。

まぁ、しかし、現実の世界でも、ハニートラップは強烈な罠として、分かっていつつ引っ掛かる人多数なので、もっとも簡単で効果的な罠なのでしょう。主人公が引っ掛かるのも仕方ないのか(笑)。



【死なず、殺さず】


ハニートラップやら、女性に弱いことが原因で、主人公はついにはイギリスの諜報機関に捕まってしまうという大失態をやらかすことに。

主人公が所属するD機関のモットーは、「死なず、殺さず」。
自分が死ねば任務は達成できないし、また、相手を殺せば周囲の注意を引くことになるので、死ぬことも殺すこともせずに、任務を達成する方法を考えよということです。

旧日本軍の野蛮っぷりを皮肉ったモットーとして、こういう設定を入れてあるのだと思いますが、このモットーを実践するのがなかなか難しい。

死なず、の方は自分の心がけ次第でなんとかなりますが、「殺さず」の方は、こういう仕事だと簡単ではないようです。
終盤、イギリス諜報部から、極秘資料を奪い、閉じ込められていた牢から脱出する際、火薬を大爆発させるのですが、明らかに、イギリス諜報部のリーダー、爆発に巻き込まれて死んでたしなぁ。

死なずに生き延びるという点は、色々と工夫がありましたが、「殺さず」の方は、「できれば殺さない」レベルに後退してしまったのは、残念なところ。
この辺の工夫がもうちょっと考えられていると、もう少し、唸らされる作品になったかも。



【終わりもルパン三世】


エンディングでは、主人公と女スパイが、無事、イギリスの諜報部から逃れられて良かったと言いながら、車に乗り込むのですが、後ろから、イギリス諜報部の車が追いかけてきて、「やべっ、逃げろー」という構図になります。

そして、車でおいかけっこをする主人公とイギリス諜報部ですが、女スパイの方はと言うと、するっと主人公の車から抜け出し、主人公の財布とか貴重品をスリ取って、「まったねー」と逃げ去ってしまいます。

ははは、ルパンと銭形、峰不二子そっくりだなぁ。
ルパン三世の終わりも、いつもルパンと銭形が追いかけっこするのを横目に、峰不二子がおいしいところを取って行っちゃうという王道パターンがありますが、本作の終わりも、その王道パターンにそっくり。
たぶん、ルパン三世を意識した終わり方だったのかも。

子供の頃、ルパン三世のアニメをテレビでよく見ていた世代としては、なんだか、妙な懐かしさを感じたのでした。



[ 2017/05/17 00:00 ] ギャンブル | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:サスペンス】 神さまの言うとおり

【評価】★★☆☆☆

god_iutori.jpg
2014年/日本
監督:三池崇史
主演:福士蒼汰、神木隆之介
原作:金城宗幸原作・藤村緋二作画 漫画「神さまの言うとおり」


教室で「だるまさんが転んだ」が行われ、失敗した生徒がダルマに殺されるという、派手な映画CMを見て、妻が興味を惹かれ早速レンタル。
かなりトリッキーな作品という印象を持っていましたが、果たして、どんな出来栄えなのでしょうか。

【ストーリー】
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学校の授業中、突然、ダルマが出現し、教室の生徒たちは、「ダルマさんがころんだ」をさせられる。そして、失敗した生徒は容赦なく頭が吹き飛ばされ死んでしまうのだった。
主人公は、ダルマの背中にボタンがあるのを発見し、そのボタンを押すと、その死のゲームは終了するが、ボタンを押せなかった生徒はみな頭を吹き飛ばされて死んでしまった。
他の教室でも同じゲームが行われており、各教室で生き残った生徒たちは、体育館で巨大なまねき猫に鈴を付けるゲームに強制参加させられる。
そこでも、何人もの生徒が死に、鈴付けに貢献した主人公を含む3名の生徒のみが生き残るのだった。
実は、この状況は、世界各国の高校で発生しており、各高校で生き残った生徒たちは、空中に浮かぶ巨大な白い四角い構造物に集められる。
そこでも、「カゴメカゴメ」、「嘘つき当てゲーム」によって、更に死の選別が行われる。
ラストゲームとして、「缶けり」が行われ、主人公ともう一人だけが生き残る。
そこに、神が現れ、神による選別だったことが明らかになるのだった(完)。

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ストーリーとしては、数々の死のゲームに生き残っていく姿を描いた作品。
ところどころコメディータッチな雰囲気を漂わせつつも、ゲームに負けた人々の死にざまが、意外とグロくて、あまり良い感じはしませんでした。

こういった作品の場合、無理ゲーに近いようなゲームを、主人公がどんな知力を駆使して生き残るかが醍醐味なわけですが、おぉーっと思うような頭脳戦が展開されるわけでもないので、それほど面白くもなかったかも・・・。

最初の「だるまさんがころんだ」では、ダルマの背中のボタンを押せばゲーム終了なわけです。
しかし、ゲームに失敗して死んでしまった生徒の血は、全てビー玉に変わってしまい、床一面がビー玉でいっぱいになってしまっているので、うまくダルマに近づけない状況をどうやってクリアするのか・・・、まぁ、そんな問題設定なわけです。

この問題設定も、無理しなくても慎重に足元に気を付ければダルマに近づけそうなので、それほど難問という感じもしないので(一応、ゲームに時間制限を設けることで難易度を高めてありますが)、ダルマの背中のボタンを押す解決手段が、ちょっと無理やり過ぎる感があったかなぁ・・・。

これを見て思うのは、問題設定って大事だよなぁというもの。
良い問題設定こそが、面白い場面を生み出すのです。

その後、「巨大招きネコの首についているゴールポストに鈴を投げ入れるゲーム」、「カゴメカゴメ」、「嘘を付いている人を当てるゲーム」、「缶けり」と続いていきます。

招きネコのゲームは、鈴を首輪に向かって投げ入れても、招きネコが弾いてしまうのでどうするのかという問題があるのですが、一方で、生き残れるのは、ゴールに直接鈴を入れた一人だけではないのかという疑心暗鬼から、生徒同士での仲間割れも発生。

そのため、ゴールに入れるにはどうすればよいのかという話と、生徒同士での仲間割れ・人間関係の双方に話が拡散してしまい、設定を上手くして、どちらか一方に焦点を当てる話になっていれば、面白かった気がしました。

「カゴメカゴメ」では、主人公が機転を利かせてゲームをクリアしますが、トリッキーすぎる作戦で、あまり納得感がなかったかな。

更に、次の「嘘を付いている人を当てるゲーム」に至っては、ルール関係なしのインチキなゲームだしなぁ(苦笑)。

最後の「缶けり」くらいは、人間同士の心理的駆け引きなどがあったので、まぁまぁと言ったところ。

やはり、人間同士の頭脳戦、心理的駆け引きが上手く描かれていないと、この手のゲーム系の作品は面白さが削がれてしまうと思いました。
やはり、なんと言っても、人間同士の駆け引き程面白いものはない、それがこの映画を見ての結論でした。

なお、この作品、ダウンタウンの罰ゲームから発想を得た作品なのかなと思ったのですが、漫画の原作があるみたいですね。

[ 2016/01/28 00:00 ] ギャンブル | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:サスペンス】 ラスト・ワールド

【評価】★★☆☆☆

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2013年/アメリカ、インドネシア
監督:ジョン・ハドルズ
主演:ジェームズ・ダーシー


たまたま目に付いて興味を惹かれた作品。20人の中から生き残れる人間を10人選ぶという駆け引き系の作品のようで、私の趣味嗜好に合いそうだったので、思わずレンタルです。

【ストーリー】
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とある高校の教室。哲学の授業で学生20名は、ある思考実験をすることになる。
それは、核戦争で世界が汚染されたとの設定で、核シェルターの収容人数は10名しかない。
20名の中からシェルターに収容する人間10名を選び、その10名で再び人類お繁栄させるという目標で思考実験を開始する。
20名には、それぞれ職業が割り当てられ、人類が生き残るのに適していると思われる人間を10名選び、シェルター内でどのように生活していくかを考え、その選択で人類が生き残れるかを考えるというものであった。
最初は、人間が生活する上で、かかせない技術を持つ人々を選び思考実験を行うが、人類の生き残りに失敗、2度目も同じような方針で臨むが、やはり失敗してしまう。
3度目の挑戦では、詩人、オペラ歌手といった実利的ではない人々を選んで思考実験を開始する。
授業を指導する先生は、その馬鹿げた方針にあきれ、学生たちを論破しようとするが、学生たちは、反対に先生を論破し、思考実験を続けていく。
その思考実験でも結局、人類は滅んでしまうが、その思考実験から、学生たちは生き残ることよりも人間らしく生きることの重要性を導き出し、自分の正しさに自信を持っていた先生は、自分の考えてきた結論と大きく異なる結果に打ちのめされるのだった(完)。

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20人いる中で、10人を選んで生き残らせるとしたら、誰を生き残らせる?、というテーマの思考実験の授業を描いた、なかなか一風変わった作品。
映画では、高校の授業での思考実験を描きつつ、思考実験で語られる世界を実際の映像として表すことで、思考実験にリアリティを持たせて作品として表現するといった手法が取られています。

面白い取り組みだなとは思ったのですが、全体としては、思考実験の出来が悪いため、納得感のいかない展開で、残念な結果に終わってしまったという印象。

思考実験では、核戦争により、外の世界が汚染されたという設定が与えられます。
そして、1年間、核シェルターに避難する必要がありますが、そのシェルターには10人しか収容できないため、20人の学生+先生1名のうち、10人を選んでシェルターに避難させ、1年後、無事、シェルターから出て、その後、人類を生き残らせるようにする-こういった目的を達成するために、どの10人を選ぶかというのを、考えるというもの。

20人(+先生1名)には、それぞれ職業が与えられ、それら職業も勘案して、シェルターに避難させる10名を選ばなければなりません。
そして、先生もプレイヤーであると同時に、思考実験の成否や展開の判定役を行うという、言わば、審判兼プレイヤーという役割を担っています。

映画では、3回思考実験が行われますが、1回目は、学生が割り振られた職業を順番に発表していきます。

学生A:「私は、建築家です」

学生みんな:「人類がこれから再建していくためには、建物を建てたりする必要があるから、
         建築家はシェルターに避難させるべきよ!」

学生B:「私は、ワインの輸入業者です」

学生みんな:「ワインのディーラーは、人類が生き残るには不要な技能ね。シェルターには入れられないな。」

といった感じで、職業が発表されるたびに、シェルターに避難させるか否かを判断していきます。

そして、ある程度進んできたところで、

学生J:「私は、詩人です」

と言った瞬間、パーンと銃声がなったかと思うと、学生Jの額には銃口があき、射殺(実際、現実の世界で射殺されたわけではなく、あくまでも思考実験の中での話です)。

先生が、「詩人は明らかに不要だ。だから、殺した。」と平然と宣言。

・・・先生もプレイヤーではあるものの、思考実験の判定役でもあるのに、とっても勝手な行動です。問答無用に射殺とは、なんか無茶苦茶な・・・。

そして、先生の職業はというと、「秘密です」。
先生曰く、「物事には常に不確実性が存在するのだ。私の職業が秘密なのは、その不確実性を表している。その不確実性をどう処理するかで、君らの論理的思考力が試される」と、分かったような分からないようなことを通告。

当然ながら、勝手に人を殺す危険思想の持ち主で、かつ職業は秘密にするという協調性のない人物は、シェルターの中で一緒に過ごせないということで、シェルター入りは拒否されてしまいます。

実は、先生の職業は、シェルターの設計技師。先生だけが、シェルターを出る時、扉を開けるためのパスワードを知っていたという、なんともインチキな設定がなされていたのでした。
そのため、1回目の思考実験では、シェルターに避難した学生は、1年後、シェルターから出ることができず、シェルター内の空気や食料が尽きて全員死亡というバッドエンドとなってしまいます。

・・・うーん、これって単なるインチキな設定で、それでもって、論理的思考が正しければ、目的を果たせると言われても納得いかないよなぁ・・・。
単に、先生のさじ加減で、思考実験の成否が決まってしまうわけで、知恵を絞った結果、もしくは思わぬミスをした結果、こういう風になったという、論理的帰結があいまいなので、どうにも、納得がいかないのでした。

1回目を失敗したので、2回目の思考実験を開始。
先生が、シェルターの設計技師ということは1回目の思考実験で分かっているので、当然、先生をシェルター入りさせることになります。
この時点で、1回目に先生が言った「不確実性うんぬん」という話は、2回目の思考実験では破たんしているので、すでに思考実験の前提の一部が崩れている気がしますが・・・。

なお、2回目も詩人は、職業を明かした瞬間に、先生に射殺されます。
他にも役に立ちそうにない職業として、オペラ歌手やハープ奏者なんていうものもあるのですが、なぜか、射殺されるのは詩人のみ。
先生は、よっぽど、詩人に恨みでもあるのでしょうか(笑)。

2回目の思考実験では、非協調的で勝手で独断的な先生と学生との間に軋轢が生じ、争いが生じます。
それに怒った先生が、核シェルターのドアを開けて全員死亡。

・・・生き残りを目指しているはずが、なぜ、全員死亡するような行動を取るのだ・・・。
明らかに、先生の行動、おかしいでしょ・・・。
とりあえず、これで2回目の思考実験も失敗。

先生は、論理的に考えて結論を導き出せと、再三再四うるさく言う割には、その行動は、全然論理的ではないような・・・。
結局、先生が気に入らない展開だと勝手にご破算にしているだけなような・・・。

どうも、先生の都合次第というだけの展開が、この作品をつまらなくしています。

3回目は、学生の中の成績トップの優等生が、「私に、シェルターに入る人を選ばせて欲しい」と申し出て、学生達は、その優等生に人選を任せます。
優等生が選んだメンバーは、オペラ歌手やワインディーラー、そして毎回射殺されていた詩人など、効率性・実務性を全く無視した職業の人のみを選択。
そして、先生は、シェルター避難者からは除外。

先生:「ちょっと待て。シェルターを開けるパスワードは私しかしらないんだぞ。
    私を入れなければ、1回目と同じ結果になるのは明らかだが、分かっているのか!?」

優等生:「2回目の思考実験の時に、先生は、自らシェルターの扉を開けましたよね。
      その時に入力したパスワードを見ていたので、パスワードの番号は分かっています!」

ちょと待て、ちょと待て、お兄さん!
2回目の思考実験と、3回目の思考実験って仕切り直しだから、それはおかしくないか!?
あきらかにチートです。
それなのに、先生の方も、一本取られたみたいな顔して、優等生の理屈を認めてしまっています。

・・・こんな何でもありな展開では、論理的思考でもなんでもないよなぁ。
ゲームもルールに則って、様々な戦術が駆使されるから面白いのであって、ルールも何もなく、どんな方法でもありっていうのでは、まったく面白くもなんともありません。

以前、「論争と『詭弁』-レトリックのための弁明」という本を読んだ時に、ローマ時代の詭弁術を教える学校の話が載っていて、そこでは、論じる側は、自分の都合の良い事実を勝手に作って、自分の主張を補強するという方法が普通に行われていたといった話が書かれていましたが、なんだか、それと相通ずる展開でした。

第3回目の思考実験は、初っ端から興ざめな感じでスタートしましたが、最後は結局、実務系の人材が全くいなかったため、シェルターから出た後は、サバイバルをすることができず、全員死亡するという結果になります。

そこで、優等生は、「私たちは、確かに全滅することになったが、それまでに至る過程で、オペラや詩を楽しんだり、ワインを飲みながらみんなで語り合うなど、シェルターの中で、人間らしい生活を過ごすことができた。3回目の思考実験では、私たちは、自ら人間らしい生き方を選択し、それを実現することに成功した!」と主張して、思考実験の成功を宣言。

つまりは、本来の目的「生き延びて、人類を再度繁栄させる」ということを全く無視して、勝手に自分で新たな目標を設定していたというわけです。

思考実験としてみると、「なんじゃそりゃ!?」という究極のインチキでしかないように見受けられますが、考えようによっては、他人や外部から設定された目標ではなく、自ら納得できる目標を設定することの方が、より重要という示唆にはなっているのかなぁと考えます。

ただし、映画として見た場合には、納得いかない上に、つまらない展開にしてしまっているので、いかがなものかと思いますが。

そして、少々笑えたのが、シェルター避難者に選ばれなかった男子学生が、「実は、僕も、自分のことを頭の中でこっそり思考実験してみました。思考実験では、シェルター避難者に選ばれなかった女子学生を全員連れて、原爆被害のない土地に逃げ、そこでハーレムを作ってウハウハな生活を過ごすことに成功したんだ。僕にとっても、思考実験は大成功だった」という妄想を告白するシーンでした。

思考実験って、しょせん妄想なのではないかと思うと、あまり論理思考を訓練するといったことには役立たない気がしますが、個人的な娯楽としては、意外と楽しいのかもしれないな、なんて思いました。
まぁ、思春期の男の子向きの行為なのかもしれません(笑)。

[ 2015/04/26 01:23 ] ギャンブル | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:サスペンス】 人狼ゲーム

【評価】★★★☆☆

jinrou_game.jpg
2013年/日本
監督:熊坂出
主演:桜庭ななみ


一時期、日本でも話題となったゲーム「人狼ゲーム」をテーマとした作品。
虚虚実実の駆け引きが面白そうなので、レンタルです。

【ストーリー】
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高校生の愛梨は、突然、何者かに誘拐され、同じように誘拐されてきたメンバー10人とどこかの廃墟に閉じ込められてしまう。
そこで、10人はリアル「人狼ゲーム」をすることを強制される。
10人の中に狼が2人がおり、残りは村人となる。
毎日、多数決でメンバーの中から1名、殺さなければならない。また、その後、深夜に狼2名は話し合って、メンバーの中の1名をこっそりと殺さねばならない。
そうやって、狼側か村人側が全滅したところで、勝負が決するというもの。
そして、このゲームをきちんと行わなければ、メンバー全員が殺されるという状況の中、メンバーはリアル「人狼ゲーム」を続けていくのだった。
狼が誰なのか、疑心暗鬼の中ゲームは進み、毎日、着実にメンバーは死んでいく。
その中で、一人の女性の言動からゲームが動き出していく。
この女性は、同じように誘拐されゲームに強制参加させられている妹を助けたいがために、虚虚実実の言動を擁したのだが、実はこの女性自身が狼の一人であり、村人である妹を助けるため、自ら狼であること、もう一人の狼メンバーを明らかにすることで、自ら自滅し、妹を助けるのだった。
結局、村人であった妹と主人公だけが助かりゲームは終了するのだが、2人は解放されず、新たなメンバーを加え、次の人狼ゲームへと参加させられるのだった(完)。

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本作、「人狼ゲーム」の部分に焦点を当てるべく、ゲームに関係しない背景部分の説明は思い切って省略するということをしており、その点は、非常に良かったなぁと思いました。
「人狼ゲーム」でメンバー同士が裏を読んだり、推理や心理的駆け引きをするという点が、本作の醍醐味だと思いますが、正直、その点は十分ではなく、また、キーポイントとなる女性の言動やその理由、トリックに関する部分が杜撰で、特にトリックが、「それはトリックとしてはインチキだよなぁ」という感じで、非常にもったいないところでした。

映画では、何者かに誘拐された10名のメンバーが、廃墟の中で「リアル人狼ゲーム」をやらされるというシチュエーションですが、誰が誘拐をしたのかとか、廃墟からメンバーが脱走できないようになっている仕組みは、ほとんど触れられていなかったり、かなりあっさりとした設定にしてあったりします。

ゲームと直接関係ない部分は、「とりあえず、そういう設定にしてあるから、これは受け入れて」という感じで、なかなかドライな描き方ではありますが、そういった余計な部分に労力を注がれなかった分を、ゲームの方に注力されていたので良かったかなと思います。

この「人狼ゲーム」ですが、10名のメンバーのうち、2名が狼役、残りが村人役となります。
そして、ゲームを進めていく中で、狼側か村人側が全滅した時点で、生き残った側が勝利となります。

ゲームは、毎日、メンバー全員で、メンバーの中から殺す人を決定して、その人を殺さなければなりません。
また、その後、深夜に、狼側は話し合って、メンバーの中の1名を殺さなければなりません。
つまり、毎日2名が確実に死亡していき、その状況の中で、狼側、村人側のどちらかが全滅すると勝敗が決することになるというものです。

さらに、村人の中には1名、占い師役がいて(誰が占い師なのかは、占い師以外は分かりません)、毎日1名だけ、メンバーの一人が村人なのか狼なのかを占って知ることができます。

占い師は、誰が狼であるかを知った時に、メンバーに自分が占い師であり、狼が誰であるかを告げると村人側は有利になるわけですが、ただ、そんなことをすると、占い師は、残った狼に確実にその晩、殺されてしまうでしょうから、名乗り上げるのもなかなか難しいというジレンマが存在します。

また、メンバーを殺しても、そのメンバーが狼だったのか村人だったのか分からないことになっているので、最後まで、実際、狼が何名生き残っているのか分からない状況でゲームが進んでいきます。そのため、裏を読んだり、心理的な駆け引きや洞察力なんかも重要になるというものです。

こんなゲームを実際に、メンバーを殺すというリアルな行為をせざる得ない設定で行われるというのが、この映画のポイント。

最初のうちは、当然、何の手がかりもないので、殺すメンバーを選ぶにも、とりあえず、好き嫌いとか、態度が怪しげといった程度での理由になります。

しかし、ゲームが進むうちに、女性メンバーの一人が、占い師であることを名乗り上げ、一人のメンバーを狼であると指摘するという事態が発生したことから、ゲームが大きく動き出します。

狼であると名指しされたメンバーは、「自分こそが占い師で、村人である自分を狼と指摘するそっちこそが狼に違いない」と切り返し、争いが生じます。

結局、最初に名乗りあげた女性メンバーが、占い師しか知らない、メンバーを占う方法を明かしたことで、メンバーは女性が占い師であると認定。女性の言うとおり、狼と名指しされたメンバーを殺してしまいます。

実は、この女性こそが狼で、占い師というのは嘘だったわけです。
では、トリックの要である占いの方法を知っていたかというと、実は、この女性、このゲームの前にも人狼ゲームに参加し生き残っていたため、占いの方法を前のゲームの時に知っていたというもの。

・・・これはトリックとしてはインチキでしょう。
まったくそんな伏線もなかったのに、突然、都合よくそんなトリックを持ってきてしまえば、いくらでも自由に好きな設定をもうけることができるよな。
やはり、こういう話って、なるほど、と納得のいくトリックを考えて欲しいものです。
このチート設定があったが故に、人狼ゲームの駆け引きの妙が根底から崩れてしまって、話をつまらなくしてしまっていました。

また、この女性が、リスクを負って占い師として名乗りを上げた背景としては、このゲームに参加している村人役となっている妹を助けたいが故の行動として説明がされています。
しかし、その設定はかなり無理があるよなぁ・・・。

村人の妹を助けるのだったら、狼役の自分ともう一人の狼役の死が条件なわけですから、最初から、狼役であることを名乗り出て、もう一人の狼役もばらせば、それで簡単に決着するはずですから、わざわざ、こんな複雑怪奇な行動を取る必要がないよなぁ・・・。

この辺りの設定に無理があり過ぎて、破綻している感じが濃厚でした。

もし、女性が妹を助けたいという設定なら、妹が狼役で、女性は占い師役という方が、こういった複雑怪奇な行動を取る理由になっただろうにと思います。
それであれば、女性役は、村人でありながら、敢えて村人を裏切り狼側に利する行動を取るという複雑な行動原理が出てもおかしくないわけですから。

本作、「人狼ゲーム」をテーマにするという非常に興味深いテーマ設定ではあったのですが、ゲーム展開に難があり過ぎて、正直、残念な内容になってしまっているなぁと思いました。

こういったゲーム系、駆け引き系の映画って、設定やトリックを巧妙に組み立てていけるかが肝になるので、非常に上手に作るのは難しいのかもしれません。

[ 2015/03/29 13:07 ] ギャンブル | TrackBack(0) | Comment(0)
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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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