FC2ブログ

読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
2019 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312019 09

【洋画:スポーツ】ボクサー (THE GREAT WHITE HOPE)

【評価】★★★★☆

great white hope 
1970年/アメリカ
監督:マーティン・リット
主演:ジェームズ・アール・ジョーンズ


初の黒人ヘビー級チャンピオン、ジャック・ジョンソンをモデルにした作品。
アメリカにおいて、黒人で初めて何かを成し遂げた人は、人種差別による苦難も伴うことが多く、おそらくこの作品もそういった面があるのだろうと思いつつレンタル。

【ストーリー】
================
20世紀初めのアメリカ。
黒人として始めてボクシングのヘビー級チャンピオンとなったジャックは、激しい人種差別を背景に、白人からは敵視され、白人女性を恋人に持ったことから、同胞の黒人からも批判の目にさらされる。
そのような中、チャンピオンベルトを白人の手に取り戻したいと考える人々から、あの手この手でチャンピオンベルトを奪い返すよう画策をされるが、試合ではそれが実現できないと考えた一部の白人や権力者は、ついに、ジャックの罪をでっち上げ、犯罪者の烙印を押して、刑務所に収監しようとする。
ジャックは、そのような迫害から逃れるため、ヨーロッパに渡るが、そこでも圧力を受け、まともに試合すら組ませてもらえず、困窮の日々に追いやられ、それが元で、恋人は自殺してしまう。
失意にあるジャックに、アメリカが持ち掛けたのは、減刑を条件に、八百長試合で負け試合を演じるという取引であった。
全てに失望したジャックは、その取引に応じて試合に臨む。
試合の中の1ラウンドだけ本気で戦い、相手を圧倒するが、最後は取引どおり、試合に負け、チャンピオンベルトを明け渡すのだった(完)。
================



【人種の壁に挑んだ男】

アメリカのスポーツ界で人種の壁に挑戦、打ち破った人物としては、初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソン(映画「42-世界を変えた男」)を思い出しますが、それより以前にボクシング界でもそういった人がいたのだと知ることができた作品でした。

ただし、ジャッキー・ロビンソンと異なり、ジャック・ジョンソンは、人種の壁に立ち向かった先駆者ではあっても、壁に拒まれてしまう結果だったようです。



【白人の期待の星】

しかし、当時の人種差別と言うのはすさまじい。
ジャックがヘビー級チャンピオンになると、白人の手に奪還しようと、あの手この手で仕掛けてくる。

最初は、実力で奪い取ろうと、白人の有望選手-「The Great White Hope(白人の期待の星)」を刺客として何人もジャックに挑戦をさせます。
この映画の原題も、そこから来ているわけです。

しかし、その試みも失敗すると、売春防止法のような、どう考えてもおかしな法律を適用して、ジャックを有罪に仕立て上げてしまうという、権力の乱用ぶり。

黒人憎しとなれば、どんな手段であれ、徹底的に追い落としにかかるというのも、人種差別の激しさを感じさせます。



【貧すれば鈍する】

これがきっかけで、ジャックはアメリカから出てヨーロッパに渡らざる得なくなりますが、圧力がかかり、まともに試合をすることができず、困窮に追い込まれ、そのような中、恋人も自殺をしてしまいます。

「貧すれば鈍する」ということわざがありますが、困窮に追い込まれ、優れた才能を活かすことができない状況と言うのは、なんともやるせない気持ちとなります。

スポーツの世界では、貧しい中から優れた才能が飛び出してくるという例も数多くある一方、困窮の中で、才能が埋没してしまう例も多々あり、それが人種差別といった問題に起因しているとなると、なんとかならないものかと思います。
人種差別は、結局、優れた才能を無駄に摩耗してしまうことにもつながり、世の中の損失でもあるよなぁと思うわけです。



【人種差別の壁】

本作のラストでは、困窮したジャックに、八百長試合でチャンピオンベルトを渡すことを条件に、アメリカでの減刑をするという取引がされ、その取引に応じたジャックが、試合に負け、白人が喜びの声を上げる中、静かにリングを立ち去るシーンで終わります。

人種差別の壁に跳ね返され敗れてしまうジャックの姿で終わるのは、非常にもの悲しい結末ですが、この後、黒人差別に対する戦いがアメリカにおいて長く続いていく歴史を思い浮かべると、ジャックが人種差別の壁に挑んだことは無意味ではなく、偉大なことだったのだろうと思うのでした。




スポンサーサイト



[ 2018/12/12 00:00 ] スポーツ | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:登山映画】 八甲田山

【評価】★★★★☆

hakkouda_mt.jpg 
1977年/日本
監督:森谷司郎
主演:高倉健

妻が、「八甲田山」を見たいということからレンタル。
普段、こういう話に興味がなさそうなのに、何故見たいなどと?

【ストーリー】
======================
日露戦争直前の日本。
日本陸軍は、ロシアとの戦争の前に雪中訓練の必要性を痛感、その準備として、冬の八甲田山を踏破する訓練を計画する。
福嶋隊と神田隊の2隊が、反対方面から出発、八甲田山ですれ違い下山してくるという計画が立てられる。
福嶋隊は、厳寒の八甲田山を踏破するため、少数精鋭で訓練部隊を編成、地元民を案内役に立てる計画とする一方、神田隊は、上層部の横やりなども入り、大部隊での編制かつ、案内役に地元民は使わないという計画となってしまう。
両隊とも計画通りに出発するが、神田隊は、八甲田山を行軍中、猛吹雪に巻き込まれ、道を見失い、寒さの中で次々と死者が出てしまう。
さらに、行きも帰りの道も見失ってしまい、200名近い隊員のうち、15名を残して、全員死亡するという惨事となる。
一方、福嶋隊も悪天候に苦しめられながらも、死傷者を1名も出すことなく、冬の八甲田山踏破に成功するのだった(完)。
======================



【幽霊が沢山出る?】

新田次郎氏の小説「八甲田山 死の彷徨」で有名な話を映画化した作品。
・・・八甲田山って、幽霊がたくさん出るらしいじゃない? だから、この映画、観てみたかったのよね、とは妻の弁。

色々と意味不明な理由で、もはや突っ込みすら入れられない状況ですが、少なくとも、この映画に幽霊が出ることはないでしょう。



【2隊の明暗を分けたのは?】

本作は、実話で、冬の八甲田山の踏破を目指す2つの隊の明暗がはっきりと分かれてしまう展開。
このような展開から、2つの隊の組織論的観点で、意思決定や組織の在り方を論じたくもなるわけですが、明暗を分けたのは、ただ1点の違いだったのかなと言う感じもします。

それは、ずばり、地理に詳しい地元民を案内役に立てたかどうか、という点。

遭難した神田隊、色々とありましたが、地元民が案内に立っていれば、道に迷うこともなく、無事に済んだろうにと思います。
結局、正しいことを知っている人の存在が大事、ということでしょう。



【神田隊の欠点は・・・】

神田隊は、隊長である神田大尉よりも上位の官職を持つ上司が訓練隊に同行することになり、指揮命令が乱れ、重要な場面でも意思決定に混乱をきたしたりと、いろいろとごたごたとしますが、正しい意思決定であれば、誰から発せられたものであれ、上手くはいくわけです。

本作では、上司の判断もいくつも誤りがでた一方、神田大尉が必ずしも正しい判断をしていたわけではなく、隊の中で、信頼のおける判断をできる人がいなかったのが、致命的だったように思われます。

その点、福嶋隊は、少なくとも八甲田山については、絶大な信頼を置ける地元民が案内役についているので、地元民の判断に従えば良いという、ある種単純明快な方針があった点が、優位な点だったと思います



【まさかの幽霊出現?】

ちなみに、ラスト、福嶋隊は、遭難し全滅した神田隊と山中で出会い、福嶋隊長は、神田隊長の遺体を発見しますが、下山したところ、神田隊長の遺体は、救助隊によってとっくに回収されていて、福嶋隊長が神田隊長の遺体を山中で見ることは物理的にあり得ないというエピソードが出てきます。

・・・妻の期待した、幽霊話(笑)。

満足したか聞いたところ、「なんか、期待していた内容じゃなくて、すごく淡々とし過ぎてあまり面白くなかった」とのこと。
まぁ、ホラー映画的な感じを期待して見ても、それは無理というもんじゃないでしょうか。



[ 2018/12/04 00:00 ] スポーツ | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:スポーツ】 ガチ☆ボーイ

【評価】★★★☆☆

gachi_boy.jpg 
2008年/日本
監督:小泉徳宏
主演:佐藤隆太

事故以降、寝てしまうと事故以降の記憶を全て消失してしまうという障害を負った青年が、大学のプロレスサークルに入ることで、何かを見つけていくという話。
妻に、「韓ドラとか恋愛映画とかにありがちな設定だよね」と突っ込まれましたが、今、上映中の映画「50回目のファーストキス」って、まさにそういう設定だった・・・。

【ストーリー】
============================
事故にあって以来、寝るとそれまでの記憶が喪失してしまうという障害をおった大学生。
事故以前の記憶だけは残っており、日常のことをメモに取り、朝、目覚めるとそのメモを見ることで、日常生活をすごしていた。
そんなある日、事故以前より興味を持っていたプロレスサークルに、障害のことを隠して加入し、レスラーとしてトレーニングに励むようになる。
そして、ひょんなことから、人気レスラーになる主人公だが、記憶障害が原因でサークルのメンバーに迷惑をかけてしまうが、記憶障害を知ったサークルの仲間は、主人公のために力になってくれるのだった。
そして、大学プロレスの一大イベントにレスラーとして、大学チャンピオンに挑戦することとなる主人公。
力の格差は明らかだったが、不屈の精神で粘りに粘る戦いで、試合には敗れたものの、観客に強い感動を呼び起こし、多くの人々の記憶に残るレスラーとなったのだった(完)。
============================



【記憶障害があるはずなのだが・・・】

自転車事故に遭って以降、事故後の記憶が寝ると消却してしまうという記憶障害を負った大学生が、プロレス同好会に入り青春を送るという感動ストーリー。
そういう前振りを聞いて映画を見始めましたが、冒頭、主人公がプロレス同好会に加入するものの、記憶障害の片りんは全然感じられず、写真やメモを取りまくるなぁという点が、常人とは違うものの、後は普通の人と同じ感じで、聞いていた話は勘違いだったかな、などと戸惑いながら見続けました。

中盤で、主人公が記憶障害であることが明らかになり、その対処方法として、日常生活で記録やメモを取りまくり、朝起きると、これまで取ったメモを読み返して、事故後の自分の状態を理解し、日常生活に臨んでいた、ということが明らかになります。



【記憶障害だが苦労知らず?】

記憶障害を主人公が負ってしまうという設定の映画は、過去にもいくつか観た記憶があり、確かに、その対処方法として、メモをたくさんとりまくるというものが定番で、この作品も、その定番を踏んでいます。

ただ、たいていの作品は、メモを取っても、自分が記憶障害があるという状況を毎回把握することにすら苦労したり、メモを取っていても、やはり思わぬ情報が抜け落ちていたりするので、齟齬が生じ苦労する・・・こんな展開が多いわけですが、本作は、メモ対処法はほぼ完ぺきで、主人公が記憶障害で苦労するような場面がほとんどない印象でした。

この点、リアリティがすごく損なわれ、記憶障害という点について、もう少しクローズアップして欲しかったところ。

ただし、ラストでは、バスで思わず居眠りしてしまい、想定外の記憶喪失になってしまいパニックになってしまうという展開があり、記憶障害だとこの手のハプニングが多発して黒することが多いのではなかろうか、そんな風に感じました。



【「はじめの一歩」的な展開】

ラストは、主人公が大学プロレスのチャンピオンに試合で挑むというシーンがクライマックスとなります。
実力に各段の差がありながらも、倒されても何度も立ち上がって向かっていくという展開は感動的。なんだか、ボクシング漫画の「はじめの一歩」的な展開ではありますね。
スポーツを題材とした作品は、こういった果敢なチャレンジ精神を描いていると感動的になりますね。

このシーンも一応、「記憶はなくとも、体は練習したことを覚えているんだ」というように記憶障害との関連性はあるものの、多少、とってつけた感もあります。

むしろ、記憶障害という設定はなくして、純粋に、プロレス同好会での活躍、青春を描いた方がストレートで分かりやすかったかなぁ、そんな風に思ったのでした。



[ 2018/05/11 00:00 ] スポーツ | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:スポーツ】 モンゴル野球青春記

【評価】★★★★☆

mongol_baseball.jpg
2013年/日本・モンゴル
監督:武正晴
主演:石田卓也、ベヘーオチル・ジャルガルサイハン


モンゴルを舞台にした野球映画。
物珍しさにレンタル。

【ストーリー】
=====================

時は1995年。
モンゴルに野球を教えに4年間留学することになった、日本人青年・関根淳。
モンゴルに行ってみたものの、チーム自体も寄せ集めで、更に、関根のことがモンゴル側にはしっかりと伝わっておらず、監督に受け入れてもらうことすらできないのだった。
それでも、苦労の末、監督やチームに受け入れられ、野球を教えることになる。
関根もモンゴルやチームのメンバーと打ち解けるようになり、さらに、モンゴルの少年達にも野球を教えるようになる。
それから、しばらくの後、日本で野球の国際大会が開かれることとなる。
関根のことを快く思っていないモンゴル野球連盟の会長は、国際大会で関根をコーチ陣から外すことを条件に、選手達の渡航費用を出すという条件を突きつけてくる。
苦渋の選択で、監督は関根を外し、国際大会に出場することとし、関根は、一人、モンゴルに残されてしまう。
それでも、自費で日本に行った関根は、その熱意が受け入れられベンチに入ることができるが、モンゴルチームが日本チームとの対戦で歴史的な大敗北を喫し、会長からその責任を取らされ、モンゴルでの野球コーチの座すら下ろされてしまう。
失意のまま、日本に残る関根であったが、もう一度モンゴルに戻り、留学4年のあとわずかの任期を、自主的にモンゴルの人たちに野球を教えることに費やす。
そして、その後、関根は、モンゴルで知り合った女性と結婚し、モンゴルの地に根を下ろすのだった(完)。

=====================



【意外と最近のお話】


モンゴルに野球を教えにいった日本人にまつわる、実話ベースの作品。
モンゴルというと、相撲なんかで盛んに日本で活躍する人も多いので、モンゴルにスポーツを教えに行った話というのは、てっきり大昔(ヘタすれば戦前?)かと思いきや、意外と最近の1995年のお話でした。最近と言っても、20年以上前にはなりますが。

モンゴル政府が支給する日本・モンゴル交流のための留学費用が余っているんだよね、君、そのお金で4年間留学して、モンゴルで野球教えてきてくれない?だって、君、昔、高校野球やってたんでしょ、という軽いというかいい加減なのりで、モンゴル留学が決定した主人公・関根淳。

このいい加減さ、前途多難さを感じさせます(笑)。



【主人公、実は語学の達人?】


モンゴルに行くと、やっぱりなぁという感じで、野球を教えるにしても、そもそもどこに教える野球チームがあるかもわからない、なんとか突き止めて出かけてみると、「なんで、日本人がやってきたんだ?」という感じで、話すら通っていないという状況。

めげる、この状況はめげるでしょ、と思うわけですが、監督からは渋い顔をされるものの、選手たちからは、「先生、教えてください」と歓迎を受け、コーチとして参加することになります。

主人公も、片言のモンゴル語と、英語を使ってコミュニケーションを取り、モンゴルの人たちに溶け込んでいくようになります。
映画では、語学面での苦労がほとんど描かれておらず、すぐに、主人公はモンゴルの人たちと意志疎通が図れるようになっていて、すごいなというか、あれれ?という不思議さを感じましたが(実は、主人公は語学の達人だったのかもしれませんが)、実際は、この辺りはどんな具合だったんだろうなぁ。

語学が達者であるかないかは関係なく、外国に行ったら現地に思い切って飛び込む度胸と鈍感さが、一番の上達なのかもしれないなと、映画を見ていての感想でした。



【モンゴル社会の融通無碍さ】


もちろん、映画になるくらいの話なので、順風満帆といくわけもなく、野球が盛んでないモンゴルでは、野球チームの扱いは最低で、協会が活動資金をほとんど回してくれない、日本からの援助なども横取りされてしまうなど、それはまぁ、酷い状況。

日本もスポーツ業界って、案外ドロドロしていて、利権だのメンツだの色々とややこしいことが多そうですが、このモンゴルの地も、日本に輪をかけてドロドロの状況。
主人公もこのスポーツ界のドロドロ利権の渦に巻き込まれ、チームのコーチの座から追い出されるなど、踏んだり蹴ったりの事態に陥るわけです。

基本は踏んだり蹴ったりなわけですが、モンゴルの社会の融通無碍さというのか、いい加減さというのか分かりませんが、おそらくは、政治体制が社会主義から民主主義に移行し、社会の体制がまだ全然固まっていないということがあるのでしょう、コーチの座を追われても、チームが出場した国際大会でちゃっかり(?)ベンチに入ることが出来たりします。

この辺り、これから発展し、社会が作られていく国の自由さというか、適当さがあって、面白いなぁと思うところでした。



【爽やかなロマンス】


ラストでは、留学期間の4年間が終了した主人公、モンゴルで知り合った女の子とちゃっかり結婚し、現地に根を下ろすことになります。
主人公とモンゴル女性のロマンスの描き方も、清純・さわやかで、「中学生日記」よりも爽やかなんじゃないかというくらいで、非常に好感の持てる描き方でした。

あと、ヒロインのモンゴル女性が朴訥で、日本人からすると、美人の範疇には含まれないかな、なんてところも、好感が持てたぞ(笑)。

当時のモンゴルの、野球に対する熱意と適当さ(笑)、これが如実に表れていて、なかなか面白い作品でした。
なにせ、国を代表する野球チームの監督が、そもそも、元ボクサーだったりする大らかさなのですから、日本では、なかなかあり得ないですよね(笑)。


[ 2017/06/09 00:00 ] スポーツ | TrackBack(0) | Comment(0)

【邦画:スポーツ】 バンクーバーの朝日

【評価】★★★☆☆

bankuber_asahi.jpg
2014年/日本
監督:石井裕也
主演:妻夫木聡、亀梨和也


最近、ダンス映画などは見ていますが、純粋な(?)スポーツを題材にした映画を見ていないなぁと思いTSUTAYAをぷらぷらとしていたところ、この作品が目についたのでレンタルしました。

【ストーリー】
========================

戦前のカナダ。
多くの日本人が、お金を稼ぐため、海外に労働者として移住していた。
カナダでも多くの日本人が移住し、その2世などが集まって、野球チーム「朝日」を結成していた。
リーグ戦で戦うものの、力の強い白人チームにかなわず、毎回のごとく、最下位であった。
日本人街の人々も、少々不甲斐なく思いながらも、朝日を応援していた。
しかし、世界情勢は、日本が戦争への道へと進みつつあり、カナダに住む日系人への扱いが厳しくなりつつあった。
そんな日系人を励まそうと、朝日のメンバーは、強くなることを誓う。
腕力では叶わない日系人チーム「朝日」は、バントと機動戦術という新しい戦法を編み出し、これが功を奏し、破竹の勢いとなる。
時には差別的扱いを受けることもあったが、心から野球に取り組み朝日のメンバーをカナダ人も応援するようになり、ついに、リーグ戦優勝を果たす。
しかし、ついに日本は戦争に突入。カナダに住む日系人も適性外国人ということで、収容所に送られることになり、朝日のメンバーもバラバラとなり、再び朝日が結成されることはなかった。
戦後60年以上経ったのち、朝日の活躍が評価され、朝日のメンバーはカナダの野球殿堂入りすることとなるのだった。

========================

【実在した日系人野球チーム「朝日」】


戦前にカナダで活躍した、日系人野球チーム「朝日」にまつわる作品です。
朝日というネーミング、英語だと「ライジング・サン」と言う言葉もあるので、特段、日本だけの言葉ではないのでしょうが、「朝日」とか「旭日」という言葉って、日本的だなぁと感じます(特に、戦前的なイメージ)。

日本人に限らず、海外に移住した外国人は、戦前は大変苦労したんだろうと思うわけですが、移住した日本人の2世で結成された野球チームの名前が、「朝日」と付けられているのも、日本人としての矜持や誇りというのが大切にされていたからなのでしょう。



【万年最下位チーム「朝日」】


映画では、カナダに移住した日本人やその2世が、低賃金で厳しい労働環境の職場で働きながら、なんとか、一旗揚げて行こう、そんな思いを持ちながら日々を過ごしている、そんな状況が、時代背景となっています。

そして、日系人2世の野球人チーム「朝日」はカナダの日本人街に応援されているものの、白人チームとは力の差は歴然としており、万年最下位。

確かに、そうだろうなぁ。
今でこそ、日本人の野球選手がアメリカのメジャーリーグで活躍したり、野球の世界大会で日本チームが活躍したりしていますが、戦前の頃なんて、体力面でも見劣りしたでしょうし、技術的にも、現地の白人チームを凌ぐのは難しかったのでしょう。

そんな苦難のチームが、メキメキと試合に勝つようになり、日本人のみならず、カナダ人からも熱い支持を受けるようになるという展開(フィクションではなく実話です)。



【昔話のような野球話】


映画では、万年最下位の「朝日」が試合でメキメキと勝つようになったのは、試合の作戦を大きく変更したことがきっかけというふうに描かれています。
パワーで白人に勝つことが難しい日系人チームは、今で言う機動力野球とでも言うのでしょうか、バントと盗塁を多用した戦術に切り替えたことで、試合に連戦連勝することとなります。

映画なので、どこまで事実に即しているかは分かりませんが、その程度の戦術変更でいきなり勝てるようになるというのは、なんだか牧歌的な感じもします。
戦前の野球ということで、まだまだ大らかだったということでしょうか。

よく、中国の故事や昔話なんかで、知恵者が、「こうやって勝負をすれば勝つことができるでしょう」と提言して、見事勝利を物にしたなんていう内容が見受けられますが、そういった故事を現代人が読むと、大抵、「・・・それしきの工夫で?昔の人は、そんなことも分からなかったのか。なんとも大らかな・・・」なんていう感想を持ちがちです。

「朝日」の活躍の秘訣も、ちょっと、そんな雰囲気もあり、なんというか、昔話を聞いているような気がします(70年以上前の話だから、昔話と言えば昔話なんでしょうが)。
その点で、ガチなスポーツものを期待して見ると拍子抜けですが、かなり昔から、海外で頑張った日本人の先輩方がいたんだなぁということを知るには、良い話ではありました。



【野球殿堂入りしたチーム「朝日」】


映画のラストでは、日本が太平洋戦争に突入したことから、カナダに住む日系人は敵性外国人として収容所に送られることとなり、これにより、日系人野球チーム「朝日」も消滅してしまうという、悲しい結末です。
そして、戦争が終わった後も、「朝日」のメンバーが集まり、チームが復活することはありませんでした。

スポーツと戦争って、本当に相性が悪いんだなぁと思います。
日本でも、最盛期の野球選手が、戦場に召集され、野球の才能を存分に発揮することなく、帰らぬ人となったり、また、戦後まで生き延びた人でも、最盛期と戦争が重なり、充分な活躍ができなかったり、そういった話は数あまたあるわけです。

スポーツイベントであるオリンピックが「平和の祭典」という呼ばれ方がしますが、まさに、スポーツは平和でなければできないんだと実感します。
スポーツが盛んなのは、それだけ国や世界が平和であるという証拠なのでしょう。

なお、日系人チーム「朝日」は、戦後だいぶ経って後、カナダでその功績が評価され、カナダで野球殿堂入りを果たしたとのことです。

日系人チーム「朝日」の歴史とは、戦争と平和の歴史であることを感じさせられたのでした。




[ 2017/04/20 00:00 ] スポーツ | TrackBack(0) | Comment(0)
ページ最上部へ

プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

アクセス数
アクセスランキング
[ジャンル]: 映画
168位
[サブジャンル]: レビュー
82位
カレンダー