FC2ブログ

読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
2019 12123456789101112131415161718192021222324252627282930312020 02

【書籍:自伝】 ダライ・ラマ自伝

【評価】★★★☆☆

darairama.jpg
著者:ダライ・ラマ
出版:文藝春秋



【ダライ・ラマとは】

ダライ・ラマというと、チベット仏教の最高指導者で、ダライ・ラマが亡くなると、転生した幼子を探しだし、次のダライ・ラマに任命される、そして現在は、チベットの中国からの独立のため、国外で亡命政権を樹立していて、それらの活動が評価されノーベル平和賞をもらった、というくらいの知識しかありません。
ちなみに、この間、亡くなったんだっけ、なんて思って、ネットで検索したら、健在でした(汗)。

自分に関わりが少ないと、どうしても生きてるか亡くなってるかすら定かではなくなってしまうわけで、たまに、こうやって本を読むと興味がわいて、少しは調べてみようという気にもなるので、本を読むことに一定の意味があるなぁと思います(弁明)。



【驚くべき政治指導者の選出方法】

ダライ・ラマは、亡くなったダライ・ラマが転生した人(と認定された人)がその地位に就くという話は聞いていましたが、本書を読むと、ダライ・ラマだけでなく、その他の高僧の転生者も何人も認定されて、チベット仏教における高い地位に就いているという話も本書には出てきます。
チベット仏教では、転生という仕組み(?)が浸透していて、転生者を探す方法などもしっかり決められていて、なんだか、すごいなぁと思います。

何せ、転生した人が、チベット仏教の高い地位に就き、更には、チベットの政治指導者の立場にも就くわけなので、政治指導者を選ぶ方法が、世襲でも投票でもない、まったく予想だにしない第三の方法(?)があるのだなぁということに、驚きを感じたのでした。



【対中国に対する姿勢】

ダライ・ラマと言えば、チベット独立運動であるわけですが、戦後、中国がチベットを占領した経緯、ダライ・ラマがインドに亡命して亡命政権を樹立した流れなども理解することができます。

ちょっと意外だったのは、ダライ・ラマが、中国に対して妥協的な姿勢に感じられる点。
独立を目指すというよりは、チベットに対する中国の支配をまっとうなものにしたいという意志の方が強く、中国支配は容認しているのかなぁとも思われます。

中国の指導者、毛沢東などに対する評価もかなり好意的で、政治的手腕や人間性などを高く買っている記述もちらほらあり、かなり不思議な印象を持ちました。

本書に書かれている中国によるチベット占領は、完全に独立国を中国が占領してしまったもので、チベットが独立を主張する正統性はもっともに思われますが、ダライ・ラマは、その点は、さほど拘泥せず、戦争や争い回避の中で、チベット民族が安定して生活できれば良いという考え方が強いように思いました。

この点は、仏教徒としての思想が非常に色濃いため、声高に独立を主張して争いを引き起こすことを避けたいという思いがあるのかもしれません。独立という点から考えると、ちょっと妥協的過ぎるのかなぁと感じる点で、チベット国内の独立派とは相容れない部分が多いような感じもします。

中国は、香港の問題で揺れていますが、ダライ・ラマの中国容認の考えがチベット独立派に受け入れられていなければ、その火はチベットにも飛び火するやもしれません。



=====================================
【『ダライ・ラマ自伝』より】
寛容を学ぶことのほうが、石を拾い、怒りの対象にぶっつけるよりはるかに有益である。

(書き出し)
1959年3月31日、チベットを脱出して以来今日まで、わたしはインドに亡命している。

(結び)
せかいが苦しみに耐え
生類が苦しみつづけているかぎり
この世の苦痛を取り除くために
願わくはわたしもまたそれまで
共にとどまらんことを
=====================================



スポンサーサイト



[ 2019/12/02 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:伝記?】 人生の大切なことは泥酔に学んだ

【評価】★★★★☆

deisui_learning.jpg
著者:栗下直也
出版:左右社



【「走れメロス」の衝撃】

本書のタイトルのように、泥酔から人生で大切なことは到底学べないとは思うわけでありますが、古今の著名人たちの泥酔っぷりを知ることは、自分の泥酔による醜態に対する慰めにはなるなぁと思うわけであります。

本書の中で、いちばん驚いたのは、太宰治のエピソード。
太宰の作品「走れメロス」は、教科書にも載るほど、友情と約束の大切さを学べる、非常に教育的な内容ですが、「走れメロス」の作品が生まれたエピソードには、そんな教育的な面とは正反対だったのはなかなかの衝撃。

友人と温泉宿に宿泊し、豪遊して宿のツケが払えなくなった太宰が、「2,3日、待っていてくれ給え。金策をして戻ってくるから」といって友人を人質に宿に残し、東京に戻るのですが、待てど暮らせど帰ってこない。
しびれを切らした宿の主人と友人が、太宰の行方を捜すと、友人宅でのんびり将棋を指していた・・・。
怒り心頭の友人が太宰に詰め寄ると、太宰は、「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」と釈明。

・・・待つ身の方が絶対つらいと思いますが(笑)。

「走れメロス」の元となった太宰の体験では、メロスは約束をすっぽかした上に、言い訳にもならない言い訳をしたというしょうもない結末。「走れメロス」、実は、全く教育的ではなかったということでしょうか。



【宴会禁止】

その他、酒席の接待で、大出世した藤原冬嗣の話も、なかなか興味深く、藤原冬嗣が、あまりに宴会ばっかりやらかすものだから、ついには、「群飲するを禁ずる事」とお触れがでてしまったのだとか。

なんか、昨今も、公務員関係で、飲酒運転だとか接待汚職とかが目に余るので、酒席禁止令を出した自治体があったなんていうニュースが少し前に聞いた気がしますが、酒席に関することは、今も昔も変わらないようです。



【末代までついて回る酒乱の害】

日本の古今の著名人で私が知っている酒乱の人物と言えば、明治維新の元勲・黒田清隆ですが、本書でもやっぱり取り上げられていました。
酔っ払って、軍艦で砲撃したら、島の住民に砲撃が当たって死んでしまったとか、酔っ払って妻を日本刀で斬り殺したとか、酒乱エピソードに事欠かない人物ですが、明治になってから、総理大臣にまでなっているのですから、なかなか衝撃的です。

妻を惨殺した話は、明治政府が必死に隠蔽したなんていう話もあり、今も昔も政府は都合の悪いことはなんとか隠そうとするもののようで(笑)。

なお、黒田清隆の妻を惨殺という話は、政府の隠蔽工作の甲斐なく世間一般に流布されていたようで、黒田清隆の孫が、酒の席で、「黒田さんのそばでお酒を飲むと斬り殺されちゃう~。こわーい。」とからかわれたりしたそうです。

孫の代までそんなエピソードがついて回るとは・・・。
よく、お祓いとかで、「先祖のたたりで不幸に見舞われています」なんていう話がありますが、まさに、これこそ先祖のたたりですな。




==========================
【『人生で大切なことは泥酔に学んだ』より】
悪名は無名に勝るのはどの世界も同じか

(書き出し)
気持ちが悪くて、起きられない。本書を手に取った人は少なからず、その経験者ではないだろうか。

(結び)
また、名前を全て挙げられないが、これまで酒席をともにした皆様や、夜が更けるにつれ明らかにヤバそうになっていく私を温かい目で見守り続けてくれた奇特な方々にも感謝を申し上げたい。
==========================


[ 2019/11/19 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:自叙伝】 戦場へ行こう!!

【評価】★★★☆☆

warfield_go.jpg
著者:雨宮処凛
出版:講談社



【北朝鮮を訪ねる理由】

悪の枢軸の2カ国-北朝鮮、イラクの訪問記を書いた著者の作品ということで、どこか海外の紛争地訪問記かと思い、手に取りましたが、内容は予想とは異なり、「なぜ、北朝鮮に行くのか」という著者の心の葛藤が描かれています。

自殺未遂、今の日本での居場所がないという居心地の悪さ、明確な敵と戦いたいというもやもやや屈折感をどうするのか・・・、そういったもろもろのことを何とかするため、生きていると実感ができるのではないかと、危険地帯や紛争地に自ら足を踏み入れている、そんな重いが綴られています。


【社会からの承認欲求】

著者は右翼団体に関わり、「愛国バンド」を率いて、反米や愛国主義を主張する歌を歌っているという経歴から、右翼的な思想から活動していたのだと思っていただけに、行動の背景にあるものが、社会との折り合いの悪さ、社会からの承認欲求的なものだたというのは、意外な衝撃でした。

確かに、紛争状態のイラクを訪ねて、そこでテロリストに捕まって処刑された若者が、ニュースを賑わせたなんてこともありますが、今思えば、この人も、雨宮さんと似たような思いでイラクに行ったのかもしれないと思います。

こういった気持ちが私に分かるかというと、「分かる、分かる」とは言えないかもしれませんが、若い頃、面白いことや危険なことの中に生きがいを求めて自衛隊に入ろうとした経験があるので(試験は受かってあと一歩というところで、親族に大反対され断念したのですが)、こういう気持ちはちょっとばかりは分かります。
こういった思い出は、時折、妻から、「昔、自衛隊に入ろうとしたんだよね-。」とニヤニヤしながら言われることがあり、苦笑いで返すことしかできない今の自分がいるわけです。



【小人閑居して不善をなす】

著者にとって北朝鮮やイラクに行くことは、反戦とか世界平和、社会的意義ということではなく、自分が燃えるかどうかという価値基準に基づいているだけと書いています。
香港のデモに参加している人も、みんながみんな民主化という理念で参加しているわけではなく、社会的な閉塞感やうっぷんを発散したいとかそういう人も多いのかもしれません。

紛争地や貧困・飢餓に見舞われている国に生きる人々はどうやって生き延びるかに精一杯で、社会的承認欲求とかを考えたり悩んだりする余裕はないわけです。

「小人閑居して不善をなす」なんていう言葉がありますが、どうも余裕ができると、不善ではないですが、思い悩んでしまうのが人間なのでしょう。
だからと言って、余裕がない社会が良いかというとそういうわけではなく、閑居した時も、「社会から疎外されている」と感じることのない仕組みが必要な気がします。

その点から考えると、昨今のSNSというシステムは、その解決に大いに近づけるものであり、SNSは、単なるIT技術ではなく、社会思想に近いシステムなのかも。




==================================
【『戦場へ行こう!!』より】
そして一番恐ろしかったのは、敵と味方しかこの世に存在しない、北朝鮮を批判する者は今までどんな経緯があろうとも敵、という北朝鮮の考え方である。

(書き出し)
世界と思いきりセックスしたい。

(結び)
それが「今、ここ」という「戦場」だったら、こんなに嬉しいことはない。
==================================

[ 2019/11/18 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:自叙伝】 アジア新聞屋台村

【評価】★★★★☆

ajia_newspaper.jpg
著者:高野秀行
出版:集英社


【カオスなアジア新聞会社】

台湾紙を中心に、アジア各国の新聞を日本で発行する混沌とした会社に関わることとなった高野氏の自叙伝。
この会社の経営者は台湾人女性で、人に使われるのは嫌だという理由で立ち上げられた会社。関わる人たちは、ほとんどが、日本に留学その他でやってきている在日アジア人。
社長の人並み外れたパワーと、アジア的カオスが融合して、日本の会社とは全く異なる発想、組織で動いていく当たりが、ある種、ベンチャー企業的なエネルギーとパワーを感じさせて、非常に面白いものを感じます。



【高野氏も日本人だった】

この会社、新聞社なのに、編集長はいない、新聞の記事は、現地の新聞記事を拾ってきて、それを翻訳したり解説をつけたりして、学級新聞の域を出ないような代物だったりと、なかなかのいい加減さがあります。

高野氏も、ある種のいい加減さやおおらかさがある人ではないかと、他の著者を読むとそう感じるのですが、この新聞社に関わるようになって、社長やメンバーに対し、「編集長を作るべきだ」とか、「毎週、定例の編集会議を開くべきだ」等々、繰り返し、まじめな提言をしたりしています。
・・・うーん、高野氏も日本人なんだなぁと感じる一面です。日本人は、なんだかんだ言っても結構きまじめではあります。



【アジア人の強さ】

この会社のようなカオスな組織形態(?)は、日本のようなまじめな組織形態とは違って、融通さや予想だにしない面白さがあるようで、「よくも悪くもいい加減」というのが持ち味になるようで、私なんかからすると、やっぱり面白くて好きだなぁと感じます(実際、そこで働いたら、どう思うか分からないですけど)。

ただし、やっぱり、その当たりは絶妙なバランスが必要なようで、この状況のまま業務を拡大していったところ、新聞記事の手抜きが横行し、「よくも悪くもいい加減」が、単に「悪い意味でいい加減」に傾いてしまったそうだから、こういう組織は意外と運用が難しいのかも。

こういった「悪い意味でのいい加減」が加速してしまった結果、給与が半年近く払えなくなるという事態が発生するのですが、そこで面白かったのが、会社内に数名いた日本人社員はみな退職してしまうのですが、その他のアジア人は会社に残ってくれます。

給与は半年も支払われなくて大丈夫かって・・・?
アジア人社員は、みんな副業もしていて、「副業で稼げるから、新聞社の給与が半年支払われなくてもなんとかなるね」だって(笑)。

高野氏は、「会社がゆらいでも本人はゆるがない」、アジア人の力強さに感動をしていましたが、私も同感。

この本を読んでいた時期、仕事でトラブルが発生していて、「うーん、どうしよう。おそらく、懲戒処分でも受けないと持たないかも・・」と結構悩んでいたのですが、この本を読んだら、「なんとかなるかな。そんなにきまじめに考えなくてもいいかー」と吹っ切れた気分になり、かなり元気づけられました。

どうも、日本人は生真面目すぎるなぁと、我ながら思いながら、本を読了したのでした。



========================================
【『アジア新聞屋台村』より】
日本人に最も欠けているもの、それは選択肢なのだ。会社でも家庭でも学校でもボランティア活動でも、日本の集団というのは価値観が著しく画一化されている。その価値観から外れると、はじき出される。

(書き出し)
何事も始まりというものがある。

(結び)
私はひとりクスクス笑いながら、陽だまりのなかをあてもなく歩いていった。
========================================


[ 2019/11/17 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:ルポ】 戦場でメシを食う

【評価】★★★★☆

battlefield_llunch.jpg
著者:佐藤和孝
出版:新潮社



【食を絡めた戦場ルポ】

戦場カメラマンの佐藤和孝氏が、戦場取材を通じた経験を現地での食を絡めて書いたルポ。
ソ連のアフガニスタン戦争から、イラク戦争まで様々な地域で取材をしている姿が生々しく描かれ、命をかけた取材をしているのだなぁということが実感できます。

現場の取材から通じて感じるのは、思わぬことから紛争や戦争に発展することもあるんだということ。
日本の平和が長年維持されているのは、奇跡なのかもしれないなぁ、などとも思います。



【鎖国国家の内紛】

本書の中で、一番驚いたのが、東欧の一角にあるアルバニアの内紛の話。
場所すら定かでない、なじみのうすい国ですが、共産主義の独裁体制で、長年、一人の独裁者によって支配されていましたが、独裁者の死と共に、民主化と資本主義の波が押し寄せ、国の体制ががらっとかわることになります。

そこに、ネズミ講を行う会社が跋扈し、国民の多くがお金をだまし取られたことから、怒った国民が暴動を起こし、内紛により無政府状態に陥ってしまったというもの。

・・・ネズミ講が原因って・・・と思うわけですが、アルバニアは、猜疑心の強い独裁者により鎖国されていて、国民は、資本主義に対して全く免疫のない状況であったことが、ネズミ講で多くの国民がだまされる原因だったようです。

鎖国というのはすさまじいと感じたのは、開国後、国民が初めて知った果物の一つにバナナがあったそうです。バナナ知らなかったんだ・・・。
その他、カスピ海を挟んだ隣国にはイタリアがありますが、ピザの存在も全く知らなかったとのことで、情報が入ってこない状況って、本当に信じ難い事態を引き起こすのだなぁと感じたのでした。



【イラクでの香田さんの事件】

本書でもう一つ印象に残ったのは、イラク戦争後のイラクでの出来事。
日本の若者、香田証生さんが、イラクに旅行に訪れ、そこで、ゲリラに誘拐、殺害されるという事件が起こりますが、著者は、その事件をイラクの現地で接することとなります。

日本ではこの事件に対して、「危険地域に物見遊山気分で訪れるとは何事だ。こんな事件を引き起こすとは迷惑千万」的な意見がかなりあったように記憶していますが、加害者に対してより、被害者に対して冷たいのは、日本の社会なのかなぁと感じます。

若者は、得てして無謀なことを考えたり、実際に行ったりするわけで、自分についても振り返ると、若い頃は無謀なことを夢想したり、自分の命について軽く考えていた面もあり、香田証生さんも、そういった若者の一人でしかなかったんだろうなぁと思うわけです。

推奨すべきではないとしても、若者の無謀な試みをもう少し、大きな気持ちで受け止められる社会であったら、テロリストより香田さんを避難する論調がもう少し薄れたのかな戸感じました。

著者も本書で、「若者が無謀なことに挑戦することはよくあること」といった趣旨を書いていたのに、共感しました。


==============================
【『戦場でメシを食う』より】
この戦争で家や財産。親、兄弟。なにも失ったことのない者などいない

(書き出し)
雲は一つもない。紺碧の空だ。

(結び)
そして小泉総理にいたっては、待てど暮らせど、サマワにやって来ることはなかった。
==============================

[ 2019/09/20 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
ページ最上部へ

プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

アクセス数
アクセスランキング
[ジャンル]: 映画
239位
[サブジャンル]: レビュー
121位
カレンダー