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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:ミステリー】 戦場のコックたち

【評価】★★★★☆

warfield_cook.jpg
著者:深緑野分
出版:東京創元社



【実体験記かと思いきや・・・】

戦場の兵士たちの食事事情を取材したルポかと思って、図書館で借りたのですが、読んでみるとさにあらず、どうも、第二次大戦に兵士として従軍し、軍隊のコックとしても働いたアメリカ人の戦争体験記のようです。

読み進めると、ミステリーまがいの事件が頻発、軍の食料盗難事件から、被災市民にまつわる謎、夜中に響き渡る怪音の謎など、数々の謎を本書の著者は仲間の兵士と協力して解決していきます。

軍隊も色々な事件や謎が起こるんだなぁ、さながら小説みたいだ・・・・ん、小説みたい??
もう一度、本の表紙を見てみました。
著者は、アメリカ人ではなく、日本人だ・・・。
裏表紙を見ると著者の紹介が・・・数々のミステリー作品で受賞。
しかも、出版社は、東京創元社。

小説でした(笑)。
中盤当たりまで実話と思っていて読んでいた自分がちょっと恥ずかしい(照)。



【真実味のあるミステリー】

途中から、実話ではなくミステリー小説だと気づいたわけですが、それが分かっても、話は面白い。おそらく、色々な資料から戦争の状況なども調べて書いているのでしょう。
実体験的な雰囲気と、ミステリーの面白さが融合していて、かつ、数々出てくるミステリー(謎)が突拍子がないものではなく、以外とありそうな事件なので、真実味が出て、引き込まれるように読んだのでした。
実話と間違えてしまったのは、優れた筆力のゆえんですね・・・と、まだ言い訳がましく言ったりして(笑)。



【ちょっと、スタンド・バイ・ミー?】

連合軍によるノルマンディー上陸あたりから始まり、終戦、そして、冷戦終結を告げるベルリンの壁崩壊の時代まで、後日談的に描かれ、単純なミステリーではなく、戦争を体験した主人公やその仲間の顛末にまで触れられており、一種の青春小説的な色合いもあります。

どことなく、スティーブン・キングの「スタンド・バイ・ミー」的な雰囲気も感じます。

もちろん、中心は第二次大戦での戦争体験ではありますが、生きるか死ぬかの過酷でありつつ、濃密な時代を生き抜いたと思いきや、あっという間に時間は過ぎ去ることを実感させ、人生は、春の夜の夢の如くだなぁということも、しみじみ感じるのでした。

戦争体験とミステリー、面白い組合せでしたが、違和感なく、非常に興味深く読むことができた本でした。



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【『戦場のコックたち』より】
追い詰められた人に対して、傍観者はよく「なぜ逃げなかったのか」と問う。けれど現実には、逃げようにも逃げられない人たちがたくさんいる。

(書き出し)
人生の楽しみは何かと問われたら、僕は迷わず「食べることだ」と答えるだろう。

(結び)
それから、家族に訊き回り、部屋中をいくら捜しても、壊れたメガネは見つかっていない。
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【書籍:ミステリー】 まほろ駅前多田便利軒

【評価】★★★☆☆

mahorotown.jpg 
著者:三浦しをん
出版:文藝春秋



【便利屋ミステリー】

まほろ市で便利屋を営む主人公の周辺で起きるちょっとした事件と人間関係を描いたミステリー調の作品。
主人公の多田と、ひょんなことから、一緒に仕事をすることになった同級生の行天のコンビが、絶妙な間合いで、事件を解決(?)していくことになります。



【重たいテーマを軽いタッチで】

事件は、飼い猫を置いて夜逃げした一家探しから、小学生が絡む麻薬密売の話、病院で出生した子供を取り違えた家族の話、両親を殺した女子高生など、多種多様。

麻薬汚染とか両親殺害とか、結構、重たいテーマが多いですが、そのテーマの重さに比して、かなり軽いタッチの展開で、不思議な作風です。

一方で、高校時代に行天が小指を切断してしまう事故(ただし、事故直後、病院で指をくっつけることに成功)について、主人公がその事故の責任について、妙に思い悩み続けているとか、妻の浮気に端を発した、その後の数々の不幸について、ずっとこだわり続けているなど、なんとなく、そんなことにこだわるんだ・・・という、違和感も感じる点はあります。

人間、他人から見ると、なんでそんなことにこだわるんだろうということに、こだわるということはあるので、本人にとっては非常に重要に感じられ、本人にしか分からない感覚があるということかもしれません。



【子供の取り違え】

本作の中で、印象に残ったのは、病院で生まれた子供が取り違えられ、別の親で育った子供が、産みの親の家庭がどうなっているかを知りたいと依頼してきた話。

以前、「ねじれた絆」という、子供取り違えと、それにより翻弄される2家族を描いたノンフィクションを読みましたが、その実話と比べると、本作の登場人物は、わりとあっさり割り切り、育ての親の家庭で幸せに過ごすような展開でしたが、本作の展開は、理想的な展開であり、実際は、「ねじれた絆」のような葛藤が生まれるということの方が多いのでしょう。

小説は、その意味で、こうあるといいよねという理想を描くところが多く、本作での取り違えのテーマも、現実から比べ、ぜひ、子供取り違えの問題が起きても、こういう心持ちで、前向きにいられるとよいよね、という理想を書いた作品と感じました。

全般的には、重いテーマを、重く見せずに軽いタッチで描くため、奥深さはないかもしれませんが、気軽に読める小説でした。



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【『まほろ駅前多田便利軒』より】
だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ

(書き出し)
「あんたはきっと、来年は忙しくなる」

(結び)
形を変え、さまざまな姿で、それを求めるひとたちのところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ。
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【書籍:推理小説】 夢現 -日本推理作家協会70周年アンソロジー

【評価】★★★☆☆

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著者:日本推理作家協会 編
出版:集英社文庫



【14編の短編集】

日本推理作家協会所属の作家の作品を集めた短編集。
推理小説の短編集かと思いきや、内容は、推理小説に限らない、バラエティーに富んだ内容となっています。
14編入っており、ジャンルは様々と言った印象です。



【各短編の紹介】

「防空壕」  江戸川乱歩
江戸川乱歩ぽい、背徳感、反社会的な雰囲気の作品。
太平洋戦争の時の空襲や焦土と化した東京に対し、高揚感を感じると言った記述は、現在に置き換えると、東日本大震災の津波の様子や死者の姿に興奮を覚える、といった感想を書いているようなものかもしれません。
今の日本で、こんなことを書いた日には、大炎上でしょうから、なかなか度胸のある表現ともいえそう。
内容は、関係を持った美女が、実はおばあさんだったと言う、日本の民話にありそうな滑稽話のような内容で、背徳感と話の展開のギャップがなんだかすごい作品。


「なぜ「星図」が開いていたか」 松本清張
自然死に見える死亡事故が実は殺人事件だったという、推理小説的な作品。
ささいな事実から、殺人事件にたどり着くという展開ですが、その思考展開は、シャーロックホームズ的な想像力といったところでしょうか。


「殺人演出」 島田一男
会社の社員寮で起きた密室殺人事件。氷を使ったトリックは、懐かしい。


「尾行」  佐野洋
尾行を頼まれた探偵が、殺人事件のアリバイ作りに利用されるという展開。人の入れ替え、成りすましという古典的なトリックが懐かしい。


「存在の痕跡」 三好徹
水難事故を装って恋人を殺害した男の犯行を暴くという内容。
トリックはあまりなく、一見関係のない2つの事件がつながるというのが見どころ。


「絞刑吏」  山村正夫
SF的な作品。人に乗り移れる男が、乗り移っている間に、自身が死んでしまい、元に戻れなくなるという展開。あまり、論理的な流れではないので、雰囲気を味わう作品。


「推理作家協会四十年」  中島河太郎
推理小説や作家の歴史など、興味のある人には面白いのかな?


「夜の腐臭」  生島治郎
自分の若い妻と男が交わるのを眺めて性的欲求を満たすおっさんの話。まぁ、のぞき趣味ですな。


「趣味を持つ女」  阿刀田高
これ、昔読んだことあるなぁト懐かしく読みました。
他人の葬式に出て、殺した男の体の一部を棺桶に紛れ込ませて、死体を処理しようとする女の話。死体隠ぺいには意外と良さそうな方法だなぁと思った記憶があります。


「生きている樹」  北方謙三
僻地であったおじいさんとハードボイルドな話をして心の交流を感じるも、じつは、そのおじいさん、全くの嘘っぱちを話していましたという、どことなく、身も蓋もない話。


「非常線」  逢坂剛
横領犯と銀行強盗、やくざのだまし合いといった内容。最後は、やくざの勝利。


「人喰い」  大沢在昌
女に、パトロンの男を殺すことを持ちかけられた若者。
女の言うことを聞くふりをして、女ごとパトロンを殺し、大金を手にするも、思わぬミスで、自分が犯人である痕跡を残してしまったという話。


「あるジーサンに線香を」  東野圭吾
「アルジャーノンに花束を」のパクリ作品じゃん!、と思ったら、それもそのはず、「アルジャーノンに花束を」のパロディー作品。
タイトルを見れば、「あるジーサンに線香を」と、パロディ作品であることが分かりますが、最初、全く、気づかなかった。一本取られたなぁ。


「入梅」 今野敏
警察小説。コンビニ強盗の正体を突き止める経過を、警察の組織を通じて描く作品。
警察という組織の空気や人間関係が感じられます。


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【『夢現』中「防空壕」より】
人間というものは複雑に造られている。生まれながらにして反社会的な性質をも持っているんだね。それはタブーになっている。人間にはタブーというものが必要なんだ。

(書き出し)
君、ねむいかい?

(結び)
相手が美男だけにねえ、いよいよ気づかれては大変だと、そ知らぬ顔をするのに、それは、ひと苦労でございましたよ。オホホ・・・。
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【書籍:サスペンス】 月と詐欺師

【評価】★★★☆☆

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著者:赤井三尋
出版:講談社文庫


昭和初期を時代背景、横暴な財閥を破滅させるべく詐欺チームが活躍するというお話。
大資本や強大な権力を相手に、詐欺師が巧妙な手段で痛い目に合わせるという話は好みなので、さっそく読んで見ました。

実家を破滅させられ、実姉を妾に取られた上、その姉を自殺に追い込んだ灘尾財閥に復讐を果たすべく、偶然知り合った大物詐欺師の協力を得て、灘尾財閥破滅の詐欺を実行に移していくという話なのですが、主人公は詐欺師ではなく、秀才タイプの一青年という設定。

そのため、詐欺の立案・実行にほとんど関わることがなく、逆に後半、勇み足で詐欺の計画の足を引っ張ることになったりと、主人公としては非常に影の薄い存在。
一応、秀才という設定なのだから、その頭脳を詐欺計画に一枚かませる展開があっても良かったのではないかと思いました。

さて、本書は、上下の二巻組という、なかなかのボリュームがあるのですが、上巻では、財閥の当主灘尾や、主人公、詐欺師グループの面々の紹介が中心となり、全然、詐欺計画の立案に進んでいかず、話の展開が遅い印象でした。

上巻でも、一応、詐欺計画の下準備的なところも描かれるのですが、なんというか、ちょっとテンポが悪く、まどろっこしい感じでした。
やはり、詐欺をテーマにする作品であれば、相手を巧妙に罠にかけていく展開をテンポ良く描かないと、ストレスが溜まってしまいます。

さて、灘尾財閥を詐欺にかける計画は、軍部に売り込みが出来る新技術-レーダーの開発というネタを灘尾財閥に信じ込ませ、そのネタを使って、灘尾財閥の株式を大量にだまし取ってしまうというもの。

そして、だまし取った株を市場に売り払って、灘尾財閥傘下の企業の株価暴落を引き起こし、企業のダメージを与えて破滅に追い込むという計画。

株価暴落は、企業に大きな影響を与えますが、それは企業が株取引を行っていればの話であって、企業自体の株価が暴落しただけでは、資金調達が難しくなったり、買収の危険に晒されたりはするものの、それでもって、会社が倒産するということもないので、灘尾財閥を崩壊させる手段としては、ちょっと弱いかなという気もします。

企業が倒産する時は、何か重大な問題が発生したところで、それを引き金にその会社の株価暴落につながっていきますが、株価暴落が倒産の原因ではなく、暴落の原因となった事件・事故が倒産を引き起こすので、株価が暴落すれば企業が倒産するというロジックは間違ってはいるわけです。

この辺りは、小説だから大目に見るというところでしょうか。

なお、小説では、株価の暴落と併せて、灘尾財閥の贈収賄の証拠を集めて、当主の逮捕にまで漕ぎ着けることで、最終的に灘尾財閥が解体される結果となります。
要すれば、灘尾財閥の破滅は、贈収賄事件の発覚によるもので、株価暴落はあんまり関係なかったかなという感じもますます強くしました。

要すれば、灘尾財閥は、元々、政府高官に金をばらまき、贈収賄を行っているという非常に脆い面があったため、そこを暴かれて財閥が崩れ去ったというわけです。
その意味では、大きなアキレス腱が存在した灘尾財閥は、崩壊させるには、やりやすい相手であり、詐欺を仕掛ける敵としては、ちょっと役不足な印象もありました。

灘尾財閥の当主は、普段から高慢ちきな性格で、人を人とも思わない振る舞いで、財界の同業者からも鼻持ちならないと思われており、会社の部下からも非常に嫌煙されていて、まぁ、なんというか、堕ちるべくして堕ちる人間といった設定。
その点で、詐欺計画の相手としては、ハードルが低く設定され過ぎていた感じもあります。

やはり、ストーリーとして面白いのは、詐欺を仕掛ける相手も、それ相応の実力を兼ね備えていて、一筋縄ではいかないところを、微妙な綱渡りで仕掛けていくという、絶妙なラインを描けているかにかかってくるかと思います。
その意味では、この作品は、絶妙なラインよりは、まだまだ安全な幅があり過ぎて、もうちょっとシビアな展開があっても良かったかなぁと思います。

と、ちょっと辛口評価はしましたが、詐欺の手口-相手に選ばされたのではなく、自らの意志で選んだと錯覚させるなど、その手法も活かされながら、詐欺の仕掛けが進んでいく辺りは、騙しの醍醐味を味わうことが出来ました。

詐欺師というと、一獲千金で濡れ手に粟のような思想の持主と思いがちですが、綿密な計画と緻密な実行で裏付けなければならず、一獲千金主義者や怠け者では、なかなか務まりそうにないですね。


【『月と詐欺師』より】
 
本物の詐欺師が最も懼れるのは、警察でもなければカモの心変わりでもない。仲間割れだ。たいていの場合、仲間割れは警察への密告に繋がる
 
(書き出し)
雨が繊細な銀の糸となって、商都大阪に降り注いでいた。
 
(結び)
そう思うと、俊介は人間のささやかな喜びや悲しみ、愚行や善行を静かに見守ってきた月に、いつになく畏怖の念を抱くのだった。
 



【書籍:ミステリー】 殺人鬼フジコの衝動

【評価】★★☆☆☆

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著者:真梨幸子
出版:徳間書店


妻から、「この話、テレビドラマ化するらしいけど、ドラマ化するのは難しいのではという評判の本らしいよ。読んだけど、すごく後味の悪い作品だわ・・・」と勧められて(?)手にした作品。

内容は、殺人鬼フジコの幼少期から、大人になり殺人鬼として逮捕されるまでの生涯を描きつつ、実は、フジコの殺人の背後には、思わぬ人物の思惑がありましたという、予想外(?)のミステリーオチになっている作品。

描かれているストーリーが、初っ端から、フジコの子供時代の悲惨な体験から始まります。
両親によるネグレクト(養育放棄)に虐待、同級生からのいじめに性的虐待と、いきなり読むのが嫌になる展開。

そしてフジコも、そんな境遇から逃れるため、同級生との人間関係や大人との接し方など、冷めたというか、捻じれた感覚で理解し行動するわけで、どの登場人物にも感情移入しづらい展開となっています。

その後、フジコの一家は、謎の殺人鬼により皆殺しにされ、犯人が捕まらぬまま、フジコは、叔母に引き取られて生活することになります。
叔母の家で育ち、中学生活、高校生活を送るフジコですが、自分に都合の良い理屈で行き当たりばったりの行動をとったり、嘘に嘘を上塗りして、事実から目を遠ざける態度など、その行動が負の連鎖を生み出し、マイナスのスパイラルに絡めとられ、殺人鬼としてのフジコが形作られていく様子が描かれます。

フジコの育成過程を読んで、以前読んだ、「黒い看護婦 -福岡四人組保険金連続殺人」に描かれた連続殺人の主犯格・吉田純子を思い起こさせました。

エピソードに似通ったところは、さほどないのですが、フジコの行動形態や考え方が、吉田純子をイメージさせるのでした。
実際、本書は、執筆に当たっての参考文献として新潮45編集部編「殺ったのはおまえだ-修羅となりし者たち、宿命の9事件」を上げているので、フジコの行動や思考は、実際の犯罪者のそれをモチーフにしている部分があるのでしょう。
「殺ったのはおまえだ-修羅となりし者たち、宿命の9事件」は、連続殺人犯・吉田純子の事件とは関係はありませんが、犯罪者の思考回路は、何か共通する部分があるのかもしれません。

高校在学中、妊娠・結婚により、叔母の家を出ることになるフジコは、その後も、着々と、トラブル発生の度に、人殺しによって問題を解決(?)していきます。
この辺りから、フジコの殺人行為が戯画化されてしまっている感があり、リアリティが薄らいでいる感じもありますが、自分が生んだ子供を虐待・ネグレクトの末に殺してしまう展開は、暗澹たる気分にさせられます。

とことん負のスパイラルが描かれ続け、読んでいると、うんざりしてしまうことだけは確か。

終盤では、成形手術により美貌を手に入れ、資産家の青年実業家と結婚し、新たに子供ももうけるものの、実業家の事業失敗により、やっぱり、どん底に落ちてしまい、その実業家を殺したことで、ついに逮捕されてしまいます。

そして、ここでようやく、フジコの一家を殺した犯人と、フジコの殺人行動を裏で操っていた人物がいたという、ちょっとしたどんでん返しのオチが提示されます。

正直、このどんでん返しのオチは、取ってつけた感が強い印象でした。
裏で操っていた(?)という割には、フジコの行動の方向性を誘導したり、暗示したりといったことが強く行われていたという描写があるわけでもなく(一応、随所にらしき描写はあるけど、それで殺人鬼へと誘導できるかは、甚だ疑問)、どんでん返しのために作られたどんでん返しといった感じでした。

敢えて、この結末を取って付けなくてもよかったかなという印象でした。

そのため、ミステリーとしてはどうかなぁという点もあり(そもそも、ミステリーとして認識していなかった・・・)、話も、これがノンフィクションだったら、ゾゾゾとなる内容ですが、フィクションなので、ただ嫌な話を書き連ねているなと言う印象があり、私としては、好みに合わない作品でした。

ただ、犯罪者の心理や負のスパイラルにより落ちていく姿というのは、ある種のリアリティもあったかなと思います。


【『殺人鬼フジコの衝動』より】
 
バレなきゃいいのよ。バレなきゃ、「悪いこと」じゃないんだから。うまく隠せばいいの。
 



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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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