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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【洋画:サスペンス】 ヴィジット

【評価】★★★☆☆

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2015年/アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
主演:オリヴィア・デヨング

映画「シックス・センス」でブレイクしたM・ナイト・シャマラン監督の作品。「シックス・センス」以降、大どんでん返しが宿命づけられているようなシャマラン監督ですが、なかなか、「シックス・センス」越えができず、苦戦の雰囲気。こういうレッテルが貼られているのは気の毒ですが、そうは言いつつ、ついついそれを期待して観てしまう自分がいます。

【ストーリー】
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母が家で同然に駆け落ちをしたため、一度も祖父母の顔や写真を見たことがない姉弟。しかし、祖父母から連絡があり、1週間、姉弟の2人で祖父母の家に泊まりに行くこととなる。
当初、祖父母の歓迎に感激をしていた姉弟だったが、祖父母の深夜徘徊、ときおり見せる奇行にとまどう二人。しかし、祖父母の話を聞き、二人が初期の痴ほう症になっているのだろうと納得する二人。
それでも、奇行の度合いが日ごとに高まり、不安を禁じ得ない姉弟。ネット通信で母と話をしたところ、祖父母が偽物と判明。
この祖父母は近くの精神病院から脱走した患者で、祖父母に成りすましていたのだった。
そのことに気づかれた偽祖父母は姉弟を殺そうとするが、返り討ちにし、危機を脱するのだった(完)
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【うーん、肩透かし】

M・ナイト・シャマラン監督の作品。
どんなどんでん返しがあるんだ、と期待半分、肩透かしの恐れありの気持ち半分で視聴。
結果は、一応、どんでん返しなのかもしれませんが、ありふれたサスペンス映画レベルのどんでん返しで、意外と普通だったなぁという肩透かしの結果。

毎度毎度、どんでん返しを期待されても困るんだよねぇ、というのがシャマラン監督の気持ちなのかもしれません。



【オーソドックスなストーリー】

ストーリーは、いたってオーソドックス。
姉弟2人が、初めて会う祖父母の家に1週間、泊まりに行くものの、祖父母の様子が変。
どんな秘密が・・・・と思ったら、その祖父母は偽物で、精神病院から脱走した患者が祖父母に成りすましていましたよ、という話。

「祖父母に成りすましていましたよ」というのがどんでん返しのオチではありますが、途中から、そのオチの推測が着く程度で、他にもなんだかありそうなオチなので、どんでん返しを期待して観ると、肩透かしかなと思います。



【痴ほう症の祖父母を抱えて】

泊まりに行った祖父母がどうも異常行動が多くて・・・という展開なわけですが、当初、その理由は、二人に痴ほう症の症状が現れているという推測でした。実際は、精神疾患なので、そんなに大きく外れた推測でもなかったわけですが。

この設定は、なんだか考えさせられます。
老夫婦二人の生活の中、二人とも痴ほう症の症状が発症したら、一体全体どうするのか。
離れて住む訪ねていった家族が、そのことを知った時、どのように対処すべきか。

本作では、泊まりに行った姉弟は、「(宿泊期間が1週間なので)1週間の辛抱だから、がまんしよう」と話し合っていたわけですが、要は、見て見ぬふりの放置策。
子供だから仕方がないですが、もの悲しい話です。

本筋のどんでん返しサスペンスより、痴ほう症気味の祖父母と姉弟の交流の方が、大いに気になる作品でした。

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【洋画:サスペンス】 グッドナイト・マミー

【評価】★★☆☆☆

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2014年/オーストリア
監督:ヴェロニカ・フランツ、ゼヴリン・フィアラ
主演:ズザンネ・ヴースト

GEOのホラーコーナーの棚にあって、少々気になっていた作品。
包帯ぐるぐる巻きというのは、なんか気になるんですよね(ミイラ好き?)

【ストーリー】
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双子の兄弟の元に戻ってきた母親は、顔が包帯でぐるぐる巻きだった。しかも、態度もどことなくおかしい。
双子の兄弟は、偽物の母親ではないかと、色々と確かめてみようとする。
母親は、双子の兄を無視し、弟と兄を引き離すようかの言動を取り始めたので、二人はますます怪しみ、母親が寝ている間に縛り上げ、拷問をして本物の母親の居場所を吐かせようとする。
実は、双子の弟は死んだ兄を生きていると思って行動しているのだが、母は、それをなんとかしようと手を尽くした結果、弟は母に不信感を持ち、偽物だと思い込んでしまったのだった。
その思い込みを解くことができず、母は実の息子である、双子の弟に殺されてしまうのだった(完)。
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【気分が悪くなるストーリー】

なかなか、気分が悪くなる話でした。
狂った息子に殺されてしまう母親のお話。

退院して家に戻ってきたのは、顔を包帯だらけにしたママ、まさにマミー(ミイラ)ですな(笑)。

見るからに怪しげなうえに、態度もぎこちなく、そっけなかったり冷たかったりで、双子の子供たちは、偽物の母親ではないかと、疑いだすという展開。



【ホクロで認識なのか?】

実は、狂っているのは子供の方で、双子かと思っていたら、一人は死んでいて、もう一方の妄想による幻視的な存在だったというオチ。
このあたりのオチは、普通に見ていれば、中盤辺りには気づくかと思います。

その後、息子が狂ってるんだなぁと思っていると、母親を偽物だと思い込み、監禁の上、いろいろと痛い拷問を行うという、なんとも気分の悪くなる展開となります。

包帯を外した母親の顔を見て、「ほくろがない!偽物だ」と叫ぶ息子。
「ほくろは、悪性だと言われたから、手術で取ったのよ。」って、ほくろの手術にしちゃぁ、顔に包帯、巻きすぎです。

息子も息子で、母親の顔を、ほくろでしか認識していなかったのか・・・?
確かに、南野陽子からあごのホクロが、なくなったら、南野陽子だと認識できなくなるかも・・・て、そんなことあるかーい!(南野陽子を引っ張り出すあたりで我ながら古いなぁ(苦笑))



【精神がゆがむ!】

子供は、ペットとして飼っているゴキブリ(この時点で、相当いかれてる気が・・・)を母親に喰わせたり、接着剤で口を塞ぐなど、子供の時分からこれでは、大人になったら、そうとうやばいことをやりそうな感じです。

見ていて、かなり、うげーとなる展開で、映画全体のテンポが遅いだけに、拷問シーンも、ゆっくりトラックに轢かれているような、嫌な感じなのでした。

ラストは、母親に火を付け焼死させるというバッドエンド。
こういう映画ばっかりみていると、精神がゆがんできそうな気分になる作品でした。

【TVドラマ:サスペンス】 世にも奇妙な物語 25周年スペシャル・春~人気マンガ家競演編~

【評価】★★★☆☆

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2015年/日本
TV放送


TVシリーズで始まった頃から、ずっと見続けている番組ではありますが、年々レベルが落ちて、最近ではあまり見るべきところがなくなりつつあるレベルの作品が多くなっている感じがしますが、それでも、毎回、特集編が公開されると、期待を持って見てしまいます。

今回は、マンガ家の原作がある作品もドラマ化したようですが、このシリーズは、元々、原作がある作品をドラマ化したものは、比較的出来が良かったりもするので、少々期待を持って視聴しました。

今回は、マンガ家競演と銘打って、マンガ原作などから、5本がドラマ化。
永井豪氏:「面」
伊藤潤二氏:「地縛者」
謀図かずお氏:「蟲たちの家」
ワンピースコラボ作品:「ゴムゴムの男」
石川雅之氏:「自分を信じた男」
の5本でしたが、なんと言っても見所は、伊藤潤二先生と謀図かずお先生の作品がドラマ化されていたことでしょうか。
伊藤潤二先生の作品は、私は非常に好きで、家にはかなりの作品が揃えられています。今回の「地縛者」も家にありますが(「闇の声」収録作品)、私が呼んだ伊藤潤二先生の作品の中で印象に残っている作品でもあります。


「地縛者」
伊藤潤二先生の作品はホラーでありながら、どこか意図的でないコミカルさがあるところが魅力なのですが、今回ドラマ化された「地縛者」は、そういった伊藤潤二テイストとは一線を画して、シリアスで重苦しい雰囲気の作品で、読んだ時、結構びっくりした思い出があります。
「地縛者」が収録された「闇の声」の他の作品も、結構シリアスな作品が多く、そのためか、その重苦しさが非常に印象的でした。

「地縛者」は突然、全国各地で、地面に縛られてしまったかのように奇妙な格好で動けなくなる人々が続出するという事態が発生します。その原因を究明していくうちに、縛られてしまった人々-地縛者は、各々が何らかの罪を抱えていて、その罪の意識から、罪を犯したゆかりの場所で、縛られてしまって動けなくなってしまっているということが分かります。

原作では、主人公の女性が、地縛者を助ける活動をしているのですが、ある日、自宅のマンションの部屋に、一緒に活動して尊敬している男性の先輩が地縛者として、動けなくなっている状況に遭遇します。
先輩が縛られている原因を探ると、先輩が縛られている部屋では、過去に住んでいた女性が強盗強姦殺人の被害に遭うという事件がおきていて、その事件が起きた数年前には、一人暮らしの女性を狙った強盗強姦事件が多発していました。

そして、実は、主人公もその強盗強姦事件の被害者の一人で、その心の傷に耐えるため、地縛者を助けるNPO活動に打ち込んでいたのですが、一緒に活動し尊敬していた先輩の真実を知って、心の傷をえぐられるという、何とも後味の悪い陰惨なストーリーです。

こんな陰惨なストーリーをゴールデンタイムの番組でドラマ化してしまうのかと、興味を持って見ていましたが、さすがにゴールデンタイムにはふさわしくないと判断されたのか、その辺りの陰惨なエピソードは大幅に変えられ、先輩は恋人を喧嘩により殺してしまい、それを後悔しているという設定、また主人公は、かつて、暴力を振るう父が心臓発作を起こしたのを助けずに見殺しにしてしまったという過去を持っていて、最後は自分も地縛者になってしまうという結末になっています。

伊藤潤二先生の作品を映像化するのは、なかなか難しいなぁと今回のドラマを見てあらためて実感しました。
今回のドラマは、それなりに出来ていたとは思いますが、元々の原作が短編なだけに、映像化するとすごく単純なストーリーに見えてしまうという難しさがあるように感じました。

原作の場合だと、そこの独特な雰囲気やショッキングな展開などで、読み応えがある作品へと仕上がっていますが、ドラマ化する場合、そういった点をうまく再現したり、取り込んでいかないと、表面的な作品に終わってしまう、そんな印象を受けました。


「蟲たちの家」
謀図かずお先生の「蟲たちの家」は、以前、映像化された作品(http://kappa1973.blog.fc2.com/blog-entry-40.html)をDVDでレンタルして見たことがありますが、その時は、正直、よくわからなかったという印象しかありませんでした。
今回のドラマ化作品も、映画と同じく、展開が二転三転するサスペンス調ではありますが、歪んだ愛をテーマに、夫・妻双方の歪みが表現されていて、映画化作品よりは、数段出来が良かったかなという印象。

夫を恐れるあまり、夫から逃れるため、自分は蜘蛛になったと思い込み、蜘蛛として生活する妻。そして、そんな妻を愛するが故に、献身的に世話をする夫-こういった構図が「蟲たちの家」の設定になっています。
妻が蜘蛛となってしまった原因は、妻の精神的脆さや、夫を裏切ったという罪の意識が引き金なのか、はたまた、異常な執着心や嫉妬心により妻を追い詰めた夫に原因があるのか-そんなサスペンス的テーマで話は進んでいきます。

終盤、家の2階で蜘蛛として過ごす妻が、本物の大蜘蛛となって1階に降りてきて、その姿に恐怖しパニックとなった夫は精神が錯乱してしまうことになります。
しかし、実は、「妻が蜘蛛になった」と思い込んでいた夫に合わせて妻は演技していただけで、その結果、最後には、幻視により、夫は妻が本物の蜘蛛になったというところまで錯乱してしまうわけで、言ってみれば、夫を上回る妻の歪んだ愛情が、そのような異常事態を引き起こすことになったと解釈できそうです。

ドラマ作品は、映画作品とは結末で多少の違いがあるので、原作とも少し違うのかもしれませんが、今回のドラマを見て、「蟲たちの家」のストーリーや背景への理解が少し進んだ気がします。
やはり、原作を読んで見ないと分からないのかなとは思いますが(映画版を見た時も、そんなことを書いたっけ・・・)、「蟲たちの家」はいずれにしても、難解な話であるなぁという印象でした。

【邦画:サスペンス】 弟切草

【評価】★★☆☆☆

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2001年/日本
監督:下山天
主演:奥菜恵


かなり大昔のゲームが原作の作品。このゲーム、やったことがあった気がするものの、内容などは記憶に残っていないので、新鮮な気持ちで本作を見てみたいと思います。

【ストーリー】
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ゲーム会社に勤める奈美は、ある日、生まれてすぐに別れて消息を知らなかった父親の死と、父親の遺産相続について連絡を受ける。
父親が残したという豪邸を相続することになった奈美は、同僚と一緒に、その豪邸を下調べに行くこととする。
その豪邸は、20年近く使われておらず、かなりの寂れ具合であった。そして、その豪邸を探るうちに父親が有名な画家であり、奈美に双子の妹(実は弟)がいたことがわかる。
しかし、豪邸を調べていくと、子供のミイラ化した死体が何体も発見され、奈美の父親は、狂気のモチーフの絵を描くため、近所の子供達を誘拐し、虐待した姿を絵にしていたことがわかる。奈美は、その死体の1つが双子の妹(弟)で、父親の犠牲になったのだろうと推測する。
豪邸を探索するうちに、外は大嵐となり、豪邸に一晩泊まらざる得なくなった奈美と同僚。
しかし、豪邸には奈美達だけでなく、実は、双子の妹(弟)が潜んでおり、奈美と同僚は双子の妹(弟)に襲撃され同僚は死んでしまう。
奈美と対面した双子の妹(弟)は、父親に受けた数々の虐待の記憶と、自分だけ酷い目に合い、奈美が逃れたことへの恨みを述べた後、それでも父親の芸術を理解していることを告げる。
そして、父親の未完の作品を完成させるため、自分が火に包まれる姿を、奈美に未完の作品に書き加えて欲しいと懇願し、自らに火を付けるのだった。
奈美は、火に包まれる双子の妹(弟)の姿を一心不乱に絵に描きながら、二人とも、焼失する屋敷と運命を共にするのだった。
・・・実は、これは、制作中のゲームのシナリオであり、奈美は、このシナリオの結末について別の者を考えたと言ってもう一つのシナリオを会社のメンバーに披露する。
その結末は、同僚は死んでおらず、奈美を火の中から間一髪で助け出し、奈美と同僚は燃え落ちる屋敷を外から眺めるというものであった。しかし、その奈美の足下から、父親が土の中から顔を出して足を掴むというシーンが付け加わっていたが、その結末は、奈美が作った記憶がない結末だったのだ(完)。

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ゲームが原作だけあって、画面構成から展開までゲームっぽい作りでした。
後は、どんでん返しを仕掛けようという意欲がひしひしと伝わるのですが、空回りに終わっていて、逆にそのせいで、訳がわからない作品に仕上がってしまっていました。

ストーリーは、幼少の頃、親戚に養子に出された主人公奈美が、生き別れとなっている実父の死により、実父の屋敷を相続することになり、その屋敷を探索する・・・というもの。

序盤から中盤、相続した屋敷を訪れた奈美と同僚が、屋敷の中を探索していくのですが、この展開が非常にゲームチックでした。
屋敷探索型のアドベンチャーゲームとかやると、まずは、入れる部屋を一つずつ探索しながら、アイテムとかを入手していくのが定番なわけですが、この映画も、まさにゲーム的な行動を取って、一部屋ずつ探索しながら、引き出しを開けたり、壁に掛けてある絵をチェックしたりしながら情報を収集していきます。

ゲームだったら、情報収集しないと話が進まないので、違和感を感じることもないのですが、これが現実世界で行うと、なんだか非常に怪しいです。
よく、ドラクエとかRPGなんかだと、勝手に人の家に上がり込んで、箪笥を探したり、ツボの中を覗いたりという行動をとってアイテムを手に入れたりするわけですが、それを実際の世界でやったら、「それ、普通に泥棒でしょう」となること必至ですが、本作の主人公も、相続した家とはいえ、そこまであからさまに家捜しする様は、なかなか異様なのでした。

ゲームと現実の世界はきっちり区別をつけないといけないですね(笑)。

そんなあからさまな家捜しをしているうちに、主人公奈美に双子の妹がいることが判明。
さらに、父親は有名な画家だったものの、実は、近隣の子供達を誘拐し虐待して、その様を絵に描くという、かなり変質者な人間だったことも判明。
そして、屋敷には虐待され殺された子供達の死体が多数転がっていたのでした・・・。

そこで、奈美の双子の妹は、父親に虐待された末に殺されたに違いないという結論に達するのですが、一方で、屋敷の中には誰かが隠れていて、奈美達を監視している気配が濃厚。
一体、屋敷に隠れているのは誰だ、ということになるわけですが、これは、どんなに鈍感な人でも、奈美の妹は生きていて、何らかの理由で屋敷に潜んで奈美を監視しているんだなということに気づくわけです。

なので、奈美の双子の妹が、奈美達に何かを仕掛けてくるのだろうということは、驚きでもどんでん返しでもないのですが、実は、この後に、あっと驚く(?)どんでん返しが。

奈美の妹は、自分だけ父親に虐待され続けたことを逆恨みし、同じようにホラーな目に合わせてやろうと手ぐすね引いて屋敷で待ち構えていたわけですが、ようやく奈美の前に現れると、実は、妹ではなく、女装した弟だとカミングアウト。

な、なに~、妹ではなく、弟だったのか!?
一瞬、やられた、一杯喰わされたという気分になったものの、妹でも弟でも話の展開に何ら影響を及ぼすものがなかったので、結局、「・・・それで?」というだけの感想に終わってしまったのでした。
意味の無いどんでん返しって、効果ないですね・・・残念!

その後、奈美と弟の直接対決となりますが、弟は、「奈美を恨んでいたけど、やっぱり、父親の絵のモデルになれて良かった!父親の未完の作品があるから、自分をモデルにして、その作品に書き加えて、絵を完成させて!」という、なんだか、訳の分からない展開となり、弟は自分に火を付けると、その姿を絵に残すように強要。
奈美も、弟のその勢いに負けたのか、本当に燃えさかる弟をキャンパスに描き写すのでした・・・という展開。

芥川龍之介の「地獄変」をどことなく彷彿とさせる話ではあります。
画家にとっては、人間が燃えさかって苦しむ姿って、なにかイマジネーションを生み出すものなのでしょうか・・・。

そして、奈美と弟はそのまま、燃え落ちる屋敷と運命を共にするのでした・・・という結末かと思いきや、実は、これは、全部、開発中のゲームの内容でしたという、しょうもないオチなのでした。

・・・このオチだと、結局何ごとも起きてないっていうだけなので、今まで見せられてきた話がバカバカしく感じられてしまいました。さすがに、「事実ではありませんでした。全部、空想の出来事です」的なオチはいかがなものかと。

ちなみに、さらにどんでん返しが用意されていて、このゲームの結末に対し、主人公の奈美が別の結末を提示するのですが、その結末は、ゲーム内で主人公奈美は屋敷を脱出して助かるというもの。

そして、ほっと一息付いた主人公奈美の足下の地面から、映画「キャリー」の結末のように、死んだはずの父親の手が出てきて足を掴むのですが、結末を作ったはずの奈美が「こんな結末作った覚えないよ!」と驚いて終わります。

要は、ゲームの中だけの話だったはずなのが、異変が起こり始めたということを予感させて映画は終わるという趣向。
・・・だけど、作ったゲームに異変は生じているわけですが、そこで話が終わってしまうと、現実の世界に異変が起こる前で終わったことになるので、結論としては、「結局、現実には何も起こっていませんでした」というだけの話だよなぁ・・・。

なんか、色々と引っ張った割には、何も起きてませんという結論で終わるというのも、ある意味すごいよなぁ・・・。
結局、色々とどんでん返しをして驚かせてやろうというつもりだったのでしょうが、結局、どんでん返しをし切れず、中途半端に終わってしまった印象でした。

【邦画:サスペンス】 CURE/キュア

【評価】★★★☆☆

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1997年/日本
監督:黒沢清
主演:役所広司、萩原聖人


先日、黒沢清監督の「LOFT」を見たつながりということで、黒沢監督の傑作の呼び声の高い「CURE/キュア」をレンタルしてみました。

【ストーリー】
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首から胸元を十字に切りつけ殺害する事件が何件も連続して発生。しかし、それぞれの事件は、まったく別の犯人によって引き起こされ、更に、犯人は、事件を隠蔽しようともせず、皆、警察にあっさり捕まった上、殺害の事実を淡々と認めるのだった。
主人公で刑事である高部は、この事件の真相を探るうちに、事件を起こした犯人の全てが、記憶喪失の男、間宮と接触していた事実を突き止める。
間宮を捉え尋問をするうちに、間宮が催眠術によって、人の心の奥底にある憎悪を引き出し、憎悪を引き出された人が、殺人事件を起こしていることを高部は知ることになる。
更に、高部は間宮と接触するうちに、高部が看病している精神障害の妻への奥深くに秘めた感情なども露わにされ、高部も間宮の力によって、心が解放されていく。
間宮の能力の本質に気づいた高部は、間宮を監禁されていた病院から脱走させ、人里離れた地で射殺してしまう。
しかし、死ぬ直前、高部に同質のものを感じ取った間宮は、高部に催眠暗示をかけ死ぬ。
間宮の催眠暗示により全てが解放され間宮の能力を継承した高部は、自分の重荷になっていた妻を催眠術を使って殺害してしまう。そして、悩みから解放された高部は、間宮の後継者として活動を始めるのだった(完)。

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初っぱなから、見たことあるなぁというデジャブ感を感じながら見始めましたが、かなり昔に見たことがあることに気づきました。ただし、場面々々の印象はあるのですが、ストーリーは全く記憶にがなく、我ながら記憶のあやふやさに驚愕する次第でした。

最初は、首から胸に十字に切り裂き殺すという同一手口の犯行が連続して起こるものの、各事件の犯人は全く別々で、犯人同士の接点もなければ、模倣犯というわけでもなく、謎が深まるばかり。

主人公である刑事の高部は、その不可解な謎を追究するうちに、間宮という記憶障害の男が、事件を引き起こした犯人全てと接触していた事実を突き止め、重要参考人として身柄を確保します。

間宮が催眠術を使って、人々の心の奥底に眠る憎悪を呼び覚まし増幅し、殺人を引き起こさせていたわけですが、間宮の催眠術のかけ方が、見ていて不気味というか薄気味悪さ満載でした。
記憶障害という設定なので、「あんた誰?」、「私?○○だ」、「ここはどこ?」、「ここは△△だよ」、「へぇ~、で、あんたは誰?」・・・と言ったように、話した先から忘れていくので、繰り返し同じ質問をされ、とまどった相手がいつしか、間宮のペースに巻き込まれ、催眠術をかけられてしまいます。

この単純な質問の反復って答えるのが難しく、「あんた誰?」、「○○だよ」、「○○さん、あんたは一体誰なの?」といった感じで、繰り返されると内面まで踏み込んで質問してきているようになってきます。
普通なら、怒って話を打ち切るとか、動ぜず同じ回答を繰り返すとか、ふざけてごまかすとか、そんな感じになりそうですが、間宮は、この方法で、いつの間にか、相手の心をさらけ出すところまで追い詰め、催眠術にかけてしまうわけです。

間宮が催眠術をかけるのは、相手が心の奥底に封じ込めている本心を解放させ、本当の自分を取り戻させ抑圧から解き放つことで癒やしを与える(これが、映画のタイトル「CURE/キュア」に繋がっているわけです)ことが目的なわけです。
この辺りの展開は、遠藤周作の小説「悪霊の午後」を彷彿とさせます。

ただ、本作で気になるのは、心の解放が全て、誰かを殺したいという行動に繋がるという点。遠藤周作の「悪霊の午後」の場合だと、解放される欲望が、表に出すには憚られるもであるものの、SM趣味だったり自殺願望だったり幼児退行だったり、本作と同じく殺人衝動だったり様々ですが、その点からすると、本作の殺人一辺倒は、ちょっと解せないなと感じるところです。

一応、間宮が行っているのは、心の奥底に抑圧された鬱積した思いを解放する-心に秘められた憎悪を露わにし、増幅させるということなわけなので、心の解放が殺人に繋がるというのは、理屈にはなっていますが、一方で、間宮の催眠術で、憎悪を爆発させ殺人を起こす人々は、非常に淡々と、冷静な状態のまま殺人を行います。
その行動が、心の底の憎悪を爆発させて起こすものとは、かなりかけ離れていて、感情を爆発させての行動だったらもっと激した行動になりそうですが、そうではないので、、間宮が行った催眠術とは一体何なんだろうというモヤモヤ感が残る部分でした。

さて、高部によって身柄を確保されることになる間宮ですが、高部と間宮の心理戦(?)が映画中盤からの主軸となってきます。
高部は、家庭では精神病で病んでいる妻の看護という重荷を背負い、仕事では刑事という仕事の特殊性から過重なプレッシャーを抱えているという、色々な面で弱点や弱みを持っているのに対し、間宮は、記憶喪失という設定上、最初から自分を持っていない、まさに雲を掴むような存在。
実体がある高部と、空気のような存在の間宮では、始めから勝負ありと言ったところでしょう。
中国戦国時代の思想家、韓非子も、主君の在り方として、「君主は喜怒哀楽を表してはいけない。そうでないと、臣下につけ込まれる」といったことを書き記していますが、記憶どころか感情すらもはっきりしない間宮は、かなりの強敵です。

間宮との対決の過程で、高部は間宮から、「家庭で精神病の妻を献身的に介護する姿と、仕事で警官として規律正しく過ごす姿、どちらが、本当の自分の姿なのかな?どちらも、本当の自分の姿じゃないよな?」と喝破されます。

それに対して、「どっちも、本当の自分じゃないことなんて、端から分かってるんだ!だけど、そうやって色々な役割を演じるのが人間なんだよ!」と高部は怒鳴り返します。
この高部の発言、まさにその通りだよな、と見ていて共感でした。

間宮は、「どっちも本当の自分じゃないよな?本当の自分は、抑圧されているだけで、もっと違う自分が存在するはず」というロジックであるわけですが、抑圧も制限もない状態での自分こそが本来の自分というのは、ある一面しか捉えていない発想という感じがします。

それよりも、高部の言うように、全部ひっくるめて自分というのが真実に近い感じがします。自分の中にある様々な人格を切り離して、一つだけが本当の自分というよりは、それらが全て統合されて自分自身である、この方がしっくりくるし、そういう考え方の方が、人間として生きていく上で意味があるのではと思います。

更に、高部は、間宮との対決の中で、「妻が重荷かって?そうだよ、重荷だよ!なんで、あんな頭のおかしい妻を俺が、苦労して面倒をみなきゃいけないんだよ!妻がいなければ、どれだけ自分が楽になれたか、死んでしまえと思うよ!」と激白。

一緒に観賞していた妻は、「えー、そこまで言っちゃう!?・・・最低。」と大ブーイング。
・・・まぁ、本音であったとしてもかなり言い過ぎでしょう(苦笑)。

この後、高部の「妻は重荷だ!だけど、俺は妻を許す。しかし、間宮、お前は許さん!」というセリフが続くのは結構泣かせるのでした。
許すって、大切です。
許せる自分というものも、自分自身の一つであり、とても、重要な自分の一つだと思います。

しかしながら、その後は、高部は間宮の力に抗しきれず、最後は、間宮を銃殺することで、決着を付けようとしたものの、結局、死んだ間宮の後継者として能力を引継ぎ、催眠術を使って妻を殺害し、重荷から解放された自分に満足するという、間宮の術中に落ちて、映画は終わりとなります。

今まで見た黒沢監督の作品の中では、一番良かった作品でしたが、設定の甘さというか、説明不足な部分が結構残っていたり(これは、黒沢監督の作品の特徴なのかもしれません)、自分を多面的に捉えたり、人を許すといった話が出てきつつも、あまりその部分が活かされていなかったりと、あともうちょっと頑張ると、すごく良いのになぁと思える部分も残り、その点が心残りとなる作品でした。

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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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