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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【漫画:妖怪物】 天界のゲゲゲの鬼太郎

【評価】★★☆☆☆

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著者:水木しげる
出版:角川文庫


「天界のゲゲゲの鬼太郎」というタイトルだけあって、天界=宇宙、すなわち宇宙人絡みの話が多く収録されていました。
宇宙人絡みということもあって、結構、突拍子も無い話も多い印象。


「地上絵の秘密」
女性をさらいハーレムを作ることを目論む宇宙人に立ち向かう鬼太郎の話。
ハーレムを作るために、わざわざやってくる宇宙人って、一体・・・。
大人向けな展開で(笑)、女性器型の宇宙船に、ペニス型のロケットで突入するやら、最後は、宇宙人をやっつけ、宇宙人の使っていた宇宙船で地球に戻りますが、助けに行った鬼太郎たちと、助けられた女性たちが乱交しながら、地球に戻るという、アニメの鬼太郎では想像できない展開の話でした。
水木先生の妄想ワールド炸裂の話でした(苦笑)。


「UFO宇宙突撃隊」
幻覚兵器を使う宇宙人にやられて洗脳され侵略軍の片棒を担ぐことになる鬼太郎ですが、結局、その宇宙人と対立している他の宇宙人の助けで侵略軍を撃退、鬼太郎の洗脳も解けてめでたし、という展開。
鬼太郎、いいところ一切無しの展開です。
漫画版のゲゲゲの鬼太郎って、鬼太郎がいいところ無しで、運や他の人の助けでなんとかなっちゃう話が、割と多い気がします。
その辺のヒーローらしからぬところが、魅力なのでしょうか。


「火星人現る」
エネルギーを吸う火星人が出現、鬼太郎が退治しようとするが、逆に火星人に鬼太郎が吸収されてしまうという展開。しかし、鬼太郎の霊力が半端ない強さだったことから、鬼太郎を消化しきれず、逆に火星人がやられてしまうというお話。
鬼太郎が吸収されるも、消化しきれず、吸収した方が(消化不良で?)やられてしまうという展開は、結構、おなじみのパターンという気がします。
考えてみると、鬼太郎って、食べると毒だし、トゲ(頭の毛ですが)はあるしで、なんだか河豚みたいです・・・。


「ロケットハウス」
人間をそっくり模写して、人間に成り済ますことで地球を侵略しようとする宇宙人の話。
しかし、宇宙人の研究不足で,人間はみんなそっくりの顔をしていると誤解し、同じ人間をたくさんコピーしたため、侵略の意図がばれてしまい、宇宙人が慌てて逃げ出してしまうという、なんとも不可思議な話。
たしかに、他の生き物って(特に自分と姿形が異なる生き物については)、どれを見ても同じ顔に見えるってのはありますね。
そういうところから着想を得た作品だと思いますが、なかなかとぼけた味わいのある作品です。


「不思議な家」
こちらも、人間心理を研究するため、人間を捕まえる宇宙人の話。
人間を捕まえて研究するも、なかなか人間の心理が分からず、次々と人間を捕獲し続ける宇宙人。
ある日、ねずみ男がその宇宙人に捕まり、人間心理研究の実験対象とされますが、ねずみ男を分析したことで、人間心理を全て理解できたと満足した宇宙人は、実験を終了し、地球外に飛び去ってしまうのでした・・・。
えぇ・・・、ねずみ男が人間の心理を研究するのにもっとも好都合ということ!?
最初は、それはないだろうと思いましたが、時間が経って冷静に考えてみると、ねずみ男の欲深さや、自分勝手なところ、ずる賢いところ・・・などなど、意外と一番、人間らしいのかもしれないな、と思えてしまうのでした。


「わんたん妖怪」「壺仙人」
仙人に関するお話ですが、どちらも、霧に化けて、山口百恵ちゃんの布団に潜り込んだり(「わんたん妖怪」)、弱みにつけ込んで美少女を自分の召使いにしたり(「壺仙人」)と、亀仙人のようにエロい仙人のお話(笑)。
仙人って、煩悩などに捕らわれると仙術を失うなんて話をよく聞きますが、ここに登場する仙人は、最初っから煩悩まみれなんですが(苦笑)。
水木先生の手にかかると、あらゆる欲望から解脱した仙人も、かなり人間くさい存在になってしまうようです。
まぁ、これらの仙人は、自分の煩悩を満たしたいがために、一生懸命修行をして仙人になったというタイプの人達ばかりなので、一般的に思われている仙人とは真逆の存在と言えそうです。


「煙羅煙羅」「ぬけ首」「妖怪クリーニング」
ねずみ男が、妖怪を使って金儲けをたくらむものの、最後は失敗して元の木阿弥になってしまうというお話。
「ゲゲゲの鬼太郎」を読んでいると、ねずみ男が、一番商才があって、チャレンジ精神に富んでいるなぁと思います。
目的も、「金を儲けて、豪華な生活をしたい」という単純極まりないものの、もっとも根源的で強烈なものだけに、行動力も半端ないよなぁ・・・。妖怪界の両津勘吉と言ったところでしょうか。
ビジネスアイディアに関しても、ねずみ男、両津勘吉双方とも、とても光るものを持っていますが、両者とも、好奇心旺盛なところがビジネスアイディアの源泉になっているような気がします。
そして、結局、最後はトラブルを引き起こして、鬼太郎に制裁を喰らって、すってんてんになってしまうという毎度のオチは少々気の毒な感じが・・・。
ぐうたらキャラの鬼太郎に、毎度、働き者(金儲けに関してですが)のねずみ男がやられてしまうのは、よくよく考えると納得いかないなぁ。


「妖犬」
事故を未然に予知したり、人語を理解している様子を示したりと、拾ってきた捨て犬が犬らしからぬという通報を受けた鬼太郎が、その犬の正体を暴くべく戦いを挑むというお話。
鬼太郎の執拗な攻撃に、その犬はついに正体を表し、元の仙人の姿に戻ってしまいます。
仙人は、「気楽にのんびり過ごそうと思って犬に化けていたのに台無しじゃ。言っておくが、戦うだけがすべてではないのだぞ。」と言い捨て、鬼太郎達を置いてどこかに旅立ってしまいます。
ストーリーはあっさりしていますが、戦って物事を解決しようとばかりする鬼太郎へのアンチテーゼを示す終わり方になっていて、印象深い話でした。

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【漫画:ホラー】 視えるんです

【評価】★★★☆☆

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著者:伊藤三巳華
出版:メディアファクトリー


幽霊とかが見えてしまう漫画家さんの体験漫画。
私自身は、幽霊とか見えたりとか、その手の体験は一切したことがないので、幽霊とかは100%信じていないタイプなのですが、その割りに、この手の体験談とか結構好きなんですよね(笑)。
信じていないからこそ、笑って読めるというものなのでしょうか。

本書、絵は基本的にかわいい系のタッチで書かれているのですが、肝心の幽霊は超リアル描写で、そのギャップの激しさが、なかなか面白いです。
妻は、この本を読んで、「幽霊がリアルすぎて嫌。夢にみちゃったよ。」と言っていたので、苦手な人には、ちょっとショッキングかも。

体験談自体も、結構リアリティがあって、「もし、幽霊が実在するとしたら、確かにこんな感じの出現やら接触をすることになりそうだな」と、幽霊懐疑論者から見ても、そう思わされます。
また、話も怖い一辺倒でないところも、なかなか良いかも。

いくつか興味深かった話を紹介してみようと思います。

「妖精は、いる」
妖精がいるという場所(なんと、千葉県幕張)で、妖精見学ツアーをした話。
出てきた妖精というのは、ピーターパンに出てくるティンカーベルのようなものではなく、直径1センチくらいの緑色の光の玉。
霊能力者の説では、古い木のエネルギーが長い時間かけて形になったものではないか、というもの。
もし、妖精がいるとすれば、自然から生まれた何かだろうなぁと、この話は、妙に説得力を感じました。


「彼の人も知る旅情」
温泉旅館で、深夜、大浴場に一人で入っていると、人が誰もいないはずの隣の湯から、大勢の楽しそうな笑い声が響きだしたそう。
とてもにぎやかで楽しそうな声だったため、手塚治虫の漫画の一こま、「幽霊とは本来陽気なものなんですよ」という台詞を思い出しながら、笑い声の中、一人で浴場の中をゆったりと泳いで楽しんだ・・という話。

なんか、幽霊も楽しく過ごしているんだと言う話は、ほのぼのとして、楽しい気分になる話でした。


「三上君の数珠」
禍々しい雰囲気を漂う品物を預かった著者。
その禍々しさを封じるため、お坊さんよりもらった数珠をその品物に添えておいたら、数珠は紐がちぎれ、玉がはじけてしまったそう。
手に負えず、その品物は寺に奉納し、その品物の持ち主に顛末を報告に、持ち主が経営しているお店に向かった著者。
お店のまわりに、禍々しさを封じるため、ちぎれた数珠の玉を撒いた後、お店の主人に経緯を話していると、そのお店の常連さんが来店。
その常連さんも、いつも災難に遭ってばかりいて、禍々しい雰囲気を漂わせているのですが、その常連さん、「不思議なことに、道に数珠が落ちていたんだ・・」と言って、手には拾った数珠の玉をいっぱいもっていたのでした・・・という話。

要は、この常連さん、得体の知れないものでもなんでも、拾ったりするから、禍々しくなるんだよねという突っ込みが入る話というわけなのですが、確かに、こんな、海とも山とも知れないものを何でも拾っちゃう人って、とっても不運に見舞われそう。
自分も、あまり変なものを拾わないように気をつけねば(笑)。


「不謹慎な人柱」
怪奇雑誌に記事を掲載している面々で、心霊スポットめぐりツアーを行うことになり参加することとなった著者。
心霊スポットに行くと、著者には、大勢の女性がぺちゃくちゃとしゃべるような声が聞こえ、遠くには空に降っては登る赤い閃光のようが見えるのであった。
それはまるで、楽しい乙女たちのおしゃべりに、赤い花火のような閃光のようで、まるで夏祭りに来たような楽しい気分に浸れるのでした。
そのことを同行の霊能者に話すと、「それは、焼け落ちていく寺の炎と音だ・・。そして、命乞いする女官たちの叫びだよぉ・・・。お前は、不謹慎なヤツだ」と言われてしまった・・・という話。

この話を読むと、幽霊が見えるという人の感覚は、見えるというよりは、感じるに近いものなのかなと思います。
もし、「見える」という感覚だったら、「夏祭りのような感じ」と「寺が焼け落ちている」ほどの間逆な違いが生じることもなさそうだよなという気がします。
実際、幽霊が見えるという人が、幽霊を見える(感じる)のは、どの知覚で感じているんだろうなぁ(五感ではなく、第六感なのかもしれませんが)。
その辺が分かると、「幽霊が見える」というものの正体が、もう少し解明されそうな気がします。


本書、体験談的には、ありきたりのものもありますが、著者独特の話も結構あって、怪談話として読んで見ても、なかなか面白いなと感じました。

【漫画:ホラー】 バースディプレゼント(全1巻)

【評価】★★★☆☆

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著者:宮脇明子
出版:集英社


妻が時間潰しように買ってきた1冊。
あいかわあず、ホラー短編もの、好きだなぁ。
しかし、読んだ感想を聞くと、「うーん、いまいち・・・」とのこと。
毎回、感想を聞くと、「いまいち」という言葉しか聞かない気が。
学習効果なく、毎回、この手のものを買ってきてしまうようです(笑)。

さて、本作品は、4編のホラーサスペンス調の漫画が収録された作品集。
個別に、感想を書いて見たいと思います。

「バースディプレゼント」
お見舞いに行った同級生から、呪いの言葉を投げつけられ、それが実現してしまうというお話。
それほど親しくはない同級生を見舞いに行った6人の中学生。
入院している同級生の誕生日がもうすぐだということで、何か欲しいプレゼントはないかと尋ねると・・・。
その同級生は、「では、あなたからは、あなたの住んでいる家を。あなたからは成績、あなたからは、その早い足を。あなたからは、その綺麗な顔を。あなたからは、あなた自身を。そして、あなたからは幸せを!」と呪いのような言葉を投げつけます。
数日後、同級生は亡くなり、その亡くなった同級生の誕生日を迎えると、各々の中学生達は、自身の家が焼失したり、成績ががた落ちしたり、はたまた足を怪我してしまったりといった事故が発生します。
「同級生の呪いでは!?」と戦々恐々とする中学生たち。
そんな中、「顔をもらう」と言われた中学生が、何者かに顔を切りつけられるという事件が発生。
しかし、この事件は、「同級生の呪い」という噂を逆に利用して、その中学生に怨みをはらそうとしたものでした。
そして、事件の真相が明らかになることで、「同級生の呪い」なんかではなく、偶然と故意が入り交じった、人間による仕業ということに落ち着きます。
数年後、「あなた自身を」と言われた中学生と、「幸せを」と言われた主人公が大人になり結婚します。
結婚して生まれた子供は、亡くなった同級生の生まれ変わりで、その呪いを実現しようとしている・・・という終わり方。

二転三転するどんでん返し的ストーリー展開ですが、中学生同士の人間関係やら、主人公と同級生の恋愛感情などが上手く織り交ぜられていて、結構、面白く読めた印象です。
多少、展開がところどころ粗かったり、好都合的展開もありますが、まぁ、目をつぶれる範囲ではあります。
ただ、「呪い」の割には、決定的悲劇には至らず(家は保険金でほぼ損害なし、足や顔の怪我も結局回復など)、あまり怖さを感じさせないので、ぞくぞく感が足りなかったかな。


「ムーン・チャイルド」
人に意見を言ったり、文句を言ったりすることができず、内面にため込んでしまう主人公。
ある日、亡くなった父と同じ名前を持つ同級生と知り合います。
その同級生と知り合って以降、自分に意地悪をしたり危害を加えたりした人達が不幸な事故に巻き込まれます。
そして、それは、主人公が不満を書き込んだ日記を読んで、主人公に成り代わって同級生が報復をしていたことを知ることになります。
しかし、実際には、そんな同級生など存在せず、たまたま偶然起きた事故を主人公が、報復であると思いこみ、主人公が作り上げた空想の同級生が行ったと思いこんでいただけと判明。
・・・だけど、最後に、その同級生が存在していたことをほのめかす場面が描かれ終了。

こちらも二転三転ストーリーもの。
ただ、この作品は、「同級生は、主人公の空想の産物」と展開する部分が無理矢理過ぎるため、その時点でかなり興ざめしてしまいました。
全部の展開を「偶然の出来事」で片付けたため、「偶然の出来事」で処理するなら、どんな話でも展開できるよなぁ・・・と、納得感を喪失した感がありました。
そして、最後に、やっぱり、同級生は(幽霊的存在として)いたんです、というオチをもってこられても、ただ、驚かせるためだけに持ってきたオチな感じで、どうも納得いかない終わり方でした。


「夢見るように眠りたい」
主人公の姉が事故死し、姉の夫-義兄が再婚することに。
しかし、再婚相手は、姉と義兄との間の子供(主人公の姪っ子)を虐待し始め、それを察知する主人公。
ある日、姪っ子のことが心配になり義兄の家に行くと、再婚相手が一人いるのみ。
姪っ子の場所を聞くと、「お仕置きで物置に閉じこめた」と言われ、慌てて物置に行くと、絞殺されて姪っ子の死体が放置してあるのを発見。
再婚相手は逮捕され、主人公は義兄と結婚することになる。
しかし、姪っ子は、主人公が絞殺をしていて、結婚式の日、姪っ子の幽霊に追われた主人公はトラックの前に飛び出し死んでしまう。

この話も、どんでん返しもの。
姪っ子のことを心配する主人公が、実は姪っ子を殺害していたという仰天の展開な訳ですが、姪っ子殺害に関する伏線が全くないので、非常に唐突な展開だなという印象のみが残る作品でした。
映画「シックスセンス」みたいに、伏線が綺麗に張った上で、どんでん返し的オチになると、「なるほどぉ~!」と唸らされるわけですが、伏線も何もないと、「何でもありですか・・」というがっかり感の方が大きくなる気がします。


「心霊写真」
心霊写真にまつわる二編のストーリーが入っています。
本書の中では、この中の一編が、意外にも怖くて、良かったと思いました。

(その1)
同窓会の写真をとった主人公。後日、写真を見直すと、ほとんどの写真に光が入っていて失敗してしまっていた。
その後、同窓会に参加した同級生から電話があり、同じく参加した同級生松戸が亡くなったとの連絡が入る。
松戸の遺族のために、同窓会の写真を送ってあげようと、写真を見直していると、奇妙なことに気付いてしまう。
写真の光は、全て、松戸の顔を消すようにして入っていたのであった!

それほどひねりもない、聞いたことがあるような怪談話なのですが、この話が、なんだか、一番、ぞくっときてしまいました。
この話の何が、私の琴線というか恐怖線(?)に触れたのかはよく分からないですが、非常に短く、無駄のない展開が、ずばりときたのかもしれません。

(その2)
主人公は、撮ったスナップ写真の一つに、霊が写り込んでいることに気付く。
不気味に思うものの、その写真が気になり、常に持ち歩いて、時折、写真を眺めていた。
すると、徐々に写った霊の顔がはっきりとなってきたことに気づき、どことなく、その霊の顔が自分の顔に似ているのではと思い始める。
そして、ある日、主人公は車にはねられて死んでしまうが、その死に顔は、心霊写真の霊の顔と同じものであった・・・。

こちらは、「その1」程には、怖くも、面白くもなかったかなぁ。
たぶん、主人公の心の揺れやら、主人公の学校生活など、余計な(というと失礼ですが)
話が入っていて、焦点がぼやけたせいもあるかも。
後は、「その1」は実際の話を漫画にしたようなリアリティーがあったのですが、こちらは、作り話の域をでず、それが、怖さや面白さを醸し出せなかった要因に思えます。
怪談話は、リアリティーと無駄のない簡潔さが必要なのかもしれませんね。

【漫画:ホラー】 死者の森(全1巻)

【評価】★★☆☆☆

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著者:成毛厚子
出版:講談社


ホラー漫画短編集。
全6編収録されています。
またまた、妻が、待ち時間の暇つぶし用に買ってきたもの。
感想を聞いてみると、「うーん、微妙・・。」とのこと。
こういうホラー短編は、選ぶ人の選球眼が試されるものなのです!
さてさて、妻の選球眼はいかばかりのものだったでしょうか・・・。

全体的な感想は、「薄味!」というところでしょうか。
主人公も幽霊も、存在感が薄いです。
それでは、各編の紹介と感想。

【炎天下】
フリーターの青年が、先輩の務める探偵会社のお手伝いをして、不倫調査のため、ある女性を尾行したところ、幽霊と遭遇するというお話。
尾行していた女性がマンションに入っていったため、後ろについて入っていったら、そこのマンションは幽霊がわんさかいるという設定。
幽霊達が次々と襲ってきて、ちょっと、ゾンビパニック映画の様相を呈しますが、あわやというところで、マンションの警備員に助けられて危機を逃れます。
この幽霊達は一体どんな因縁で出てきたのとか、そもそも尾行していた女性はどうしたとか、かなり途中で放り投げだした感が強い作品でした。

【密やかな楽しみ】
またまた、前作の青年が探偵会社のお手伝いで、中年男性を尾行したところ、中年男性が殺した女性の幽霊と男性との騒動に巻き込まれるという話。
主人公の青年が、霊に憑依されやすく、脳天気というくらいの特徴しか無く、やけに影が薄いです。この影の薄さは、幽霊なみ!?
中年男性を尾行すると、中年男性が女子校を盗撮していることが判明。
しかし、その男性、女子高生に盗撮について脅され、現金などを要求されたため、その女子高生を殺してしまっていました。
主人公の青年が、中年男性を尾行することで、女子高生の死体も発見し、それがきっかけとなって、女子高生が幽霊として出現して、中年男性を取り殺してハッピーエンド?
うーん、なんだろう。おそらく、登場人物の人間関係とかが全く表現されていないので、幽霊話と言って全く怖くない気がします。
やはり、幽霊話が怖いのって、因縁とかの背景的な部分に依るところが大きいのでしょう。

【聖夜】
前作の青年が、こんどはクリスマス商戦時期にデパートでアルバイト。
そこに、子供が数年前にデパートで行方不明になったという母親が現れ、主人公が、「あれ、子供なら見かけたけどな?サンタクロースの男が連れていたぞ?」という展開に。
結局、サンタクロースの男は誘拐犯で、数年前に自殺、子供も死んでいて、デパートの倉庫の一角で遺体が発見されましたとさ、というお話。
相変わらず、怖くも何ともない話でした。
折角、事件追及物の設定なので、謎解き要素とか入れてくれれば、もうちょっと読める作品になったのではないかなぁ・・・。

【死者の森】
樹海で自殺しようとしたところ、そこで自殺した霊達に追われ、命からがら樹海から逃げ出したという経験を持つ男。
そんな経験も過去のものとなり、平穏に暮らしていたら、樹海を抜け出すことが出来ずにいた霊達が何かのきっかけで、樹海を抜け出せるようになり、その男を取り殺そうと迫る話。
うーん、この話も全く怖くないなぁ。やはり、人間ドラマの欠如が、平坦な印象を与えるのかな・・・?

【ラスト・オーダー】
主人公がアルバイトをする喫茶店で、いつも待ち合わせをする不倫カップル。
ある日、不倫カップルの方の男性が、自分の家族を連れて喫茶店にやってくる。
すると、不倫カップルの女性が同時に喫茶店にやってきて、どんな事態になるかと主人公はひやひや。
・・・男性とその家族は全く女性の存在は無視。
あれれ・・と思ったところ、実は、女性は自殺していて幽霊だったんですというお話。
端折って書きましたが、主人公と不倫カップルの女性が一夜の関係を結んだりと、恋愛ストーリー的要素が入っているのですが、主人公と女性が一夜を共にするという設定は、単に、女性の背景事情を語らせるための都合だけに導入された設定っぽくて、やっぱり、登場人物の人間関係は深みがないです。
なので、やっぱり、ぼやけた印象の話になってしまっているかな・・・。

【プライバシー】
不倫をしている女性芸能レポーター。
不倫相手の車に乗っていると、男性の妻がすごい形相で追いかけてきたため、男性が慌てて車を出すと、不幸にもその妻をひき殺してしまう。
誰も見ていないんだしということで、その場を立ち去る2人だが、女性の近所のおばさん達が、女性を日頃より監視していて、それがきっかけで、ひき逃げ事件がばれてしまいました、というお話。
芸能レポーターが、逆に、近所の人にプライバシーを根掘り葉掘りほじくり返されていたよという皮肉った内容のようです。
「笑うせぇるすまん」とか「Y氏の隣人」にありそうなストーリーですが、やっぱり、この話もいまいち面白くない気が・・。
主人公(女性芸能レポーター)の行動とか心理状態とかのリアリティ不足が原因かな・・。


最初にも書きましたが、全体的に薄味でした。
薄味過ぎて、糖尿病の人にオススメしたくなる作品です。

【漫画:ホラー】 有田景商店街

【評価】★★★☆☆
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著者:有田 景
出版:ぶんか社


一時期、我が家でブームになっていた漫画がありました。・・・それは、「Y氏の隣人」。
話は、悪魔や天使が、悩める人々を救ったり魂を奪うために、悩みを解決する超常的なグッズを渡し、それを使った人が時には救われ、時には、自分の欲望を制御できずに悲劇に見舞われる-こんな内容でした。
「世にも奇妙な物語」や「笑うせぇるすまん」に近い話といえば、分かりやすいかもしれません。

さて、本作品も、ブックオフで、当ても無く散策している最中に、なんとなく目に付いたものです。
「有田景商店街」のタイトルを見て、「もしかして、怪しげな商品を売りつけて、それを使った人が不幸な結末に陥る系の話ではないのか・・」とピンときて、手にとって、中身を確認すると、まさにその予感的中。

タイトルを見ただけで、その作品の内容を当てることができる-我ながら、神がかり的な能力を手に入れてしまったものです。
そのうち、タイトルを見ただけで、その本を読んだと同じ知識を得られる-そんな域まで達してしまうかも!?
その時は、その方法を本に書いて出さないといけないかもしれないなぁ・・・、本のタイトルは「脱速読術」当たりでどうだろうか・・・本を手に取ったまま、しばし妄想に耽ってしまいました。
あぶなく、「世にも奇妙な物語」の住人になってしまうところでした・・。

なんだか、本を買うまでの経緯がやたらと長くなってしまいましたが、「有田景商店街」の内容を紹介すると、こんな感じです。

悩みを抱えている人が、不思議な力(たいていは、不思議な商店で不思議な商品を手に入れる)を使って、悩みが解決されるのだが、結局、その力によって不幸な結末を迎えてしまう・・・というもの。

本作品は14編入っているのですが、ほぼ全ての作品は、後味の悪い結末を迎えます。
各編の主人公(犠牲者?)が良い人であれ悪い人であれ、平等に悲惨な結果を迎えるのは、(作者の姿勢が)潔いと言えば潔いのですが、しかし、見方を変えると、ちょっと先が読めてしまうなぁというところが無きにしもあらず。

話のアイディアは、独創的でなかなか面白いものも何編かはあるのですが、結末の単調さが、本作品を全体的に単調なものにしてしまっているのは残念でした。
また、本編に共通して(全てではないが)、商品を販売するお兄さんが出てくるのですが、このお兄さんは、商品を売るくらいしか登場場面がないので、全編がシリーズものとしての一体感がないのも、物足りなさを感じる要因かもしれません。

・・・と、ここまで書いてみて、「不思議な商品で物事を解決するけど、最後は失敗に終わる」といった話って、「Y氏の隣人」や「笑うせぇるすまん」よりも、もっと身近な作品があったのに気づきました。

それは、「ドラえもん」!
ドラえもんから道具を出してもらったのび太は、7割くらいの確率で、調子に乗りすぎて、哀れな結末に終わっていますから、まさに、「ドラえもん」はこの話の元祖と言っていいのかもしれません。
確かに、「笑うせぇるすまん」は「ドラえもん」のブラックなバージョンと見ることができるかもしれないしなぁ・・。

なんだか、「有田景商店街」を読んだことで、思わぬ発見をしてしまいました。
その意味では、有意義な一冊だったかもしれません。

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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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