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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:学術】 うわさとデマ -口コミの科学

【評価】★★★★☆

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著者:ニコラス・ディフォンツォ
出版:講談社



【噂のメカニズム】

噂の発生原因や、広まるメカニズム、噂の正しさなどを科学的研究などを根拠にわかりやすく解説した本。
東日本大震災の時も、噂やデマ情報の問題が話題になりましたが、災害時に限らず、日常でもネット上などで噂やデマは色々とありますが、近年のネットを介したデマなどの事例も取り上げられていて、非常に面白い話でした。



【噂とゴシップ】

これは、学術的な(?)分類なのでしょうが、「噂」と「ゴシップ」は似て非なるもので、性質が異なると定義づけされるというのも、驚きでした。
ゴシップが、個人的なものやことを対象としたものに対し、噂は、真偽不明な事柄を明らかにするために多くの人が交換する情報で、噂の方が、社会的意義が高いようです。

噂もゴシップもネガティブな印象がありますが、噂に関して言えば、ネガティブな面もありますが、他方で、不確かな状況を明らかにする効果もあり、ポジティブな側面もあるようです。
噂を通じて、真相が明らかになる、という効果もあるようであり、噂をどのように取り扱うかで、世の中の真実に近づけるのかもしれません。



【インターネットでの噂】

噂がどれくらい正しいかといった調査結果についても書かれていて、色々な調査があり結果はまちまちですが、会社内で流れる会社にまつわる噂はかなり信頼性が高いものが多い、という調査結果があるようです。

他方、噂は、ほとんど正しいか、全くデタラメかの両極端に分かれる場合が多く、更に、時間が経つにつれ、正しい噂の正確性はますます高まり、デタラメの噂は、ますますデタラメ度合いが高まる傾向にあるのだとか。

活発な意見交換によって、噂の正確さは高まるという結果もあるものの、意見交換が同じ考えの人同士だけで行われると、ますますバイアスが強まってしまうと言うこともあり、インターネットは、一見、幅広い人の意見が交換されやすいようですが、実際には、同好の士だけでの交流に閉じてしまい、ますます噂が偏ってしまうことも多いようです。

実際、自分の職場でもどんな噂が流れているかなぁとか考えながら、本書を読みましたが、普段から、もう少し、噂を意識しながら生活してみるのも面白そうだと思いました。



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【『うわさとデマ』より】
インターネット上で噂について活発に意見が交わされるのは、同じ考えを持つ者どうしのあいだだけであり、そのような状況ではますます意見の一致が進むことになる。

(書き出し)
「ハニー、君のオフィスにもウォータークーラー(冷水機)はあるのかい?」

(結び)
噂は私たち人間が共同で行うものだ。本書が"より良く噂話をする"一助となることを、私は強く願っている。
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【書籍:書評】 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

【評価】★★★☆☆

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著者:高野秀行、清水克行
出版:集英社



【異業種交流】

辺境ノンフィクション作家の高野秀行氏と、中世日本史学者の清水克行氏による書評対談。
それぞれ違った分野で活躍されているので、その異業種交流ぶりを楽しむ対談とも言えましょうか。

ただし、異業種交流と言っても、高野氏も多くの辺境を訪れる中で、人類学的な知識や知見を身に付けているので、人類史的な共通項でくくられる内容の本が多かった印象です。



【文明を捨てた人々】

最初にテーマとなった、「ゾミア」という本は、東南アジア一帯に住む未文化圏(?)の人々は、現代文明から取り残された人々ではなく、かつて、権力や支配から逃れるため、敢えて文化を捨てた人たちである、といった学説が書かれた本ということで、権力の支配から逃れる知恵について語る二人の話はとても興味深いところでした。

例え話で、小学校の学級委員を決めるのに、子供たちがその役割を押し付け合うのは、本能的に学校や教員といった権力、支配を嫌っての行為であるなんていうのは、面白い説(?)でしたし、「結局、学級委員がいて一番便利なのは子供たちではなく、学校の先生なんですよね」というのは、その通りだし、思わず笑ってしまう説明でした。



【スケールの違い】

この後、イスラム世界を30年かけて旅行した記録である「大旅行記」を取り上げた後、平将門について記した「将門記」が取り上げられるのですが、高野さんが、「『大旅行記』を読んだ後、日本の『将門記』を読むと、あまりのスケールの小ささに焦点を当てるのに苦労しましたよ。映画「ミクロの大決死圏」の世界に入り込んだ気分でした」なんてコメントしていて、世界の辺境をまたにかけている高野さんらしいなぁ、なんて思いました。

どうも、日本人は島国だから、せせこましいのかもしれません。

「ゾミア」に絡んで、文明から逃れるために辺境の地に逃避するといった話においても、日本の場合、山岳は多くても、奥行きがないため、権力から逃れて避難するような場所はほとんどない、なんていう話もでてきて、日本は国土が狭いということなんだと、実感をする話でした。

本書で紹介された本の大半は、まじめで学術的なので、なかなかとっつきにくい感じもありますが、何かの機会で読んでみようかなぁ(本当に読むのか!?)




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【『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』より】
強大な権力の支配から逃れるために、あえて「窓口」をつくらない、というのは支配される側の一種の知恵ですね。

(書き出し)
なんだか、ゼミの発表会に来たみたいですよ。

(結び)
僕も何か見つけたら報告します。
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【書籍:哲学】 アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ

【評価】★★★☆☆

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著者:栗原康
出版:岩波新書



【尾崎豊=アナキスト】

アナキズム。
尾崎豊の世界観ですね。
「支配からの脱却(卒業)」、夜の校舎の窓ガラスを壊して回ったー的な世界観が、アナキズムにもろに合致。
本書で、尾崎豊について一言だに触れてはいませんが、尾崎豊世代が読むと、尾崎豊=アナキスト、という論が頭に浮かんできてしまうかも。
予想だにしないところで、つながりが出てくるところが本を読んでいて面白いところです。



【資本主義にもアナキズムの思想が・・・】

本書は、アナキズム(日本語だと無政府主義という訳が当てはめられることが多いですが)とは何ぞやということを、少々独特の文体で解説したもの。
一言で言うと、「自分の欲求に従って、やりたいことをやっちまいな!」ということを主張している内容です。

本書の言う通りに、みんながみんな、こんなことをやり始めたら、混沌とカオスの世界に陥りそうですが、読んでいて面白いと思ったのが、現在の資本主義の中にも、アナキズムの主張する思想が取り入れられているという話。

アナキズムは、支配からの脱却を目指す思想であるため、方向性によっては、組織の上下をなくしフラットな社会を築くといったことや、上からの命令ではなく、それぞれの立場で、思ったことをやるといった自主性を尊重する考え方もあります。

会社の組織マネジメントでは、働く人の自主性尊重や、階層をフラットにした組織のあり方などは、取り入れているところも結構多いと思いますが、ルーツは、アナキズムの思想にあると言った点は、驚きでした。



【良い点は社会に組み込んでいくことも】

アナキズムというと、どことなくテロや政府転覆的な危険な香りが漂い、端から忌避する人も多そうですが、主張の中には、良い考え方ではないかと思える点も色々とあるなぁというのが、本書を読んでの感想でした。

もちろん、そのまま取り入れると滅茶苦茶になりそうな主張ですが、社会の中に上手く取り入れることが出来そうな点も多く(個人を尊重するといった基本的な発想など)、成熟した社会は、一見、社会に対し、相反する主張をしているような思想でも、良い点や取り入れられる点を汲み取り、どんどんと社会の中に組み込んでいける社会なのかもしれないなぁと、本書を読んでの感想でした。



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【『アナキズム』より】
支配はいらない、この社会のヒエラルキーをぶちこわしてやれ、だいじなのは自律と自己統治だ。

(書き出し)
チヤンチャンチャチャーン

(結び)
あばよ!
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【書籍:学術?】 もっと!イグ・ノーベル賞

【評価】★★★☆☆

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著者:マーク・エイブラハムズ
出版:ランダムハウス講談社



【200件の中から面白い研究を】

前作と同様、イグ・ノーベル賞受賞研究を紹介した本。
前作に比べると分量が少なくなった上に、多少、面白さが少なくなった印象。

イグ・ノーベル賞は、創設されてから、20年ちょっとくらいで、毎年10件の受賞とのことですから、受賞件数は総数200件くらいのようです。
200件の中から、面白い研究を選んで紹介しようとすれば、数が限られてしまうのかもしれません。



【勝手に死亡届出】

今回は、自然科学系の研究は、へーと思ったものは少なかったのですが、逆に、社会風刺的な受賞で、びっくりしたのが、インドで、勝手に死亡届出を出されてしまう人が多いという話。

要は、土地の名義やら不正取得を目的に、勝手に人の死亡届出を出し、その人の土地を奪ってしまう、なんていうことがインドで横行していて、その行為には、役人も加担(賄賂など)しているという内容。

不正の横行する社会は、かなり怖いところがあります。

一旦、死亡届出を出されてしまうと、その回復もなかなか困難で、選挙権はもちろん、色々な権利が制限(というか喪失)するのですが、政府は、戸籍などの回復には非常に消極的なのだとか・・・。



【今年の十大ニュース?】

その他、「マーフィーの法則」や「たまごっち」や「カラオケ」など、日本にもなじみの話も、イグ・ノーベル賞受賞に輝いていて、なんとなく、流行語大賞とか、今年の十大ニュース的なトピック的なものを読んでいる印象でした。

イグ・ノーベル賞、権威というよりは話題性という感じの賞なのかもしれません。
ただし、日本では全然知られていなかった「からおけ」の創始者を認めた功績は、イグ・ノーベル賞の偉大な功績かも。






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【『もっと!イグ・ノーベル賞』より】
受賞者は、授賞式に出席できなかった(出席するつもりもなかっただろうが)。

(書き出し)
読者は、以下にあげる業績や研究を聞いて奇妙に思われるだろう。

(結び)
なお、一連の返答は、「私の論文に対するマッケイ氏のコメントに対する私の反論」などと、かなり冗長で、かつややっこしいタイトルが付けられている。
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【書籍:学術?】 イグ・ノーベル賞

【評価】★★★★☆

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著者:マーク・エイブラハムズ
出版:阪急コミュニケーションズ



【お笑いネタ?】

昨今では、だいぶ認知度が高まっている「イグ・ノーベル賞」を受賞した研究などを紹介した本。
「イグ・ノーベル賞」というと、おかしな研究をお笑いネタで選定するような印象がありますが、本来の目的は、「人を笑わせ、かつ考えさせる」研究が、選定対象とのこと。

「人を笑わせ」だから、結局、お笑いネタで選んでいるのでは、と突っ込まれそうですが、敬意をこめてという意味もあるようです。
ただし、受賞部門によっては、風刺・皮肉を込めての受賞もありますので、受賞することの評価は、ケースバイケースと言えそうです。



【ガラガラ蛇には電気ショック療法?】

イグ・ノーベル賞ではいくつかの部門がありますが、真面目な研究だけどテーマが面白い、というものについては、そういう理由で研究していたんだという、目から鱗というか、新鮮な驚きを与えるものがあります。

例えば、「ガラガラ蛇に噛まれた時には、電気ショック療法は効果がない」という研究。
そりゃそうだろうというか、ガラガラ蛇に噛まれて電気ショック療法をやる馬鹿な人はいないだろうに、なんじゃその研究は?と思うわけです。

しかし、この研究がなされた理由は、アメリカでは、ガラガラ蛇に噛まれたときの治療法(民間療法みたいなもんですね)として、電気ショック療法が効くという話が蔓延しているそうで、実際に、電気ショック療法を試し、逆に重篤な状態に陥ったという人もいたりするそう。
そういった治療法に警鐘を鳴らすために、研究が行われたそうで、医学雑誌にも掲載され大きな反響があった研究だそうです。



【2枚貝にうつ病薬投薬?】

その他、2枚貝に、うつ病薬を投与する実験。
・・・意味わからん、と普通に聞くと思うわけですが、実は、2枚貝の神経系は人間の神経系に似ているそうで、2枚貝へ神経系の薬の投与が、人間の投与に与える影響に非常に参考になるということで、このような実験が行われたそうです。

話を聞いてみると、なるほどと思うわけですが、表面だけ聞くと(2枚貝にうつ病薬の投与)、とても変な話に思えますが、研究には、それなりの背景・理由があるのだなと納得させられる話です。

「イグ・ノーベル賞」というと、変な研究を顕彰するみたいなイメージですが、受賞した研究は、深く聞いてみると、いたって真面目な・・・というか、案外まっとうな研究だったりするなぁと、思うわけです。

ちなみに、2枚貝にある種のうつ病薬を投薬したら、生殖活動がすごく活発になったのだとか・・・。ちょっと、イグ・ノーベル賞的な結論ではあります。



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【『イグ・ノーベル賞』より】
1.無能な人は、自分の能力を劇的なまでに過大評価する。
2.無能な人は、自分が無能である事実だけでなく、他人の無能を認識することも苦手である。

(書き出し)
イグ・ノーベル賞の受賞を熱望する人がいる一方で、避ける人もいる。

(結び)
また、本年度受賞の栄冠に輝いた候補者には、来年はもう少しましなことが起こることをお祈りする。
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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
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★☆☆☆☆:焚書坑儒!
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★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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