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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【洋画:戦争】 ドローン・オブ・ウォー

【評価】★★★☆☆

dron_of_war.jpg
2015年/アメリカ
監督:アンドリュー・ニコル
主演:イーサン・ホーク

以前、遠隔操作無人攻撃機、いわゆる「殺人ドローン」と呼ばれるアメリカの新型兵器のオペレーターの人が書いた本を読んだことがありましたが、おそらくは、そういった実話を元にして製作された映画だと思われます。現代の戦争の模様を知ることができそうな作品です。

【ストーリー】
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空軍のパイロットから、殺人ドローンのオペレーターとなった主人公は、その任務の特殊性に閉塞感を感じていた。
安全な米国本土から、殺人ドローンを操縦し、上空3000mから標的を監視し、ミサイルを撃ち込み殺害するという任務に疑問も感じるのだった。
更に、CIAの任務を殺人ドローンを使って支援することとなるが、CIAの作戦ルールは、民間人も巻き添えにしても標的を殺害するという、軍のルールと比べても大幅に緩いものであることから、その任務に嫌悪感と疑問がますます生じることになるのだった。
そして、CIAの任務で、殺害したテロリスト幹部の葬儀にもミサイルを撃ち込み、無関係な人もろとも殺害するという任務を行うに至り、主人公の精神状態は限界を迎えることになる。
これにより、家庭も崩壊し、追い込まれた主人公は、ドローンによる監視で発見したテロリストではない単なる犯罪者を勝手にミサイルで攻撃した後、軍の任務を放棄してしまうのだった(完)。
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【殺人ドローンの実態】

いわゆる「殺人ドローン」なる遠隔操作無人攻撃機については、以前、本で読んだことがあったので、なんとなく自分なりにイメージはできていたつもりですが、本作品を見ると、そのオペレーションや、戦争が、映画「ターミネーター」の世界が現実になりつつあるということが実感できます。

遠く、アメリカ本土のラスベガスの基地から、イラクやアフガニスタンなどの遠くの地を、無人飛行機で監視し、敵を発見するとミサイルを撃ち込んで抹殺する。
攻撃される方は手も足も出ない。あきらかに一方的な攻撃をアメリカから加えられているという実情です。



【戦争に加わることの罪悪感】

安全な場所で危険を感じることなく戦争に興ずることができる立場であれば、ストレスを感じることなく、健康にも良いのではと思ってしまいますが、やはり、方法を変えようとも、戦争であるため、攻撃に加わる人間には、相当の負荷がかかります。

時には、関係のない人を巻き添えにして敵を殺すと言うことも黙認せねばならず、それが遠隔操作であれ何でもあれ、罪悪感や自身の行為に対する蔑みを感じざる得ないわけです。
戦争は、人間が関わる限り、関わり人間に大きな傷跡を残すのだなぁと感じます。



【戦争のルール】

殺人ドローンでの攻撃は、民間人を巻き込まずに攻撃すること、攻撃後の成果評価(要は、どれだけの敵を殺したのかを数えること)をすることなど、戦争のあり方が進歩しているように感じます。

第二次大戦であれば、都市への無差別爆撃で、民間人もろとも敵を壊滅させるという、非人道的な作戦が横行したわけですが、それに比べると、殺す対象者を特定し、できる限り、対象者以外に被害をださないことというルールで攻撃が行われており、できる限り、非人道的にならないよう、注意が払われているように感じます。

それでも、攻撃命令を下す側は、何かと理由をつけ、民間人への巻き添えを正当化するわけで、映画でも、命令を下す軍やCIAの自己正当化は、見ていてムカムカするのでした。

しかし、殺人ドローンを見ていると、戦争と言うよりは、ゴルゴ13のようなスナイパーによる暗殺行為の方が近く、3000m上空で、地上からは肉眼で識別することが困難な位置から、数百m四方を四散させるミサイルを撃ち込まれるんじゃたまらんなぁと思うわけです。


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[ 2020/02/01 00:00 ] 戦争 | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:ドキュメンタリー】 レストレポ前哨基地 Part1・Part2

【評価】★★★★☆

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2010年(Part1)、2014 年(Part2)/アメリカ
監督:セバスチャン・ユンガー、ティム・ヘザリントン


アフガニスタンで軍務につくアメリカ軍小隊を密着したドキュメンタリー。
なかなか硬派な作品ですが、魅かれるものがあってレンタル。

【ストーリー】
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テロ戦争を始めたアメリカ軍が出兵したのがアフガニスタンの地。
アフガニスタンのコレンガル渓谷は激戦地として死の谷とアメリカ兵士たちからは恐れられていたが、その地に派兵されたアメリカ軍小隊を密着し1年以上かけて取材。
コレンガル渓谷に駐留したアメリカ小隊は、基地を築き、周辺の敵対組織の制圧を図るが、なかなか進展しない。
犠牲者も数多く出ており、この地でのアメリカ兵の最初の犠牲者はトレストレポであった。
アメリカ小隊は苦労の末、山岳地域に前哨基地を築くことに成功。
この前哨基地を最初に犠牲になった兵士トレストレポの名前をとり、「トレストレポ前哨基地」と命名。
アメリカ小隊はトレストレポ前哨基地を守りながら、周辺地域の制圧活動を進めるが、成果はなかなか上がらない。
更に犠牲者も出しながら、兵士たちは、常に死と隣り合わせの生活を送りながら、仲間意識を強めていく。
一方で、この地で戦う意味や望郷の念など、様々な思いを抱えながら、帰還の日までを過ごすのだった。
ようやく迎えた帰還の日。兵士たちは、喜びの声をあげ、「二度とトレストレポ前哨基地には戻りたくない」という意見を口々に出しながら、故郷へと戻っていくのだった(Part1)。
Part2は、トレストレポ前哨基地で、生死を共にする兵士たちの仲間意識の強まりを中心に描かれる。
家族以上の絆を深め、仲間のためなら命を捨てられると口々に話す兵士たち。
彼等も2年近くの任務の末、帰還することになるが、帰還の喜びと仲間と別れる寂しさを口にしながら、故郷に戻っていくのだった(完)。

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テロ組織タリバンと戦うため、アフガニスタンに進駐するアメリカ小隊に密着したドキュメンタリー。
アメリカ小隊が進駐している地は、コレンガル渓谷と呼ばれる、アフガニスタンの中でも最大の激戦地で、戦争中50名のアメリカ兵が命を落とすことになります。

戦争を取材したドキュメント作品ですが、想像以上に静かな印象です。
戦闘場面も映像には出てきますが、さすがに、戦争映画のようにドンパチ激しくはなく、これが現実の戦争というものなのかもしれません。

コレンガル渓谷にはアメリカ軍、タリバン軍(テロ集団)、村人という3つのグループが存在し、アメリカ軍は、タリバンをやっつけるため、村人の協力を必要としています。
そして、頻繁に村の長老達を集めて会議をするシーンも出てきますが、戦争をする側と、戦争をされる側の違いが際立ちます。

アメリカ軍は、長老達に、「仕事も提供するし、衛生状態の改善も約束する。だから、過去は流して、一緒に未来に進もうじゃないか」と呼びかけ、なんとか協力を得ようとします。
過去に一体どんなことがあったかは、よく分かりませんでしたが、「○○基地でのような虐待行為は行われないことを約束する」とか、長老が「村人がアメリカ軍によって殺された」と恨みごとを述べると、アメリカ兵士が「だから、過去は水に流そうと言っているじゃないか」と言い返したりと、過去、村人はだいぶアメリカ軍に蹂躙されたいきさつがあるようです。

金と文明の利器を提供するから協力しろ、というのがアメリカ軍の考え方で、これでは文化や風習の違う人々に対して、欧米文化の押し付けでしかなく、協力を得ることは難しそう。

アメリカ軍にとっては、敵対する存在は「悪党」、村人はアメリカ軍にもタリバンにも良い顔をする信用置けない連中、という認識で、アメリカにとっては、アフガニスタンは四方八方敵だらけ、そんな状況のようです。

結局、アメリカは何のために戦っているのだろう。
小隊の隊長は、部下達を「祖国のために戦え」と鼓舞しますが、一人々々の兵士のインタビューを聞くと、建前は「祖国のため」であっても、実際は、そういった意識は薄く、入隊を志願した理由は、皆、結構、曖昧で、早く故郷に戻りたいという意識が強く、どことなく戦争に倦んでいるという感じが濃厚です。

Part2では、「戦闘が懐かしい。戦闘を無事潜り抜けると、アドレナリンが放出されているのがよく分かる。修羅場を潜り抜けてきたんだという満足感を感じる」という感想を述べる兵士も多く、Part1と比べると、いささか好戦的ですが、戦闘と戦闘の合間の何もない時間-退屈でさえある時間をもてあましていたりと、戦意の低さを感じる面もあります。

アメリカは、戦争に疲れてしまっているのかもしれない。
戦場の最前線のドキュメンタリーを見ると、戦争を続けるアメリカに無理がきている、そんな思いが強まるのでした。

[ 2016/07/25 00:00 ] 戦争 | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:戦争】 パワープレイ

【評価】★★★☆☆

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1978年/イギリス・カナダ
監督:マーティン・バーク
主演:デヴィッド・ヘミングス、ピーター・オトゥール、バリー・モース


TSUTAYAの発掘名品シリーズにあった作品。
軍事クーデターを扱った作品で、なかなか硬派な印象。
ストーリーも面白そうなので、早速レンタル。

【ストーリー】
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とある共和国での話。
現政権は、テロ活動を一掃するため、秘密警察と軍隊を使い、強権的な取り締まりと処刑を行っているが、無関係な人々までも犠牲となっているのだった。
そのような事態を憂慮した学者ルソー博士は、退役間近で優秀な軍人ナリマン大佐にクーデターの話を持ち掛ける。
ルソー博士の説得に応じたナリマン大佐は綿密なクーデター計画を画策し始める。
クーデター参加を、他の将校たちも密かに呼びかけ、戦車部隊を掌握するゼラー大佐なども計画参加に賛同したことから、クーデター計画は着々と現実化していく。
一方で、政府側も諜報部がクーデター計画を嗅ぎ付けつつあり、諜報部に計画を嗅ぎ付けられるか、そのまえにクーデターを起こせるかは時間との競争であった。
ナリマン大佐たちは、なんとか計画をまとめあげ、ぎりぎりのタイミングでクーデターを実行、現政権の大統領や秘密警察長官などの身柄確保に成功する。
そして、クーデター政権の首脳の座に付こうとするナリマン大佐だったが、計画に参加したゼラー大佐の裏切りにより、その座を奪われる。
そして、ゼラー大佐は、クーデターに参加した仲間の将校やナリマン大佐、大統領、秘密警察長官を一気に処刑し、政権の座を奪うのだった(完)。

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軍部によるクーデター計画の画策から実行までじっくりと見せた、なかなか骨太な印象の作品でした。
前々から、クーデターってどうやったら出来るのだろう、と疑問に思っていたところなので、クーデターの構図がなんとなく分かって面白いところでした。

そもそも、各部隊を指揮する指揮官クラスの将校がクーデターを画策しても、部隊の兵士達が賛同なり、納得しなければクーデターも何もあったものではないよなぁと思っていたので、部隊の兵士を動かすにはどうするのだろうというのが、疑問点でした。

本作では、部隊の兵士達は、指揮官に絶対服従の体制が作られていて、命令の意図や目的も知らないまま、将校の指揮や命令に兵士達が盲目的に従うという構図があるため、指揮官である将校がクーデターを企図すれば、そのまま部隊もクーデターに参加することになるわけです。

かなり、軍隊特有の構図という感じです。
このような体制が日頃より築かれていれば、確かに、クーデターが起こされる素地が軍隊の中にはあり得る、そんな気がします。

他方、この構図の弱点としては、クーデターを企図しても、指揮官が人事異動で更迭されてしまえば、指揮する部隊がなくなってしまうので、労力をあまりかけずに、クーデターを阻止出来たりもするわけです。

本作でも、クーデターに参加していた主要な将校の一人が、クーデター実行直前で、指揮官の地位を更迭され、部隊を動かせなくなるという展開もあり、面白いところでした。

前半から中盤にかけては、クーデターに参加する将校を密かに集める活動と、具体的なクーデター計画-軍事行動の計画を練る話が続きます。
一方、政府側も、クーデター計画が存在するのではないかということに徐々に感づき始め、諜報部門がクーデター計画の核心に少しずつ近づき始めます。

クーデター計画立案の進展と、政府の諜報活動との駆け引きが本作の見所になっていましたが、登場人物が多すぎたせいか、話の展開や登場人物の関係性などが混乱して、理解が追い付かなくなる部分が結構ありました。

登場人物やストーリーを整理して、もう少しすっきりした展開になっていると、話のポイントも掴みやすくて良かったなぁと感じたところ。

そして、ギリギリのタイミングで、クーデターをなんとか決行。
クーデターに参加する部隊が、それぞれの役割で、国中で武装蜂起しますが、この辺りも、各部隊の関係性が掴みづらかったのがおしかったところ。
映画の中で、図などで、部隊の動きなども示されていると、理解も深まり面白かったかなと思った点でした。

大統領や諜報部門の長官の身柄を確保し、クーデター成功と思いきや、クーデターに参加していた戦車部隊の大佐が裏切り、クーデター首謀者の将校たちを捕えて処刑、政権の座を奪ってしまうという、予想外のどんでん返しが最後に待っています。

このどんでん返しの結末はかなり驚き。

現政権の非道な行いを阻止するという理念で実行されたクーデターでしたが、蓋を開けてみるとなんてことはない、軍部内での権力闘争でしかなかったという、皮肉の利いたオチでした。

最後に政権の座を奪った戦車大隊の指揮官ゼラー大佐の口癖は、「私のタンク(戦車)だ!」

クーデターの首謀者ナリマン大佐は、部隊の指揮官ではなかったため、大規模な戦力を把握していたゼラー大佐に最後はしてやられてしまたわけです。

タンクを制するものが権力を制する、というお話でした。

[ 2015/08/01 00:10 ] 戦争 | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:戦争】 パンズ・ラビリンス

【評価】★★★☆☆

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2006年/スペイン
監督:ギレルモ・デル・トロ
主演:イバナ・バケロ


前からちょっと気になってはいつつも、なんだかお堅そうな感じもあって、なかなか手を出さなかった作品。思い切って、レンタルしてみることにしました。

【ストーリー】
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1930年代に起こったスペイン内戦で父親を失ったオフェリアは、母親と共に再婚相手のスペイン軍人と暮らすことになる。
冷酷な義父は、軍人としてレジスタンスの残忍な方法で弾圧をするとともに、オフェリアに対しても厳しい姿勢で接する。
オフェリアは息の詰まるような生活を送っていたが、ある夜、オフェリアの元に奇妙な姿の妖精が現れ、オフェリアは、本当は地下王国の王女の生まれ変わりであると伝え、地下王国に戻るためには、3つの試練をくぐり抜けなければならないと話すのだった。
オフェリアは、地下王国の王女に戻るため、妖精の話した試練に挑戦することにする。
現実の世界と妖精の話す世界を行き来しながら試練に挑戦するが、現実の世界では、母親が産後の肥立ちが悪く、オフェリアの弟を出産すると同時に死んでしまう。
また、オフェリアは、妖精の世界において2つめの試練に失敗し、地下王国へ戻る資格を失ってしまったのだった。
しかし、オフェリアは、妖精からチャンスを与えられる。そのためには、生まれたばかりの弟を森の奥の遺跡に連れてくるように妖精から指示される。
夜中に、こっそり弟を連れ出すオフェリアだったが、義父にその姿を見つけられ追われるはめになる。
なんとか義父の追跡を撒き、指定された遺跡へとたどり着くオフェリア。そこで待ち構えていた妖精は、ナイフで弟を傷つけ、血を何滴か遺跡へと垂らせば試練はクリアできると話す。
しかし、オフェリアは、弟を傷つけることを拒否し、それで地下王国に戻れないのであれば、それでも構わないと宣言する。そこに、オフェリアを追ってきた義父が現れ、オフェリアから弟を取り上げると、オフェリアを射殺してしまうのだった。
オフェリアの手から自分の息子を取り返した義父であったが、森の中に待ち構えていたレジスタンスに捕まり、その義父も射殺される。
実は、オフェリアに与えられた試練は、弟を犠牲にせず、自らが犠牲になることが正解であり、オフェリアは薄れゆく意識の中で、自身が地下王国へ戻っていくことを実感しつつ、死に至るのだった(完)。

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戦争下の抑圧された雰囲気から逃れるため、空想のファンタジーの世界へと逃避する少女の話でした。
日本の戦争映画のように、陰鬱な雰囲気ではないものの、どんよりと薄曇りの世界感が映画全体の雰囲気を支配しつづけているような作品で、ラストでは、主人公の少女が死ぬことになります。
しかし、その結末が、抑圧されて先の暗い現実世界から死ぬことで解放されたことをもってハッピーエンドと捉えるのか、悲惨な死を迎えてもなお、空想の世界が救いとなっている少女に哀れみを感じるものなのかは、なかなか複雑だなぁと感じさせる作品でした。

1930年代のスペイン内戦下を舞台に、内戦で父を失った少女オフェリアが、母親と再婚相手の義父のところにやってくるところから映画は始まります。
しかし、その義父は、スペイン軍の軍人で、レジスタンスを残忍な方法で弾圧する冷酷な人物。母のお腹には、義父の子供が宿っていて、それもあって、更に義父はオフェリアに対しては高圧的で冷たい態度で接します。
そして、母親も高圧的な再婚相手の意に従い、あまりオフェリアを庇ってはくれません。

そういった沈鬱な状況下で、オフェリアは、空想の世界に逃げ込むことになります。

映画では、空想の世界は、オフェリアが地下王国の王女である証を立てるため、試練をくぐり抜けるという展開になりますが、空想の世界は、オフェリアの前には現実と全く変わらない質感で存在が立ち上がってきます。

ただ、オフェリアが入り込む空想の世界は、現実の閉塞感を反映してか、人間の子供を食べるグロテスクな妖怪や、巨大なダンゴムシがうごめく洞の中に住むガマガエルなど、結構、気持ち悪い世界観です。

その気持ち悪い世界の中で、地下王国の王女である証を立てるため奮闘するオフェリア。
現実の世界では冷酷な義父や内戦の影響で陰鬱となる世界で閉塞している一方、空想世界では、やっぱり気持ち悪いもので満たされているというのは、どっちの世界でも気分が晴れないので、救われないよなぁ・・・。

現実の世界が酷いので空想の世界だけでも楽しくというのであれば分かりますが、空想の世界も現実の世界の影響や浸食を受けているせいか、あんまり救われない感じです。
それどころか、グロテスクな空想の世界で試練を乗り越えられるなら、現実の世界でも打開策を見つけるタフネスさを身につけられそうな気がします。

空想の世界はオフェリアの不安定な情緒がもろに反映した結果なので、グロテスクな世界観になってしまっているのでしょう。
その意味からすると、空想の世界が健全になった時は、現実の世界もオフェリアにとって平和になったことを意味するのかもしれません。まぁ、そうなってしまうと、空想の世界へ逃避する意味がなくなりますから、空想の世界自体が消滅してしまいそうなので、存在する空想の世界というのは、グロテスクな世界でしかあり得ないのかもしれません。

その後、紆余曲折を経て、オフェリアはラストで、義父によって射殺されてしまいます。
同時に、義父もレジスタンスによって射殺されてしまいます。

オフェリアの方は、死の間際、地下王国の王女として帰還することが出来たという希望に満ちた思いの中で死を迎えますが、義父の方は、レジスタンスに、「息子に自分の勇敢な死を伝えてくれ」と頼むものの、レジスタンスは、「この子には、お前の名前や存在すら伝えない。この子は、お前のことなど一切知らずに育つことになるのだ」と言い放たれてしまいます。
結局、オフェリアの義父は、最後は失望のうちに死を迎えることになるわけです。

現実世界では、オフェリアは弱者で義父は圧制者-強者という立場にあったわけですが、まさに死を迎えるにあたり、オフェリアは希望に満ちて死ぬのに対し、義父は絶望の底に向かって死んでいくというのは、なかなか皮肉な構図でした。

オフェリアが、現実の世界に強い欲望をもっていなかったのに対し、義父の方は、現実世界に強い執念や欲望を持っていたことの違いという感じがします。

義父が満たされた人生を歩んだかは疑問ですが、希望に満ちて死を迎えたオフェリアが、充実した人生なのかというと、なかなかそれも違うなぁという気がします。
空想の世界に現実逃避するというストーリーは、「ネバーエンディングストーリー」にも相通ずるところがありますが、双方の映画の色彩は大いに違っていて、特に、最近、「ネバーエンディングストーリー」を見返しただけあって、興味深く感じました。

[ 2015/02/24 23:25 ] 戦争 | TrackBack(0) | Comment(0)

【洋画:戦争】 マスター・アンド・コマンダー

【評価】★★★★☆

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2003年/アメリカ
監督:ピーター・ウィアー
主演:ラッセル・クロウ


1800年前半、ナポレオンが活躍した時代のイギリス海軍とフランス海軍の戦いを描いた作品ということだったのでレンタル。
内容は、史実に基づいた話ではなく、完全にフィクションではあるのですが、なかなか迫力のある見応えのある作品でした。

【ストーリー】
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時は、ナポレオンの猛威がふるっている1800年代前半。
主人公のジャック・オーブリーは、イギリス海軍の軍艦を任される艦長として、太平洋上にいた。
ジャックは、イギリス本国からの命令で、フランスの私掠船アケロン号を追跡していた。
しかし、ジャックはアケロン号に裏をかかれ、2度の奇襲を受け、命からがら逃げるはめとなった。
そこで、ジャックは、今度は、アケロン号に奇襲をかけるべく、ジャックの乗る戦艦を捕鯨船に偽装し、油断して近づいてきたアケロン号に不意を突くことで圧勝し、アケロン号を捕獲することに成功したのだった(完)。

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映画の出だしは、主人公ジャックが艦長として、アケロン号を追跡すべく、太平洋上にいるシーンからです。
すると、前方に広がっている霧の中から、突如アケロン号が姿を現し、砲撃を開始してきます。そして、そのまま、アケロン号とジャック率いるサプライズ号の海戦シーンへと突入。
轟く号砲、砲弾で飛び散る甲板、砲撃に負傷する海兵たち・・・初っぱなから、相当の迫力の海戦シーンで圧倒してくれます。
しかし、不意を突かれたジャック率いるサプライズ号の不利は免れず、アケロン号の追撃を振り切って霧の中に逃げ込み、なんとか乗り切ります。

初戦の敗北から立ち直り、再度、アケロン号の追跡を開始するジャック。
しかし、またも、アケロン号に裏をかかれ、待ち伏せを受け、不利な体勢から攻撃をしかけられます。

今度は、夜間になるまで逃げ切り、日が沈み真っ暗になったところで、筏に明かりをともし、それをおとりにして、追撃を振り切ることに成功します。
さらに、大きく迂回し、アケロン号の後ろにサプライズ号を付け、攻守を逆転させることにも成功します。

なるほど、艦船同士の戦いも戦闘機同士のドッグファイトと同様、相手の後ろについた方が有利なようです。
この辺りの駆け引きも、本作の見所と言って良いでしょう。

そして、アケロン号の追撃を開始するも、今度は、嵐に見舞われ、アケロン号を見失ってしまいます。
更に、嵐で、マストが折れて海に投げ出され、一緒に海兵士官も海に投げ出されてしまいます。
折れたマストは、ロープで船につながっているため、海兵士官を助けるのであれば、折れたマストを伝って船まで戻ってこさせる必要がありますが、一方で、ロープで船とつながった折れたマストは、船のバランスを崩し、そのままにしておくと船が沈没しかねない状況。

船が持ちこたえることに賭け、海に投げ出された海兵士官を救うまで、折れたマストをつなげたままにしておくか、それとも、船が沈没するのを防ぐため、海兵士官を見殺しにして、つながったロープを切断するのか・・・その判断が迫られることになります。

海兵の一人が、船を救うことを優先し、斧を手に取り、ロープを切断しようとします。
それを見たジャックは、海兵の手を止め、その斧を奪い取り、自らロープを切断。

厳しい決断・判断は、部下にゆだねず、リーダー自らの手で決定し行う-強いリーダーのあり方を示す一つのシーンと言えるでしょう。

本作では、迫力のある海戦シーンとともに、主人公ジャックが、海兵達を統率するために、強いリーダー像を示そうと奮闘する姿も見所になっています。

この後も、海兵士官と海兵のトラブルを解決するため、あえて、海兵に厳しい処罰を科した結果、海兵士官が海兵たちからの嫌がらせを受け、士官が自殺してしまうといった事件が起きるなど、必ずしも主人公ジャックの強いリーダー像が、順風満帆ではないといった展開が起こります。

しかし、基本的には、主人公ジャックは、士官や海兵達から厚い信頼を受けるカリスマ艦長であることから、そのカリスマ性で克服していきます。
実は、この展開は、ちょっと物足りないなと思いました。
どうも、ジャック率いるサプライズ号の乗組員達は、船乗りにしてはお上品な感じです。
乗組員達が荒くれ者だったら、ジャックの失策に対し不満が高まり、反乱寸前といった事態もありそうなのですが、そこまでの激しさはないので、あっさり主人公ジャックに信服してしまいます。
もうちょっと、ジャックが、乗組員達の統率に苦労するなんていう展開だと、リーダーの苦悩なんていうテーマで、見応えが出てきたかななんて思いました。

さて、アケロン号を嵐により逃してしまったものの、再度、アケロン号を捕らえるチャンスが巡ってきます。
しかし、装備・性能ともにアケロン号の方が数段上のため、正面からぶつかっても勝ち目の薄いジャック率いるサプライズ号。
そこで、サプライズ号を捕鯨船に偽装し、油断して近寄ってきたところを不意打ちするという奇策を決行することになります。

この奇策によりアケロン号の制圧に成功しますが、この戦いは、激しい砲撃戦、サプライズ号とアケロン号の乗組員達により激しい白兵戦など、クライマックスだけに、大迫力のシーンで、見ている側も大いに盛り上がること間違いなしです。

なお、本作の面白いところは、最後の戦闘で少しだけ出番はあるものの、アケロン号側の描写はほとんどない点です。
あえて、そういう風に撮ったのだと思いますが、アケロン号が一体何を考えているのか分からないという不気味さがうまく演出できていたのではないかと思います。ただ、一方で、アケロン号の思惑が見えないことから、アケロン号とサプライズ号のお互いを出し抜こうという頭脳戦が、主人公ジャックの独り相撲に見えてしまうのが、難点と言えなくもありません。

アケロン号を捕獲したジャックは、アケロン号に捕虜の乗組員を乗船させた上で、その運航を部下に任せ、自分はサプライズ号で別の海域に向かうことにします。
そして、サプライズ号の船内で、友人の船医と話をしていたところ、先の戦いで戦死したと思われたアケロン号の船長が実は生きていたということに気づきます。
そして、慌ててアケロン号を追うべく、サプライズ号の進路を変えたとことで、映画は終わります。

・・・つまり、この終わり方って、制圧したアケロン号が、船長にまた乗っ取られてしまい(映画ではそこまでは言ってはいませんが、おそらくそういう展開を想定しているということでしょう)、アケロン号とサプライズ号の戦いはまだまだ続く・・・っていうことですよね・・?

なるほど、次回に続くってか!? これは、最後に一本取られました!

[ 2013/01/24 22:40 ] 戦争 | TrackBack(0) | Comment(0)
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プロフィール

kappa1973

Author:kappa1973
 
読んだ本と映画について、感想を書いていきたいと思います。
 
評価は5段階で・・・
★☆☆☆☆:焚書坑儒!
★★☆☆☆:時間の無駄
★★★☆☆:損はない
★★★★☆:良い作品!
★★★★★:殿堂入り!?

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