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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【邦画:歴史】 関ケ原

【評価】★★★☆☆

sekigahara.jpg
2017年/日本
監督:原田眞人
主演:岡田准一

最近、邦画の歴史物をマイブーム的に視聴しており、少し前に話題になった本作をレンタル。
司馬遼太郎の原作を映画化したものですが、関ヶ原の合戦を焦点に当てているということは、西軍、東軍の各大名を味方に引き入れる駆け引きが中心になるのでしょうか?

【ストーリー】
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秀吉亡き後、天下を狙う家康は、各大名への影響力を日に日に強めていた。
家康のその姿に不義を感ずる石田三成は、義を打ち立て天下に知らしめるべく、家康討伐を画策する。
家康と三成の対立が深まる中、お互いがお互いの思惑により、諸国大名に働きかけ味方作りを進め、一触即発の機運が高まっていく。
ついに、家康と三成により天下を2分する戦いが勃発する。
両軍は、関ヶ原の地で衝突することになるが、三成方に就いた小早川秀秋が、三成の義を重んじるべきか、強い影響力を持つ家康に味方すべきか悩みに悩んだ末、三成を裏切ったことにより、家康方の勝利、三成の敗北に決する。
捕らえられた三成は、自身の義を貫いたことに誇りを持ち、後悔することなく潔く処刑されるのだった(完)。
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【ちょっと圧の強い人多め?】

石田三成の視点から描いた関ヶ原の戦い。
全体的に思ったのが、登場人物、みんな、大量の台詞を早口でまくし立てるなぁ・・・。
こんな人ばっかりの世界だと、すごいストレス溜まっちゃいそう(笑)。

敵の兵力を告げる物見も、「○○峠に△△名、◆◆川ほとりに××名・・・」とまくし立てて、多分、私が報告を受ける武将だったら、全然、記憶できないだろうなぁ(笑)。

みなさん、熱意とそれに伴う圧がすさまじく強い印象。



【引き込みを巡る権謀術数】

関ヶ原の戦いとそれまでの駆け引きを描いているので、てっきり、山崎豊子氏の「白い巨塔」みたいに、教授選挙をめぐって対立する陣営が互いの陣営に引き込もうとすごい駆け引きをするといった具合の全国の大名間の駆け引き合戦が描かれるのかと思いきや、この辺りの駆け引きはほとんど描かれておらず。

東軍・西軍の引き込み合戦をめぐる権謀術数がうまく描けたら、映画「清洲会議」みたいな、一風変わった面白い作品になりそうでしたが、そこらには焦点が全然当たっていなかったので、もったいなかったかなぁという印象。

むしろ、石田三成の「義」に同感するか否かということで、西軍につくかどうするか、みたいな話だったので、いまいち真実味に欠ける話の流れだった気がしました。



【石田三成の大義とは?】

結局のところ、石田三成の大義、ということがテーマになっていたようですが、晩年、暴君と化した豊臣秀吉を支え、秀吉が築いた仕組みを維持していくという目的にどんな正義があるんだろうと思うと、いまいち、石田三成の大義というものが伝わってこなかったように思います。

石田三成に仕えた島左近についても、三成に仕えるにあたって三成の正義を問いただす場面がありましたが、いまいち、三成の正義を説明しきれなかった感じがします。

実際、三成が関ヶ原の戦いを起こした理由に、大義とか正義といった要素があったのかなぁと思うと、もし、少なくとも、多少普遍性のある大義がなければ、関ヶ原の戦いを「大義」というテーマで描こうとしても、なかなか伝わりづらかったのかも知れない、そのように感じました。



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【書籍:軍事】 兵士を見よ

【評価】★★★★☆

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著者:杉山隆男
出版:新潮社


【救難ヘリのパイロット】

「兵士に聞け」の続編。
「兵士に聞け」では、陸海空の自衛隊を網羅的に取材されていましたが、本作は、航空自衛隊に焦点を当て取材がされています。
航空自衛隊と言うと、戦闘機パイロットがイメージされますが、戦闘機乗りだけでなく、救難ヘリのパイロットなども取り上げられており、航空自衛隊の活動の幅広さがうかがえます。

航空自衛隊の中における位置づけは、戦闘機のパイロットが最上位に位置し、救難ヘリのパイロットはかなり格下に考えられているそうで、戦闘機パイロットから救難ヘリのパイロットへの転向は、「F転」と呼ばれ、格落ち、都落ち的に捉えられているようです。
そのため、予算その他、色々な扱いが救難ヘリに対しては、手薄になっており、気の毒というか、寂しいというか。

ただし、救難ヘリの良い点(?)としては、戦闘機パイロットと異なり、実際の事故の救助であり、仕事の達成感は格段に大きい点。
戦争がない日本において、戦闘機パイロットの仕事に実戦がなく、訓練中心となっている点からすると、救難業務の良いところなのでしょう。



【戦闘機パイロットの訓練】

戦闘機パイロットにまつわる話として興味深かったのが、パイロットの技量を高めるため、パイロットの訓練を担当する部署がある点。
訓練の担当というのは、格闘戦の敵側パイロット役(具体的にはソ連空軍役)となり、訓練の相手をするという役割で、普段から、ソ連空軍に徹するため、オフィスにはソ連の国旗が掲げられ、貼り紙などもロシア語で書かれているという徹底ぶり。

そして、訓練を担当する教官は、凄腕揃いで、各航空隊にいるエースパイロットを一ひねりできるくらい、実力差があるそうで、相手に訓練を付けるには、やはり相当の実力差がないとできないということなのでしょう。

こういった訓練の方法は、米軍の訓練方法から導入されたそうで、米軍の訓練もベトナム戦争での戦訓から生まれたものだそう。
ベトナム戦争後半、アメリカ空軍が撃墜される割合が高くなり、敵機の撃墜数より自軍の撃墜数が上回る状況となったことから、その原因などが分析されました。
分析の結果は、十分な訓練を積んだベテランパイロットも訓練時間が少ない新米パイロットも、実戦を10回くぐり抜けると、撃墜割合が少なくなり、撃墜される率はベテランも新米も変わらないというもの。

当初は、訓練時間の足りない新米パイロットを投入したがために、撃墜される率が高まったと思われていたのですが、実は訓練時間はあまり関係なく、実戦に慣れているかどうかが、撃墜との関係が強いという結論で、訓練がほとんど効果を上げていないことがわかったわけです。

分析して、「今までの訓練は効果がなかった」と言い切ってしまう辺り、アメリカのすごさという感じがします。
そして、分析に基づいて生まれたのが、実戦形式の訓練で、これが自衛隊の訓練にまで活かされているというあたり、アメリカの強さの象徴のように感じます。



【戦闘機への体験搭乗】

著者は、パイロットへの取材だけでなく、実際に戦闘機にも体験搭乗をしており、その様子も非常に面白い内容です。
F15戦闘機の戦闘訓練に同乗したわけですが、同乗するには、耐圧訓練を受けることが必要。
訓練室で、気圧を徐々に減らされると、お腹が急激に張り出してきて、おならをして、お腹の空気を抜かないといけないなど、実際に体験した人でないと分からない面白い話もでています。
他にも何名も一緒に訓練を受けていたのですが、みんなで一斉に大きな音のおならをするなんていうのは、なかなかない体験です(笑)。

その他、酸素欠乏により身体(頭脳)機能の低下実験もあり、高度8000mレベルの気圧下で、数字を順番に書いていくだけなのに、きちんと書くことができなくなる、なんていう結果も、予想以上に身体への影響があるんだなぁと驚いた点でした。
まぁ、日常でも酒を飲むと前後不覚になる経験はたくさんしているので、同じようなものでしょうか(同じにするなって!)

こういう訓練の風景を読むだけでも、航空自衛隊の仕事というのは、普通の仕事からはだいぶ違うなぁというのが実感でき、自分が体験したことのない非日常的な業務を日常としている自衛隊が面白そうに感じられました。
私の場合は、非日常を味わうには、お酒を飲んで酩酊するくらいですが、これは時と場所によっては批難の対象なので、あまりしょっちゅう出来ないことが悩みですね(悩むな!)



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【『兵士を見よ』より】
どんな組織でも、その組織にとってより重要とされる部分に金はつぎこまれていく。とすれば、槍の「穂先」と「柄」とでは金のかけ方が違ってきて当然なのだろう。

(書き出し)
その朝も、航空自衛隊のF15戦闘機パイロット、竹路昌修三佐は、出がけに十歳年下の妻の手で清めの塩をかけてもらった。

(結び)
唯一の気がかりは、四十代も折り返し点を過ぎた僕の体力が、彼らの強靭な歩みについてゆけるかということである。
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[ 2020/04/07 00:00 ] 軍事 | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:軍事】 兵士に聞け

【評価】★★★★★

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著者:杉山隆男
出版:新潮文庫



【等身大の自衛隊】

昔、自衛隊に入隊しようと本気で思っていた頃があり、その頃にこの本も読んで結構影響受けたなぁと、ちょっと懐かしく思いながら読み返しました。懐かしくっていうか、若かりし頃の、少々厨二病的だった自分を思い出す感じで、どっちかというと気恥ずかしいかなと言う気分。

本書は、自衛隊で働く人々(いわゆる兵士ですかね)の等身大の姿を描きつつ、自衛隊という組織の実像を描き出した名著。
自衛隊に入隊した若者も多数取材しており、その中で、自衛隊に入隊した動機として、「自分を向上させるため、より厳しい環境に身を置いたら良いかと思って」と語る若者が出てきますが、わかるー、と思う自分がいます。
私が自衛隊に入ろうと思った動機にかなり近い考えなので。

妻に、昔、私が自衛隊に入ろうとした話がばれていて、時折、「昔、自衛隊に入ろうとしたんだよね(ニヤニヤ)。なんで?」と、話のネタにされることもあるのですが、「自分を向上させたかったから」という動機は恥ずかしくて言えないので、「いやぁ、当時、世界征服を考えていたんだよね(←もっとやばい人になっている)」と言ってごまかしてます。
しかし、この答えも弊害があり、シミュレーションゲームとかをちょっとやっていると、「あー、また、バーチャルな世界で世界征服とか企んでるよ!」などとからかわれてしまっています(苦笑)。



【待ったなしの本番では】

自衛隊は、事実上、軍隊であるわけですが、日本国憲法による制約のため軍隊という本質は隠され、そのためのゆがみというものが生じているようです。
組織自体が官僚化して、現場より組織内部のことが優先されがちになり、出世するのは、現場をよく知る人間ではなく、中央で紙のキャリアを重ねた人間だったりします。

又、本書では、著者が護衛艦の同乗取材の最中、偶然、遭難したヨットに遭遇し、護衛艦が救助を行う場面に立ち会うというまたとない機会に出会います。
しかし、救助では、救助に向かった救助艇が逆に遭難したヨットに絡まり、救助する側から、救助される側になるという、不手際となる結果に。
結局、近隣の他の護衛艦を呼び出して救助してもらう結果になります。

自衛官が、苦笑交じりに、「マニュアル通りの訓練ならきっちりできるけど、待ったなしの本番になるとたちまち右往左往して腰砕けになってしまう。」とつぶやいた言葉に象徴されるように、軍隊という本質を隠すため、実践を経験できない自衛隊という組織のもろさが露呈した結果のようでした。



【用意周到 一歩後退】

自衛隊には、陸上自衛隊・航空自衛隊・海上自衛隊がありますが、それぞれ組織の特徴を表す言葉があるそうです。陸上自衛隊は、「用意周到 一歩後退」、航空自衛隊は、「勇猛果敢 支離滅裂」、海上自衛隊は、「伝統墨守 唯我独尊」という言葉。

「自衛隊は紙で動く」と皮肉られるくらい、何事も書類を通さないと物事が動かない組織だそうですが、その中でも陸上自衛隊は、その傾向が非常に強く、慎重に慎重を重ねた上、結局物事が進まない組織ということで、「用意周到 一歩後退」という言葉が捧げられています。

戦前の日本軍は紙で動くどころか、勝手に暴走して制御がきかない組織だったので、その反省が陸上自衛隊に取り入れられているのでしょうが、軍隊が、「書類でがんじがらめ」というのも、いかがなものかなぁという感じもします。
どうも、日本人は生真面目なのか、両極端に走る傾向があります。

ただし、この本は、20年ほど前に書かれたものなので、自衛隊を巡る環境も、自衛隊自身も変化している野田と思います。それでも、今、読んでも、「確かに、組織ってこういうところあるよなぁ」と感じるのは、組織の有り様が進歩していないのか、そもそも、組織っていうのは変わらないということなのか・・・。



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【『兵士に聞け』より】
自衛隊とは本にならない原稿を書きつづけるところ、という元将軍の比喩はミットのど真ん中めがけて投げ込まれた直球のストライクのようにすっぽり僕の中に収まった。

(書き出し)
自衛隊の建物には一つの特徴がある。

(結び)
彼の「カンボジア」は終わっても、あの半年の間、離れ離れの二人を結びつけていた、だから、あの半年の記憶がしみこんだ十二通の手紙は、いまも、そしてこれからも、ずっと二人のそばにある。
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[ 2020/03/24 00:00 ] 軍事 | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:ルポ】 伝染る「怖い話」

【評価】★★☆☆☆

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著者:別冊宝島編集部
出版:宝島社



【少々雑多な話の集まり】

怪談や都市伝説の流布の背景にあるものは何か、といったことを、色々な論者が、それこそ様々な切り口で論じた内容を集めた本。
全体的には、昨今の都市伝説的怪談話を集めただけの話や、ネットでの怪談流布や、オウム事件(本書は編纂されたのがオウム事件が起こって間もない頃ということもあり)をベースとした怪談話の発生など、論者の関心の赴くところ、自由に論じられており、どことなく、方向性がなく、雑多な内容という印象でした。

本書のタイトルからすると、怪談話がどうやって人々の間に流布されるのか-そんなテーマ設定にしたかったように思われますが、ちょっと、そのテーマが徹底していなかったかなぁと言う印象です。



【ネットの中の死後の世界】

興味深かったのは、ネットにまつわる考察。本書が書かれた時期は、ネットが流行始めようとしていた時期なので、そのような背景で、どこまで、今のネット環境を予測できたかということを知ることができ、興味深いところでした。

ブログやサイトを書いていた人が亡くなった後、そのサイトはどのような位置づけになるのかといったことが書かれており、「亡くなった人のサイトがそのまま生前のまま残っているという状況は、人によっては、ネットの中では亡くなった人が生きているようなものであり、ネットは、言ってみれば、死者にとって死後の世界、天国のような存在という意見がある。しかし、実際は、天国ではなく、墓地、霊園のような位置づけではないか」といった趣旨が述べられています。

亡くなった著名人のサイトが死後も存続し続け、ファンの方がコメントを書き込んだりするという状況は(飯島愛さんのサイトなんか、そういったものの走りに思われます)、まさに、本書の指摘が的確だったなぁと言う点で、非常に面白く感じました。



【「座敷女」と「リング」】

実は、本書、大昔に読んで家の書棚に放ってあったものを再度取り出して読んだのですが、当時、Jホラーのブームが起ころうとしていたんだなぁといったことも感じられて懐かしく思いました。

本書では、漫画「座敷女」や小説「リング」についても書かれている項があり、当時、本書でそれらの漫画や本を知って、早速、読んだ記憶があります。
「リング」がここまでブレイクするとはね(もはや「リング」に登場する貞子は、国民的お化けになったと思います)、とあらためて思ったのでした。

残念ながら、漫画「座敷女」の方は、映画化などはされたものの、「リング」ほどのブレイクはせず、明暗が分かれたなぁなんて、本書を再読して感慨深いものを感じました。




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【『伝染る「恐い話」』より】
そんな幽霊話なんか出ない方がいいんだよ。今回は噂が噂を呼んで、ひどいもんになっとる

(書き出し)
三ヵ月ほど前のある日曜日のことである。

(結び)
現代の「恐怖」は、固定化されたカタチを拒否し、さまざまに変貌しつつ、どこまでも漂いつづけていくのだろう。
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[ 2020/02/24 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:ルポ】 「カルト」の正体。

【評価】★★☆☆☆

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著者:別冊宝島編集部
出版:宝島社



【オウム事件をきっかけとしたカルト排除の動き】

オウム真理教による事件が世間を震撼とさせた時期に、「カルト」という言葉が人々の口の端に上ることが多くなり、その頃、興味があって手にした本。
オウム真理教が引き起こした事件の生々しさがリアルに実感されている時期に読んだので、その時は、本書に出てくるカルト教の異常さにかなり強い危機感や排除すべきという気持ちを持ったことを覚えていますが、再度、今になって読み直すと、だいぶ違った印象を感じました。

この本に名前が挙がっている団体は、問題があることは間違いないと思いますが、ただし、本書による批判が、この団体はカルトだから問題がある、そしてカルトであるから排除すべき、という感じで、団体のどの当たりに問題があるかが、明確に述べられていないように感じられ、「生理的にいけ好かないので排除」的な排除側の論理も、一方的に思える印象でした。



【排除の論理】

本書でも述べられていますが、「カルト」という言葉の意味がはっきりしない問題、カルトというレッテル貼りにより、異質なものを何でもかんでも排除する風潮など、日本人の同質性を好む性質が、如実にカルト問題に現れているようでした。

カルト系の団体に入った人をどうやって救出(洗脳やマインドコントロールを解く)したかといった実例がいくつも載っているのですが、読んでいて、少々違和感を感じるのが、救助側の思考が結局のところ、自分の倫理観や宗教観と異なる行動を徹底的に排除したいという視点から、カルト団体に入った妻や子供を救助するという盲目的な正義感につながっているだけではと思われた点でした。

本書の中に、カルトとどうやって対応すべきかという問いに対し、「まずは、普通の話をしてみれば?」と答えている点がありましたが、相手がカルトだと、多様性とか異質性とかを認めた上でという前提がなく、白か黒かで決着を付けたくなってしまうというのが、問題という感じもします。



【問題の原因の単純化】

そして、妻や子供がカルトに入ったことで家庭が崩壊したという話も書かれていますが、それらは、カルトに入ったことが原因で家庭環境が壊れたというよりは、元々、家庭の中で妻子との関係に問題が内在していたことが、カルト団体への入信という形で現れただけではないかなぁとも思えるのでした。

どうも、問題の原因をカルト入信が原因だ、というように、ごく単純なことに求めたがるのが人間なのかもしれません。
問題の原因を単純化して捕らえれば、例えば、カルトから脱しさえすれば問題は解決する、というよに、単純化した問題の原因さえ解決すれば全て丸く収まると錯覚してしまうという弊害が生じるようです。

実際、本書で、妻子をカルトから取り戻しても、妻子との関係が修復することはなく、また、その原因をカルト入信の後遺症という風にしてしまっていますが、結局、問題の本質はもっと根深いところにあったり、複雑だったりするところを、カルト入信に集約することで直視することを避けている感じです。

こういう思考に結構陥りがちだなぁと思いながら読んでいましたが、問題の当事者は、ついついこうやって単純化することで、答えを手早く得たいと考えてしまうのかもしれません。



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【『「カルト」の正体。』より】
「カルトとは、ある人物あるいは組織の教えに絶対的な価値を置き、現代社会が共有する価値観―財産・教育・結婚・知る権利などの基本的な人権や家族の信頼関係といった道徳観―を否定する集団である」

(書き出し)
グルを自称するライフスペースの高橋弘二とその信奉者たちが、1999年1月に19人(企業、団体含む)を名誉毀損で訴えた。

(結び)
鎌倉仏教だって、できたときはカルトだったんだからさ。そこを押さえとかないと、この反カルトのカルト性の座談会だって、不毛なだけなんだよ。
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[ 2020/02/23 02:21 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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kappa1973

Author:kappa1973
 
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★★★★☆:良い作品!
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