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読書と映画

読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【書籍:ルポ】 伝染る「怖い話」

【評価】★★☆☆☆

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著者:別冊宝島編集部
出版:宝島社



【少々雑多な話の集まり】

怪談や都市伝説の流布の背景にあるものは何か、といったことを、色々な論者が、それこそ様々な切り口で論じた内容を集めた本。
全体的には、昨今の都市伝説的怪談話を集めただけの話や、ネットでの怪談流布や、オウム事件(本書は編纂されたのがオウム事件が起こって間もない頃ということもあり)をベースとした怪談話の発生など、論者の関心の赴くところ、自由に論じられており、どことなく、方向性がなく、雑多な内容という印象でした。

本書のタイトルからすると、怪談話がどうやって人々の間に流布されるのか-そんなテーマ設定にしたかったように思われますが、ちょっと、そのテーマが徹底していなかったかなぁと言う印象です。



【ネットの中の死後の世界】

興味深かったのは、ネットにまつわる考察。本書が書かれた時期は、ネットが流行始めようとしていた時期なので、そのような背景で、どこまで、今のネット環境を予測できたかということを知ることができ、興味深いところでした。

ブログやサイトを書いていた人が亡くなった後、そのサイトはどのような位置づけになるのかといったことが書かれており、「亡くなった人のサイトがそのまま生前のまま残っているという状況は、人によっては、ネットの中では亡くなった人が生きているようなものであり、ネットは、言ってみれば、死者にとって死後の世界、天国のような存在という意見がある。しかし、実際は、天国ではなく、墓地、霊園のような位置づけではないか」といった趣旨が述べられています。

亡くなった著名人のサイトが死後も存続し続け、ファンの方がコメントを書き込んだりするという状況は(飯島愛さんのサイトなんか、そういったものの走りに思われます)、まさに、本書の指摘が的確だったなぁと言う点で、非常に面白く感じました。



【「座敷女」と「リング」】

実は、本書、大昔に読んで家の書棚に放ってあったものを再度取り出して読んだのですが、当時、Jホラーのブームが起ころうとしていたんだなぁといったことも感じられて懐かしく思いました。

本書では、漫画「座敷女」や小説「リング」についても書かれている項があり、当時、本書でそれらの漫画や本を知って、早速、読んだ記憶があります。
「リング」がここまでブレイクするとはね(もはや「リング」に登場する貞子は、国民的お化けになったと思います)、とあらためて思ったのでした。

残念ながら、漫画「座敷女」の方は、映画化などはされたものの、「リング」ほどのブレイクはせず、明暗が分かれたなぁなんて、本書を再読して感慨深いものを感じました。




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【『伝染る「恐い話」』より】
そんな幽霊話なんか出ない方がいいんだよ。今回は噂が噂を呼んで、ひどいもんになっとる

(書き出し)
三ヵ月ほど前のある日曜日のことである。

(結び)
現代の「恐怖」は、固定化されたカタチを拒否し、さまざまに変貌しつつ、どこまでも漂いつづけていくのだろう。
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[ 2020/02/24 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:ルポ】 「カルト」の正体。

【評価】★★☆☆☆

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著者:別冊宝島編集部
出版:宝島社



【オウム事件をきっかけとしたカルト排除の動き】

オウム真理教による事件が世間を震撼とさせた時期に、「カルト」という言葉が人々の口の端に上ることが多くなり、その頃、興味があって手にした本。
オウム真理教が引き起こした事件の生々しさがリアルに実感されている時期に読んだので、その時は、本書に出てくるカルト教の異常さにかなり強い危機感や排除すべきという気持ちを持ったことを覚えていますが、再度、今になって読み直すと、だいぶ違った印象を感じました。

この本に名前が挙がっている団体は、問題があることは間違いないと思いますが、ただし、本書による批判が、この団体はカルトだから問題がある、そしてカルトであるから排除すべき、という感じで、団体のどの当たりに問題があるかが、明確に述べられていないように感じられ、「生理的にいけ好かないので排除」的な排除側の論理も、一方的に思える印象でした。



【排除の論理】

本書でも述べられていますが、「カルト」という言葉の意味がはっきりしない問題、カルトというレッテル貼りにより、異質なものを何でもかんでも排除する風潮など、日本人の同質性を好む性質が、如実にカルト問題に現れているようでした。

カルト系の団体に入った人をどうやって救出(洗脳やマインドコントロールを解く)したかといった実例がいくつも載っているのですが、読んでいて、少々違和感を感じるのが、救助側の思考が結局のところ、自分の倫理観や宗教観と異なる行動を徹底的に排除したいという視点から、カルト団体に入った妻や子供を救助するという盲目的な正義感につながっているだけではと思われた点でした。

本書の中に、カルトとどうやって対応すべきかという問いに対し、「まずは、普通の話をしてみれば?」と答えている点がありましたが、相手がカルトだと、多様性とか異質性とかを認めた上でという前提がなく、白か黒かで決着を付けたくなってしまうというのが、問題という感じもします。



【問題の原因の単純化】

そして、妻や子供がカルトに入ったことで家庭が崩壊したという話も書かれていますが、それらは、カルトに入ったことが原因で家庭環境が壊れたというよりは、元々、家庭の中で妻子との関係に問題が内在していたことが、カルト団体への入信という形で現れただけではないかなぁとも思えるのでした。

どうも、問題の原因をカルト入信が原因だ、というように、ごく単純なことに求めたがるのが人間なのかもしれません。
問題の原因を単純化して捕らえれば、例えば、カルトから脱しさえすれば問題は解決する、というよに、単純化した問題の原因さえ解決すれば全て丸く収まると錯覚してしまうという弊害が生じるようです。

実際、本書で、妻子をカルトから取り戻しても、妻子との関係が修復することはなく、また、その原因をカルト入信の後遺症という風にしてしまっていますが、結局、問題の本質はもっと根深いところにあったり、複雑だったりするところを、カルト入信に集約することで直視することを避けている感じです。

こういう思考に結構陥りがちだなぁと思いながら読んでいましたが、問題の当事者は、ついついこうやって単純化することで、答えを手早く得たいと考えてしまうのかもしれません。



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【『「カルト」の正体。』より】
「カルトとは、ある人物あるいは組織の教えに絶対的な価値を置き、現代社会が共有する価値観―財産・教育・結婚・知る権利などの基本的な人権や家族の信頼関係といった道徳観―を否定する集団である」

(書き出し)
グルを自称するライフスペースの高橋弘二とその信奉者たちが、1999年1月に19人(企業、団体含む)を名誉毀損で訴えた。

(結び)
鎌倉仏教だって、できたときはカルトだったんだからさ。そこを押さえとかないと、この反カルトのカルト性の座談会だって、不毛なだけなんだよ。
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[ 2020/02/23 02:21 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:ルポ】 硯の中の地球を歩く

【評価】★★★☆☆

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著者:青柳貴史
出版:左右社


【手彫りで作られる硯】

硯職人である著者の、硯作りにまつわる、職業ルポ的な作品。
硯と言うと、小中学校の頃の習字の授業くらいでしか接する機会はなかったので、どちらかというと、真四角な画一的な工業製品っぽいイメージでしたが、一つ一つ、手彫りで作る硯というものが、今もあるのだなぁと、目から鱗でした。

確かに、書家の方が使う硯は、学校の授業で使っていたような無機質な硯のわけはなく、ある種、芸術品のような硯を使っているんだろうなぁというのは、ちょっと想像すれば分かることだったかもしれません。



【全身を使っての硯つくり】

著者が作る硯は、一つ一つ手彫りの作品で、一月に作れる作品数は3つほどと言うことで、まさに芸術品に近い作品と言えるのかもしれません。
硯作りの一端も、本書に記載されていましたが、石を鑿(のみ)などの道具を使って、手で彫るんですね。

彫ると言っても、木版画のようにはいかないので、腕だけでなく、鑿の握りを肩に押し当てて、体全体を使って彫るそうで(彫っている写真も載っています)、かなりの力が必要となりそうです。
そのため、右肩の筋肉が異様に発達してしまうそうで、硯というと、どことなく、ちんまりとしたかわいらしい雰囲気がありますが、それを作るまでの作業は、そんな雰囲気からは想像しがたいものがあるのでした。



【ロッククライミングが意外にも役立つ】

本書では、硯の原料となる石を探す話もかなり割かれています。
硯職人になってから、趣味で始めるようになったロッククライミングが、意外にも、硯つくりの仕事に役に立ったというのは、驚く話でした。

硯の原料は石であるわけですが、石に触れたり、石の感触を感じ取る力が、ロッククライミングで岩肌に触れ、向き合うという体験を通じて得られたというのは、確かに、納得できる話ではあります。
ただ、意外な趣味が、仕事に通じてくることがある、というのは面白い話でした。

硯作りというと、どことなく、工房に閉じこもって、一日中、座り仕事で石を彫るようなイメージでしたが、中国の山奥に石を探しにいったり、日本国内にもよい石がないか、採石業者や地質学者から情報を聞きに回ったりと、外にでてアドベンチャーなことをすることも多いというのも、面白い話でした。


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【『硯の中の地球を歩く』より】
良いものはちょっとしか出てこない。不思議と地球はそういう風にできている。

(書き出し)
ぼくには妻が二人いる。

(結び)
そして、硯だけをつくっていれば良い世の中になれば、きっと祖父も、「良い時代にしたな」と言ってくれるだろう。
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[ 2020/02/12 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:ルポ】 洗脳体験

【評価】★★★★☆

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著者:二澤雅喜、島田裕巳
出版:宝島社文庫



【バブル時代の世相が反映】

バブル時期の1990年頃に大流行していた「自己啓発セミナー」への参加体験を綴った本。
バブルの頃は、「24時間戦えますか」といったCMが流行り、会社の研修でも軍隊式の研修が行われたりと、一種異様な高揚感に包まれた世相だった気がしますが、その世相の後押しを受け、自己を変革し新しい自分に生まれ変わるといった目的のセミナーとして、「自己啓発セミナー」が大流行でした。

1週間近い研修を30万円という高額を払って参加するという、まさにバブリーなものでありましたが、その内容は、心理学のテクニックを使った内容で、日常では体験できないだろう感情を味わえるという意味では、貴重な内容かもしれません。



【海外旅行と同質の体験】

本書では、4日間の初級コース(10万円)、1週間の中級コース(30万円)に、自腹でセミナー費を払い、参加した体験が詳細に描かれています。

参加者の固定概念を突き崩すための様々な仕掛け、参加者同士による秘密の告白によってセミナー参加者の距離感を縮めていくテクニック、感情を爆発させ、非日常の体験を実感させるなど、アメリカで主に研究が進んだ心理学のテクニックが使われながら、参加者の価値観や意識を変えさせる内容です。

正直、結構、面白そうなセミナーだと思いながら読みました。
秘密を告白するなどハードルが非常に高く感じられる内容である反面、自分を解放して日常では味わえない体験ができるという意味では、30万円払って海外旅行に行くのと、ある種同質な体験かもしれないなぁと思いながら読みました。



【エンターテイメントとしての体験】

海外旅行でも、現地にはまってそのまま移住してしまうという人もたまにいますが、体験をどれだけ自分自身が客観視できるかで、日常への影響の度合いに違いがでそうです。

本書の著者は、セミナーについて、「観客参加の、良質なエンターテイメントのように思われた」という感想を述べていますが、エンターテイメントとしてみると、なかなか面白そうだし、エンターテイメントと割り切れば、海外旅行レベルの体験型のアトラクションであり、満足感も高いように思います。

以前、妻が、市役所からの誘いで参加したワークショップみたいなものが、車座になって、みんなが順番につらい体験を話して、それを聞いて泣くという内容だったということがありました。
妻曰く、「久々に人のつらい体験話を聞いて、思いっきり泣いて、すっきりした」ということでしたが、これも、ある種このセミナーの手法の一部を使ったものだなぁと思いました。

意外と、日常でも、心理学の手法を使ったプチ体験的なものがあるんだなぁと、本書を読んで思ったことでした。



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【『洗脳体験』より】
しかし、実際にセミナーを体験してみると、それは四日間に及ぶ、観客参加の、良質なエンターテイメントのように思われた。

(書き出し)
「最近、妙なセミナーが流行ってるんだけど知ってる?」と複数の友人に訊かれた。

(結び)
不満があっても、この自分と長く付き合っていく他はない。もし、セミナーの体験を通して、そういったことに気づくことができるのであれば、それはとても貴重な人生のエピソードのひとつとなるのだ。
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[ 2020/02/11 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)

【書籍:体験談】 突然、僕は殺人犯にされた -ネット中傷被害を受けた10年間

【評価】★★★★★

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著者:スマイリーキクチ
出版:竹書房



【社会に警鐘を鳴らした事件】

ネット中傷事件として非常に有名になった話で、一度、この本を読んでみようと思いつつも、なかなか機会がなかったのですが、今回、図書館で借りることができたので、読むことができました。

今でこそ、ネット中傷の問題が社会問題として取り上げられるようになり、警察の捜査もある程度行われる状況でしたが、スマイリーキクチさんの時は、ネットの影響力や仕組みへの理解がまだ十分ではなく、問題解決への動きも非常ににぶいという状況でした。

ただし、スマイリーキクチさんの努力もあり、この問題が社会に鳴らした警鐘は非常に大きく、意義があったのではと思います。



【多くの無責任と無関心】

本書を読むと、至る方面での人の無責任さ、無関心さを痛感させられます。
まず、一番は、ネットに中傷を書き込む人。
真偽も確かめず、もしくは真偽など関係なく、ただ人を叩くきっかけを待ち構えている人がいるということ。
他人に対する痛みなどの想像力に欠けているのでしょうし、誹謗中傷行為をしても、自分が責められることはないという無責任さなど、ありとあらゆる点で卑怯さしか感じられません。

また、捜査サイドも、「ブログをやめればいいんじゃない?」「ネットを見なければいいじゃない」という、安直でその場しのぎの回答でごまかそうとしたりと、面倒くさそうな話は、とりあえず、なんとかいなして、自分の身に降りかからないようにしようという意図が透けて見えて、悲しくさえなってしまいます。

ただ、仕事や日常生活で、そういった態度を取っていないか・・・我が身を振り返る気持ちにもなりました。



【検察官の問題意識の低さ】

10年にも及ぶ中傷被害の末、警察の中で、親身に動いてくれる刑事さんが出てきて、ようやく物事が動き出し始めます。この刑事さんは、実はネットオタクで、ネットの問題に関心が高かったということも、動いてもらえるきっかけになったようです。

中傷書き込みをした人のうち、特にひどい書き込みをした人物20人近くの身元を特定し、検挙にまで到達します。

しかし、その後、検察庁に送られ、1年近い審議の末、全員不起訴処分。
検察官が、スマイリーキクチさんにその理由を説明しますが、「みなさん、遊び半分ですし」、「あなたがネットやらなければいいんじゃない?」など、明らかにネットを理解していない内容で、今の状況からすると、非常に問題意識の低い、不勉強としかいいようのないものでした。

スマイリーキクチさんが、不起訴理由の適当さに憤りを感じt、「それじゃあ、逆に今度は、私が、検挙された人の名前や住所をネットに書き込んでもいいというわけですか?」と詰め寄ると、「2チャンネルはまずいですけど、あなたのブログにだったら構わないと思いますよ」と驚愕の返事。

当時の認識って、こんなもんだったんだなぁと驚きの返事だったのでした。

警察や検察官、裁判官こそ、世情や世の中のトレンドをしっかりと把握して、時代の一歩先を行った対応をして欲しいものですが、現実は、時代の3歩も4歩も後ろにいるとしか思えない対応で、警察や検察官は、もっとしっかりして欲しいものだ、と本書をよんでつくづく思ったのでした。



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【『突然、僕は殺人犯にされた』より】
ネットの中傷を便所の落書きと揶揄する人もいる。確かに落書きレベルの内容だが、便所の落書きは上からペンキを塗ればすぐ消える。でも、ネットの落書きを消すのは容易ではない。

(書き出し)
警察庁には、インターネット上の誹謗中傷に関する相談が年間一万件以上も寄せられています。

(結び)
お世話になった方々に恩返しできるように、その人たちに恥をかかせないように歩んでいければ、これから最高の人生が送れると思う。
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[ 2020/02/10 00:00 ] その他ルポ | TrackBack(0) | Comment(0)
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kappa1973

Author:kappa1973
 
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