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読んだ本、見た映画について感想を書いています。
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【洋画:ホラー】 ダイアリー・オブ・ザ・デッド

【評価】★★★★☆

diary_dead.jpg
2008年/アメリカ
監督:ジョージ・A・ロメロ
主演:ミシェル・モーガン


ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の作品。
巨匠の作品というのは、案外と、プレッシャーを感じて手に取りづらいものもあるものの、折角の機会ということで、レンタルしてみることにしました。

【ストーリー】
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大学生のジェイソンたちは、卒業ゼミのための映画撮影を行っていた。
そこに、死者が蘇り暴れているというニュースがテレビから流れ始めたため、ジェイソンたちは、映画撮影を中止して、キャンピングカーに乗って、自宅に戻ることにした。
ジェイソンは、この奇怪な状況を前にして、ビデオで映像記録を残そうと決意する。
ジェイソン達は、死者が蘇るという話に半信半疑だったが、実際に訪れた場所々々でゾンビに襲われ、事態の深刻さに気づき始める。
そして、ジェイソン以外のメンバーは、ジェイソンが片時もビデオ撮影を止めないことに対して不信の念を募らせる。
ゾンビの襲撃を逃れ、メンバーの一人の豪邸に逃げ込んだ一同。
そこでも、死者がゾンビとなり、メンバーが襲われるが、ジェイソンは、仲間を助けず、撮影を優先するのだった。
更に、ジェイソン自身も撮影中にゾンビに襲われ死ぬこととなるが、最後まで撮影を止めずに死んでいったのだった。
仲間の一人デブラは、そんなジェイソンを全く理解できずにたが、ジェイソンが死に、その映像が人類を救うことになるかもしれないと考えを改め、ジェイソンの意思を継ぎ、撮影を続行する。
そして、撮影した映像を編集して、ネットを通じて世界に映像を配信するのだった(完)。

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現在の個人がブログやツイッターなどで、ネットを通じて情報を発信する社会、一億総活躍社会ならぬ、一億総情報発信社会においてゾンビが発生したら、どんなことになるだろうということをテーマにした作品。

主人公格のジェイソンは、ゾンビ発生というニュースを聞きつけ、その異常事態を映像記録に残し、ネットに配信することに執念を燃やします。
一方で、ジェイソンの仲間は、そんなジェイソンに苛立ちを感じ、嫌悪感を覚えます。

ジェイソンが、記録した映像を編集して、ネットに流したところ、驚異的なアクセス数をヒット。
それに大喜びするジェイソンに対し、ジェイソンの恋人は、「おめでとう。念願叶ってこれで、有名人になれたわね」と大いに毒舌をぶつけます。
ジェイソンの行為は、過激な映像を撮ることでアクセス数を稼ごうとするユーチューバー的な匂いがぷんぷんとするわけですが、ジェイソンは、その毒舌に対して、「有名になりたいから映像をネットにアップしてるんじゃない。真実を多くの人に知らして、少しでも生きている人が生き残る術を見つけられるようにしたいだけだ」と抗弁。

要はジャーナリスト精神的正義感が映像撮影の源泉だというわけですが、その正義感も有名になりたいという名誉欲と表裏一体だろうなぁという気はします。
ジェイソンは、コインの表側-正義感のみを強調し、ビデオ撮影の意義・正当性を強く主張するわけですが、コインの裏側-名誉欲については、自らは全く気づいていない様子。
この点は、非常に危険と言わざるを得ません。

後半、ジェイソンは、仲間がゾンビに襲われているのに、撮影を最優先し、仲間がゾンビに襲われる姿を悠々と撮影します。
「人が生き残る術を見つけられる」ように撮影しているのに、目の前の人が生き残ることに対して全く手助けをしないという矛盾。
かなり救いがたい感じです。

そして、自らもゾンビに襲われ絶命する運命を辿りますが、命が尽きるまで撮影することに執着しつづけた点は、撮影を最優先するという姿勢にブレがなく立派と言えなくもありませんが、普通に考えると、視野狭窄のバカ・・・と言ったところでしょうか。

ジェイソンの死後、恋人がジェイソンの意志を継ぎ、映像の完成を目指します。
ゾンビが蔓延しつつある世界で、ゾンビの脅威を記録する映像に、完成ってあるのかという気はします。
ラスト、ジェイソンの恋人がジェイソンの意思を次いで完成させた映像というのは、ゾンビを憂さ晴らしに銃で撃って楽しむ人間達の様子を映したもので、その映像をもって「我々は救う価値がある存在なのか」という言葉を投げかける形で終わります。

正直、これが映像の完成なのかと、かなり中途半端な印象を受けました。
この記録映画の完成とは、すなわち、人類がゾンビによって滅亡する最後の瞬間ではなかろうかという気がします。
しかし、そうすると、その映像は、「人が生きる術を見つけるため」という目的とは相反するわけです。なぜなら、記録映画が完成するといことは、生きている人は存在しないことを意味するわけですから。

結局、映像を記録するって、何なんだろうと思います。
犠牲者を出さないために犠牲者を撮る-しかし、それはすなわち、撮られている犠牲者が既に犠牲者として存在しているわけで、犠牲者を出さないという目的を初っ端から逸脱しているわけです。
映像自体が既に矛盾を孕んでいる、そんな気がします。

そう考えると、変な正義感で映像撮影を正当化するより、「すごい映像を撮って有名になりたい」といった理由の方が、よっぽどスッキリして分かりよいわけです。
そして、現在、多くの情報発信者は、そのスッキリした理由で映像を撮影しネットに流しているわけで、一億総情報発信社会を健全に維持するためには、その純粋(?)な動機が、妙な正義感に取って代わられないように、気をつけねばならないということでしょう。
しかし、最近は、日本に妙な正義感を振りかざす人が多くなってきているので、気をつけねばなるまい。


【その他のレビューブログ】
「派手なゾンビ映画、ゾンビの残虐性をメインに重点を置いた映画を期待すると楽しむどころか、退屈な映画な映画だと感じる事でしょうね。」というコメントがありましたが、ゾンビ映画としては、パニックムービー的な派手さはなく、従来のゾンビ映画とは違ったテーマを感じました。

三角絞めでつかまえて
http://ameblo.jp/kamiyamaz/entry-10556393857.html

新・リストラなう日記 たぬきちの首
http://d.hatena.ne.jp/tanu_ki/20090423/1240485728

ゾンビは前にすすむ -ホラー映画の感想中心ブログ-
http://fanblogs.jp/thitaru/archive/4/0

なにさま映画評
http://karasmoker.exblog.jp/11417168/

四十郎おっさんが綴る映画やアニメの感想まがい
http://ossan.ossan999.com/archives/diaryofthedead-bare.html

映画ベース
http://eigabase.puroya.jp/movie.php?ID=5699

アマゾン カスタマーレビュー
https://www.amazon.co.jp/product-reviews/B003CITCAQ/ref=cm_cr_dp_see_all_summary?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=helpful

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